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内風呂マッサージ
散歩
しおりを挟むひとしきり内風呂についての話し合い?が終わる頃には、外は暗くなっていた。
食事の時間まではあと1時間ほどある。先ほどのお茶菓子を食べたことでお腹の減り具合は微妙なところだ。
「ご飯の時間までどうする?散歩する?」
「そうですね、ちょっと散策しましょうか」
貴重品を持ち外へ出る。夜は少し冷えた風が吹いているが、温泉独特の香りの風はそれだけでほっとさせる。
風に吹かれながら人通りが疎らな道を歩く。
「ふー、風が気持ちいいね」
横に歩く水川も、気持ちいいと深呼吸をする。ふと目が合い、すっと手が触れ合う。
当たっちゃったと思い手を引こうとすると、優しく手を取られる。
「手、繋ぎましょうか」
「うん…」
少し肌寒かったところに、水川の手の温かさが心地いい。そういえば、手を繋いで歩くのって初めてだ。ただ手を繋いでいるだけなのに、心臓が高鳴り頭がふわすわする感覚になる。意識のほとんどが手に持っていかれそうだ。
手汗とか、うう、気になってくるっ
「普段僕たち、会社の人に付き合っているのがバレないようにしてるから、こうやって外で手を繋ぐって無かったですね」
「うん、貴音は知ってるけど他の人たちにバレてないかな」
「大丈夫だとは思いますが………あっ、もしかしたら」
「え!?」
貴音以外にも知られてるの!?
「室長にこの前聞かれたんですよ。伊角さんと水川君って今まで仲悪いというか、伊角さんが冷たい感じだったけど今は親しくなったんだねって」
「えーー室長がそんなこと言ってたの?」
確かに今まで水川が開発室に来ると邪険にしていたが、今は普通に接している。むしろ来たら嬉しくて表情に出てる…かも。
「はい。何かあったのかい?って聞かれて」
「うん」
水川は少し目線をそらせて、しばらく何か考えた後に口を開けると…
「温子さんは僕のことが好きすぎて意地悪してただけで今は素直になってくれたみたいです、って答えましたよ」
っ、な、な、な!
「何言ってんのよ!!」
「本当のことでしょう?」
「本当じゃない!だってあの時は水川君のこと嫌なやつって思ってた」
「あーあ、嫌なやつなんて言われると傷つくなぁ」
機嫌を悪くしたような表情で私を見る。
「ご、ごめんっ。でももう過去のことでしょ」
「今はどう思ってるんですか?」
「嫌なやつなんて思ってないよ」
「それだけ?」
「もちろん、、好き…だよ?」
繋いでいる手が更に熱くなる。
「僕もです」
手を引っ張られバランスを崩したところを、水川の腕が支える。そしておでこに、ちゅっ、と口付けをされる。
周りに人がいないとはいえ、外でそんなことをされると気が気でない。
「こんなところで、ダメだって」
「誰も見てませんよ」
そしてまた水川の顔が至近距離まで近づいてくる。キスされる…と目をゆっくり閉じようとすると
ぐーーーーっ
私のお腹が盛大に鳴る。あぁぁぁ
水川がくすっと笑い、そろそろ時間だと、また手を繋いで宿へ戻る。
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