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1人目:冴えないサラリーマン
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「にゃー」
スラートが帰ってきたようだ。
「お帰りスラート、ありがとうねいつも。」
そう言ったらスラートは毎回人間の姿に戻ってしまう。
猫の時は黒猫で、首に花柄の首輪をつけている。
(首輪はマスターのお手製)
人間の時は真っ黒なロングのストレートヘア、真っ黒のワンピース。たまに黒い口紅を付けてたりする。
いつも冷たい態度だけどそんなところがよかったりする。
「今度からちゃんと管理してよね。こっちも作るの大変なんだからさ。あと、猫でいるのも疲れるし。
にゃーにゃーにゃーにゃー、もう言いたくない。
にゃーにゃーにゃーにゃー言ってるこっちの気持ちもわかってくれるの?怒」
帰ってくるといつもこんな感じだ。
普段ならコーヒーの一杯や二杯、注文をつけてくるはずなのにこの日は違った。
「そういやさ、あの男から良くない匂いがしてたけどどうなの?」
「そんなの、なんとなく分かってはいたさ。
君にも聞かないとと思って。スラートはなんの匂いがした?」
「クロユリ」
「クロユリ…か、花言葉は復讐・呪いといったところかな。
因みに僕はキブシの香りだな。花言葉は出会いと嘘」
スラートもマスターも第一の手がかりはその人から香ってくる花の香り。
その花の花言葉がその人の心情なんかを反映してくれる。
「嘘ついて依頼して、探し当てた相手に復讐してやろうっての?冗談じゃない。マスター、この依頼は破棄しな。」
「いいや、破棄はしないよ。だってこんなハイリスクを冒してまでくる依頼だよ。それに契約書にだってちゃんと書いてあるしさ、
『虚偽の申告をした場合にはそれ相応の対価をいただきます』ってね。」
嘘をついてやってくる客は大勢いる。
全ては香りでわかってしまう。
でも、断れない。
マスターの断れない理由をスラートは薄々だが感じ取っていた。
「そのお人好しが私を振り回すんだよ。」
一言そう言ってスラートは猫に戻ってしまった。
「にゃー」
なにだ言いたげな瞳でこちらを見つめながら
いつものようにトコトコとどこかへ歩いていった。
「だってよ…、サラさん…。」
マスターは独り言のように呟くとメガネを外して
大きく天を仰いだ。
スラートが帰ってきたようだ。
「お帰りスラート、ありがとうねいつも。」
そう言ったらスラートは毎回人間の姿に戻ってしまう。
猫の時は黒猫で、首に花柄の首輪をつけている。
(首輪はマスターのお手製)
人間の時は真っ黒なロングのストレートヘア、真っ黒のワンピース。たまに黒い口紅を付けてたりする。
いつも冷たい態度だけどそんなところがよかったりする。
「今度からちゃんと管理してよね。こっちも作るの大変なんだからさ。あと、猫でいるのも疲れるし。
にゃーにゃーにゃーにゃー、もう言いたくない。
にゃーにゃーにゃーにゃー言ってるこっちの気持ちもわかってくれるの?怒」
帰ってくるといつもこんな感じだ。
普段ならコーヒーの一杯や二杯、注文をつけてくるはずなのにこの日は違った。
「そういやさ、あの男から良くない匂いがしてたけどどうなの?」
「そんなの、なんとなく分かってはいたさ。
君にも聞かないとと思って。スラートはなんの匂いがした?」
「クロユリ」
「クロユリ…か、花言葉は復讐・呪いといったところかな。
因みに僕はキブシの香りだな。花言葉は出会いと嘘」
スラートもマスターも第一の手がかりはその人から香ってくる花の香り。
その花の花言葉がその人の心情なんかを反映してくれる。
「嘘ついて依頼して、探し当てた相手に復讐してやろうっての?冗談じゃない。マスター、この依頼は破棄しな。」
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『虚偽の申告をした場合にはそれ相応の対価をいただきます』ってね。」
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でも、断れない。
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「にゃー」
なにだ言いたげな瞳でこちらを見つめながら
いつものようにトコトコとどこかへ歩いていった。
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