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ナカからマッサージ
旅行の効果
しおりを挟む体はぐったりと沈み込む。水川は息を整えながら、私の汗を拭う。
「気持ちよかったですか?」
「……はぁ、うん。……みずかわくんは……?」
「もちろんすごく良かったですよ。だから……」
もう一回、という水川の言葉は耳が自動でシャットダウンし意識が深い海へと沈む感覚に身を任せる。
翌朝。
眠い目を擦りつつ、起き上がると全身が怠い。特に腰と股が変な感覚だ。
「おはようございます」
「ん、おはよう」
先に起きていたようで水川が洗面所からタオルで顔を拭きながら声を掛けてきた。
こちらに近づき畳に座る。
「体、大丈夫ですか?」
「うーん、大丈夫だけど。ちょっと腰が重だるい」
「……一回しかシテないのにですか?もっとしたいんですけどね。今度からもう少し体位を工夫しましょうか」
「っ!なに言ってんのよ、朝っぱらから!」
ごめんなさいと生返事が返ってくる。騎乗位は負担が大きいんですねとかなんとか言っている水川に向かって枕を投げつける。
ポスンッ
「痛っ」
……こうして、水川が「研究に行き詰まっている温子さんにご奉仕します」と誘ってくれた二泊三日の温泉旅行は無事(?)に終わった。
そしてまた日常が始まった。
◆◆◆◆
「ぬーくこっ」
「……」
「温子っ!」
「え……?あ、貴音か、呼んだ?」
いつもお昼ご飯を一緒に食べている、部署は違うが同期の佳津 貴音が声を掛けてきた。
「呼んだじゃないでしょう、もうお昼なのに来ないから迎えに来たのよ。何ボーッとして」
「うわっ、もうこんな時間!お昼行こう」
「席いっぱいになっちゃってるよ」
「ごめんって」
財布を持ちいつもの定食屋さんに向かう。
「何、研究行き詰まってるの?」
「うーん…」
行き詰まっていた研究は、二泊三日の旅行でスッキリしたら何か解決策が思い浮かぶかも!?と期待していた。確かに解決策というか、突破口をいくつか思いつき研究は前進している。
しかしだ、旅行のことを度々思い出してしまう。その度に手が止まり、水川エロすぎ、水川エロすぎ、水川エロすぎと思考がそちらにいく。
「まぁ、温子の研究のことはアドバイスできないけど、頑張りな。そうだ、気分転換に愛しの水川くんとまた温泉旅行にでも行ってきたら?」
ボンっ///
水川、温泉というキーワードが出てきたことで、顔が紅くなったのが自分でもわかる。
「え、顔紅いけど、なに、風邪引いてるの?」
「っ違うの!」
お店に向かっていると、そこに水川が営業から帰ってきたのか反対方向から歩いてきた。
「あっ温子さん!佳津さんも。お疲れ様です」
ひーー、いま会いたくないのにまた色々とアハァンなことを思い出してしまう。更に顔が赤らむ。
あ、だめ、恥ずかしくて顔が見れないっ
「ごめん、先に行くから!」
居たたまれなくなり、貴音を置いて速足でその場を去ってしまった。
残された佳津と水川。
佳津は温子の様子がおかしいことを、最近温子と付き合い始めた目の前の男が関係していると直感で理解した。
美人な顔はそのままに目はキラリと怖い光を宿しながら、水川に問いかける。
「水川君?もしかして貴方、温子が嫌がることでもしたのかしら?」
「えっ!!そんな!してませんよ」
「本当かしら。ほら、まだお昼の時間残ってるんだから詳しく話聞かせてよ」
水川の、温子さん助けて!という心の叫びは温子に届いたのだろうか。
end
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