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13.昇級

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会話が弾み、色んな話が出てくる。



「あーー、だいぶ前の営業会議で僕がこんな成分あってもなくても~~って言ったこと覚えてますか?」

「忘れるわけない、むちゃくちゃ苛ついたんだから」

「本当に反省しています。あの時って一回も自分の営業成績あげたことなくて。同期は既にいくつも成績出してるのに、僕だけダメで」

「そうだったの?今の活躍っぷりからは想像できないけど」

「ほんとダメダメだったんです。
販売店さんにうちの入浴剤を置いてもらえるよう営業かけるときに、頑張って説明してたんですけど聞いてもらえなくて」

「そうなんだ」

「特に成分のこと頑張って説明するんですけど、つまらなさそうな顔されちゃって。
だから、入浴剤入れたらどんな体験できるかとか体への効果が実感できるかだけが大事だって思ってました」

「その考え方も一理あるけどね」

「でもそれってただ単に僕の説明が下手なだけだったんです。成分のことちゃんと理解できてなかったから、説明も下手だった。そう気づいてから、研究室の人たちの資料をよく読むようになりました」

「あぁ~」

だからよく開発室に来てたんだ。なんだかんだ言ってうちの室長のお気に入りの子にまでなってるし。



「特に温子さんの作った資料が1番好きです。なんていうか、お風呂への愛が伝わってくるというか。難しい実験結果のこと書いてあるんですが、惹き込まれるんです」

「頑張って書いてるから、そういってくれると嬉しい」

「文章にはその人の人柄が現れるっていいますけど、その通りだと思います。温子さん自身も温泉とか銭湯への愛情だだ漏れだから。
僕、会社の誰よりも温子さんの書いた資料読み込んでると思います。だからいまはお客さんに上手く説明できるんです。貴女のおかげです」





嬉しい……

水川に対しての蟠りわだかまりは完全に消えた。

「そうだったんだね、ごめん、今まで冷たく対応してて。先輩として大人げなかった」

「あぁ本当にもう僕に対して冷たかったですよね。でも最近は……温まってきたかと思ってるんですが…?」

「……そうだね、休みの日に一緒に行動するなんて前は考えられなかったもん」

「もう僕のこと嫌いじゃないって思っていいですか?」

「もちろん!」



◆◆◆◆



コンビニで飲み物を買い、車内でひと休憩する。

会話はもっぱら、今後も混浴温泉巡りをするかどうか。


「うーん、だからね、やっぱりボディガードとしては僕ダメですよ。断言できますが、温子さんも僕のことをヤラシイ目で見てたの知っちゃったから、余計に見たり触ったりしちゃいます」

「っ……!恥ずかしい奴。でも、それは…私も……かも」

「僕ら2人とも我慢できないですもんね?」

「……そのニヤつきどうにかしなさい」

「ごめんなさい、ふははっ。裸の付き合いというか、もっといえばお触りお互いOKっていうのはニヤついちゃいます」

「もう!……じゃあさ、ボディガードじゃなくてさ。うーーん、ボディガードというより、こういう仲ってなんて言うんだろう」



水川は持ってきたペットボトルに少し力が入る。

「それは………………こいび」





「あ、わかった!混浴フレンドって良いんじゃない?」

「っえ?なんて言いました?」


「混浴フレンドだよ。ほら、うちの会社は温泉フレンド株式会社なんだし。うわ私ってばセンスいい!」

「はぁ?」

「良いじゃん、混浴フレンド。略して混フレだよ。私たちにぴったり」



水川は思う。
混フレってそれ……セフレみたいな響き………



でもボディガードよりは良いか?良いのか??





「これからも宜しくね」
「こちらこそお願いします」






end.

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