1 / 11
1日目.桜
しおりを挟む
今日で高校を卒業する僕。
僕は手に二枚の卒業証書を持っている。
1枚は僕の、もう一枚はあの人の。
あの人との出会いは、偶然のものだった。
だが、その偶然が僕の大きな思い出、
1番の思い出になることは知る由もなかった。
桜が満開の土手沿い。
ここは僕がいつもスケッチをするお気に入りの場所。
ひらひら落ちてくる桜を払いのけながら
僕は一枚の紙に、僕の世界を丁寧に描いてゆく。
いつもここにいる人はだいたい決まっている。
大きな犬を散歩させるおじさん、井戸端会議中のおばさん3人組。
だが、今日は見知らぬ女の子が一人。
髪は長くて1つに結んでいて、細身の女の子。
その子も画板と紙、鉛筆をもってなにかの世界を作り上げている。
そして、意外と美人である。
「あの子も桜の絵描いてるのかな?」
そう思った瞬間、女の子がこっちを見た。
慌てて持っていた紙と画板で顔を隠す。
「やばい…、見られちゃったかな…?」
恐る恐る見てみると、女の子はいなくなっていた。
「ふー、よかった。」
そんなことを思ったその時
「へー、君も桜の絵描いてたんだね!」
びっくりして横をみると、さっきまで
そこにいた女の子が真横にいた。
軽く放心状態ではあったが、僕と同じ制服を着ていたのでとりあえず聞いてみた。
「どちら様ですか…?」
そうゆうと女の子はにっこり笑って、
「教えて欲しい?なら、徒競走をして君が勝ったら教えてあげる!」
そう言って指さしたのは、10メートルほど離れた桜の木。
乗り気ではなかったが、名前を教えて欲しいので、参加することにした。
「位置について……よーい…ドン!」
2人で走った。
この子制服なのに意外と早い。
最初は手を抜いていた僕も、最後の方には全力で走っていた。
「はぁ…、はぁ…、君制服なのに早いんだね…。」
息を切らしている僕には何も触れずに、
息を切らしていない女の子は勝手に喋り始めた。
「君が勝ったから教えてあげるね。
私は糸田川花火。
横書きにすると細川に見えるから、たまに新任の先生とかに『細川さーん』って呼ばれるけど、糸田川だからね!
制服を見る限りは、君とおんなじ高校だね!いや~、運命感じちゃうわ~w
明日もここに来て一緒にスケッチしようではないか!」
(ダメだ…、この子テンションが高すぎる…。
少し頭が痛くなってくるぐらいにテンションが高い…。)
そんなことを思っている間に花火は
「じゃあまた明日ね!」
そう言って帰っていった。
絶対に来てやらねー。
そんなことを思いながら、ズキズキ痛む頭を押さえ、桜のスケッチをするのであった。
僕は手に二枚の卒業証書を持っている。
1枚は僕の、もう一枚はあの人の。
あの人との出会いは、偶然のものだった。
だが、その偶然が僕の大きな思い出、
1番の思い出になることは知る由もなかった。
桜が満開の土手沿い。
ここは僕がいつもスケッチをするお気に入りの場所。
ひらひら落ちてくる桜を払いのけながら
僕は一枚の紙に、僕の世界を丁寧に描いてゆく。
いつもここにいる人はだいたい決まっている。
大きな犬を散歩させるおじさん、井戸端会議中のおばさん3人組。
だが、今日は見知らぬ女の子が一人。
髪は長くて1つに結んでいて、細身の女の子。
その子も画板と紙、鉛筆をもってなにかの世界を作り上げている。
そして、意外と美人である。
「あの子も桜の絵描いてるのかな?」
そう思った瞬間、女の子がこっちを見た。
慌てて持っていた紙と画板で顔を隠す。
「やばい…、見られちゃったかな…?」
恐る恐る見てみると、女の子はいなくなっていた。
「ふー、よかった。」
そんなことを思ったその時
「へー、君も桜の絵描いてたんだね!」
びっくりして横をみると、さっきまで
そこにいた女の子が真横にいた。
軽く放心状態ではあったが、僕と同じ制服を着ていたのでとりあえず聞いてみた。
「どちら様ですか…?」
そうゆうと女の子はにっこり笑って、
「教えて欲しい?なら、徒競走をして君が勝ったら教えてあげる!」
そう言って指さしたのは、10メートルほど離れた桜の木。
乗り気ではなかったが、名前を教えて欲しいので、参加することにした。
「位置について……よーい…ドン!」
2人で走った。
この子制服なのに意外と早い。
最初は手を抜いていた僕も、最後の方には全力で走っていた。
「はぁ…、はぁ…、君制服なのに早いんだね…。」
息を切らしている僕には何も触れずに、
息を切らしていない女の子は勝手に喋り始めた。
「君が勝ったから教えてあげるね。
私は糸田川花火。
横書きにすると細川に見えるから、たまに新任の先生とかに『細川さーん』って呼ばれるけど、糸田川だからね!
制服を見る限りは、君とおんなじ高校だね!いや~、運命感じちゃうわ~w
明日もここに来て一緒にスケッチしようではないか!」
(ダメだ…、この子テンションが高すぎる…。
少し頭が痛くなってくるぐらいにテンションが高い…。)
そんなことを思っている間に花火は
「じゃあまた明日ね!」
そう言って帰っていった。
絶対に来てやらねー。
そんなことを思いながら、ズキズキ痛む頭を押さえ、桜のスケッチをするのであった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

岩にくだけて散らないで
葉方萌生
青春
風間凛は父親の転勤に伴い、高知県竜太刀高校にやってきた。直前に幼なじみの峻から告白されたことをずっと心に抱え、ぽっかりと穴が開いた状態。クラスにもなじめるか不安な中、話しかけてきたのは吉原蓮だった。
蓮は凛の容姿に惹かれ、映像研究会に誘い、モデルとして活動してほしいと頼み込む。やりたいことがなく、新しい環境になじめるか不安だった凛は吉原の求めに応じ、映像研究会に入るが——。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ラッキーノート
ブックリーマン
青春
不運が重なり浪人生となった主人公がある日、不思議な力を持つノートを手にする。猶予の1年で大学受験の勉強に恋に、そしてこの不思議なノートに悩まされる主人公の葛藤の日々がスタートします。みなさんも主人公を応援してあげてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる