あの日のこと

①

あの日のこと

１週間が過ぎた。
水曜日、帰ると、アパート前に車が停まってた。昇矢くんの車だ。
昇矢くんは、車から出てきて、
「今、時間ある？」
「うん」
「部屋、行ってもいいかなぁ？」
「うん」
部屋に入ってから、お茶を用意し、ソファーに並んで座った。
「ごめん」
「え、何？」
「俺、結婚してる」
「え？」
「言えなくて、ごめん。だからさ、もう、この前みたいなことはやめときたい」
「やだ」
「里桜ちゃん？」
「可愛いって言ってくれたのは嘘？」
「嘘じゃないよ」
「私には、昇矢くんしかいない。ずっと、会ってたい」
「会うのはいいけど、身体の関係とかはさ」
「ううん、それもなきゃヤダ」
「あのなぁ・・・」
「わかってる。困らせてるって。でも、私は・・・」
泣き出すと、昇矢くんは優しく抱きしめてくれた。
「昇矢くん」
上向きになると、私からキスをした。
昇矢くんも応えてくれる。
もう、止められないんだよ。
「しょうがないなぁ」
「じゃあ？」
「今日は、もう帰るけど、また来るから」
「うん」
その言葉を信じた。