10番目の同級生

ジャメヴ

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歓迎会

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◆約1年前
コスモグループ製造部

熊谷くまがい次長。こちらの使用期限切れの製品全て廃棄で宜しいでしょうか?」
「良い訳ないだろう。何を言っているんだ?  良く考えて行動するように」
「えっ?じゃあ、どうすれば……」
返事もせず、熊谷次長は行ってしまった。そこに主任の中西が通りかかる。中西は31歳。地黒の肌で、背は低いがソコソコの顔立ち。頭は良いように見えないが、仕事はソコソコこなす。プライベートはイジられキャラだが、仕事では部下に上司感を出す。
「あ、中西主任。こういう場合どうすれば良いんですか?」
「こういうのは……」
中西は躊躇する事無く、生産日のシールを貼り替えた。
「えっ?  そんな事して良いんですか?」
「良い訳ないだろ。だけど、これだけの製品を廃棄にする訳にもいかないし。バレなければ良いって事だよ」
「それが正解なんですか?  次長は答えてくれませんでしたが……」
「生産日の日付を変えなさいって指示を出す上司はダメな上司だよ。何かあったときに責任逃れができなくなるだろ?  俺達下っぱが勝手に動いてやるのが良いんだ」
「せこくないですか?  それって」
「世間知らずだな。まあ、あの人の思うように動いてやれば、ソコソコ出世出来るぞ。熊谷さんは、あの若さで次長だからな。仕事も出来るし、上司に気に入られるなら何でもするような人だ。敵も一杯いるだろうけどな。まあ、俺もちょっとついていけないけどね」

  その日の午後、中西は製造部長の大迫おおさこに声を掛けた。
「お疲れ様です」
「ああ、お疲れ」
「大迫部長、明日、新人さん2人の歓迎会があるんですが、来ていただけないてすか?」
「おお、それはいいな。是非出席させてもらうよ」
製造部長の大迫は信頼が厚く、部下からも尊敬されていた。50代だが若さを保っており、端正な顔立ちをしていた為、特に女性社員から好かれていた。

  歓迎会も無事終わり、幹事中西がお金を集める。新人以外は男性3,000円、女性2,000円だ。居酒屋だというのに、少し安いのには理由がある。

「中西君。じゃあ、これで」
「いつも、ありがとうございます!」
部長の大迫は中西に3万円を渡した。大迫は、いつもかなり多めに出してくれる。中西は2次会のカラオケへ皆を誘うと、半数程度が行けるようだった。
(あれ?  大迫さんはどこへいった?  結構飲まされていたからな……)
中西が大迫に2次会参加の可否を聞く為、店の外へ探しに出ると、大迫は女性社員の松本と喋っているようだ。松本はセクシー担当と言わんばかりに胸元がザックリ開いた服を着ている。中西は大迫に声を掛けようとしたが、2人が良い雰囲気なので、一旦、店の中に戻る事にした。店内で少し皆と話した後、外に出てみると、大迫と松本の姿が無かった。
(いない……お持ち帰りか?  部長、やるな!)
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