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5.水面下の攻防 ❤︎
しおりを挟む水川が不敵な笑みを浮かべている。
こ、こわい……っ
「温子さん、僕いつも職場の先輩である貴女に対して失礼な言動していますよね」
やけに職場の先輩という言葉に棘を感じるが…
「そんなことないよ!むしろ私の方が先輩として何もできてないから」
「いつも僕は温子さんの分かりやすい資料に助けられていますよ。だから今日はお詫びとお礼も兼ねて…………揉ませて下さい」
揉む!?もしかして胸!?おっぱい!?
さすがに駄目だって!そんな急に!心の準備がっ!
いや準備云々じゃなくて!
そんな易々と「うん、優しく揉んでね?」なんて言えるか!
思わず胸の前で腕をクロスさせ防御する。
「ふふ、どこを揉むと思っているのかは知りませんが、肩を揉ませてもらえますか?」
「……え?……肩?」
「はい。肩凝ってるでしょう、毎日パソコンやら研究機器使っていると」
なんだ肩か。ちょっと残念……って違う違う。
「そりゃ凝ってるけど」
「じゃあ問題ありませんね、こっちへ来てください」
するとこちらが返事をする前に、水川は湯の中で私の腰を探り当て手を添えた。
「ひゃっっ」
「くすぐったかったですか?やりやすいようにあっちを向いて。よっと、ほらここに座って」
腰を掴まれ、あれよあれよと言う間に水川の左右の脚の中にすっぽりと体を入れられ、彼に背を向けた形で座らされた。
「ちょっと、他にもお客さんいるのに変な目で見られる!」
他のお客さんとは距離があり、湯気であまり見えないとはいえ気になる。
「ただ単に、いつもお世話になっている会社の先輩の肩を揉むだけなんですから変じゃないですよ。胸を揉むわけじゃないんだから」
私の背中は、後ろにいる水川とは触れるか触れないかの距離の中、両脚でしっかりと体を挟まれている。脚が長いからって、こいつっ!
腰にあった手がぬるりと上に動く。
「ふぁっっ」
大きく熱い手が両肩に置かれる。
元々私は水川の手が好きなこともあり、ぐっぐっと揉まれるともう反抗できなくなった。
◆◆◆
「だいぶ凝ってますね」
「あっ気持ちいい」
「目を瞑っててもいいですよ」
「ん」
緊張していたのは束の間、気持ち良さに体の力が抜けた。
頭と首の境目をほぐされ、肩の端っこまで丹念に揉み上げいく。
「うまいね」
「ありがとうございます。もっと気持ちよくなって下さいね」
ぐっ
ぐっ
肩を揉んでいる手が少し前の方に移動した。揉むたびに皮膚が引っ張られ、胸が上下する。
たゆん、たゆん。
白濁の湯だから胸が見えることはないが、胸の上下に合わせてお湯が動くのが恥ずかしい。
胸の動きはどんどん増していく。
たゆん、たゆん。
あぁ、揉まれているのは肩なのに、胸を揉まれている感覚っ
「水川くん、もうそろそろいいから」
「なんでです?気持ちいいでしょう?」
「そうだけど…あっ」
ジリジリと前のほうに指が移動してくる。それに伴い更に胸の揺れが大きくなってきた。
あぁっもう、デコルテというよりほぼ胸の上の部分にまで指が届いている。これ以上皮膚を持ち上げられると、胸の先端が見えてしまいそうだ。
そして水川の指に一際力が入り……
ぐっっと皮膚が持ち上がる。
あっやだ今見えたっ
「やん」
そして指が離されると
たぽんっ
胸が大きく揺れる。水面も大きく波立つ。
「や、みずかわっ。もうやめてって」
「肩を揉んでるだけですけど何をやめて欲しいんですか?温子さんは、胸、大きいから余計に肩が凝っているようだし」
ふふっと笑いながら、胸の方もほぐしましょうかと聞いてくる。
白々しいっ!こんの水川!いや、エロ川!!
「もうそこは揉まなくていいから!」
「はいはい。じゃあ違うところにしますね」
肩から手が離れ、ほっとする。
すると次は二の腕を揉み始めた。
全然筋肉のない二の腕はコンプレックスなのに!
「いいっ、いいってば。凝ってないからそこ」
「でもいつもキーボード使ってるから腕も知らないうちに凝っていますよ」
ぎゅっ、ぎゅっ
揉む手はリズミカルに二の腕から肘、肘から手首までを揉んでいく。
うう、気持ちいいのが悔しい。水川の手は力強さと繊細さを兼ね備えている。
そして次は揉む動作から、ゆっくりと摩る動きに変わる。ぬるりぬるりと、微妙な力加減で肌の上を這う。
「ふはぁん」
腕を水川の手から離そうとするが、逃してくれない。
腕に触られているだけなのに、こんなに感じちゃうなんて。快感は逃げ場も無く、体の中で増えるばかり。
「やっ、それ、ふぁぁ」
「温子さん、腰が動いていますが大丈夫ですか?」
大丈夫じゃないっ
「もういいって、ひゃん」
腕を這う手が一瞬、乳首の横をかすめた。ピクンと体が跳ねる。
わざと?たまたま?
見えない水面下で、胸や、違うところも触られるかもしれない緊張が体を強張らせる。そして少しの期待が体の奥を濡らす。
二の腕から手首までの刺激が止んだ。
あ、良かった………と思う間も無く。
手をきゅっと握られる。
え?
指を絡ませてくる。
こ、これは、
指と指を絡めるいわゆる恋人つなぎ!
両手から電気のようなものが走る。
「んんっあ」
手を繋ぎながら私の肩に顔を乗せた水川は、耳元で口を動かす。
「温子さんの肌、すべすべして気持ち良いから手が離れたがらないんです」
「っ……!」
なに恥ずかしいこと言ってるのだこの男は!
「温子さんはどうですか?もうやめてほしい?」
囁かれた言葉に体が震える。
黙ったままの私に追い討ちをかけるように、水川の指が私の指の付け根をなぞる。
ぞわぞわ
私の意思とは関係なく背中が反り、水音がたつ。
あぁぁん、それすごく、感じるっ
愛撫のような指の動きは止まらない。指の付け根という、性器でも何でもない場所をなぞられているだけなのにっ
「ふぁっ、あんん」
「答えて下さい。ただの会社の後輩がこれ以上触るわけにはいきませんから、離れましょうか?」
水川の熱い手や、体を包み込まれる感覚が離れるのは寂しい。けれどこのままでは色々とまずい。
周りのお客さんのことはお構い無しに喘いでしまうっ
「あん、おねが、い、離れてっ」
「……はい」
水川は繋いでいた手をあっさりと離した。
「やっ……離さないでっ」
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