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第一章 疲労回復のポーション
第4話 共済加入して良いですか?
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そんな中、マツモトの目はとある2文字でぴたりと止まった。
『薬学』。マツモトは首を傾げる。何故これが『適性あり』なのか。
薬学部を出たわけでもなければ、薬学を齧ったことすらない。試験にはいくつか薬の知識に関する問題もあったように思うが、自信を持って答えられたものはひとつもない。
「……なあ、この『薬学』はどうして適性ありなんだ?」
「うん? ああそれね、初級だと結構取りやすいやつだから」
ミシュアの解説によると、『薬学』は中級以降であれば「危険物取扱」を含むライセンスであるため、取得要件が高くなる。
しかし初級では危険物は扱えず、薬剤精製に限定すれば、マニュアル通りに手順を実行する適性さえあれば問題ないとのこと。
「お兄さん、適性だけなら中級からでも十分通用すんだけどね。経験年数さえ積めばすぐだよ」
「ふうん……あんまり自信なかったけど、本の通りに混ぜるだけなら出来そうかな」
「ただし気を付けてね。初級で扱える薬剤の中にも、『処方』はライセンス外の場合があるから。うっかり飲ませて処罰されないようにね」
『医師』のライセンスも存在し、処方にはそちらが必要になるらしい。
生憎、マツモトの試験結果表には『不適格』と記入されていたが。
「持ってて損はなさそうだな」
「心配しなくても、初級だから『適性あり』のライセンスは自動的に全部発行されるよ。じゃ、書類持ってそのままニホンジンキョーサイに行ってくださーい。そこで身分証とライセンスの発行があるから」
建物はここを出て右に真っ直ぐ突き当たり、と言って、ミシュアはマツモトの背中を押す。
何だかあっさりで拍子抜けだが、腕時計はもう19時過ぎを示していた。空腹でもあるし、ここに長居する必要もない。
マツモトは一礼すると、ライセンス協会を後にした。
*
「新規加入の松本さんですね。それでは、身分証の提示をお願いします」
日本人共済の本部では、『ザ・日本人』な中年男性が、愛想の良い笑顔で応対してくれた。
建物内にいる人間も全員日本人だろう。たった半日異世界にいただけだが、早くも懐かしさで涙が滲むほどだった。
「身分証って言うと……運転免許証でも構いませんか?」
「ええ、もちろん。……こちらはお預かりして大丈夫ですか」
「どうぞ」
どうせ、こっちの世界では必要ないものだ。
中年男性はマツモトから免許証を受け取ると、帳簿を素早く捲って何やら確認している。
「……確かに。新規登録であることが確認できましたので、見舞金をお渡ししますね。見舞金の説明は聞いていますか?」
「ええ、ライセンス協会で。ありがとうございます」
「見舞金15万のうち、ライセンス試験料を引いた5万レナスをお渡しします。お腹が空いたでしょう、何か食べていってください」
男性の指し示す先には食堂のようなスペースがあった。まだ何人か利用しているようだ。
確かに空腹ではあったが、それよりもマツモトには聞かなければならないことがある。
「身分証の発行はいつになりますか?」
「見舞金はこちらで立て替えなので即時お渡し出来るのですが、身分証は国に申請しなければなりませんから。早くても明日でしょうね」
「お恥ずかしい話、今夜の寝る場所も困る身で……手頃な宿とか教えてもらえると、助かるんですが」
「安心してください。日本人共済に加入していただくと、当面の宿舎をご提供できます。普通に部屋を借りようにも、素性のしれない日本人ではまともに取り合ってくれませんからね。共済が用意した宿舎が数件あるんですよ」
「本当ですか!?」
思わぬ厚遇に飛び上がりかけるマツモト。男性はこう付け加えた。
「ただし、共済の掛金が月に5万レナス。宿舎以外の諸々の恩恵もありますし、決して高額ではありません。ですが、この掛金だけは毎月きっちり納めてもらわないと困ります」
「……もし、払えなければ?」
「共済組合員から名前が抹消されて、再加入できなくなります。当然、共済を通じて取得した身分証も、ライセンスも剥奪されます。……おっと、怯えなくても大丈夫ですよ。やむを得ない事情がある場合は、事前に申請すれば期日を延期することも可能ですから」
マツモトの顔が青くなったのに気付き、男性は慌てて笑い飛ばす。
もっとも、青ざめるのも無理はない。こっちの世界で自分の身元を保証してくれるものは、現状この日本人共済だけだ。その共済から見放されては、野垂れ死にするしか道はない。
「支払いは来月末からです。今から大体1ヶ月半、その間に生活基盤を整えてください。……では、健闘を祈ります」
マツモトはごくり、と喉を鳴らした。
最低限の資格・借家・お金、ここから1ヶ月半の間に一般人レベルまで生活を安定させなければならない。
しかもそれを、今までと全く違う世界でだ。想像もつかない困難に身震いしたためでもあるが……
単純に、空腹で唾を呑み込んだためでもあった。
#異世界人『マツモト』
1日目・収支……
+50,000レナス (見舞金)
-740レナス (夕食・ニホンジン定食)
残金 49,260レナス
#備考
・ニホンジン定食
日本人共済本部の食堂で食べることが出来る、一番人気の定食。
エトール産の穀物を使用した『白米風ご飯』、南西の港町・カカボの名産『シーギャングの甘辛煮』、ヴィラクタと呼ばれる豆状の作物で作る『ナットウ』など。740レナス。
『薬学』。マツモトは首を傾げる。何故これが『適性あり』なのか。
薬学部を出たわけでもなければ、薬学を齧ったことすらない。試験にはいくつか薬の知識に関する問題もあったように思うが、自信を持って答えられたものはひとつもない。
「……なあ、この『薬学』はどうして適性ありなんだ?」
「うん? ああそれね、初級だと結構取りやすいやつだから」
ミシュアの解説によると、『薬学』は中級以降であれば「危険物取扱」を含むライセンスであるため、取得要件が高くなる。
しかし初級では危険物は扱えず、薬剤精製に限定すれば、マニュアル通りに手順を実行する適性さえあれば問題ないとのこと。
「お兄さん、適性だけなら中級からでも十分通用すんだけどね。経験年数さえ積めばすぐだよ」
「ふうん……あんまり自信なかったけど、本の通りに混ぜるだけなら出来そうかな」
「ただし気を付けてね。初級で扱える薬剤の中にも、『処方』はライセンス外の場合があるから。うっかり飲ませて処罰されないようにね」
『医師』のライセンスも存在し、処方にはそちらが必要になるらしい。
生憎、マツモトの試験結果表には『不適格』と記入されていたが。
「持ってて損はなさそうだな」
「心配しなくても、初級だから『適性あり』のライセンスは自動的に全部発行されるよ。じゃ、書類持ってそのままニホンジンキョーサイに行ってくださーい。そこで身分証とライセンスの発行があるから」
建物はここを出て右に真っ直ぐ突き当たり、と言って、ミシュアはマツモトの背中を押す。
何だかあっさりで拍子抜けだが、腕時計はもう19時過ぎを示していた。空腹でもあるし、ここに長居する必要もない。
マツモトは一礼すると、ライセンス協会を後にした。
*
「新規加入の松本さんですね。それでは、身分証の提示をお願いします」
日本人共済の本部では、『ザ・日本人』な中年男性が、愛想の良い笑顔で応対してくれた。
建物内にいる人間も全員日本人だろう。たった半日異世界にいただけだが、早くも懐かしさで涙が滲むほどだった。
「身分証って言うと……運転免許証でも構いませんか?」
「ええ、もちろん。……こちらはお預かりして大丈夫ですか」
「どうぞ」
どうせ、こっちの世界では必要ないものだ。
中年男性はマツモトから免許証を受け取ると、帳簿を素早く捲って何やら確認している。
「……確かに。新規登録であることが確認できましたので、見舞金をお渡ししますね。見舞金の説明は聞いていますか?」
「ええ、ライセンス協会で。ありがとうございます」
「見舞金15万のうち、ライセンス試験料を引いた5万レナスをお渡しします。お腹が空いたでしょう、何か食べていってください」
男性の指し示す先には食堂のようなスペースがあった。まだ何人か利用しているようだ。
確かに空腹ではあったが、それよりもマツモトには聞かなければならないことがある。
「身分証の発行はいつになりますか?」
「見舞金はこちらで立て替えなので即時お渡し出来るのですが、身分証は国に申請しなければなりませんから。早くても明日でしょうね」
「お恥ずかしい話、今夜の寝る場所も困る身で……手頃な宿とか教えてもらえると、助かるんですが」
「安心してください。日本人共済に加入していただくと、当面の宿舎をご提供できます。普通に部屋を借りようにも、素性のしれない日本人ではまともに取り合ってくれませんからね。共済が用意した宿舎が数件あるんですよ」
「本当ですか!?」
思わぬ厚遇に飛び上がりかけるマツモト。男性はこう付け加えた。
「ただし、共済の掛金が月に5万レナス。宿舎以外の諸々の恩恵もありますし、決して高額ではありません。ですが、この掛金だけは毎月きっちり納めてもらわないと困ります」
「……もし、払えなければ?」
「共済組合員から名前が抹消されて、再加入できなくなります。当然、共済を通じて取得した身分証も、ライセンスも剥奪されます。……おっと、怯えなくても大丈夫ですよ。やむを得ない事情がある場合は、事前に申請すれば期日を延期することも可能ですから」
マツモトの顔が青くなったのに気付き、男性は慌てて笑い飛ばす。
もっとも、青ざめるのも無理はない。こっちの世界で自分の身元を保証してくれるものは、現状この日本人共済だけだ。その共済から見放されては、野垂れ死にするしか道はない。
「支払いは来月末からです。今から大体1ヶ月半、その間に生活基盤を整えてください。……では、健闘を祈ります」
マツモトはごくり、と喉を鳴らした。
最低限の資格・借家・お金、ここから1ヶ月半の間に一般人レベルまで生活を安定させなければならない。
しかもそれを、今までと全く違う世界でだ。想像もつかない困難に身震いしたためでもあるが……
単純に、空腹で唾を呑み込んだためでもあった。
#異世界人『マツモト』
1日目・収支……
+50,000レナス (見舞金)
-740レナス (夕食・ニホンジン定食)
残金 49,260レナス
#備考
・ニホンジン定食
日本人共済本部の食堂で食べることが出来る、一番人気の定食。
エトール産の穀物を使用した『白米風ご飯』、南西の港町・カカボの名産『シーギャングの甘辛煮』、ヴィラクタと呼ばれる豆状の作物で作る『ナットウ』など。740レナス。
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