桜と花火、それと僕

やっすー

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2日目.桜ひらひら

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来てしまった…、絶対来ないと誓ったのに…。
まあ、来てしまったからには仕方がない。
もしかしたら花火は来ないかもしれない。
平常心でスケッチをしよう。



~10分後~



「おーい!!そこのキミーー!my friend!」
来た、花火だ。
大きなリュックサックを背負い、
髪は止めずに風になびいているから、
下手すりゃ幽霊に見える。
「来てくれたんだね!花火うれしい!」
(どこぞの幼稚園児か)
そう言おうと思ったが、ぐっとこらえた。


正直、そのあと何を話したかあまり覚えていない。
だが、柔らかい春の風が吹き抜ける、
そんな日だったことは鮮明に覚えている。

そういえば、花火のお母さんの経歴に驚かされたっけ。

。・°°・・°°・。*・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*


「花火ってさどんな歌聞くの?」
そう切り出したのは僕だった。
「うーん、これっ!ってゆう感じのはないけど…。バラードとかよく聞くかな。」
そう言うと花火は歌い出した。
僕の知らない曲だったが、心に響く優しい歌声だった。
「花火歌上手だね。」
「うーん、お母さんが歌手だったからかな?」
「ふーん、お母さんが歌手……。
え!!花火のお母さん歌手だったの!?」
聞き捨てならない言葉が、花火の口から飛び出した。
思わず食いついてしまった。
「うん、もうとっくの昔に引退したけどね。
今は看護師だけど、今も病院のクリスマス会とかで歌ってるらしいよ。」
「ふーん」
軽く流してみたが、
(一度会ってみたいな)
そんなことをちょっぴりだけ思った。


それからぼくたちは日が暮れそうな時間まで一緒にスケッチをした。
時々カップルに間違えられそうになったけど、うまくやり過ごした。
「さー、そろそろ終わろうか。」
そう花火が切り出した。
「うん、そろそろ日が暮れるだろうし。」
それからの花火は早かった。
スケッチを丸めて輪ゴムで留める。
鉛筆をリュックサックの横に挿す。
これだけの動作で30秒弱である。
化け物級の早さだ。

「じゃあね!my friend!」
花火はそう言い残して暗闇の中に消えていった。

「明日もここに来たら会えるのかな。」
少しだけ花火に対する気持ちが変わっていた。
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