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何時も通りとは……?
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——間も無くして、護送車やパトカー、遺体回収班と鑑識が次々にやって来た。
対イーブル軍は、必要に応じて警察や自衛隊等の公務員と連携を取る。
各国内で起きた魔界に関連した犯罪は、各国内の法により裁く決まりだ。警察部隊が取調べを行い、通常の犯罪と同じく、供述調書を作成後に検察に送致される。
「——大した情報は無さそうだな」
ソファーに腰掛け、押収したスマートフォンを調べながら、羽月が言葉を発した。
民間人からの情報提供により、羽月達はこの場を押さえていた。
先程、店長と取締役がいた部屋で、羽月達は追跡調査の為に情報収集をしている。
「羽月さん。あの……」
「俺が警戒しているのは女王陛下だ。女王の都合で、俺達は悪にも善にもなる」
言い辛そうに言い出す旭の言動を察し、羽月は答えた。
「でも、女王陛下は味方してくれそうッスよ。俺達、切り捨てるとは思えない」
不服を漏らす旭は、待合所から持ってきた椅子に座り、押収する物としない物をダンボールに分別している。
「国益を生み続ける政治家ですからね。利益がある方を活かし、無いと判断すれば冷酷に切り捨てる。リリア様の誘拐時もそうでしたから、信用は出来ませんね」
デスクのパソコンを調べながら、那智は見解を述べる。
「那智さん、どっちなんスか?」
「フッ……。得だと思わせればいいと思ってます」
怪訝な顏で問う旭に、笑みを漏らして那智は答えた。
「つーかっ、シェリー先生の見た目は羽月のタイプだよな?」
軽口を言う伊吹を、羽月は視界にも入れずに無視する。
苦笑いをし、確認していた書類を「要らないやつ」と言い、伊吹は旭に渡す。
「……楽しそうだな。那智」
「そんな事ないですよ。私は何時も通りです」
挑発的に問い掛ける羽月に、那智は何時も通りの温厚な表情を向けた。
「でも、リリア王女は分かってくれそうだし……。純粋な気持ちなんだし、俺は受け入れたい」
旭は真摯な目で羽月に訴えた。
「分かり易く言うなら、今のお前だよ。一回しか会ってねぇ女王に信頼置く……」
「ちげぇよっ! 俺は、ただ……」
馬鹿にする様な羽月に、旭は思わずカッとなり声を荒げる。
「お前が想像する様に、リリアは都合のいいガキだと誰でも思うだろうよ。面倒ぐれぇ想像出来るよな⁉︎」
「でもっ……」
反論しようとする旭に、羽月はスマートフォンを置き、鋭い目付きを向けて立ち上がった。
「厄介事なぐれぇ、お前でも分かるだろ⁉︎ 起きると分かるなら、回避するのは当然だろっ! 馬鹿を見るのは御免だ」
吐き捨てた羽月は、ジャケットの内ポケットから煙草とジッポを取り出し、出て行ってしまった。
強めにバタンと、ドアが閉まる。
「——何だよっ、あれっ! 少しは人の気持ち考えろよっ!」
「大丈夫だよ、旭。ああ見えて、元超シスコンだから酷い事は出来ないよ」
書類とスマートフォンの確認を終えた伊吹は、何時も通りの気さくさで怒る旭を宥めた。
「追い返す必要ないですよ。国益優先の女王なら結果主義でしょうから、実績がある以上は切り捨てませんよ」
見つけた顧客名簿をプリントしながら言い、フッと那智は笑みを漏らす。
珍しいな……警戒してる。おもろい想定外や。
内心、那智は楽しんでいた。
那智の意見も一理あるな……。
腕組みしてドアに寄り掛かり、羽月は考える。
出て行ったと思わせた羽月だが、まだドアの反対側にいた。
本音は、いなくなった後で聞けると知っているからだ。
だが、面倒は避けられねぇ。やっぱ、追い返すか……。
髪を掻き上げ、羽月は一服しに行った。
対イーブル軍は、必要に応じて警察や自衛隊等の公務員と連携を取る。
各国内で起きた魔界に関連した犯罪は、各国内の法により裁く決まりだ。警察部隊が取調べを行い、通常の犯罪と同じく、供述調書を作成後に検察に送致される。
「——大した情報は無さそうだな」
ソファーに腰掛け、押収したスマートフォンを調べながら、羽月が言葉を発した。
民間人からの情報提供により、羽月達はこの場を押さえていた。
先程、店長と取締役がいた部屋で、羽月達は追跡調査の為に情報収集をしている。
「羽月さん。あの……」
「俺が警戒しているのは女王陛下だ。女王の都合で、俺達は悪にも善にもなる」
言い辛そうに言い出す旭の言動を察し、羽月は答えた。
「でも、女王陛下は味方してくれそうッスよ。俺達、切り捨てるとは思えない」
不服を漏らす旭は、待合所から持ってきた椅子に座り、押収する物としない物をダンボールに分別している。
「国益を生み続ける政治家ですからね。利益がある方を活かし、無いと判断すれば冷酷に切り捨てる。リリア様の誘拐時もそうでしたから、信用は出来ませんね」
デスクのパソコンを調べながら、那智は見解を述べる。
「那智さん、どっちなんスか?」
「フッ……。得だと思わせればいいと思ってます」
怪訝な顏で問う旭に、笑みを漏らして那智は答えた。
「つーかっ、シェリー先生の見た目は羽月のタイプだよな?」
軽口を言う伊吹を、羽月は視界にも入れずに無視する。
苦笑いをし、確認していた書類を「要らないやつ」と言い、伊吹は旭に渡す。
「……楽しそうだな。那智」
「そんな事ないですよ。私は何時も通りです」
挑発的に問い掛ける羽月に、那智は何時も通りの温厚な表情を向けた。
「でも、リリア王女は分かってくれそうだし……。純粋な気持ちなんだし、俺は受け入れたい」
旭は真摯な目で羽月に訴えた。
「分かり易く言うなら、今のお前だよ。一回しか会ってねぇ女王に信頼置く……」
「ちげぇよっ! 俺は、ただ……」
馬鹿にする様な羽月に、旭は思わずカッとなり声を荒げる。
「お前が想像する様に、リリアは都合のいいガキだと誰でも思うだろうよ。面倒ぐれぇ想像出来るよな⁉︎」
「でもっ……」
反論しようとする旭に、羽月はスマートフォンを置き、鋭い目付きを向けて立ち上がった。
「厄介事なぐれぇ、お前でも分かるだろ⁉︎ 起きると分かるなら、回避するのは当然だろっ! 馬鹿を見るのは御免だ」
吐き捨てた羽月は、ジャケットの内ポケットから煙草とジッポを取り出し、出て行ってしまった。
強めにバタンと、ドアが閉まる。
「——何だよっ、あれっ! 少しは人の気持ち考えろよっ!」
「大丈夫だよ、旭。ああ見えて、元超シスコンだから酷い事は出来ないよ」
書類とスマートフォンの確認を終えた伊吹は、何時も通りの気さくさで怒る旭を宥めた。
「追い返す必要ないですよ。国益優先の女王なら結果主義でしょうから、実績がある以上は切り捨てませんよ」
見つけた顧客名簿をプリントしながら言い、フッと那智は笑みを漏らす。
珍しいな……警戒してる。おもろい想定外や。
内心、那智は楽しんでいた。
那智の意見も一理あるな……。
腕組みしてドアに寄り掛かり、羽月は考える。
出て行ったと思わせた羽月だが、まだドアの反対側にいた。
本音は、いなくなった後で聞けると知っているからだ。
だが、面倒は避けられねぇ。やっぱ、追い返すか……。
髪を掻き上げ、羽月は一服しに行った。
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