42 / 52
学舎と姉妹と
5 姉妹、引越し準備をさせられる
しおりを挟む
シュルヴェステルのトンデモ発言を受けて、だがそれでも色々理由を挙げて抵抗したナディとレオノールであったが、結局は権力という理不尽な暴力に逆らうことなど出来る筈もなく――
「言っとくが、オメーらを招いているファルギエール侯爵家は権力も財力も武力でも、このグランツ王国で有数の貴族だ。ぶっちゃけ名を売っておいて損はないぞ。あと、行ったら旨いモンをたらふく食えるだろうな。多分だが――」
権力という理不尽な暴力に逆らうことなど出来る筈も……
「よしレオ。早速荷造り始めるわよ。未だ見ぬ未知との遭遇が私たちを待っているわ」
「未知への憧憬を持ち続ける飽くなき探究心と挑戦する精神を忘れない。其処にシビれる憧れる」
それっぽく良いことを言っている風だが、結局は美味しいごはん食べ放題という魅惑的で暴力的なワードに逆らうという選択肢など初っ端から存在しない二人は、例によって即行ではなく速攻で方針を決めた。
そんな姉妹の決意表明を胡乱に見遣り、本日六回目のクソデカ溜息を吐くシュルヴェステル。過去最高最速記録更新が止まらない。
それでも、そんな下心ありきでも決断したことに対しては高く評価し、
「……そういや王都近辺には、色々な良質の肉がドロップする領域型迷宮の【荒生原野】ってのがあってだな――」
その背をもう一押ししてみた。
「そうよ、色々冒険出来るのも若いウチだけよ! そして思い立ったら即動かないと時代に取り残されちゃうの! 乗りたい風に乗らないヤツはただのマヌケなのよ!」
「信じる道を恐れずひたすら進む。そしてその先にある未来に挑み続ける。さすおね」
そんな見え透いた誘導に、疑似餌に喰い付くスズキ目の淡水魚の如く、キレーにフィッシュ・オンされる姉妹である。
「……それと、ちょっと離れているが良質の野菜や穀類がドロップする開放型迷宮の【豊穣沃野】ってのもあってな。其処では植物系の魔物が溢れんばかりに出るらしい」
「心に点いた火を消すことは出来るだろうかいや無い! だから、燃え上がるこの心の赴くまま未来を切り拓いてひた走るの! その先へ!」
「熱き心と鼓動に胸を躍らせて未来を目指す。これまでもこれからもずっとさすおねが止められない止まらない」
そして畳み掛けるシュルヴェステル。姉妹の入れ食いも止められない止まらない。
「……それと、王都の港から船の定期便で二日くらい海を渡ったところに、島そのものが迷宮になっている特殊開放領域型の【薬植孤島】ってのもあって、其処では驚くほど多彩な香辛料がドロップするそうだ」
「ヒトは常に心に冒険を持って夢を諦めちゃいけないわ! 諦めたその瞬間から、生きとし生きるものの全てが退化し始まるの! だから諦めない! 私は冒険と探究の道を突き進む!」
「夢を諦めるという文言が辞書になく向上と探究の道を突き進む。さすおね」
三人の言葉遊びなんじゃないのかと思われるが本人たちは大真面目に言っている様を、フロランスは呆然と視界に留めていた。注視はしていない。どう見てもじゃれ合っているようにしか見えないから。
「……しかも王都だから、卸せばそれだけ買い取ってくれるそうだ」
「その冒険と探究がその地に住う全ての人々の一助になれば、こんな素敵なことはないわ! そう、私はそうやって人々の幸せのためにロマンを求め続けるの!」
「冒険と探究を自分のためにではなく全ての人々のために求め生かし分け与える。陞爵してもしなくても『高貴さは義務を強制する』を体現する。さすおね」
「……あー、うん。通常運転だな。ま、いっか。良いのか?」
もしかして、とんでもないモンスターを王都に解き放とうとしているような気がするシュルヴェステルだが、そもそもそれは自分がそうしようとしたわけでもない。単にファルギエール侯爵家の要請に応えて姉妹をちょっと唆し――姉妹にちょっとその話をしただけだ。選択したのは二人だし、後の責任までは関知しない。
そんな責任という思考を放棄したシュルヴェステルを他所に、ちょっと良いことを言っているようだがその実これから得るであろう食材と、自分たちが消費し切れない余剰分を卸して得るであろう収入に想いを馳せる姉妹であった。ぶっちゃけ、まだ獲っていない革を数えているだけである。
あからさまな口車にまんまと乗せられてテンション爆上がりな姉妹を半ば呆れながら見詰め、そしてそれを見事に誘導したにも関わらず何故か苦々しい表情で胃の辺りを押さえているシュルヴェステルとを今度は交互に見て、少し思考を巡らせたフロランスは最終的に考えるのを放棄した。
今後のことは自分ではなく父であるオーギュスタンが考えることであり、其処まで責任は持てない。
そもそも領主代行でクッソ忙しい合間を縫ってわざわざ出張ってやったのだから、此処から先はオメーがなんとかしろと、有能ではあるが若干的外れで女子からの誘惑に弱いクソ親父を想起するフロランスであった。
ところで。この場にいるもう一人であるユリアーネは、両手を後ろに回して直立不動の姿勢を取り、若干頬を赤らめ口元をちょっとニヨニヨさせて「さすおね」と小さく漏らしている。
辺境都市ストラスクライドの冒険者ギルドサブマスター、ユリアーネ・シュヴァルツ。そのクラスは物理特化型が多数を占める龍人でありながら、中距離から長距離狙撃特化な【魔銃導士】。シュルヴェステルと同じく【魔導士】の派生職である。ちなみに、戦闘時であってもスーツ姿で二丁魔銃を駆使して戦うおねーさんだ。
あとマジックポーチを持っていて、多数の銃火器を常に持参している危険人物でもある。それと物理が苦手ではない。返り血が嫌だし手が汚れない銃を偏愛しているだけだ。
そして、ナディを大真面目に愛しており、望まれるなら男に変態しようと思い、本気で婚姻関係になりたいと考えつつ、執事かメイドのように日々お世話をしながらセクハラを繰り返している。
そしてそんなナディにセクハラを繰り返し、剰えベロチューまでして全身撫で回したヴァレリーを、割と本気で抹殺しようと計画していた。
自分を棚上げ? 女子同士だからセーフ。そう信じて疑わない。事情を知るミシェルとスカーレットに全力で止められているが。
「……えーと、話は纏まったのかしら」
妙な迫力に気圧されながらも話が終わったであろうタイミングを見計らい、フロランスは恐る恐る割って入る。ナディは、我が生涯に一片の悔い無しとばかりに片腕を天に突き出し直立不動の体勢を取っている。とても穏やかで良い表情だ。
「ねえ、ユリアーネだったかしら。これは放っておいて問題ないの――」
「嗚呼、ナディ、ナディ。素敵だ。今すぐにでも持ち帰って〇〇◯を×××して□△×したい。よし、ちょっと二百年くらい寿命が削られるが変態するか。いや待て、まずファルギエールの小倅を抹殺する方が急務か?」
「問題大アリな危険人物がいますわ!?」
恋愛的な意味でも物騒な意味でも興奮してハァハァしている、見た目はとてもマトモそうだが、実は種族的にも性格的にも発想的にもとても危険なサブマスにドン引きするフロランスだった。
そんな混沌なひとときが暫く続き、ちょっと満足したのか淹れ直した紅茶を傾けるナディ。そしてレオノールも満足したのか、お茶受けをサクサク食べ始める。
そんな何事もなかったかのように、流れるように穏やかなティータイムへと突入する姉妹に戸惑うフロランスだが、一度深呼吸をして気持ちを整えてから、同じくティータイムを楽しむことにした。その辺は、魑魅魍魎が跋扈している社交界で鍛えられているだけはある。
まぁ彼女の場合は、そういうドロドロより物理で解決する方が性に合っているが。無礼を働いた令息の土手っ腹をぶん殴って2メートルくらい垂直に打ち上げたこともあるし。
ちなみにこのとき放った一撃に【理力】が込められており、その結果礼服どころか下着まで根刮ぎ弾けたために、フロランスは思わず「汚ぇ花火だ」と言ったそうな。
「……だ、そうだ。じゃあ後はフロランス嬢に任せた。文句も反論も返品も受け付けないからそのつもりで」
「え? え、ええ、なんか釈然としないけど判りましたわ。……それで良いのかな……ん? 返品?」
腹を押さえてギルマスルームに戻るシュルヴェステルに、軽く一礼して見送るフロランス。なんか思っていた展開と違い戸惑いを隠せない。
「ん、んん。じゃあナディとレオノール。貴女たちはこれから私と共に王都のファルギエール邸に来て貰います」
『……って、おいアーネ。オメーはいつまで其処にいるつまりだ? 仕事が山積してんださっさと働けやこの駄龍』
「うん。まぁシルヴィにノせられた感はあるけど、決まったものは仕方ないわ。でも私たちからも条件を出させて貰うわよ。それと、えっちな咳払いご馳走様」
「決定事項に文句を言わずに共に進む潔さ。世の政治屋どもはさすおねなお姉ちゃんを見習うべき。でもえちえちな咳払いならお姉ちゃんの右に出る者はいない。さすおね」
『え? イヤですけど。自分はこれから愛するナディと組んず解れつ〇〇◯を×××して□△×するんですからそんな下らないことなんてしている暇はありません』
「(えっちな咳払いって……)あら、どんな条件かしら。大抵は問題なく叶えてあげられるけど、場合によっては出来ないこともあるのを理解した上でなら良いわよ」
『何言ってんだバカじゃねーのコイツ。オメーとナディがそんなこと出来るワケがねーだろうが。起きていながら寝言言うとか、高度なバカを発揮してんじゃねぇよ面倒臭ぇ』
「そんなに難しいことじゃないわ。まず、私たちの他にもう一人一緒に行くこと。私たちが住む家の土地を提供すること。あと私たちは冒険者だというのを忘れないこと。以上よ」
「前もって必要な条件を提示して余計なトラブルを避ける姿勢。そして無茶振りはせずに現実を見据えて実現可能な条件に絞る。さすおね」
『は? 未来のことなんか誰にも判りませんよ。それに自分は龍族。寿命を消費するけど変態という最終手段で性転換出来るのです。だから自分に生える〇〇◯を×××して□△×するコトだって充分可能なのです。ギルマスなのに不勉強ですね。コレだからガチムチは』
「ふうん。ま、それくらいなら問題ないわ。でも土地なの? 住居がなければ住めないし生活も出来ないわ」
『ガチムチ関係ねぇわ。それにオメー程度の龍人が変態なんぞしたら、その時点で燃え尽きるだろうが。叶わねぇ恋愛に命賭けんじゃねぇよ。せっかくの美人が勿体ねぇ』
「ああそれなら問題ないわ。自宅なら持参するから」
「持参出来るなら自宅すらもそうする。さすおね」
『五月蝿いですよ。愛に命を賭けて何が悪いんですか。命を賭ける価値があるから愛なのです。――覚えていますか、目と目が合ったときを。覚えていますか、手と手が触れ合った日を。それは初めての、愛の始まりでした……。奥さん二人とTPOを弁えず常にイチャコラしているガチムチが何を言っても説得力に欠けます。あと自分を口説くの、止めて下さい気持ち悪い。奥さんたちにチクりますよ』
「え? ……聞き違いかしら。今『自宅を持参する』って聞こえたけど……」
きっと聞き違いだ。そうに違いない。あれは建売ではなく、土地だけ貰って自宅は自分好みの注文住宅にするという意味なのだろう。ナディの言葉の意図を汲み取り、組み立て、納得するフロランスだった。
『狙ってねぇしイチャコラもしてねぇわ。詩的に良いこと言っている風だが、オメーの場合はただのストーキングだろうが現実見ろや。なんで社交辞令の挨拶で目が合って握手しただけなのにそうなるんだよこの勘違い駄龍が。あーもー面倒臭ぇな何奴も此奴も。そもそも意外と生真面目で働き方に五月蝿いナディが、時間も守らずやることもやらずに恋だ愛だのに現を抜かしているヤツを正しく評価しねーだろうが。なんでそんなことも判らねぇんだよバカなのか?』
「あ、そうだ忘れるところだったわ。もうひとつだけ、これはお願いなんだけど……ていうかシルヴィもアーネもうっさい! 特にアーネ。ちゃんと仕事しろ」
条件の擦り合わせ会話よりどうでも良い副音声がヒートアップし始めているため、とりあえずそれを打った切るナディであった。だがそうすることでその意識が自分に向いたと感じたユリアーネは、輝かんばかりの笑顔を浮かべていたりする。
「嗚呼、ナディ……愛、覚えていますか?」
片膝を突き、両手を差し出してナディを見詰めるユリアーネ。それに右手を差し出して――
「なんのことか、これっぽっちも、ナノ単位で一切判らないわ。あと働け。自分の職務を全うしろや駄龍」
こぶしを握って親指を立て、それを下に向けつつ冷たく吐き捨てた。瞬間、ユリアーネがフリーズする。
「私、与えられた仕事をしないヤツって、種とか性別を超えて嫌いなのよね。働かないアリだって役割を全うしているのに、グダグダ理由を並べてそれをしないヤツはいっそ滅びれば良いわ」
そんな酷く真っ当なナディの言葉に、今度は崩れ落ちるユリアーネ。その首根っこを掴まえたシュルヴェステルが、そのまま引き摺って行く。
「悪は去ったわ。それで、えーと……なんだったっけ?」
「え? あー、えーと、お願いがあるとか言っていたわね」
ギルマスにゲンコツを落とされた上で引き摺られて行くサブマスを呆然と見ていたフロランスが、ナディの言葉で我に返る。なんというか、色々見たことも感じたこともない光景に唖然としてたらしい。
それはそうだろう。貴族間のドロドロを経験しているものにとって、言葉で一蹴したりゲンコツ一発で解決するであろう様は新鮮だ。
そんなナディのお願いは後述するとして、それからの姉妹は引っ越し作業に追われることとなった。もっとも準備といっても、二人がしたことといえば各所への引越しのお知らせと挨拶だけだが。そもそも優秀な執事がいるため準備は全部してくれるし、それ以前に全部持参するから荷造りも必要ない。
その「各所への引越しのお知らせと挨拶」を、元棲んでいた貧民街のご近所さんであるオットとアガータにしたところ、レオノールと姉妹同然に育ったイーナが必死に涙を堪え、その弟のレオノールに恋心を抱いているウーノがショックを受け、次女のエルナが涙目になりながらもドライに「ああそう」と言い、次男のカミルと三男のキースと三女のクテラと四女のケイトと五女のコニーがギャン泣きした。
関係ないが、四女のケイトと五女のコニーは双子である。そして此処の子供たち八人は、ナディお手製な魔法と戦闘術の本を熟読しており、今では無詠唱で魔術ではなく魔法が使えるようになっちゃっていて、更に武器の有無に関わらず大人顔負けの格闘術まで身につけちゃっていた。そう、いわゆる【千剣姫の魔導書】の原本を、知らず知らずの内に熟読していたのである。
ついでに母親のアガータも生活系の魔法を会得している。その腕前は結構優秀で、修復の【リペア】で物理的に傾いた小屋を中古程度に修復して、洗浄の【クリンネス】で新品同様にしちゃうほどになっちゃっていた。ちなみにそこまでの修復は、宮廷魔術師でも無理だったりする。あとオットだけは、戦闘術はそれなりだが魔法は一切使えなかった。
そうして挨拶を終えてオット宅を後にしようとする二人を、貧民街の互助団体が盛大に迎え、一気に宴会へと突入した。
その中に、何処から聞きつけたのか互助団体に真っ当に助けられた貴族の関係者が混じっていたが、気にしたら負けなような気がして気付かないフリをする姉妹であった。
あと何故かシュルヴェステル以外の非番な冒険者ギルド関係者やフロランスも混じっていたそうな。
そんなお約束の送別会という名の宴会があった数日後。ナディとレオノールは、遂に生まれ育った貧民街を後にした。
そして二人が此処に帰ることは――意外と早かった。
「言っとくが、オメーらを招いているファルギエール侯爵家は権力も財力も武力でも、このグランツ王国で有数の貴族だ。ぶっちゃけ名を売っておいて損はないぞ。あと、行ったら旨いモンをたらふく食えるだろうな。多分だが――」
権力という理不尽な暴力に逆らうことなど出来る筈も……
「よしレオ。早速荷造り始めるわよ。未だ見ぬ未知との遭遇が私たちを待っているわ」
「未知への憧憬を持ち続ける飽くなき探究心と挑戦する精神を忘れない。其処にシビれる憧れる」
それっぽく良いことを言っている風だが、結局は美味しいごはん食べ放題という魅惑的で暴力的なワードに逆らうという選択肢など初っ端から存在しない二人は、例によって即行ではなく速攻で方針を決めた。
そんな姉妹の決意表明を胡乱に見遣り、本日六回目のクソデカ溜息を吐くシュルヴェステル。過去最高最速記録更新が止まらない。
それでも、そんな下心ありきでも決断したことに対しては高く評価し、
「……そういや王都近辺には、色々な良質の肉がドロップする領域型迷宮の【荒生原野】ってのがあってだな――」
その背をもう一押ししてみた。
「そうよ、色々冒険出来るのも若いウチだけよ! そして思い立ったら即動かないと時代に取り残されちゃうの! 乗りたい風に乗らないヤツはただのマヌケなのよ!」
「信じる道を恐れずひたすら進む。そしてその先にある未来に挑み続ける。さすおね」
そんな見え透いた誘導に、疑似餌に喰い付くスズキ目の淡水魚の如く、キレーにフィッシュ・オンされる姉妹である。
「……それと、ちょっと離れているが良質の野菜や穀類がドロップする開放型迷宮の【豊穣沃野】ってのもあってな。其処では植物系の魔物が溢れんばかりに出るらしい」
「心に点いた火を消すことは出来るだろうかいや無い! だから、燃え上がるこの心の赴くまま未来を切り拓いてひた走るの! その先へ!」
「熱き心と鼓動に胸を躍らせて未来を目指す。これまでもこれからもずっとさすおねが止められない止まらない」
そして畳み掛けるシュルヴェステル。姉妹の入れ食いも止められない止まらない。
「……それと、王都の港から船の定期便で二日くらい海を渡ったところに、島そのものが迷宮になっている特殊開放領域型の【薬植孤島】ってのもあって、其処では驚くほど多彩な香辛料がドロップするそうだ」
「ヒトは常に心に冒険を持って夢を諦めちゃいけないわ! 諦めたその瞬間から、生きとし生きるものの全てが退化し始まるの! だから諦めない! 私は冒険と探究の道を突き進む!」
「夢を諦めるという文言が辞書になく向上と探究の道を突き進む。さすおね」
三人の言葉遊びなんじゃないのかと思われるが本人たちは大真面目に言っている様を、フロランスは呆然と視界に留めていた。注視はしていない。どう見てもじゃれ合っているようにしか見えないから。
「……しかも王都だから、卸せばそれだけ買い取ってくれるそうだ」
「その冒険と探究がその地に住う全ての人々の一助になれば、こんな素敵なことはないわ! そう、私はそうやって人々の幸せのためにロマンを求め続けるの!」
「冒険と探究を自分のためにではなく全ての人々のために求め生かし分け与える。陞爵してもしなくても『高貴さは義務を強制する』を体現する。さすおね」
「……あー、うん。通常運転だな。ま、いっか。良いのか?」
もしかして、とんでもないモンスターを王都に解き放とうとしているような気がするシュルヴェステルだが、そもそもそれは自分がそうしようとしたわけでもない。単にファルギエール侯爵家の要請に応えて姉妹をちょっと唆し――姉妹にちょっとその話をしただけだ。選択したのは二人だし、後の責任までは関知しない。
そんな責任という思考を放棄したシュルヴェステルを他所に、ちょっと良いことを言っているようだがその実これから得るであろう食材と、自分たちが消費し切れない余剰分を卸して得るであろう収入に想いを馳せる姉妹であった。ぶっちゃけ、まだ獲っていない革を数えているだけである。
あからさまな口車にまんまと乗せられてテンション爆上がりな姉妹を半ば呆れながら見詰め、そしてそれを見事に誘導したにも関わらず何故か苦々しい表情で胃の辺りを押さえているシュルヴェステルとを今度は交互に見て、少し思考を巡らせたフロランスは最終的に考えるのを放棄した。
今後のことは自分ではなく父であるオーギュスタンが考えることであり、其処まで責任は持てない。
そもそも領主代行でクッソ忙しい合間を縫ってわざわざ出張ってやったのだから、此処から先はオメーがなんとかしろと、有能ではあるが若干的外れで女子からの誘惑に弱いクソ親父を想起するフロランスであった。
ところで。この場にいるもう一人であるユリアーネは、両手を後ろに回して直立不動の姿勢を取り、若干頬を赤らめ口元をちょっとニヨニヨさせて「さすおね」と小さく漏らしている。
辺境都市ストラスクライドの冒険者ギルドサブマスター、ユリアーネ・シュヴァルツ。そのクラスは物理特化型が多数を占める龍人でありながら、中距離から長距離狙撃特化な【魔銃導士】。シュルヴェステルと同じく【魔導士】の派生職である。ちなみに、戦闘時であってもスーツ姿で二丁魔銃を駆使して戦うおねーさんだ。
あとマジックポーチを持っていて、多数の銃火器を常に持参している危険人物でもある。それと物理が苦手ではない。返り血が嫌だし手が汚れない銃を偏愛しているだけだ。
そして、ナディを大真面目に愛しており、望まれるなら男に変態しようと思い、本気で婚姻関係になりたいと考えつつ、執事かメイドのように日々お世話をしながらセクハラを繰り返している。
そしてそんなナディにセクハラを繰り返し、剰えベロチューまでして全身撫で回したヴァレリーを、割と本気で抹殺しようと計画していた。
自分を棚上げ? 女子同士だからセーフ。そう信じて疑わない。事情を知るミシェルとスカーレットに全力で止められているが。
「……えーと、話は纏まったのかしら」
妙な迫力に気圧されながらも話が終わったであろうタイミングを見計らい、フロランスは恐る恐る割って入る。ナディは、我が生涯に一片の悔い無しとばかりに片腕を天に突き出し直立不動の体勢を取っている。とても穏やかで良い表情だ。
「ねえ、ユリアーネだったかしら。これは放っておいて問題ないの――」
「嗚呼、ナディ、ナディ。素敵だ。今すぐにでも持ち帰って〇〇◯を×××して□△×したい。よし、ちょっと二百年くらい寿命が削られるが変態するか。いや待て、まずファルギエールの小倅を抹殺する方が急務か?」
「問題大アリな危険人物がいますわ!?」
恋愛的な意味でも物騒な意味でも興奮してハァハァしている、見た目はとてもマトモそうだが、実は種族的にも性格的にも発想的にもとても危険なサブマスにドン引きするフロランスだった。
そんな混沌なひとときが暫く続き、ちょっと満足したのか淹れ直した紅茶を傾けるナディ。そしてレオノールも満足したのか、お茶受けをサクサク食べ始める。
そんな何事もなかったかのように、流れるように穏やかなティータイムへと突入する姉妹に戸惑うフロランスだが、一度深呼吸をして気持ちを整えてから、同じくティータイムを楽しむことにした。その辺は、魑魅魍魎が跋扈している社交界で鍛えられているだけはある。
まぁ彼女の場合は、そういうドロドロより物理で解決する方が性に合っているが。無礼を働いた令息の土手っ腹をぶん殴って2メートルくらい垂直に打ち上げたこともあるし。
ちなみにこのとき放った一撃に【理力】が込められており、その結果礼服どころか下着まで根刮ぎ弾けたために、フロランスは思わず「汚ぇ花火だ」と言ったそうな。
「……だ、そうだ。じゃあ後はフロランス嬢に任せた。文句も反論も返品も受け付けないからそのつもりで」
「え? え、ええ、なんか釈然としないけど判りましたわ。……それで良いのかな……ん? 返品?」
腹を押さえてギルマスルームに戻るシュルヴェステルに、軽く一礼して見送るフロランス。なんか思っていた展開と違い戸惑いを隠せない。
「ん、んん。じゃあナディとレオノール。貴女たちはこれから私と共に王都のファルギエール邸に来て貰います」
『……って、おいアーネ。オメーはいつまで其処にいるつまりだ? 仕事が山積してんださっさと働けやこの駄龍』
「うん。まぁシルヴィにノせられた感はあるけど、決まったものは仕方ないわ。でも私たちからも条件を出させて貰うわよ。それと、えっちな咳払いご馳走様」
「決定事項に文句を言わずに共に進む潔さ。世の政治屋どもはさすおねなお姉ちゃんを見習うべき。でもえちえちな咳払いならお姉ちゃんの右に出る者はいない。さすおね」
『え? イヤですけど。自分はこれから愛するナディと組んず解れつ〇〇◯を×××して□△×するんですからそんな下らないことなんてしている暇はありません』
「(えっちな咳払いって……)あら、どんな条件かしら。大抵は問題なく叶えてあげられるけど、場合によっては出来ないこともあるのを理解した上でなら良いわよ」
『何言ってんだバカじゃねーのコイツ。オメーとナディがそんなこと出来るワケがねーだろうが。起きていながら寝言言うとか、高度なバカを発揮してんじゃねぇよ面倒臭ぇ』
「そんなに難しいことじゃないわ。まず、私たちの他にもう一人一緒に行くこと。私たちが住む家の土地を提供すること。あと私たちは冒険者だというのを忘れないこと。以上よ」
「前もって必要な条件を提示して余計なトラブルを避ける姿勢。そして無茶振りはせずに現実を見据えて実現可能な条件に絞る。さすおね」
『は? 未来のことなんか誰にも判りませんよ。それに自分は龍族。寿命を消費するけど変態という最終手段で性転換出来るのです。だから自分に生える〇〇◯を×××して□△×するコトだって充分可能なのです。ギルマスなのに不勉強ですね。コレだからガチムチは』
「ふうん。ま、それくらいなら問題ないわ。でも土地なの? 住居がなければ住めないし生活も出来ないわ」
『ガチムチ関係ねぇわ。それにオメー程度の龍人が変態なんぞしたら、その時点で燃え尽きるだろうが。叶わねぇ恋愛に命賭けんじゃねぇよ。せっかくの美人が勿体ねぇ』
「ああそれなら問題ないわ。自宅なら持参するから」
「持参出来るなら自宅すらもそうする。さすおね」
『五月蝿いですよ。愛に命を賭けて何が悪いんですか。命を賭ける価値があるから愛なのです。――覚えていますか、目と目が合ったときを。覚えていますか、手と手が触れ合った日を。それは初めての、愛の始まりでした……。奥さん二人とTPOを弁えず常にイチャコラしているガチムチが何を言っても説得力に欠けます。あと自分を口説くの、止めて下さい気持ち悪い。奥さんたちにチクりますよ』
「え? ……聞き違いかしら。今『自宅を持参する』って聞こえたけど……」
きっと聞き違いだ。そうに違いない。あれは建売ではなく、土地だけ貰って自宅は自分好みの注文住宅にするという意味なのだろう。ナディの言葉の意図を汲み取り、組み立て、納得するフロランスだった。
『狙ってねぇしイチャコラもしてねぇわ。詩的に良いこと言っている風だが、オメーの場合はただのストーキングだろうが現実見ろや。なんで社交辞令の挨拶で目が合って握手しただけなのにそうなるんだよこの勘違い駄龍が。あーもー面倒臭ぇな何奴も此奴も。そもそも意外と生真面目で働き方に五月蝿いナディが、時間も守らずやることもやらずに恋だ愛だのに現を抜かしているヤツを正しく評価しねーだろうが。なんでそんなことも判らねぇんだよバカなのか?』
「あ、そうだ忘れるところだったわ。もうひとつだけ、これはお願いなんだけど……ていうかシルヴィもアーネもうっさい! 特にアーネ。ちゃんと仕事しろ」
条件の擦り合わせ会話よりどうでも良い副音声がヒートアップし始めているため、とりあえずそれを打った切るナディであった。だがそうすることでその意識が自分に向いたと感じたユリアーネは、輝かんばかりの笑顔を浮かべていたりする。
「嗚呼、ナディ……愛、覚えていますか?」
片膝を突き、両手を差し出してナディを見詰めるユリアーネ。それに右手を差し出して――
「なんのことか、これっぽっちも、ナノ単位で一切判らないわ。あと働け。自分の職務を全うしろや駄龍」
こぶしを握って親指を立て、それを下に向けつつ冷たく吐き捨てた。瞬間、ユリアーネがフリーズする。
「私、与えられた仕事をしないヤツって、種とか性別を超えて嫌いなのよね。働かないアリだって役割を全うしているのに、グダグダ理由を並べてそれをしないヤツはいっそ滅びれば良いわ」
そんな酷く真っ当なナディの言葉に、今度は崩れ落ちるユリアーネ。その首根っこを掴まえたシュルヴェステルが、そのまま引き摺って行く。
「悪は去ったわ。それで、えーと……なんだったっけ?」
「え? あー、えーと、お願いがあるとか言っていたわね」
ギルマスにゲンコツを落とされた上で引き摺られて行くサブマスを呆然と見ていたフロランスが、ナディの言葉で我に返る。なんというか、色々見たことも感じたこともない光景に唖然としてたらしい。
それはそうだろう。貴族間のドロドロを経験しているものにとって、言葉で一蹴したりゲンコツ一発で解決するであろう様は新鮮だ。
そんなナディのお願いは後述するとして、それからの姉妹は引っ越し作業に追われることとなった。もっとも準備といっても、二人がしたことといえば各所への引越しのお知らせと挨拶だけだが。そもそも優秀な執事がいるため準備は全部してくれるし、それ以前に全部持参するから荷造りも必要ない。
その「各所への引越しのお知らせと挨拶」を、元棲んでいた貧民街のご近所さんであるオットとアガータにしたところ、レオノールと姉妹同然に育ったイーナが必死に涙を堪え、その弟のレオノールに恋心を抱いているウーノがショックを受け、次女のエルナが涙目になりながらもドライに「ああそう」と言い、次男のカミルと三男のキースと三女のクテラと四女のケイトと五女のコニーがギャン泣きした。
関係ないが、四女のケイトと五女のコニーは双子である。そして此処の子供たち八人は、ナディお手製な魔法と戦闘術の本を熟読しており、今では無詠唱で魔術ではなく魔法が使えるようになっちゃっていて、更に武器の有無に関わらず大人顔負けの格闘術まで身につけちゃっていた。そう、いわゆる【千剣姫の魔導書】の原本を、知らず知らずの内に熟読していたのである。
ついでに母親のアガータも生活系の魔法を会得している。その腕前は結構優秀で、修復の【リペア】で物理的に傾いた小屋を中古程度に修復して、洗浄の【クリンネス】で新品同様にしちゃうほどになっちゃっていた。ちなみにそこまでの修復は、宮廷魔術師でも無理だったりする。あとオットだけは、戦闘術はそれなりだが魔法は一切使えなかった。
そうして挨拶を終えてオット宅を後にしようとする二人を、貧民街の互助団体が盛大に迎え、一気に宴会へと突入した。
その中に、何処から聞きつけたのか互助団体に真っ当に助けられた貴族の関係者が混じっていたが、気にしたら負けなような気がして気付かないフリをする姉妹であった。
あと何故かシュルヴェステル以外の非番な冒険者ギルド関係者やフロランスも混じっていたそうな。
そんなお約束の送別会という名の宴会があった数日後。ナディとレオノールは、遂に生まれ育った貧民街を後にした。
そして二人が此処に帰ることは――意外と早かった。
249
お気に入りに追加
1,968
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~
月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。
「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。
そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。
『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。
その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。
スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。
※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。)
※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる