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Trash Land
prologue II
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「Forcing me to cooperate, what a saying! Unbelievable!」
白髪の男が文句を言うが、無視された。最早何を言っても無駄と諦めたのか、
「It returns」
溜息と共にそう言い残し、部屋を後にした。その行動は全くの無防備であり、易々と全身を穴だらけに出来たのだが、そうした瞬間黒衣の男が一瞬で間合いを詰めて自分の首を飛ばすだろう。
視界の隅に白髪の男を捉えつつゆっくりと移動し距離をとる。そう、今この場に残ったのは、黒衣の男とユークリッド・アプケスだけだ。
「手前ぇ、何が望みだ!?」
横目で白髪の男が完全にいなくなったのを確認しながら油断なく銃口を向けながらユークリッド・アプケスが叫ぶ。すると男は懐から煙草を出して火を点け、
「Nothing」
「何も望んでいねぇんだったら、どうしてンなことをするだよ!」
銃を向けたまま叫び、少しずつ壁を背にしたまま移動する。男は動かない。只ゆっくりと煙を吐いただけだ。
「I have no particular grudge, but I will erase it for the time being. I am 〝HEAD HUNTER〟. Did you understand?」
「……やっぱり、賞金首狩りかよ……だがなぁ、この〝ヘカトンケイル〟がそう簡単に潰せると思うなよ!!」
「……I smashed it already. you're the only one left」
「な、なんだと!? 出鱈目言ってるんじゃねぇよ!!」
銃を持つ手が震えている。今まで、こんなことは一度もなかった。目の前にいる男が恐ろしい。
このままでは殺されてしまう。殺される前に殺れ、それが長年この世界で生きて来た者達の鉄則。
「If the information is completely suppressed, there is no trick such as crushing the organization. After that, those who have a grudge against you will eat each other without permission. It didn't take long, though」
呟き、煙草を揉み消しゆっくりと近付いて行く。その瞬間、ユークリッド・アプケスは狂ったように引き金を引いた。
高圧レーザーが打ち出され、狙い違わず男の心臓を打ち抜くべく飛来する。
銃の腕には絶対の自信があった。伊達に犯罪組織のボスをしているわけではない。何の実力もない者がボスにはなれないのがこの世界だ。
レーザーが男の心臓を貫こうとしていたそのとき、突然濃いアルコール臭が漂い水蒸気が発生した。
そしてレーザーは、男を貫くことはないばかりかコートを焦がすことすらなかった。
「な、一体どうなっているんだ? どうして手前ぇは死なねぇんだよ!?」
絶叫しながら立て続けにトリガーを引き続ける。たとえ効果がなくても、そして動揺していても、身に付いた技術は考えなくても働くものだ。
「If there is water vapor in the laser, its power is reduced to less than half. didn't you know?」
「くそったれ!」
吐き捨てるが、それでも目的の場所に辿り着いた。
「だが、俺の勝ちだ!」
壁を押して隠し扉を開き、すぐさま閉じる。この扉は50ミリの鋼鉄製で、そう簡単には破れない。
「擲弾でも持って来いってんだよ」
吐き捨て、気温がどんどん低くなって行く廃墟へと走り出す。
こうなったら、『あの人』に連絡を取ってもう一度組織を立て直す必要がある。
面倒だが、それ以外に自分が生き残る術はない。あの男の言う通り、〝ヘカトンケイル〟が潰されたことを他の組織が知ったら、自分は確実に殺されてしまう。
「死んで堪るか、今までだってこんな危機は何度もあった。だから、今回だって……」
だがその考えは、突然後方で起きた閃光を伴う破壊音で途切れ、自身に巻き付いた何かによって瞬く間に消えた。
何が起きたのか判らないまま、その巻き付いたものを凝視する。其処から感じる冷たい感触、彼自身が長年慣れ親しんでいる鉄製のもの。
そしてそれが意味することを直感で理解し、直後、絶望が彼を襲った。
その巻き付いたもの――鋼の鞭が、彼の全身を有り得ないほどの圧力で締め上げる。
「な、何なんだよこれは!?」
何が起きたのかは理解出来たが、自分が今どうなっているのかが判らない。だが自分の骨が折れる音を聞き、やっと現状に気付いたが、それは既に遅かった。
「Good die」
黒衣の男は呟き、そしてユークリッド・アプケスは、体幹の骨を砕かれ絶望の中で息絶える直前、鋼の鞭へと流された数千万ワットの電流で生きたまま焼かれた。
それはたった数時間の出来事。史上最悪とまで呼ばれた巨大犯罪組織〝ヘカトンケイル〟の、事実上の最後だった。
残党は別の組織が片付けるか、内部抗争で自然消滅するだろう。そういう世界だ。
「Are you done?」
黒焦げで息絶えているユークリッド・アプケスから鋼の鞭を巻き取り、声を掛けられた黒衣の男が頷いた。それを見て声を掛けた白髪の男が楽しげに言う。
「Was it easy?」
「I don't know」
白髪の男が訊くが、彼は無表情にそう答えただけでその場を後にした。
溜息を吐き、寒さに身を震わせながら白髪の男もその場を立ち去った。
残ったものは、凍りついたユークリッド・アプケスの焼死体だけだった……。
白髪の男が文句を言うが、無視された。最早何を言っても無駄と諦めたのか、
「It returns」
溜息と共にそう言い残し、部屋を後にした。その行動は全くの無防備であり、易々と全身を穴だらけに出来たのだが、そうした瞬間黒衣の男が一瞬で間合いを詰めて自分の首を飛ばすだろう。
視界の隅に白髪の男を捉えつつゆっくりと移動し距離をとる。そう、今この場に残ったのは、黒衣の男とユークリッド・アプケスだけだ。
「手前ぇ、何が望みだ!?」
横目で白髪の男が完全にいなくなったのを確認しながら油断なく銃口を向けながらユークリッド・アプケスが叫ぶ。すると男は懐から煙草を出して火を点け、
「Nothing」
「何も望んでいねぇんだったら、どうしてンなことをするだよ!」
銃を向けたまま叫び、少しずつ壁を背にしたまま移動する。男は動かない。只ゆっくりと煙を吐いただけだ。
「I have no particular grudge, but I will erase it for the time being. I am 〝HEAD HUNTER〟. Did you understand?」
「……やっぱり、賞金首狩りかよ……だがなぁ、この〝ヘカトンケイル〟がそう簡単に潰せると思うなよ!!」
「……I smashed it already. you're the only one left」
「な、なんだと!? 出鱈目言ってるんじゃねぇよ!!」
銃を持つ手が震えている。今まで、こんなことは一度もなかった。目の前にいる男が恐ろしい。
このままでは殺されてしまう。殺される前に殺れ、それが長年この世界で生きて来た者達の鉄則。
「If the information is completely suppressed, there is no trick such as crushing the organization. After that, those who have a grudge against you will eat each other without permission. It didn't take long, though」
呟き、煙草を揉み消しゆっくりと近付いて行く。その瞬間、ユークリッド・アプケスは狂ったように引き金を引いた。
高圧レーザーが打ち出され、狙い違わず男の心臓を打ち抜くべく飛来する。
銃の腕には絶対の自信があった。伊達に犯罪組織のボスをしているわけではない。何の実力もない者がボスにはなれないのがこの世界だ。
レーザーが男の心臓を貫こうとしていたそのとき、突然濃いアルコール臭が漂い水蒸気が発生した。
そしてレーザーは、男を貫くことはないばかりかコートを焦がすことすらなかった。
「な、一体どうなっているんだ? どうして手前ぇは死なねぇんだよ!?」
絶叫しながら立て続けにトリガーを引き続ける。たとえ効果がなくても、そして動揺していても、身に付いた技術は考えなくても働くものだ。
「If there is water vapor in the laser, its power is reduced to less than half. didn't you know?」
「くそったれ!」
吐き捨てるが、それでも目的の場所に辿り着いた。
「だが、俺の勝ちだ!」
壁を押して隠し扉を開き、すぐさま閉じる。この扉は50ミリの鋼鉄製で、そう簡単には破れない。
「擲弾でも持って来いってんだよ」
吐き捨て、気温がどんどん低くなって行く廃墟へと走り出す。
こうなったら、『あの人』に連絡を取ってもう一度組織を立て直す必要がある。
面倒だが、それ以外に自分が生き残る術はない。あの男の言う通り、〝ヘカトンケイル〟が潰されたことを他の組織が知ったら、自分は確実に殺されてしまう。
「死んで堪るか、今までだってこんな危機は何度もあった。だから、今回だって……」
だがその考えは、突然後方で起きた閃光を伴う破壊音で途切れ、自身に巻き付いた何かによって瞬く間に消えた。
何が起きたのか判らないまま、その巻き付いたものを凝視する。其処から感じる冷たい感触、彼自身が長年慣れ親しんでいる鉄製のもの。
そしてそれが意味することを直感で理解し、直後、絶望が彼を襲った。
その巻き付いたもの――鋼の鞭が、彼の全身を有り得ないほどの圧力で締め上げる。
「な、何なんだよこれは!?」
何が起きたのかは理解出来たが、自分が今どうなっているのかが判らない。だが自分の骨が折れる音を聞き、やっと現状に気付いたが、それは既に遅かった。
「Good die」
黒衣の男は呟き、そしてユークリッド・アプケスは、体幹の骨を砕かれ絶望の中で息絶える直前、鋼の鞭へと流された数千万ワットの電流で生きたまま焼かれた。
それはたった数時間の出来事。史上最悪とまで呼ばれた巨大犯罪組織〝ヘカトンケイル〟の、事実上の最後だった。
残党は別の組織が片付けるか、内部抗争で自然消滅するだろう。そういう世界だ。
「Are you done?」
黒焦げで息絶えているユークリッド・アプケスから鋼の鞭を巻き取り、声を掛けられた黒衣の男が頷いた。それを見て声を掛けた白髪の男が楽しげに言う。
「Was it easy?」
「I don't know」
白髪の男が訊くが、彼は無表情にそう答えただけでその場を後にした。
溜息を吐き、寒さに身を震わせながら白髪の男もその場を立ち去った。
残ったものは、凍りついたユークリッド・アプケスの焼死体だけだった……。
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