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おまけ

お届け物です

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とある日のランチタイム。

同期入社で友人の貴音たかねと行くのは会社から少し離れたところにあるカフェ。日替わりランチが配膳され美味しく頂く。


「すみませーん」

はい!と明るい声と共に店員さんが来てくれる。
「コーヒー2つお願いします」
日替わりランチには食後の飲み物も付いていてお得。



湯気の立つコーヒーを一口すする。午後は会議だ。眠気を覚ましておかないと。


「で?最近はどうなの?」

「何が?」

「水川君と。仲良くしてんの?」

貴音は心配しているようではなく、何か面白い話を聞かせてというように、ねぇねぇとニコニコしている。
「仲は良いかな…多分」

「多分って何よ」
何それとケラケラ笑う貴音。

「別に喧嘩とかも無いし私としては凄く楽しいんだけど。水川くん的にはどうなのかは不安になっちゃうかな」
最近思っていたことが口からぽろりとこぼれる。

「ふーん。じゃあさぁ、今週のアムアムの特別号知ってる?」

「特別号?知らない」
急に話題にあがったアムアムは有名女性誌でキワドイ内容もあることで有名だ。

「検索してよ」

スマートフォンを取り出し検索をかけると、肌色多めの雑誌表紙が画面に表示された。後ろのお客さんに見られないようにしないと。

特別号の謳い文句は

❤︎愛のバスタイムマニュアル❤︎ ~積極的になりたい貴女へ~


なんというタイトルだ。

「DVDも付いてるんだって。水川君と観たら?もっと仲良く、なれるかもよ」

「何バカなこと言ってんのよ」
ズズとコーヒーをすする。

「じゃあ私からの早めの誕生日プレゼントにしてあげる」

貴音は自分のスマートフォンを取り出し、どうやらAmazOnで注文を掛けているようだ。

「いい、いいってば。そんなの恥ずかしいよ」

冗談だと思っていたが貴音はささっと注文を進めているようだ。スマートフォンを取り上げようと手を伸ばすが……
「ポチっとね。はい、送り先は温子の住所にしたから。いま欠品中みたいだからいつ届くかは分からないけど楽しみにしててね」

「もう~」
雑誌の金額なんてしれているし、貴音なりのシャレということでキャンセルもさせずにその日のランチタイムは終了した。




◆◆◆◆



そんな会話をしたこともすっかり忘れた頃。


本日は土曜。日中は水川とお出かけをしてちょっと良いお店で夕飯も楽しんだ。

私の部屋からも近いお店だったし、「うち、寄っていく?」と軽い気持ちで誘うと「はい!!」と凄く嬉しそうな返事がきた。

そしてリビングでお茶を飲んでまったりしていると、水川から「今日は泊まっても?」と上目遣いでの問いかけ。

うん、と答えるとまたも嬉しそうな顔をした水川。こっちが恥ずかしくなる!私も顔が赤くなる。





バスタブを洗っていなかったことを思い出す。お客様である水川にはリビングで待つように伝えて私はバスタブを洗い始める。



その時…

ピンポーン
「荷物のお届けでーす」

あぁタイミング悪いな。けど仕方ないと手に持っていたブラシと洗剤を戻そうとすると水川から「僕が出ましょうか?」との提案。

別に見られてまずいものなんて届かないしお願いしてしまおう。

「ごめん、お願い」

はーいと代わりにサインをして受け取ってくれた。




「Amaz〇nからですよ」

あ!昨日入浴剤を注文したからそれだ。珍しい原料でできた入浴剤を見つけて、水川にもお裾分けしようと思っていた。
翌日指定はしていないのにあまりに早い到着。でも早いに越したことはない。

バスルームからリビングに声をかける。
「多分水川くんも喜ぶものだと思うから開けていいよ」

「なんだろ、じゃあ開けますね」
ガサガサ、ガサガサ、ガサガサ




無言のリビング。

あれ?何か変なものでも入っていたかなと思い、リビングに顔を出す。


水川がこちらに向けたのは注文した入浴剤ではなく、雑誌。嫌な予感が…

そしてその雑誌にはデカデカと


アムアム特別号 ❤︎愛のバスタイムマニュアル❤︎~積極的になりたい貴女へ~






ぎゃーーーーーー!



「温子さんがこういうの注文してくれるなんて嬉しいな。あ、DVDも付いてる。そうだ、バスルームのテレビでDVDも見れるんでしたね。せっかくだから一緒にお風呂で見ましょうか」





それからバスルームへ連行され、愛のバスタイムマニュアルに沿って色々して、貴音が注文したという事情を聞いてもらえたのは翌日になってからだった。







おまけのおまけ



「あれ水川君?精算漏れ?」
経理のフロアに現れた珍しいお客に貴音が声を掛ける。

「雑誌のお礼です」
ニコニコした水川は、滅多に手に入らないことで有名な菓子店の季節限定詰め合わせを貴音に渡して去っていった。




「雑誌…………?あぁ。なんだ仲良くしてるじゃない」

雑誌の代金がこんな高い物として返ってくるなんて。また温子に何か贈ろうと企む貴音であった。






end(あとがきへ)

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