ミックスド★バス~湯けむりマッサージは至福のとき

taki

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泥マッサージ

どろどろ

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泥温泉の表面に時々薄い膜のはった泡が、こぽんと弾ける。

そこに片足を入れる。

ぬとり…
ぬっとり……


温かく包み込まれる安心、だけどぞわぞわっとする感覚を同時に感じる。

泥温泉が初めてというわけではないが、ここの温泉はぬっとりと絡みついてくる。


そして客は私たちだけ。先ほど洗い場にいた客がいなくなった温泉は、私たちだけの空間だ。
水川は私より先に温泉に入り、おおっすごいと声を上げている。


私も早く入ろう。
体を屈めると、うぅ、なんだかふんどしがズレちゃいそうだ。ズレないように変な体勢で体を屈める。両腕は胸を隠すために使っていて体がふらつく。

ふらふら
くらっ


「わっっ」
沈殿している泥に足が取られる。

転ぶ!
とっさに腕を近くの岩に伸ばすが間に合わないっ!
頭から泥をかぶっちゃうっ

目をぎゅっと閉じて備える。




「………っ……?」




あれ……?衝撃が来ない。
目をゆっくり開けると、水川が手を伸ばしてくれて支えてくれていた。

「助かった~ありがとう」

「ふぅ、良かった転ばなくて。気をつけてくださ、……いっ!?」


むぎゅっん

「え?」

ふと下を見ると、水川は私を支えるために胸を、その、両手で鷲掴みの状態だった。

「すみませんでした!離しますから」

鷲掴みされていることも困りものだが、いま手を離されたら転んでしまう。

「待って、まだこのままにしてっ」

「このまま?」

「ちゃんと立てるまで支えてて」

「っ、分かりました」

混乱するなか、足を踏ん張らせて一人で立つ。

すると支えてくれていた手が胸から離れた。

胸を見ると、泥の手形が付いている。
泥をまとう水川の大きな手が私の胸を掴んでいたことで、まだ足しか泥の付いていない体のうち、胸だけが泥を付けやたらと目立つ。

水川に触れらていたことを強調する。泥の付いた胸、胸の先端がいやらしい。

ふと目線を感じ、水川を見るとぷいと顔を逸らされる。
気まずさから、慌てて隠すように肩まで泥温泉に浸かった。



◆◆◆◆



「はぁーーー、すーごく気持ちいい」

顔に泥が付かないよう気をつけながら、肩まで浸かり温泉を楽しむ。慣れないふんどしや、同じ姿の水川と一緒にいるという緊張感も温泉が全て取り除き、開放的な気分だ。


「この滑りは最高だね。多分泥の成分の中に○○が入ってることが影響してるんだよ。ここの地層から考えてけっこう珍しいなぁ。だってね、××が影響するはずだからさ。でね……」

饒舌になり、水川に温泉の感想を伝える。

しかしいつも興味深く聞いてくれるのに、今日はなんだか…


「…ごめん、私ばっかり喋っちゃって」

「え?」

「そのさ、今日調子悪かったりする?」

「別にそんなことは無いです。体調良いです」

それにしてはいつもより、その、なんていうか積極的じゃないと思う。
「だったら良いんだけど。………もしかして、昨日私が先に寝ちゃったこと……怒ってる?」

「へ?そんなこと怒ってませんよ。少し残念だっただけで」

「そう?……あ、それか今朝私が浴衣のことで水川くんが脱がせたとか言ったから?あれは今考えれば、別に水川くんがわざわざ脱がすなんてないのにごめんね。私の寝相が悪かっただけで」

そろりと水川の様子を見る。

「いやあれは、まぁ僕も一緒の布団に入り込んだせいもあるから…。温子さんなんですか、僕が何か怒ってると思ってるんですか?別に何も怒ってませんよ」

「本当?」

「本当です。なんでそう思ったんですか?」

「だって、いつもと違うから…」

「何がです?」

言うか誤魔化すか迷うが…ええい、聞いてしまえ。
「いつもより、あんまり私のこと触ってくれないなと思って…」

「さわ…る?」

「あとは更衣室出た時に、私もこんな姿だしさ、例えばやらしいとか恥ずかしい格好だとか言われたり、ちょっと触られるかな?とか思ってたんだけど、何も無かったしむしろ目を逸らしたから。そりゃあスタイル良くないし納得でもあるんだけど、ちょっと拍子抜けしちゃったっていうか…」

言っているうちに私がとんでもなく恥ずかしいことを言っていると気づく。これではまるで、水川に触られたかったとか見て欲しかったと言っているようなものだ。

「ごめんっ、やっぱり気にしないで」

「温子さん……………けっこう我慢してるんですから本当勘弁して…」

「我慢?…やっぱり怒ってるよね?」

「怒ってないです。そうじゃなくて…」
それまで私と水川の間に微妙な距離があったが、ぐっと詰められて腕が触れ合う。ぴくんと反応してしまう。
更に耳元に口を寄せられる。
「温子さんの柔らかい肌に触りたくて触りたくて仕方ないのを我慢してるんです」

優しい声音が耳を通じて体中を駆け巡る。更に水川は体を寄せながら話す。

「昼間からそんなことばっかり考えてたんです。でも仕方ないでしょう、温子さんすごく魅力的だから」

引きました?
と小声で囁かれる。からかうような、でも少しだけ不安も混じった声音に震える。

「ふあん、引いてないっ。……ね、……触って?」




ぐいっ!

腰に手が回され、ぐっと引き寄せられる。胡座をかく水川の脚に乗せられた。
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