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最終章 幸せ
絆 16
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自分達は滅びの危機に瀕している。達観にも似た表情でこちらに視線を向けるファラさんに、僕は柔らかい笑みを浮かべながら口を開いた。
「僕はみんなと平穏に、幸せに暮らしたいだけです。だから、その邪魔になるならドラゴンも魔獣も、この大陸から一掃させてもらおうと考えています!」
「・・・それが出来るのかい?」
「そうでなければ、僕は海を渡ってまでここに居ませんよ」
「・・・その言葉が本当だとして、外敵が居なくなることは我々にとってもありがたい。ただ、そうなると魔獣達をゼロにするのは不味いかもしれないね・・・」
「食料問題ですね?」
ファラさんの言葉にフリージアが魔獣を一掃してしまうことの問題点を指摘した。
「ああ。もし外敵が居なくなれば人間の居住範囲は拡大し、人口の大爆発が起こるだろう。それを家畜だけで賄うのは現時点の技術力では不可能だ。もし、魔獣にも食料としての価値があるのなら・・・」
「ん、魔獣も食料と見なさなければ、やがて住民達は飢餓に陥る」
「つまり、魔獣達を多過ぎず少な過ぎない数だけ残して間引く必要があると・・・やっぱりそうなるか」
彼女達の言葉に、当初僕が懸念していた事が現実になってしまった。出来ないことではないが、残す魔獣の数の選定に時間が掛かるし、実際の討伐の際には手間も掛かる。
(空間認識である程度の総数は分かっても
、種族までは近くまで行って詳細に認識しないと分からないからな・・・)
その大変さに辟易しながらも、みんなとの暮らしの為にはやるしかない。ここで何も考えず魔獣を一掃してしまえば、近い将来食料を巡って争いが起こってしまうだろう。そんなことが起きてしまえば、平穏とはほど遠くなってしまう。
「まぁ、魔獣達の生息地域や数を把握するのはかなりの年月が掛かるだろうから、それは後回しで良いだろう。喫緊の問題はドラゴンだ」
「ドラゴンも食料として食べられるけど、それはどうします?」
「いや、奴らには少なからず知性がある。残した結果復讐で暴れられたんじゃ、たまったのもじゃないからね、出来れば一匹残らず討伐してもらいたい」
「分かりました。ただ、ドラゴンは海を渡るようですし、今この大陸に居るドラゴンを一掃しても、また別の大陸から来るかもしれませんよ?」
「構わないよ。問題なのは人間の味を覚えたドラゴンだからね。別大陸の奴なら定期的に人間を襲うなんて事はないだろうさ」
確かにその通りだと考え、ドラゴン達は完全に排除することにした。幸い空間認識上では巨大な反応に感じるので、討ち漏らすこともないだろう。今は大陸に多少散らばるように感知しているが、ドラゴンの大部分は大陸の南に集中しているのでそれほど面倒でもなさそうだ。
「ドラゴンだけなら明日にでもこの大陸から排除出来ますけど、どうしますか?」
「あ、明日だって!?ドラゴンはこの大陸中にいるんだよ?一体どうするって言うんだい?」
「僕の【才能】には移動に特化したものがありまして、大陸中を回るのにそれほど時間はかかりませんよ?」
実際には空間魔法を使うのだが、一般的にその存在は知られていないので説明が簡単そうな【才能】と言うことにしておいた。
「いや、仮にそうだとしても、どこにドラゴン達が居るのかも分からないだろう?」
「それもまぁ、僕の【才能】で」
「そうか・・・ははは・・・」
ファラさんは驚き過ぎたのか、信じられないのか、乾いた笑いを溢して現実逃避しているような表情で、天を仰いでいる。その様は、心ここに在らずのようだった。
しばらくしてファラさんが落ち着きを取り戻し、顎に手を当て静かに考え込むと、おもむろに口を開いた。
「・・・ドラゴンを一掃するのは一週間待っとくれないかい?」
「良いですけど、時間を空ければそれだけ犠牲者も増えますよ?」
「分かっているよ。ただ、この大陸の未来には必要なことなんだよ」
そう前置きしてファラさんは自分の考えを僕達に伝えてきた。
曰く、この大陸のドラゴンを駆逐し、魔獣も適度に間引けたとすれば、強固な外壁がなくても一定の力量を持った人物が護衛してくれれば外に出ることも可能となる。つまり、他の地区の者達との交流が可能になる。
過去にはこの大陸は巨大な1つの国が治めており、各地に散らばる都市を纏め上げていたという。残念ながら現在はお互いの地区の近況を従魔を使ってやり取りするぐらいなので、地区ごとの内政は不干渉になっている。
この状態のままで外敵が排除され人口が飛躍的に増えた場合、生活圏を広げようとお互いの地区の住民達が衝突してしまう可能性がある。それはこの大陸において、今度は人同士の争いが起こってしまうということだ。それを防ぐために、この大陸を纏め上げる中心人物、御旗となる人物が必要なのだという。
今この大陸に求められる御旗となれる人物は、圧倒的な力を誇る者が望ましい。その実力でもって散り散りになっている住民達を、ある程度強引にでも纏め上げる必要があるとの事だった。
「どのみちこのままだったら、私達はじりじりと数を減らし滅んでいく。ドラゴンや魔獣達を討伐出来ても、その後に待っているのは人間同士の争いだろう・・・なら、ここでこの大陸の未来のために御旗となる『王』を据えて動き出すべきだ!」
語り終えたファラさんは、力の籠った瞳で僕を凝視してくる。彼女が何を言いたいのかは推して知るべしだった。
「・・・その御旗に僕がなれと?」
「一週間以内に大陸全土の地区に従魔を使って通知を出す。ある人物がこの大陸を救う戦いを始めると。その戦いが成った時には、その人物を頂きに国を興し、皆が一つになって輝く未来を掴むのだと」
彼女は真剣だった。その表情や声からは一切の冗談は感じられない。本気で新しい国家を樹立させたいと考えているようだった。
(彼女の考えは理解出来ない訳じゃない。言ってみればこの大陸は地区という名の小国家が乱立しているような状況なのだろう。その状況で生活圏を広げようとすれば、必ず衝突するだろうな・・・だから強引にでも国という形を作り、纏める必要があるか・・・)
しかし、そうはいっても僕が御旗になって欲しいと言われて、「はい、良いですよ」と言えるわけがない。何より国を治める知識も術もないのだから。
「言いたいことは分かりますが、僕はまだ17歳の子供です。僕には武力という力はあるかもしれませんが、統治の為の知識はない。とてもじゃないですがーーー」
そう言って断ろうとした時、話を静かに聞いていたメグが一歩前に出て、僕の言葉を遮るように口を開いた。
「内政に関することなら私に任せて下さい!これでも次期女王としての教育は幼い頃から受けています!それに、当然ファラさん達も協力してくれるのでしょう?」
メグの言葉にファラさんは力強く頷ずく。すると、今度はジャンヌが前に出て話し出す。
「私は一国の軍事の運用を担っていた!国の防衛や軍隊の育成などは私に任せてくれ!」
自信に満ちた表情でジャンヌさんがそう言うと、フリージアも同様に話し出した。
「私は医療の面でお役に立ちましょう!治療院の運営や人材の育成もお任せください!それに、この大陸の住民が望むのなら、神の教えを説きたいとも思います!」
晴れやかな表情のフリージアは、自身の持つ光魔法を活用した治療院の設営や、人々の心の支えとなるだろう宗教について任せて欲しいと宣言する。
「ん、なら私は財務の面でダリアを支える!宰相の娘として勉強もしてきたし、実際に見て学んでいた!任せて欲しい!」
ティアは胸を張り、『ふんす』と聞こえてきそうな態度で力強く宣言した。
「でしたら私は、各地区との調整役となる外交でダリア様を支えしましょう!こう見えて折衝や情報分析等は得意なのですよ!」
「わ、私もお姉ちゃんを手伝って、一緒にお兄ちゃんを支えるの!」
シャーロットとアシュリーちゃんがにこやかな笑顔で宣言する。
「わ、私はみんなと比べたら大した事は出来ないかもしれないけど、ダリア君が動きやすいように予定を調整したり、体調を管理したり、出来ることは何でもする!私もみんなと一緒にダリア君を支えるよ!」
シルヴィアも決意を込めた表情でそう宣言した。
「みんな・・・」
みんなのその様子に僕は驚き、目を丸くしてしまった。みんなの僕の為に何かしたい、支えたいという気持ちが感じられてとても嬉しかったが、僕にはみんなの期待に応えられるだけの自信が持ててはいなかった。
「おやおや、この子達は随分と決意が固まっているようじゃないか。しかもその言葉を信じるなら、能力に問題は無さそうだね。・・・それで、あんたはどうするんだい?」
ファラさんが感心したようにみんなを褒め、最後に僕に視線をやり、その意思を確認しようと問い掛けてきた。
「・・・ファラさん達はそれで良いんですか?見ず知らずの人物がこの大陸の新しい主導者になるなんて」
「我々はもう詰んでいるんだよ・・・それに、お前さんの功績を掠め取って国を治めようとしたところで、いつか必ず破綻するだろうね。言い方は悪いが、今の大陸は多少強引でも力で纏め上げるしかない。その為には目に見える実力者が必要なのさ」
自嘲ぎみに聞こえる声だったが、紛れもなく本心だろうと窺えた。既にこの大陸は人間の文明としては崩壊が始まっている。そんな大陸であれば、部外者でも一から国を築き上げられるのなら、関係ないのかもしれない。
(それに、僕には頼りになるみんなも付いている・・・)
目を閉じて、ファラさんが語ったこの大陸の現状やみんなの言葉を反芻し、しばらく考えた後、一つの決断を行う。
「・・・分かりました。僕とみんなでこの大陸に新たな国を作り上げます!そして、全ての人達が幸せになれるように!!」
拳を握りしめ、真っ直ぐにファラさんを見つめると、力強くそう宣言した。僕の言葉に、みんなはとびきりの笑顔で応えてくれた。
「僕はみんなと平穏に、幸せに暮らしたいだけです。だから、その邪魔になるならドラゴンも魔獣も、この大陸から一掃させてもらおうと考えています!」
「・・・それが出来るのかい?」
「そうでなければ、僕は海を渡ってまでここに居ませんよ」
「・・・その言葉が本当だとして、外敵が居なくなることは我々にとってもありがたい。ただ、そうなると魔獣達をゼロにするのは不味いかもしれないね・・・」
「食料問題ですね?」
ファラさんの言葉にフリージアが魔獣を一掃してしまうことの問題点を指摘した。
「ああ。もし外敵が居なくなれば人間の居住範囲は拡大し、人口の大爆発が起こるだろう。それを家畜だけで賄うのは現時点の技術力では不可能だ。もし、魔獣にも食料としての価値があるのなら・・・」
「ん、魔獣も食料と見なさなければ、やがて住民達は飢餓に陥る」
「つまり、魔獣達を多過ぎず少な過ぎない数だけ残して間引く必要があると・・・やっぱりそうなるか」
彼女達の言葉に、当初僕が懸念していた事が現実になってしまった。出来ないことではないが、残す魔獣の数の選定に時間が掛かるし、実際の討伐の際には手間も掛かる。
(空間認識である程度の総数は分かっても
、種族までは近くまで行って詳細に認識しないと分からないからな・・・)
その大変さに辟易しながらも、みんなとの暮らしの為にはやるしかない。ここで何も考えず魔獣を一掃してしまえば、近い将来食料を巡って争いが起こってしまうだろう。そんなことが起きてしまえば、平穏とはほど遠くなってしまう。
「まぁ、魔獣達の生息地域や数を把握するのはかなりの年月が掛かるだろうから、それは後回しで良いだろう。喫緊の問題はドラゴンだ」
「ドラゴンも食料として食べられるけど、それはどうします?」
「いや、奴らには少なからず知性がある。残した結果復讐で暴れられたんじゃ、たまったのもじゃないからね、出来れば一匹残らず討伐してもらいたい」
「分かりました。ただ、ドラゴンは海を渡るようですし、今この大陸に居るドラゴンを一掃しても、また別の大陸から来るかもしれませんよ?」
「構わないよ。問題なのは人間の味を覚えたドラゴンだからね。別大陸の奴なら定期的に人間を襲うなんて事はないだろうさ」
確かにその通りだと考え、ドラゴン達は完全に排除することにした。幸い空間認識上では巨大な反応に感じるので、討ち漏らすこともないだろう。今は大陸に多少散らばるように感知しているが、ドラゴンの大部分は大陸の南に集中しているのでそれほど面倒でもなさそうだ。
「ドラゴンだけなら明日にでもこの大陸から排除出来ますけど、どうしますか?」
「あ、明日だって!?ドラゴンはこの大陸中にいるんだよ?一体どうするって言うんだい?」
「僕の【才能】には移動に特化したものがありまして、大陸中を回るのにそれほど時間はかかりませんよ?」
実際には空間魔法を使うのだが、一般的にその存在は知られていないので説明が簡単そうな【才能】と言うことにしておいた。
「いや、仮にそうだとしても、どこにドラゴン達が居るのかも分からないだろう?」
「それもまぁ、僕の【才能】で」
「そうか・・・ははは・・・」
ファラさんは驚き過ぎたのか、信じられないのか、乾いた笑いを溢して現実逃避しているような表情で、天を仰いでいる。その様は、心ここに在らずのようだった。
しばらくしてファラさんが落ち着きを取り戻し、顎に手を当て静かに考え込むと、おもむろに口を開いた。
「・・・ドラゴンを一掃するのは一週間待っとくれないかい?」
「良いですけど、時間を空ければそれだけ犠牲者も増えますよ?」
「分かっているよ。ただ、この大陸の未来には必要なことなんだよ」
そう前置きしてファラさんは自分の考えを僕達に伝えてきた。
曰く、この大陸のドラゴンを駆逐し、魔獣も適度に間引けたとすれば、強固な外壁がなくても一定の力量を持った人物が護衛してくれれば外に出ることも可能となる。つまり、他の地区の者達との交流が可能になる。
過去にはこの大陸は巨大な1つの国が治めており、各地に散らばる都市を纏め上げていたという。残念ながら現在はお互いの地区の近況を従魔を使ってやり取りするぐらいなので、地区ごとの内政は不干渉になっている。
この状態のままで外敵が排除され人口が飛躍的に増えた場合、生活圏を広げようとお互いの地区の住民達が衝突してしまう可能性がある。それはこの大陸において、今度は人同士の争いが起こってしまうということだ。それを防ぐために、この大陸を纏め上げる中心人物、御旗となる人物が必要なのだという。
今この大陸に求められる御旗となれる人物は、圧倒的な力を誇る者が望ましい。その実力でもって散り散りになっている住民達を、ある程度強引にでも纏め上げる必要があるとの事だった。
「どのみちこのままだったら、私達はじりじりと数を減らし滅んでいく。ドラゴンや魔獣達を討伐出来ても、その後に待っているのは人間同士の争いだろう・・・なら、ここでこの大陸の未来のために御旗となる『王』を据えて動き出すべきだ!」
語り終えたファラさんは、力の籠った瞳で僕を凝視してくる。彼女が何を言いたいのかは推して知るべしだった。
「・・・その御旗に僕がなれと?」
「一週間以内に大陸全土の地区に従魔を使って通知を出す。ある人物がこの大陸を救う戦いを始めると。その戦いが成った時には、その人物を頂きに国を興し、皆が一つになって輝く未来を掴むのだと」
彼女は真剣だった。その表情や声からは一切の冗談は感じられない。本気で新しい国家を樹立させたいと考えているようだった。
(彼女の考えは理解出来ない訳じゃない。言ってみればこの大陸は地区という名の小国家が乱立しているような状況なのだろう。その状況で生活圏を広げようとすれば、必ず衝突するだろうな・・・だから強引にでも国という形を作り、纏める必要があるか・・・)
しかし、そうはいっても僕が御旗になって欲しいと言われて、「はい、良いですよ」と言えるわけがない。何より国を治める知識も術もないのだから。
「言いたいことは分かりますが、僕はまだ17歳の子供です。僕には武力という力はあるかもしれませんが、統治の為の知識はない。とてもじゃないですがーーー」
そう言って断ろうとした時、話を静かに聞いていたメグが一歩前に出て、僕の言葉を遮るように口を開いた。
「内政に関することなら私に任せて下さい!これでも次期女王としての教育は幼い頃から受けています!それに、当然ファラさん達も協力してくれるのでしょう?」
メグの言葉にファラさんは力強く頷ずく。すると、今度はジャンヌが前に出て話し出す。
「私は一国の軍事の運用を担っていた!国の防衛や軍隊の育成などは私に任せてくれ!」
自信に満ちた表情でジャンヌさんがそう言うと、フリージアも同様に話し出した。
「私は医療の面でお役に立ちましょう!治療院の運営や人材の育成もお任せください!それに、この大陸の住民が望むのなら、神の教えを説きたいとも思います!」
晴れやかな表情のフリージアは、自身の持つ光魔法を活用した治療院の設営や、人々の心の支えとなるだろう宗教について任せて欲しいと宣言する。
「ん、なら私は財務の面でダリアを支える!宰相の娘として勉強もしてきたし、実際に見て学んでいた!任せて欲しい!」
ティアは胸を張り、『ふんす』と聞こえてきそうな態度で力強く宣言した。
「でしたら私は、各地区との調整役となる外交でダリア様を支えしましょう!こう見えて折衝や情報分析等は得意なのですよ!」
「わ、私もお姉ちゃんを手伝って、一緒にお兄ちゃんを支えるの!」
シャーロットとアシュリーちゃんがにこやかな笑顔で宣言する。
「わ、私はみんなと比べたら大した事は出来ないかもしれないけど、ダリア君が動きやすいように予定を調整したり、体調を管理したり、出来ることは何でもする!私もみんなと一緒にダリア君を支えるよ!」
シルヴィアも決意を込めた表情でそう宣言した。
「みんな・・・」
みんなのその様子に僕は驚き、目を丸くしてしまった。みんなの僕の為に何かしたい、支えたいという気持ちが感じられてとても嬉しかったが、僕にはみんなの期待に応えられるだけの自信が持ててはいなかった。
「おやおや、この子達は随分と決意が固まっているようじゃないか。しかもその言葉を信じるなら、能力に問題は無さそうだね。・・・それで、あんたはどうするんだい?」
ファラさんが感心したようにみんなを褒め、最後に僕に視線をやり、その意思を確認しようと問い掛けてきた。
「・・・ファラさん達はそれで良いんですか?見ず知らずの人物がこの大陸の新しい主導者になるなんて」
「我々はもう詰んでいるんだよ・・・それに、お前さんの功績を掠め取って国を治めようとしたところで、いつか必ず破綻するだろうね。言い方は悪いが、今の大陸は多少強引でも力で纏め上げるしかない。その為には目に見える実力者が必要なのさ」
自嘲ぎみに聞こえる声だったが、紛れもなく本心だろうと窺えた。既にこの大陸は人間の文明としては崩壊が始まっている。そんな大陸であれば、部外者でも一から国を築き上げられるのなら、関係ないのかもしれない。
(それに、僕には頼りになるみんなも付いている・・・)
目を閉じて、ファラさんが語ったこの大陸の現状やみんなの言葉を反芻し、しばらく考えた後、一つの決断を行う。
「・・・分かりました。僕とみんなでこの大陸に新たな国を作り上げます!そして、全ての人達が幸せになれるように!!」
拳を握りしめ、真っ直ぐにファラさんを見つめると、力強くそう宣言した。僕の言葉に、みんなはとびきりの笑顔で応えてくれた。
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