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けんかをやめて
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帰り、気にしないように門を出た。
「おい、勝手に帰んなよ」
と、腕を掴まれた。
例の彼だ。
「待ってたんだぜ」
何だか、見つめられると、吸い込まれそうだった。
ヤバい!
目を逸らそうとしても、腕を掴まれたままだ。
彼は、手を繋ぎ直し、
「行くよ」
と、歩き出した。
私はついて行くしかなかった。
校内の駐車場に車が停まっていて、
「さ、乗って」
と、ドアを開け、助手席に促された。
喜藤さんの車は、軽のワゴンだった。
彼の車は、スポーツカータイプだ。それでも、オープンカーじゃないだけいいかな。
「あの、今日、バイトは?」
「あぁ、夜勤だから、まだ時間ある」
「夜勤?」
「コンビニのね」
「そっか」
エンジンをかけ、すぐに走り出した。
やはり、音がする。
スピードも出てる気がする。
どれくらい走っただろう?海の見える堤防の上で停まった。
「海好きなんだ。この海岸線走ってるとスカッとするし、この景色見てるのも好きなんだ」
確かに、キレイだ。海なんて、殆ど見ることがない。
「どうした?」
「え?」
「海、嫌い?」
「ううん」
「ちょっとだけ出ようか?」
と、ドアを開け、外に出て、階段を下り、砂浜に降りた。
砂浜の上に並んで座り、
「俺、海の近くで育ったからさ、懐かしくなるんだ」
「そう、なんだ?」
「君は?」
「私は、海も山も全然見えないとこ」
「街の方なんだ?」
「まぁ、そうかな」
「俺は田舎の方だからな」
彼は、立って、石を海に向かって投げだした。
意外な感じだった。
田舎育ちだとか。
彼は座り直し、
「ちょっと冷えてきたな」
と、私の肩を抱いた。
「戻ろうか」
と、立ち上がった。
手を繋いで歩き、車に戻った。
「おい、勝手に帰んなよ」
と、腕を掴まれた。
例の彼だ。
「待ってたんだぜ」
何だか、見つめられると、吸い込まれそうだった。
ヤバい!
目を逸らそうとしても、腕を掴まれたままだ。
彼は、手を繋ぎ直し、
「行くよ」
と、歩き出した。
私はついて行くしかなかった。
校内の駐車場に車が停まっていて、
「さ、乗って」
と、ドアを開け、助手席に促された。
喜藤さんの車は、軽のワゴンだった。
彼の車は、スポーツカータイプだ。それでも、オープンカーじゃないだけいいかな。
「あの、今日、バイトは?」
「あぁ、夜勤だから、まだ時間ある」
「夜勤?」
「コンビニのね」
「そっか」
エンジンをかけ、すぐに走り出した。
やはり、音がする。
スピードも出てる気がする。
どれくらい走っただろう?海の見える堤防の上で停まった。
「海好きなんだ。この海岸線走ってるとスカッとするし、この景色見てるのも好きなんだ」
確かに、キレイだ。海なんて、殆ど見ることがない。
「どうした?」
「え?」
「海、嫌い?」
「ううん」
「ちょっとだけ出ようか?」
と、ドアを開け、外に出て、階段を下り、砂浜に降りた。
砂浜の上に並んで座り、
「俺、海の近くで育ったからさ、懐かしくなるんだ」
「そう、なんだ?」
「君は?」
「私は、海も山も全然見えないとこ」
「街の方なんだ?」
「まぁ、そうかな」
「俺は田舎の方だからな」
彼は、立って、石を海に向かって投げだした。
意外な感じだった。
田舎育ちだとか。
彼は座り直し、
「ちょっと冷えてきたな」
と、私の肩を抱いた。
「戻ろうか」
と、立ち上がった。
手を繋いで歩き、車に戻った。
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