コトハジメ

陽紫葵

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コトハジメ

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食べた後、
「私、少し出かけてくるわね」
と、依里さんは出かけて行った。
「橙香、ちょっと手伝って欲しいことがある」
「何?」
「いいから、来て」
泰之くんの後をついて行くと、1階に下りた。
お琴の部屋を通り、奥のドアを開けて入っていった。
「ここは応接間として使ってたみたいなんだけど、このソファーもいらないからって置いていったから、そのまま使ってる」
床にダンボール箱がいくつか置かれていて、
「これさ」
と言って取り出し、
「親父が書いてた絵なんだけど」
額に入ってた。
「ここに飾ろうと思ってさ」
中を見ると、綺麗な景色が水彩画で描かれていた。
「素敵」
「気に入った?」
「うん」
「趣味で書いてみたいなんだけど、俺、最近まで知らなくて」
「そうなんだ?」
「いっぱいあるし、ここの壁に飾ろうかなって」
私も手伝って、この部屋と、お琴の部屋にもいくつか飾った。
中には詩も書かれているのもあって、
「この詩も、お父さんが作ったのかなぁ?」
「さぁ?」
私は、その絵と詩に目をとまり、しばらく見ていた。
「どうした?」
「私、これ、好き」
「だったら、持ってく?」
「いいの?」
「あぁ、いいよ」





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