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1人目:冴えないサラリーマン
いらっしゃいませ
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「あのぅ、巷で噂になっているよもぎ喫茶はこちらで間違いないでしょうか…。」
「噂…ですか…、困ったなー。もう一度結界を貼りなおさないと…。スラートやっといてもらえるかい?」
「にゃー!」
「そうだなー…、Oを4くらいいつもより多めで」
スラートと呼ばれた猫はトットッと歩いてどこかへ行ってしまった。
「おお、これは失礼しました。左様でございます。
こちらがよもぎ喫茶でございます。
ここに来られたと言うことは何かお悩みがあるようで…。」
そう言いながらマスターは戸棚からコーヒー豆を選んで挽き始めた。
「そうなんです…。実は妻と子供の様子が最近おかしくて…。私が話しかけてもそっけない返事ばかりなもんで…。」
苦い香りが喫茶店の中に立ち込め始めた。
「左様でございますか。とりあえず…。
えーと、どこにしまったかな…。」
お湯を沸かしながら、マスターはなにかを探し始めた。
「あー、あったあった。この手の相談は久しぶりなもんで、失礼いたしました。まずはこちらにご記入していただいてもよろしいですか?」
マスターが差し出した、二枚の紙。
1枚目
誓約書
この紙にサインを頂いた時点で、依頼は成立とみなします。貴方様方のご都合により依頼を止めることはできません。もし、身の回りで不可思議なことが起きても口外しないことをお誓いください。
なお、この依頼の結果がどうなろうともよもぎ喫茶は責任を負いません。
万が一虚偽の申告をした場合はそれ相応の対価を頂きます。
○月□日
2枚目
身元調査書
名前 高城真司
お勤め先 山笠ホールディングス
調査内容 妻と子どもの周辺調査
2枚目の紙の下には不思議な模様が付いていた。
「すいませんね、一応書いてもらわないと後で色々と面倒なもので。」
マスターはすっとコーヒーの入ったカップを真司の前にさし出した。
「いやいやとんでもないです…。」
そう言って真司はゆっくりとコーヒーに口をつけた。
「えーと…、不備はないみたいですね。
それでは契約成立となります。周辺の調査がおわりましたら、またご連絡いたします。」
「あ…、あの電話番号とか書いてないんですけど…。」
「それは構いません。こちらからお呼びいたしますので。」
マスターは一礼すると奥の部屋に引き上げていった。
真司は一気にコーヒーを飲むと足早によもぎ喫茶を後にした。
それと同時にスラートと呼ばれた猫が
よもぎ喫茶へと帰ってきた。
「噂…ですか…、困ったなー。もう一度結界を貼りなおさないと…。スラートやっといてもらえるかい?」
「にゃー!」
「そうだなー…、Oを4くらいいつもより多めで」
スラートと呼ばれた猫はトットッと歩いてどこかへ行ってしまった。
「おお、これは失礼しました。左様でございます。
こちらがよもぎ喫茶でございます。
ここに来られたと言うことは何かお悩みがあるようで…。」
そう言いながらマスターは戸棚からコーヒー豆を選んで挽き始めた。
「そうなんです…。実は妻と子供の様子が最近おかしくて…。私が話しかけてもそっけない返事ばかりなもんで…。」
苦い香りが喫茶店の中に立ち込め始めた。
「左様でございますか。とりあえず…。
えーと、どこにしまったかな…。」
お湯を沸かしながら、マスターはなにかを探し始めた。
「あー、あったあった。この手の相談は久しぶりなもんで、失礼いたしました。まずはこちらにご記入していただいてもよろしいですか?」
マスターが差し出した、二枚の紙。
1枚目
誓約書
この紙にサインを頂いた時点で、依頼は成立とみなします。貴方様方のご都合により依頼を止めることはできません。もし、身の回りで不可思議なことが起きても口外しないことをお誓いください。
なお、この依頼の結果がどうなろうともよもぎ喫茶は責任を負いません。
万が一虚偽の申告をした場合はそれ相応の対価を頂きます。
○月□日
2枚目
身元調査書
名前 高城真司
お勤め先 山笠ホールディングス
調査内容 妻と子どもの周辺調査
2枚目の紙の下には不思議な模様が付いていた。
「すいませんね、一応書いてもらわないと後で色々と面倒なもので。」
マスターはすっとコーヒーの入ったカップを真司の前にさし出した。
「いやいやとんでもないです…。」
そう言って真司はゆっくりとコーヒーに口をつけた。
「えーと…、不備はないみたいですね。
それでは契約成立となります。周辺の調査がおわりましたら、またご連絡いたします。」
「あ…、あの電話番号とか書いてないんですけど…。」
「それは構いません。こちらからお呼びいたしますので。」
マスターは一礼すると奥の部屋に引き上げていった。
真司は一気にコーヒーを飲むと足早によもぎ喫茶を後にした。
それと同時にスラートと呼ばれた猫が
よもぎ喫茶へと帰ってきた。
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