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マッサージ機
夢からさめて
しおりを挟む「…みずか……ね……」
……?なんだ……?
「水川くん?ねえってば」
ん?
朝の起きぬけのような気だるさの中、僕を呼ぶ声。
先程までとても、とても良い思いをしたと思うが何だったか……あぁ、そうだ、温子さんが騎乗位な姿を披露してくれたんだった。
ゆっくりと目を開ける。
すると温子さんが上目遣いで僕を見つめながら浴衣の袖をくいくいと引っ張っている。
僕はというと、マッサージチェアにゆったりと座りくつろいでいる。
僕の顔を下から覗き見る温子さんの胸元は緩く、むにゅっとしたものがこの角度からは見えている。ほぉおとニヤつく。きっといま自分の顔はだらしなく鼻の下が伸びているだろう。
ぶら下がり健康棒といいロデオマシンといい何と良い夢だろうか。あぁ、思い出すと下半身が痛くなってくる。
「やっと起きたね、何度声かけても起きないからさ」
僕の下半身はいつでも起きれますよ…なんていうエロ馬鹿セリフは心の中だけで言い
「ずっと起きてますけど?」
「何言ってるのよ、もう。ぐーすかぐーすか眠ってたよ」
ん?
少しずつ意識がはっきりしてきて周りの様子を伺う。するとざわざわと他の旅館客の声が聞こえたりと夢ではなく現実だということがわかってきた。
危なかった!もう少しのところで目の前の柔らかいものに手を伸ばすところだった。
「そろそろお昼ごはんだから行こう?………って、その、それ」
急に顔を赤らめ視線を床に向ける温子さん。
「何がです?」
「だからっ、それ!」
指差すその先を目で追うと
「っ……!!」
いわゆるテントを張った状態の自身。それもかなり……ピンっと。いや、これは!と情けない声を出しながら両手で隠す。なんて情けない格好だ。
「なんで、その、そんなことに、なってるの?」
伏し目がちに照れながら問いかける温子さんは可愛らしいが、今はそれどころではない。夢であんな温子さんやこんな温子さんを楽しませていただいたからです、なんて正解を答えるわけにもいかないし。
「いや、だから、違うんですよ。違うというか誤解というか。あ、その誤解ではなくてそのあのっ。少し落ち着けば、その、落ち着くので」
「そっか。そうなんだね。じゃあ昼ごはんの予約時間、後にずらしてもらえるように頼んでくるから!じゃあまた!!」
赤い顔のまま温子さんはぴゅーんと去ってしまった。
あぁ、できれば温子さんの持っていた手提げカバンを貸してもらって隠すのに使いたかったが、もうどうしようもない。
ひたすらに落ち着け、落ち着けと自身に言い聞かせ宥めるしかなかった。
マッサージチェアのリモコンにある「極楽コース」という文字を複雑な思いで見ながら深呼吸をするのであった。
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