ミックスド★バス~ホテルのお風呂は非日常で

taki

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2.キス ❤︎

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お酒も進み饒舌になってきた頃、私は気になっていたことが口から出てきた。

「……ねえ、さっき色っぽいって言ったけどさぁ」

「え?あぁストッキングのですか」

「うん。でも実際のところ私って魅力がないからさ。水川くんだってそう思ってるでしょ?」
言いながら、こんなこと言ったら水川が困るのにと情けなくなるが口から出てしまう。

「なに言ってるんですか。なんでそう思うんです?」

「だって……キス、してくれないから」


ごほっごほっ

今度は水川が咳き込んだ。

「温子さん、何言って」

「だってそうじゃない。付き合う前は温泉でスキンシップすごくしてたのに、付き合ったら何かそういうの減ったし。キスもまだ一度もしてないから。

なんかね、付き合うんじゃなかったって思われてないかなって…」


「ちがっ!」
水川は勢いよく立ち上がったため、足湯のお湯が跳ねる。

そして私の横に来て座る。至近距離に思わず体を引こうとしたが、水川がそれを許さず、手を握られる。
ひーーっ近いっ

「付き合うんじゃなかったなんて思うわけ無いじゃないですか。僕から付き合って下さいって言ったのに。……キスももちろんしたいけど、我慢してるんです」

「我慢?なんで?」
そんなことしないでほしいのに。

「だって、その。今まで温泉で温子さんの体見たり触ったり、その僕のことも触ってもらったりしたじゃないですか。付き合ってもなかったのに」

「まぁ、たしかに」

「だから付き合ってからはゆっくり進めたいって思ったんです。性急な奴だと思われたく無かったし。佳津さんからもそう言われたから」

「佳津って…貴音?」
なんでここで貴音が出てくるんだ。

「佳津さんにちょっとバレてしまいまして。僕たちが混浴行ってること」



◆◆◆◆



「えええ!そうなの!?なんで?いつ!?」

「す、すみません。僕が温子さんと一緒に行った温泉のお土産のお煎餅渡したら、なんか気づかれたみたいで」

お土産のお煎餅……あぁあの温泉のか!私はハンドクリームを自分のお土産にしたけど、そう、そういえば貴音に「これ、この前行った温泉の成分が入ったハンドクリームなんだけど、すごく気に入ってるんだ」って喋った。

え、それだけで私達が温泉に一緒に行ったって気づいたの?怖いっ貴音っ

いや怖いのもだけど恥ずかしい!そうとは知らずに呑気にいつも通り貴音とランチしてたなんて。


「いやまぁ、佳津さんのおかげで告白する勇気も出たんですけど。その佳津さんが、アドバイスくれたんです」

「なんて?」

「佳津さん曰く、温子はがっつくタイプが嫌いだから気をつけさいって。温子さんと仲の良い佳津さんの言うことだから、ちゃんとアドバイス通りにしようって」

「そうだったんだ…」
そんなこと考えてくれてたなんて。



ほっとして軽く息を吐く。すると握られていた手に力が込められ、上目遣いで顔を覗き込まれる。

「もちろん僕は温子さんの柔らかそうな唇の感触を味わってみたいですけど」

「その言い方っ、恥ずかしい…っ」
顔が自分でも赤くなるのが分かる。

「あとは温泉で触らせてもらったところをまた触らせてもらいたいとか、温子さんが気持ち良くなったらどんな声なんだろうとか考えてます。さっきのストッキング脱ぎ出したときなんて、温泉で脚を絡ませたときのことを思い出しましたよ。………ほら、引くでしょう?」

「引くっていうか、そんなこと考えてたの!?本当に?」
涼しい顔をして!

「隠さないとまた嫌われると思って頑張ってたら、温子さんが自分には魅力が無い~とかなんとか言いだすから驚きました」

「ううう、そりゃあ恥ずかしいけど、水川くんにそう思ってもらえたのは嬉しい…かも」


すると、水川が更に距離を詰め、頬に手を添えられる。
私の顔の熱さがバレてしまいそうだ。

「温子さん、目つむってもらっていいですか?」


私は軽く目を閉じる。
顎に手をかけられ、上を向かせられる。
水川が近づいてくるのが目をつむっていても感じる。







水川との初めてのキスは足湯の熱さよりも熱く感じた。



キスを何度かする。

最初は軽いものだったが、だんだんとキスの時間が長くなり苦しくなってきた。

ちゅっ
ちゅぷ

「んんん」

軽く水川の肩を押す。
はぁはぁ

「がっついちゃいました」

「ううん」

私は頭がポーッとしながら、決して嫌じゃなかったと伝えたくて頭を左右に振る。

念願の水川とのキスができて、そして私に魅力が無かったからではなく、大切に思ってくれたからだと知って嬉しさで身体中が満たされる。



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