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①
コトハジメ
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お母さんには、少し反対されたけど、私の意思を通した。
高校に入ってから、水曜は塾、火・木はバイト、で、土曜はお琴、と言った感じの日々。
須賀先輩には、益々会えなくなってた。
私も、お琴の方は上達し、夏休みには通う日も増やし、体験に来た小学生の子に教えたりもした。
「橙香ちゃんのおかげで、生徒さん増えそうよ」
と言ってくれた。
それを聞いてた先輩にも、
「ありがとな」
と言ってもらえた。
その後、月曜と金曜も増やして、通うことにした。
「お小遣い程度だけど」
と言って、お金も頂いた。
先輩は、高校卒業して、大学は家を出て一人暮らしをすると言った。
寂しくて、泣きそうだったけど、
「母さんの事、頼むな」
と言われ、何も言えなくなった。
「琴の教室さ、父さんが分家で始めたらしいんだけど、母さんも元々、生徒で通ってたんだって。でもさ、父さん、俺が小5の時に病死して、その後は母さんが継いで。あと、10歳上の姉ちゃんがいるんだけど、手伝ってくれてた人と結婚して、すぐの頃は夫婦で一緒にやってたけど、出てっちゃったんだ。生徒も引き抜いてさ」
「え?」
「俺、怒ったけど、母さんは、忠さん、あ、姉ちゃんの旦那な。忠さんの方が腕いいからね。なんて、あきれるよな」
「先輩は、継ごうとは思わないの?」
「俺は、全然、センスないから」
「そうなの?」
そう言えば、先輩がお琴弾いてるの見たことない。
「でも、やっぱ、正直、落ち込んでて、そんな時に、橙香が来てくれて、助かったよ」
「私は、何も」
「最初は、話し相手になってくれたらいいって思ったんだよ。でも、琴もやってくれて、生徒も増やしてくれたみたいだし」
「ううん、私は・・・」
私はただ、先輩の側に居たかった。先輩の為になる事がしたかった。それだけだったんだよ。
「これからも、頼むからな」
「うん」
高校に入ってから、水曜は塾、火・木はバイト、で、土曜はお琴、と言った感じの日々。
須賀先輩には、益々会えなくなってた。
私も、お琴の方は上達し、夏休みには通う日も増やし、体験に来た小学生の子に教えたりもした。
「橙香ちゃんのおかげで、生徒さん増えそうよ」
と言ってくれた。
それを聞いてた先輩にも、
「ありがとな」
と言ってもらえた。
その後、月曜と金曜も増やして、通うことにした。
「お小遣い程度だけど」
と言って、お金も頂いた。
先輩は、高校卒業して、大学は家を出て一人暮らしをすると言った。
寂しくて、泣きそうだったけど、
「母さんの事、頼むな」
と言われ、何も言えなくなった。
「琴の教室さ、父さんが分家で始めたらしいんだけど、母さんも元々、生徒で通ってたんだって。でもさ、父さん、俺が小5の時に病死して、その後は母さんが継いで。あと、10歳上の姉ちゃんがいるんだけど、手伝ってくれてた人と結婚して、すぐの頃は夫婦で一緒にやってたけど、出てっちゃったんだ。生徒も引き抜いてさ」
「え?」
「俺、怒ったけど、母さんは、忠さん、あ、姉ちゃんの旦那な。忠さんの方が腕いいからね。なんて、あきれるよな」
「先輩は、継ごうとは思わないの?」
「俺は、全然、センスないから」
「そうなの?」
そう言えば、先輩がお琴弾いてるの見たことない。
「でも、やっぱ、正直、落ち込んでて、そんな時に、橙香が来てくれて、助かったよ」
「私は、何も」
「最初は、話し相手になってくれたらいいって思ったんだよ。でも、琴もやってくれて、生徒も増やしてくれたみたいだし」
「ううん、私は・・・」
私はただ、先輩の側に居たかった。先輩の為になる事がしたかった。それだけだったんだよ。
「これからも、頼むからな」
「うん」
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