コトハジメ

陽紫葵

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コトハジメ

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5月の連休中、買い物に出かけ、駅に向かって歩いていたら、須賀先輩を見かけた。思わず、後を着けてしまった。
10分ほど歩いたところの家の前で立ち止まった。
ヤバいと思って、硬直してると、
「ストーカーかよ」
と言われたので、
「あの、この前、ありがとうございました」
「この前って?」
「入学式の日、手帳拾ってくれて・・・」
先輩は、私の顔を覗き込むように見て、
「あぁ、あの時のな。で、やっぱり、ストーカー」
「いえ、ごめんなさい」
と立ち去ろうとしたら、腕を掴まれ、
「お茶してかない?」
え?ビックリしたけど、すぐに、
「はい」
と答えてた。
立ち止まった前は、先輩の家だった。
「ただいま」
といい、私も促されるように中に入った。
居間のソファーには女性が座ってて、
「母さん、この子にもお茶入れてやって」
「あら、いらっしゃい」
「おじゃましてます」
「泰之の彼女?」
「そんなんじゃねぇよ。あ、俺着替えてくるから、そこ座ってて」
何だか、緊張する。
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