ミックスド★バス~注文の多いラブホテル~

taki

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土曜 洗ってください

別室にて待機

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ドアを開けて入った部屋は……


ゆったりしたソファ、壁にかかる薄型テレビ、そして何種類かの飲み物が選べるドリンクバー、雑誌……というくつろげそうな部屋だった。

先に右側のドアから入った温子さんがいる形跡はなく別の部屋にいることが分かる。早く合流したくて更にドアがないか探す。すると部屋の奥まったところにまたドアがあった。

しかしドアノブを回してもガチャガチャと音が鳴るばかりで開かない。そしてこの部屋に入ってきたドアからもう一度出てみようとするが開かなくなっている。

大きめの声で温子さんを呼ぶが反応なし。そしてスマートフォンで温子さんに連絡を取ろうとしたが、通信状況が悪い部屋のようで反応がない。



「ここで待てってことか」

ポスン

ソファにふぅと息をつきながら座る。

しばらくこの部屋で過ごしておけばそのうちドアが開くだろう。このホテルの奇妙さに慣れてしまい、本来なら焦らないといけない状況なのに"注文"通りに待とうと思う。

ソファのすぐ側にあるローテーブルにはテレビのリモコンがあり、電源をつける。

ピっとボタンを押すと、真っ暗だった画面が明るくなる。夜のニュース番組でもとチャンネルを押そうとするが、表示された画面が普通のテレビと違う。


「選択してください……?」


テレビ画面に表示されたのは、

-----------------------
【選択してください】
      泡 or オイル
----------------------

「なんだこれ」

選択しろって、カラオケ店のこういうテレビ画面なら注文する料理や飲み物選択なら分かるが、泡とオイルって何の話だ。変なボタンでも押してしまったかと、改めてリモコンを見て適当なチャンネルの番号を押してみる。

するとピコンと音が鳴り、画面には「泡のご選択ありがとうございます」の表示が出た。

「え?別に選んでないのに」

すると画面がプツンと消え、また真っ暗な画面に戻った。もう一度電源を入れようとしてもうんともすんとも言わない。
別に何がなんでもテレビ番組を見たいわけでもないからもう諦めよう。

雑誌でも読むか……と手に取りページを開く。旅行雑誌で特集内容が面白く、読み入る。



◆◆◆◆



この部屋に入って1時間ほど経っただろうか。用意されていた何冊かの雑誌も読み切って手持ち無沙汰になってきた。部屋の物色でもまたしようかとソファから立ち上がる。

するとちょうどそのタイミングでまたテレビがパッと付く。

びくっと情けなく体が跳ねてしまった。

画面には「注意事項」と表示されている。何の注意事項だと思いながら読む。


なになに、
・お客様からのキャストへの接触は厳禁です
・キャストの指示に従って下さい


キャストってここのホテルの従業員のことを言っているのか?といってもこのホテルは無人受付だ。だいたいホテルの従業員のことをキャストなんて言うだろうか。

読み終わったところで画面の表示が変わる。

「準備ができました。ご案内いたします」
と表示されて、部屋の奥のドアがガチャリと音を立てた。

次の部屋に行けということか。注意事項の意味はよく分からなかったが、次の部屋で温子さんと合流できるようにと願いながらまたドアを開けた。

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