13 / 14
おまけ
お届け物です
しおりを挟む
とある日のランチタイム。
同期入社で友人の貴音と行くのは会社から少し離れたところにあるカフェ。日替わりランチが配膳され美味しく頂く。
「すみませーん」
はい!と明るい声と共に店員さんが来てくれる。
「コーヒー2つお願いします」
日替わりランチには食後の飲み物も付いていてお得。
湯気の立つコーヒーを一口すする。午後は会議だ。眠気を覚ましておかないと。
「で?最近はどうなの?」
「何が?」
「水川君と。仲良くしてんの?」
貴音は心配しているようではなく、何か面白い話を聞かせてというように、ねぇねぇとニコニコしている。
「仲は良いかな…多分」
「多分って何よ」
何それとケラケラ笑う貴音。
「別に喧嘩とかも無いし私としては凄く楽しいんだけど。水川くん的にはどうなのかは不安になっちゃうかな」
最近思っていたことが口からぽろりとこぼれる。
「ふーん。じゃあさぁ、今週のアムアムの特別号知ってる?」
「特別号?知らない」
急に話題にあがったアムアムは有名女性誌でキワドイ内容もあることで有名だ。
「検索してよ」
スマートフォンを取り出し検索をかけると、肌色多めの雑誌表紙が画面に表示された。後ろのお客さんに見られないようにしないと。
特別号の謳い文句は
❤︎愛のバスタイムマニュアル❤︎ ~積極的になりたい貴女へ~
なんというタイトルだ。
「DVDも付いてるんだって。水川君と観たら?もっと仲良く、なれるかもよ」
「何バカなこと言ってんのよ」
ズズとコーヒーをすする。
「じゃあ私からの早めの誕生日プレゼントにしてあげる」
貴音は自分のスマートフォンを取り出し、どうやらAmazOnで注文を掛けているようだ。
「いい、いいってば。そんなの恥ずかしいよ」
冗談だと思っていたが貴音はささっと注文を進めているようだ。スマートフォンを取り上げようと手を伸ばすが……
「ポチっとね。はい、送り先は温子の住所にしたから。いま欠品中みたいだからいつ届くかは分からないけど楽しみにしててね」
「もう~」
雑誌の金額なんてしれているし、貴音なりのシャレということでキャンセルもさせずにその日のランチタイムは終了した。
◆◆◆◆
そんな会話をしたこともすっかり忘れた頃。
本日は土曜。日中は水川とお出かけをしてちょっと良いお店で夕飯も楽しんだ。
私の部屋からも近いお店だったし、「うち、寄っていく?」と軽い気持ちで誘うと「はい!!」と凄く嬉しそうな返事がきた。
そしてリビングでお茶を飲んでまったりしていると、水川から「今日は泊まっても?」と上目遣いでの問いかけ。
うん、と答えるとまたも嬉しそうな顔をした水川。こっちが恥ずかしくなる!私も顔が赤くなる。
バスタブを洗っていなかったことを思い出す。お客様である水川にはリビングで待つように伝えて私はバスタブを洗い始める。
その時…
ピンポーン
「荷物のお届けでーす」
あぁタイミング悪いな。けど仕方ないと手に持っていたブラシと洗剤を戻そうとすると水川から「僕が出ましょうか?」との提案。
別に見られてまずいものなんて届かないしお願いしてしまおう。
「ごめん、お願い」
はーいと代わりにサインをして受け取ってくれた。
「Amaz〇nからですよ」
あ!昨日入浴剤を注文したからそれだ。珍しい原料でできた入浴剤を見つけて、水川にもお裾分けしようと思っていた。
翌日指定はしていないのにあまりに早い到着。でも早いに越したことはない。
バスルームからリビングに声をかける。
「多分水川くんも喜ぶものだと思うから開けていいよ」
「なんだろ、じゃあ開けますね」
ガサガサ、ガサガサ、ガサガサ
無言のリビング。
あれ?何か変なものでも入っていたかなと思い、リビングに顔を出す。
水川がこちらに向けたのは注文した入浴剤ではなく、雑誌。嫌な予感が…
そしてその雑誌にはデカデカと
アムアム特別号 ❤︎愛のバスタイムマニュアル❤︎~積極的になりたい貴女へ~
ぎゃーーーーーー!
「温子さんがこういうの注文してくれるなんて嬉しいな。あ、DVDも付いてる。そうだ、バスルームのテレビでDVDも見れるんでしたね。せっかくだから一緒にお風呂で見ましょうか」
それからバスルームへ連行され、愛のバスタイムマニュアルに沿って色々して、貴音が注文したという事情を聞いてもらえたのは翌日になってからだった。
おまけのおまけ
「あれ水川君?精算漏れ?」
経理のフロアに現れた珍しいお客に貴音が声を掛ける。
「雑誌のお礼です」
ニコニコした水川は、滅多に手に入らないことで有名な菓子店の季節限定詰め合わせを貴音に渡して去っていった。
「雑誌…………?あぁ。なんだ仲良くしてるじゃない」
雑誌の代金がこんな高い物として返ってくるなんて。また温子に何か贈ろうと企む貴音であった。
end(あとがきへ)
同期入社で友人の貴音と行くのは会社から少し離れたところにあるカフェ。日替わりランチが配膳され美味しく頂く。
「すみませーん」
はい!と明るい声と共に店員さんが来てくれる。
「コーヒー2つお願いします」
日替わりランチには食後の飲み物も付いていてお得。
湯気の立つコーヒーを一口すする。午後は会議だ。眠気を覚ましておかないと。
「で?最近はどうなの?」
「何が?」
「水川君と。仲良くしてんの?」
貴音は心配しているようではなく、何か面白い話を聞かせてというように、ねぇねぇとニコニコしている。
「仲は良いかな…多分」
「多分って何よ」
何それとケラケラ笑う貴音。
「別に喧嘩とかも無いし私としては凄く楽しいんだけど。水川くん的にはどうなのかは不安になっちゃうかな」
最近思っていたことが口からぽろりとこぼれる。
「ふーん。じゃあさぁ、今週のアムアムの特別号知ってる?」
「特別号?知らない」
急に話題にあがったアムアムは有名女性誌でキワドイ内容もあることで有名だ。
「検索してよ」
スマートフォンを取り出し検索をかけると、肌色多めの雑誌表紙が画面に表示された。後ろのお客さんに見られないようにしないと。
特別号の謳い文句は
❤︎愛のバスタイムマニュアル❤︎ ~積極的になりたい貴女へ~
なんというタイトルだ。
「DVDも付いてるんだって。水川君と観たら?もっと仲良く、なれるかもよ」
「何バカなこと言ってんのよ」
ズズとコーヒーをすする。
「じゃあ私からの早めの誕生日プレゼントにしてあげる」
貴音は自分のスマートフォンを取り出し、どうやらAmazOnで注文を掛けているようだ。
「いい、いいってば。そんなの恥ずかしいよ」
冗談だと思っていたが貴音はささっと注文を進めているようだ。スマートフォンを取り上げようと手を伸ばすが……
「ポチっとね。はい、送り先は温子の住所にしたから。いま欠品中みたいだからいつ届くかは分からないけど楽しみにしててね」
「もう~」
雑誌の金額なんてしれているし、貴音なりのシャレということでキャンセルもさせずにその日のランチタイムは終了した。
◆◆◆◆
そんな会話をしたこともすっかり忘れた頃。
本日は土曜。日中は水川とお出かけをしてちょっと良いお店で夕飯も楽しんだ。
私の部屋からも近いお店だったし、「うち、寄っていく?」と軽い気持ちで誘うと「はい!!」と凄く嬉しそうな返事がきた。
そしてリビングでお茶を飲んでまったりしていると、水川から「今日は泊まっても?」と上目遣いでの問いかけ。
うん、と答えるとまたも嬉しそうな顔をした水川。こっちが恥ずかしくなる!私も顔が赤くなる。
バスタブを洗っていなかったことを思い出す。お客様である水川にはリビングで待つように伝えて私はバスタブを洗い始める。
その時…
ピンポーン
「荷物のお届けでーす」
あぁタイミング悪いな。けど仕方ないと手に持っていたブラシと洗剤を戻そうとすると水川から「僕が出ましょうか?」との提案。
別に見られてまずいものなんて届かないしお願いしてしまおう。
「ごめん、お願い」
はーいと代わりにサインをして受け取ってくれた。
「Amaz〇nからですよ」
あ!昨日入浴剤を注文したからそれだ。珍しい原料でできた入浴剤を見つけて、水川にもお裾分けしようと思っていた。
翌日指定はしていないのにあまりに早い到着。でも早いに越したことはない。
バスルームからリビングに声をかける。
「多分水川くんも喜ぶものだと思うから開けていいよ」
「なんだろ、じゃあ開けますね」
ガサガサ、ガサガサ、ガサガサ
無言のリビング。
あれ?何か変なものでも入っていたかなと思い、リビングに顔を出す。
水川がこちらに向けたのは注文した入浴剤ではなく、雑誌。嫌な予感が…
そしてその雑誌にはデカデカと
アムアム特別号 ❤︎愛のバスタイムマニュアル❤︎~積極的になりたい貴女へ~
ぎゃーーーーーー!
「温子さんがこういうの注文してくれるなんて嬉しいな。あ、DVDも付いてる。そうだ、バスルームのテレビでDVDも見れるんでしたね。せっかくだから一緒にお風呂で見ましょうか」
それからバスルームへ連行され、愛のバスタイムマニュアルに沿って色々して、貴音が注文したという事情を聞いてもらえたのは翌日になってからだった。
おまけのおまけ
「あれ水川君?精算漏れ?」
経理のフロアに現れた珍しいお客に貴音が声を掛ける。
「雑誌のお礼です」
ニコニコした水川は、滅多に手に入らないことで有名な菓子店の季節限定詰め合わせを貴音に渡して去っていった。
「雑誌…………?あぁ。なんだ仲良くしてるじゃない」
雑誌の代金がこんな高い物として返ってくるなんて。また温子に何か贈ろうと企む貴音であった。
end(あとがきへ)
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
プールの中で幼馴染のイケメン双子に挟まれてえっちな悪戯されるし、プールサイドでクリを溺愛された後に交代で手マンされてお潮いっぱい吹く女の子
ちひろ
恋愛
ひとりえっちのネタとして使える、すぐえっち突入のサクッと読める会話文SSです。
いっぱい恥ずかしい言葉で責められて、イヤイヤしても溺愛されちゃいます。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる