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課題

リラックス

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手本を見せてもらった翌日から飛虎の練習の日々が始まった。自宅で復習をし、神幹から手技の細かい部分を聞いたりと研修が続いた。
そして今日はいよいよ課題の日。英吏がイけば飛虎は合格だ。

神幹は飛虎の骨や筋肉の知識、マッサージの基本的な技術のことは評価している。専門学校で習っているし本人も熱心だ。しかしそれは性感マッサージにも活かされることがある反面……



「効くぅぅ」

ぎゅっ、ぎゅっ

英吏がシャワーを浴びてビキニに着替えベッドに横たわっている。飛虎は背中の性感マッサージをしているつもりなのに、筋肉の凝りをほぐす"まともな"マッサージになってしまう。

「感じませんか?」

飛虎が英吏に問う。
「気持ちいいんだよ。でも何ていうか……感じないというか」

「そうですか……」
しゅんとしてしまう飛虎に慌てて英吏がフォローするが、肩こりが良くなったよ、体が軽くなる、といったフォローになっていないものだ。

そばで見ていた神幹がふぅぅと大きくため息をついたことが飛虎は分かった。
(あぁ、全然ダメだ。これじゃ不合格だ……)


「一度休憩しよう。本島さん、起き上がっていいよ」
神幹はこのままでは埒があかないといったん休憩を挟むことにした。ベッドにうつ伏せになっていた英吏は起き上がり、手渡されたバスローブを羽織る。

「すみません……」
飛虎は俯いている。

「いいよ、こういうのは雰囲気もあるし。一度温かいドリンクで体を温めよう。飛虎君、お湯沸かしてきて」

「はい……」




簡易キッチンでお湯を沸かし、神幹に指示されたお茶の葉を使う。あまり広くないキッチンの棚には異様なほど茶葉の瓶が並ぶ。
トレーにのせてマッサージルームに戻る。すると、むわっと部屋に香りが立ち込めていることに気づいた。

「いい香りだろ?」

「この香り……ジャスミンですか?」

「詳しいね、そうだよ。色々種類はあるけど、本島さんの好きな香りだからこれにした。さぁお茶を」

ベッドに座っていい香りだとリラックスしている英吏にお茶を勧める。
「ありがとう。……すぅ……これも、凄く好きな香り。いただきます」

ごく、ごく

「ふぅぅ。温かい」
英吏はゆっくりと味わいながらお茶を飲む。

「飛虎君、こちらへ」
神幹はマッサージルームの一角にあるオイルの棚に飛虎を呼んだ。そしてお茶の葉と同じかそれ以上に多いオイルの瓶の中から一つを取り出して蓋を開けた。
「かいで」

「……好きな香りです」

「じゃあこれにしよう。手首を出して」

オイルが飛虎の両手首に少量つけられた。そして軽くこすり合わせて手首全体に行きわたせた。
「なに、おまじないみたいなんものだよ。大丈夫、君は筋がいいからきっと上手くやれる。期待してるよ」


英吏がお茶を飲み干したところで、マッサージは再開した。


◆◆◆◆


マッサージルームにジャスミンのセクシュアルな香りが立ち込めるなか、英吏の柔らかなラインを描く腰が撫でられる。

「ん……」

先程まで飛虎の手は、課題に合格しなければという緊張もあって冷たかった。しかし今は熱いほどでその熱が英吏にも伝わる。
部屋に充満する香りや自身の手首のオイルの香りに体の緊張がほぐれた。そのおかげで自分の手技の精度を上げるだけでなく、英吏の様子を敏感に感じ取れ始めた。

神幹に教わった通りの手順や手の使い方を忠実に再現し、英吏に性感マッサージを施す。

「ふぅっ……あっ」

「ここ……ですか?」
英吏がわずかに反応した箇所を、更にゆっくり撫でる。触れるか触れないかの撫で方はまさしく神幹が見本で見せたような撫で方だ。

「あぁう……」

そのまま飛虎は続ける。

「ふぅぅ、……、あぁぁ、……ああっん」

近くの椅子に座っている神幹が英吏に問いかける。
「どんな具合だい?」

「ふぅぅ……、ぞくぞく……します」

「いいね、飛虎君続けて」

飛虎はこくりとうなずき、手順通りに横乳と、背中の際を指で撫でる。産毛を撫でるような絶妙なコントロール。

「ぁぁ、ぅぅぅ………っ」

英吏の腰がくねくねと動く。その動きにも合わせながら腋の下から横乳を指がたどると、「ふぅぁぁぁぁ……」と喘ぎ声があがる。

「脚を開いてもらってごらん」

「はい」
飛虎は背中を撫でていた手を離し、英吏の脚をすっとずらす。力が抜けている脚は簡単に動いた。

「あぁぅ、はぁぅ……」

神幹が立ち上がって英吏の様子、すなわち背中の性感マッサージで恥部が濡れ始めたかを確認する。すると、ほんの少し、うっすらとビキニパンツに染みができている。


「よし。まずは背中、合格」
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