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私の 1
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朝のにおいでミタマは目を覚ましました。
ゆっくりと身を起こしました。そして自分が、自宅に戻ってきたことを認識しました。
ふと隣を見ると、サラが寝息を立てています。その寝顔を眺めていると、不意に彼女が飛び起きました。
ミタマが起きているのを見ると、頬を膨らませます。そしてミタマを叩き始めました。
「痛い痛い痛い」
「バーカ! ミタマの馬鹿! 馬鹿馬鹿馬鹿!」
「ごめんて」
「何に謝ってるの!」
「えーっと、倒れたこと?」
「そうね! それにも怒ってるし、しんどいのを我慢してたことにも怒ってるし、あなたが全然怒らない事にも怒っているわ!」
「我慢してたのは謝る。でもあそこで倒れてたら、サラを無事に家まで帰せないと思ったし」
「その前に、あなたが全然無事じゃなかったじゃない! 気づかなかった私も私だけど!」
「そう自己嫌悪するなよ。俺が気づかせないようにしてたから、悪いのは俺だ」
「ええ、ええそうよ! その通りよ!」
ボロボロとサラは泣き始めました。しゃくりあげ始めたので、ミタマは彼女の背中をさすります。
ふと、自分の体がいつもどおりなことに、ミタマは気が付きました。火傷痕がひとつも見つからないのです。
顔を触っても、どこも痛くありません。
「火傷なら私が治したわ」
袖で涙を拭いながら、サラがそう言います。ミタマの顔がさっと青くなりました。
「お前、まさか血を」
「だってあのままだったらミタマ、死んでたわよ!」
サラは布団をバンと叩き、ミタマに思いっきり顔を寄せました。角がミタマの額にぴったり付くぐらいです。
サラの匂いが濃くなり、ミタマは頭がくらくらします。
「あなたの名前、ミタマね、私の魂って意味よ! 私のものなのよ! それを勝手にどこかへやろうなんて、二度としないでちょうだい! あなたが死ぬのは、私があなたの魂を食べると決めた時よ!」
ものすごい剣幕と、顔に集まる熱に押されて、ミタマは何度も頷きました。
ゆっくりと身を起こしました。そして自分が、自宅に戻ってきたことを認識しました。
ふと隣を見ると、サラが寝息を立てています。その寝顔を眺めていると、不意に彼女が飛び起きました。
ミタマが起きているのを見ると、頬を膨らませます。そしてミタマを叩き始めました。
「痛い痛い痛い」
「バーカ! ミタマの馬鹿! 馬鹿馬鹿馬鹿!」
「ごめんて」
「何に謝ってるの!」
「えーっと、倒れたこと?」
「そうね! それにも怒ってるし、しんどいのを我慢してたことにも怒ってるし、あなたが全然怒らない事にも怒っているわ!」
「我慢してたのは謝る。でもあそこで倒れてたら、サラを無事に家まで帰せないと思ったし」
「その前に、あなたが全然無事じゃなかったじゃない! 気づかなかった私も私だけど!」
「そう自己嫌悪するなよ。俺が気づかせないようにしてたから、悪いのは俺だ」
「ええ、ええそうよ! その通りよ!」
ボロボロとサラは泣き始めました。しゃくりあげ始めたので、ミタマは彼女の背中をさすります。
ふと、自分の体がいつもどおりなことに、ミタマは気が付きました。火傷痕がひとつも見つからないのです。
顔を触っても、どこも痛くありません。
「火傷なら私が治したわ」
袖で涙を拭いながら、サラがそう言います。ミタマの顔がさっと青くなりました。
「お前、まさか血を」
「だってあのままだったらミタマ、死んでたわよ!」
サラは布団をバンと叩き、ミタマに思いっきり顔を寄せました。角がミタマの額にぴったり付くぐらいです。
サラの匂いが濃くなり、ミタマは頭がくらくらします。
「あなたの名前、ミタマね、私の魂って意味よ! 私のものなのよ! それを勝手にどこかへやろうなんて、二度としないでちょうだい! あなたが死ぬのは、私があなたの魂を食べると決めた時よ!」
ものすごい剣幕と、顔に集まる熱に押されて、ミタマは何度も頷きました。
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