白鬼のミタマ

親子

「俺は変なのか、親父」

　久しぶりに帰ってきた国人に、少年は問いかけました。

「この間、下の集落の子と遊んだんだ。紅葉がいっぱいのところで、みんなきれいだってはしゃいでたけど、俺はそう思えなかった。死んでだいぶ経ってる兎を見つけて、みんな汚いって言って遠のいていたけど、俺はそう思わなかった。それを言ったら、みんなが俺を気持ち悪いって言った」
「ははあ、それでお前、傷だらけなのか。石でも投げられたか」

　少年は自分の体を見ました。帰ってきてから水で洗ったものの、まだあちこちが痛みます。

「反撃するなら、私がやった刀を使えよ」
「反撃？　なんで？」

　きょとんとする少年を見て、国人は愉快そうに笑いました。

「我が息子、俺たちは人として欠落しているところがあるらしい。だがそう思われることすらどうでもいいだろう？」
「どうでもいい、とは違うけど」

　そう前置きして、少年は頷きました。

「一緒だ一緒。僕は最高の一振りさえ作れれば、あとはどうなってもいい。今のお前にはそういうものはない様子だが、今後必ず出てくるだろうよ。なんたって私の息子だ」

　そう言ってにんまりと、国人は笑いました。