ミックスド★バス~注文の多いラブホテル~

taki

文字の大きさ
上 下
14 / 31
木曜 運動してください

体育の時間

しおりを挟む
<水川視点>


木曜。


温子さんにラブホに行きたいと言われて、月曜からずっとラブホ通い。そして今夜も行く。今朝チェックアウトした時に、また新たな部屋に入るための番号が書かれたメモを手に入れた。

あぁなんて爛れた一週間。もちろんこれは称賛だ。温子さんの体力だけが心配だが頑張ってもらいたい。昨夜はいい感じのところまできて、よしここからというところで温子さんは寝てしまった。

さて今日は外回りはなく溜まった書類の処理や経費精算だ。

先程経理部の近くを通った時に佳津さんにばったり会った。佳津さんは温子さんの同期でとても仲が良いようだ。社内ではおそらく唯一僕たちが付き合っていることを知る人。温子さんの上司である室長も感づいているかもしれないが。



「……なんだか……良いことあった?」

会った途端に佳津さんに問いかけられた。


「お疲れ様です。良いこと……ですか」

「なんとなくだけど、やる気に満ち溢れているというか」



やる気、やる気。今週は仕事というより温子さんのことでやる気は溢れているが、まさか顔に出ているのか。

「それはありがとうございます。仕事頑張ります」

適当にごまかしてすぐさま自分の部署へと帰る。温子さんのお願いとはいえラブホに連日通ってますと言ったら何と言われるか恐ろしい。もちろん断じて温子さんを傷つけるような悪いことはしてないが、この状況に役得があるから問い詰められると目が泳ぎそうだ。





夜になり、温子さんと合流。ホテル街を進み、ホテル・ホットスプリングへ到着。

「今日はどんな温泉なんだろう」

「楽しみですね」

部屋を選択するタッチパネルで今日の番号の【411223】を入力するとピコン!と音が鳴る。そしてガコンっ!と鈍い音が響き、鍵の受け取り口から鍵を取る。

さてさて、今夜はどんな部屋か。
部屋の前に着き鍵を差し入れる。





ドアを開けるとそこには………






「「跳び箱……!」」



目の前にドンと構える跳び箱に圧倒される。跳び箱なんて最後に見たのはいつかなのか思い出せないほど久しく見ていない。

「懐かしい!」

跳び箱をパシパシと叩きながら「苦手だったんだ~」と笑う温子さん。



跳び箱ってこんなのだったか……?

違和感があり近づいてみると、なるほど、普通の目的のとび箱ではないようだと分かる。

まずここにある物にはジャンプのための踏切板がない。その代わりに足をかけるための簡易な踏み台がついている。この踏み台を使って乗るようだ。
そして一段目の白いクッション部分が広いように思う。
ラブホにあるということも鑑みると、跳び箱の上でいちゃいちゃするのが目的のものだろう。

なんて趣味の良い……ごほん。



部屋の中には跳び箱と、あとは保健室にあるようなスチールベッド。これもシングルサイズではなくダブルサイズなところがラブホだ。



「温泉はどこかな~」

部屋の奥に扉があり、おそらくそこが風呂場かと2人で見に行く。

ガチャ……



「ん?」

「シャワー……だけ?」

ドアを開けるとそこにはシャワールームだけ。しかも1人用のようで狭い。
そしてバスタブが無いのだ。部屋の他のドアを開けてみてもそこはトイレで、この部屋にはシャワーだけしか無い。

「シャワーから温泉が出るってことかな」

「そうかもしれませんね」
シャワーの水量や温度を調節するハンドル部分を見てみる。
そこには普通のお湯と温泉を切り替えるためのハンドルがあった。

「試しに温泉出してみましょう」




温泉が出るようにハンドルを切り替えて出してみる。


キュッ

シャーーーー
シャーーーー


勢いよく出てきたがしばらくしても湯気が立たない。触ると冷たい水だ。

「やっぱり」

「さて、今日のご注文は何でしょうか」
温子さんと目が合い苦笑する。やはりこの部屋も何かに着替えないと温泉は楽しめないのだろう。

この部屋のコンセプトは明らかで、そのコンセプトに合う服を探す。



それはこの部屋の入口付近の棚で見つかった。

広げてみると僕の体格に合いそうな有名スポーツブランドのジャージの上下。

そして……


「ブルマ……っ」
温子さんの顔がほのかに赤らむ。

紺色のブルマ、そして白い丸首のTシャツだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

溺愛社長の欲求からは逃れられない

鳴宮鶉子
恋愛
溺愛社長の欲求からは逃れられない

元彼にハメ婚させられちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
元彼にハメ婚させられちゃいました

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

処理中です...