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木曜 運動してください
体育の時間
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<水川視点>
木曜。
温子さんにラブホに行きたいと言われて、月曜からずっとラブホ通い。そして今夜も行く。今朝チェックアウトした時に、また新たな部屋に入るための番号が書かれたメモを手に入れた。
あぁなんて爛れた一週間。もちろんこれは称賛だ。温子さんの体力だけが心配だが頑張ってもらいたい。昨夜はいい感じのところまできて、よしここからというところで温子さんは寝てしまった。
さて今日は外回りはなく溜まった書類の処理や経費精算だ。
先程経理部の近くを通った時に佳津さんにばったり会った。佳津さんは温子さんの同期でとても仲が良いようだ。社内ではおそらく唯一僕たちが付き合っていることを知る人。温子さんの上司である室長も感づいているかもしれないが。
「……なんだか……良いことあった?」
会った途端に佳津さんに問いかけられた。
「お疲れ様です。良いこと……ですか」
「なんとなくだけど、やる気に満ち溢れているというか」
やる気、やる気。今週は仕事というより温子さんのことでやる気は溢れているが、まさか顔に出ているのか。
「それはありがとうございます。仕事頑張ります」
適当にごまかしてすぐさま自分の部署へと帰る。温子さんのお願いとはいえラブホに連日通ってますと言ったら何と言われるか恐ろしい。もちろん断じて温子さんを傷つけるような悪いことはしてないが、この状況に役得があるから問い詰められると目が泳ぎそうだ。
夜になり、温子さんと合流。ホテル街を進み、ホテル・ホットスプリングへ到着。
「今日はどんな温泉なんだろう」
「楽しみですね」
部屋を選択するタッチパネルで今日の番号の【411223】を入力するとピコン!と音が鳴る。そしてガコンっ!と鈍い音が響き、鍵の受け取り口から鍵を取る。
さてさて、今夜はどんな部屋か。
部屋の前に着き鍵を差し入れる。
ドアを開けるとそこには………
「「跳び箱……!」」
目の前にドンと構える跳び箱に圧倒される。跳び箱なんて最後に見たのはいつかなのか思い出せないほど久しく見ていない。
「懐かしい!」
跳び箱をパシパシと叩きながら「苦手だったんだ~」と笑う温子さん。
跳び箱ってこんなのだったか……?
違和感があり近づいてみると、なるほど、普通の目的のとび箱ではないようだと分かる。
まずここにある物にはジャンプのための踏切板がない。その代わりに足をかけるための簡易な踏み台がついている。この踏み台を使って乗るようだ。
そして一段目の白いクッション部分が広いように思う。
ラブホにあるということも鑑みると、跳び箱の上でいちゃいちゃするのが目的のものだろう。
なんて趣味の良い……ごほん。
部屋の中には跳び箱と、あとは保健室にあるようなスチールベッド。これもシングルサイズではなくダブルサイズなところがラブホだ。
「温泉はどこかな~」
部屋の奥に扉があり、おそらくそこが風呂場かと2人で見に行く。
ガチャ……
「ん?」
「シャワー……だけ?」
ドアを開けるとそこにはシャワールームだけ。しかも1人用のようで狭い。
そしてバスタブが無いのだ。部屋の他のドアを開けてみてもそこはトイレで、この部屋にはシャワーだけしか無い。
「シャワーから温泉が出るってことかな」
「そうかもしれませんね」
シャワーの水量や温度を調節するハンドル部分を見てみる。
そこには普通のお湯と温泉を切り替えるためのハンドルがあった。
「試しに温泉出してみましょう」
温泉が出るようにハンドルを切り替えて出してみる。
キュッ
シャーーーー
シャーーーー
勢いよく出てきたがしばらくしても湯気が立たない。触ると冷たい水だ。
「やっぱり」
「さて、今日のご注文は何でしょうか」
温子さんと目が合い苦笑する。やはりこの部屋も何かに着替えないと温泉は楽しめないのだろう。
この部屋のコンセプトは明らかで、そのコンセプトに合う服を探す。
それはこの部屋の入口付近の棚で見つかった。
広げてみると僕の体格に合いそうな有名スポーツブランドのジャージの上下。
そして……
「ブルマ……っ」
温子さんの顔がほのかに赤らむ。
紺色のブルマ、そして白い丸首のTシャツだった。
木曜。
温子さんにラブホに行きたいと言われて、月曜からずっとラブホ通い。そして今夜も行く。今朝チェックアウトした時に、また新たな部屋に入るための番号が書かれたメモを手に入れた。
あぁなんて爛れた一週間。もちろんこれは称賛だ。温子さんの体力だけが心配だが頑張ってもらいたい。昨夜はいい感じのところまできて、よしここからというところで温子さんは寝てしまった。
さて今日は外回りはなく溜まった書類の処理や経費精算だ。
先程経理部の近くを通った時に佳津さんにばったり会った。佳津さんは温子さんの同期でとても仲が良いようだ。社内ではおそらく唯一僕たちが付き合っていることを知る人。温子さんの上司である室長も感づいているかもしれないが。
「……なんだか……良いことあった?」
会った途端に佳津さんに問いかけられた。
「お疲れ様です。良いこと……ですか」
「なんとなくだけど、やる気に満ち溢れているというか」
やる気、やる気。今週は仕事というより温子さんのことでやる気は溢れているが、まさか顔に出ているのか。
「それはありがとうございます。仕事頑張ります」
適当にごまかしてすぐさま自分の部署へと帰る。温子さんのお願いとはいえラブホに連日通ってますと言ったら何と言われるか恐ろしい。もちろん断じて温子さんを傷つけるような悪いことはしてないが、この状況に役得があるから問い詰められると目が泳ぎそうだ。
夜になり、温子さんと合流。ホテル街を進み、ホテル・ホットスプリングへ到着。
「今日はどんな温泉なんだろう」
「楽しみですね」
部屋を選択するタッチパネルで今日の番号の【411223】を入力するとピコン!と音が鳴る。そしてガコンっ!と鈍い音が響き、鍵の受け取り口から鍵を取る。
さてさて、今夜はどんな部屋か。
部屋の前に着き鍵を差し入れる。
ドアを開けるとそこには………
「「跳び箱……!」」
目の前にドンと構える跳び箱に圧倒される。跳び箱なんて最後に見たのはいつかなのか思い出せないほど久しく見ていない。
「懐かしい!」
跳び箱をパシパシと叩きながら「苦手だったんだ~」と笑う温子さん。
跳び箱ってこんなのだったか……?
違和感があり近づいてみると、なるほど、普通の目的のとび箱ではないようだと分かる。
まずここにある物にはジャンプのための踏切板がない。その代わりに足をかけるための簡易な踏み台がついている。この踏み台を使って乗るようだ。
そして一段目の白いクッション部分が広いように思う。
ラブホにあるということも鑑みると、跳び箱の上でいちゃいちゃするのが目的のものだろう。
なんて趣味の良い……ごほん。
部屋の中には跳び箱と、あとは保健室にあるようなスチールベッド。これもシングルサイズではなくダブルサイズなところがラブホだ。
「温泉はどこかな~」
部屋の奥に扉があり、おそらくそこが風呂場かと2人で見に行く。
ガチャ……
「ん?」
「シャワー……だけ?」
ドアを開けるとそこにはシャワールームだけ。しかも1人用のようで狭い。
そしてバスタブが無いのだ。部屋の他のドアを開けてみてもそこはトイレで、この部屋にはシャワーだけしか無い。
「シャワーから温泉が出るってことかな」
「そうかもしれませんね」
シャワーの水量や温度を調節するハンドル部分を見てみる。
そこには普通のお湯と温泉を切り替えるためのハンドルがあった。
「試しに温泉出してみましょう」
温泉が出るようにハンドルを切り替えて出してみる。
キュッ
シャーーーー
シャーーーー
勢いよく出てきたがしばらくしても湯気が立たない。触ると冷たい水だ。
「やっぱり」
「さて、今日のご注文は何でしょうか」
温子さんと目が合い苦笑する。やはりこの部屋も何かに着替えないと温泉は楽しめないのだろう。
この部屋のコンセプトは明らかで、そのコンセプトに合う服を探す。
それはこの部屋の入口付近の棚で見つかった。
広げてみると僕の体格に合いそうな有名スポーツブランドのジャージの上下。
そして……
「ブルマ……っ」
温子さんの顔がほのかに赤らむ。
紺色のブルマ、そして白い丸首のTシャツだった。
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