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彼女のお風呂
仕事のあと
しおりを挟む<水川視点>
金曜の仕事帰り。
今週はとても厄介なお客さんとのやり取りがあって疲れた。疲れた。来週もまだ引き続きその対応だ。
けれど今はこの時を楽しもう。今、目の前には彼女とレストランの美味しい料理。そしてこの後は温子さんの部屋に訪問だ。
「ここの料理いいね、美味しいし量もたっぷり。けっこうお腹いっぱいになっちゃった」
ふぅーと大きく息を吐く満足げな温子さん。
店を厳選した甲斐があったというものだ。酒がなくても満足できる店を選ぶのは苦労した。
二人とも酒を飲むのは好きだし金曜の夜なのだから次の日のことを気にせず飲める。だが飲むと眠くなってしまう温子さんに夜中まで起きていて欲しいと思いこの店にした。そうだ、下心だ。何が悪い。
一服し、皿も店の人に下げられた。
「じゃあそろそろ出ましょうか」
「うん」
初めて行く温子さんの部屋。温子さんのことをもっと知りたい。
温子さんの住む賃貸マンションには近くまでは来たことがあったが、敷地内に入るのは初めてだ。
「けっこう古いから恥ずかしいんだけど」
マンションは掃除は行き届いているが、確かに築年数はそこそこ経っていそうだ。そしてファミリー向けというより単身向けのこじんまりした造り。
部屋の前に着き、慣れた手つきで鍵が差し込まれてドアが開く。
先に温子さんが入り、部屋に明かりが灯される。温かみのある光が、温子さんの少しばかり畏まったような表情を浮かび上がらせる。
「狭いけど、どうぞ」
「お邪魔します」
◆◆◆◆
部屋に踏み入れると、色とりどりの旗が目に飛び込んできた。
温泉地のペナントだ!
久しぶりに見る温泉地の土産物の三角形の旗。
所狭しと吊るされているそれは僕だって祖父母の家で見たことがある程度だ。
この年代の人で部屋に温泉地のペナントを飾ってあるーーそれも尋常ではない数ーーなんて、温子さんらしくて少し笑ってしまう。
「っぷ、すごい数ですね。まさかコレクションしてるなんて、ふはっ」
「もうっ。言いたいことは分かってるから言わないでよ。私だって分かってるんだから、年寄り臭いって」
「被害妄想ですよ。さすがだと感心したんですよ」
「感心?笑ったくせに」
「厳しいなあ」
お茶いれるからと座るように促され、床に敷かれた座布団に座ろうとするが、その座布団も温泉地のお土産でまた笑ってしまった。
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