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第九章 災厄 編
ヨルムンガンド討伐 20
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少し暗い雰囲気の中、僕は新しい魔法以外の攻撃手段の鍛練を始めた。王国の書物には、空気を圧縮することでプラズマという超高温のエネルギーが発生する可能性があると記載されていた。実際には実験は失敗に終わっているので、実現できるかは分からない。
ただ、書物を読んでじっくり考えていると、何となく僕が使っている天叢雲に似たような物なのではないかとも考えていた。そこで、天叢雲に火魔法で更に高温に出来ないかと考えた。
「みんなはそのまま少し離れていてね」
「気を付けろよダリア!」
「ん、新しいことをするには思いもよらない失敗もすることがある。油断はダメ」
遠巻きに見ているジャンヌさんとティアが注意を呼び掛ける。その言葉に頷きながら、深く集中して始める。
(先ずは天叢雲を・・・よし)
既に幾度となくやっているので、天叢雲を作り出すことに問題はない。問題はこの後、既に風・土・空間と3つの魔法を同時発動している状態で、更に別の魔法を発動するということだ。別種の魔法の同時発動でも超高等なのだから、それが4つとなるとどれ程の魔力制御が必要かということだ。
(この状態で更に火魔法を・・・ぐっ・・・熱っ!!)
あまりの高温に反射的に魔法を解除する。空間魔法で覆っているはずの天叢雲は、火魔法を加えることで爆発的な反応で膨れ上がり、空間魔法をぶち破ってしまったのだ。
「「「ダリア(君)っ!!」」」
その様子に、みんなの心配した声が飛ぶ。
「だ、大丈夫!ごめんごめん!」
駆け寄ろうとするみんなに手で制して、何でもないとアピールした。若干前髪が焦げて、服も全面がボロボロになってしまったので、時空間の才能で身体は元に戻し、服も着替えてやり直そうと今の反省点を考える。
(今のじゃまるで爆発だな・・・雷に火を加えるとこんな反応になるのか・・・凄い威力でも、自分も巻き込まれてしまうんじゃ危なくて使えない。でも、結局は魔法だと吸収される・・・いや、あの爆発って魔法なのか?)
そう考えたとき、王国の書物に書かれていたことを少し思い出す。そもそも王国は魔法と科学というものを融合させたような学問が発達しているらしい。その中で、プラズマというエネルギーを見い出している。結果は失敗しているが、あの実験には風魔法と風魔法をぶつけるという合体魔法が使われていた。その結果プラズマという自然界のエネルギーを見つけていたのだ。
(もしかして、複数の魔法を同時に使用すると、自然のエネルギーが発生するのか?そうだったらそれは魔法ではないということになるけど・・・)
ヨルムンガンドに聖剣グランは吸収されたが、天叢雲は吸収されなかった。単に火魔法を風魔法で高温にしたというものと、別のエネルギーである雷を産み出したというこれは違いだろう。
(となると、もし全ての魔法属性をひとつに纏めたとしたら・・・)
バハムートのブレスは3種類以上の魔法が合わさっている感じがあった。となれば、全ての魔法を会わせたときに、爆発的な威力の自然エネルギーが得られるのではないかと考えた。
(ものは試しだ、やってみよう!)
とは言え、危なくないように威力は制御できる限界まで小さくして行う。箱状に展開した空間魔法の結界の中で、火・水・風・土・光・闇をぶつけ合わせてみるが、これがまるで上手くいかない。魔力制御自体は出来ているのだが、それぞれの属性が打ち消し合ってしまい、最後には土魔法の石しか残らなかったのだ。
(何か違うな・・・発動された魔法を合体するには相性があるからか・・・)
だからこそ合体魔法は相性の合うもので組み合わされて相乗効果が生まれる。火と水や光と闇などの相反する属性ではお互いを打ち消し合ってしまうのだ。うんうんと悩んでいる僕にジャンヌさんが声を掛けてきた。
「ダリア、一体何をしようというのだ?」
「いや、全ての魔方属性を合わせたらどうなるのかなって考えたんだ」
「す、全てだと!?そんなこと出来るのか!?いや、何でそんな事をしようと?王国のプラズマとかいうものの再現ではなかったのか!?」
信じられないという表情で、ジャンヌさんは矢継ぎ早に疑問を投げ掛けてきた。そもそも同属性の魔法の同時発動でも難度が高いのだ、それを全属性となればこんな表情をするのも無理ないだろう。特に彼女は【天才】という才能で、僕と戦った時にも高位階の魔法を使っていることから、その難易度が理解できるのだろう。
「何となくだけど、プラズマは僕の使っている天叢雲の事だと思うんだ。それと、王国にあった書物に、複数の魔法を組み合わせることで、魔法とは違うエネルギーを生み出す事が指摘されてたから、魔法の通じないヨルムンガンドにはそう言った魔法で派生したエネルギーなら通じると思ったんだ。だから、全ての魔法属性を合わせてることでなんとかなるかもって考えたんだ」
「た、確かにそんなことが書かれていたが・・・難しいという話ではないのではないか?」
「大丈夫だよ。全属性の発動と融合自体は出来たから。ただ上手くいかなかったけどね・・・」
苦笑いで伝える僕に、ジャンヌさんは若干呆れ気味だった。
「ん、ダリアならきっと上手く出来る!」
「そうですね。ダリア君ならこんな逆境跳ね返せます」
「はい。ダリア様なら問題ないでしょう」
みんなから励ましの言葉も貰い、再度集中してなんとか融合できないか試してみる。しかし、いくら繰り返し合わせてみても上手くいくことはなかった。
しばらく悩みながらも試行錯誤をしていると、一人の人物が中庭に姿を見せた。その人は以前一度だけ顔を会わせたメグの祖母だった。
「あらあら、こんな場所で頑張っているのね」
「アマンダ様!外に出られてはお体に障ります!」
一緒に中庭にいた宮廷治癒師さんが焦りを感じさせる表情でアマンダさんに駆け寄る。
「少し位大丈夫よ。あの子のお陰で病気は治ったのだから」
「そうは言いましても、ご自身のご年齢を考慮いただかねばなりません。あまり外に出られるのは体への負担が・・・」
「まぁ、もう歳ですからそれは仕方の無いことよ」
その会話から、何となく健康とは言えない状況なのだろうと察する。前回お会いした時にはエリクサーを飲んで元気に見えたのだが、今は違うのだろうか。
「お久しぶりです!ご挨拶もせずにすみません!」
挨拶した方が良いだろうと考え、アマンダさんの側に近寄り頭を下げた。
「良いのよ。私は普段部屋に籠っている事が殆どだし。最近はもういい歳になってきたから体力が凄く落ちてしまってね・・・」
「そうなのですか・・・ご自愛ください」
月並みな言葉だが、そう言うしかなかった。どうやら老衰といった感じなので、僕が出来ることは何もない。
「気を使ってくれてありがとう。ところでちょっと見ていたのだけれど、あなたは全ての魔法を融合しようとしていたのかしら?」
「え、ええ、そうなのですが、中々上手くいかないので・・・」
「ふふふ、その歳でそれだけの魔法制御が出来るなんて凄いことよ!歴代のエルフでもここまでの人は居なかったでしょうね」
「しかし、制御できても肝心の融合ができなければ・・・」
苦虫を噛み潰したようにそう悔しさを滲ませていると、アマンダさんは優しく微笑みながら口を開いた。
「世界を救うおうとしているあなたに少し教えてあげます。相性の良い魔法は発現した後に合わせることで飛躍的な威力の向上が望めますが、相性の悪いものも合わせようと思えば、それは無理なのよ」
「じゃ、じゃあ一体どうすれば?」
「答えは簡単。発現する前の魔力の状態で合わせてから発動するのよ」
「・・・魔力の状態?」
アマンダさんの説明にピンと来ない僕は、首を捻りながらそう聞き返した。
「魔法師は無意識に行っているのだけど、自らの魔力を呼び水に自然の魔力を集める際に、発動しようとしている種類の魔力を集めているのよ?火魔法を発動しようと思えば火の魔力を。水魔法なら水の魔力を」
アマンダさんの説明に少し考え込み、自分なりの仮説を立てる。
「つまり、自分の内包された魔力は無色で、そこに自然界の色付けされた魔力から必要なものを抽出して選んで混ぜ合わせているということですか?」
「まぁ、素晴らしい理解だわ!その通りよ!エルフの長年の研究で自然界の魔力には全ての属性の魔力が漂っていると考えられているの。唯一人の魔力だけは何も染まっていない状態で内包されている。そんな状態だからこそ自分の魔力を自然界の魔力の呼び水にすることが出来ると考えているわ」
その考え方を聞いて何となく納得できるものがあった。それは周りにいたみんなも同様で、一様に頷きながらアマンダさんに尊敬の眼差しを向けていた。
「・・・宜しいのですか?それはアマンダ様が歴代の研究を引き継ぎ、長年の考察の末に導きだした魔法理論なのでは?」
治癒師さんが少し焦ったようにアマンダさんに言い募る。
「良いのですよ。今は世界の危機でしょう。それに正直私はこの情報はあまり大したことないと思っていたのよ」
「えっ?そうなんですか?」
アマンダさんの言葉に驚きながら真意を確かめる。
「だってそうだからと分かっても、それが何かに利用できることって無いと思っていたのよ。研究としては機密情報だけど、実際的には知らなくてもいいことでしょう?」
悪戯っぽく話すアマンダさんの言葉に、それもそうかもしれないと納得してしまう。魔法発動の根元的な解明だとしても、知っていようがいまいが魔法は使えるのだ。だとすれば学術的に重要だとしても、現実的にはそれほど重要でないと言う言葉も分かる。ただ、アマンダんさんのお陰で、何となくヒントを得た気がした。
「ありがとうございます!ちょっと分かった気がします」
「ふふふ、力になれたなら何よりよ。大切なことはそれぞれの属性魔力を詳細に想像することよ。そうね、一つ一つの魔法に色を付けて考えればやり易いかもしれないわね」
「色を・・・なるほど、やってみます!」
「頑張ってね!この世界を・・・マーガレットを守ってあげてね」
そう言ってアマンダさんは手を振りながら踵を返し、治癒師の人に付き添われながら戻っていった。
「発現する前に合わせるか・・・よし!やってみよう!」
助言を胸に、再度全ての魔法属性を合わせようと試すのだった。
ただ、書物を読んでじっくり考えていると、何となく僕が使っている天叢雲に似たような物なのではないかとも考えていた。そこで、天叢雲に火魔法で更に高温に出来ないかと考えた。
「みんなはそのまま少し離れていてね」
「気を付けろよダリア!」
「ん、新しいことをするには思いもよらない失敗もすることがある。油断はダメ」
遠巻きに見ているジャンヌさんとティアが注意を呼び掛ける。その言葉に頷きながら、深く集中して始める。
(先ずは天叢雲を・・・よし)
既に幾度となくやっているので、天叢雲を作り出すことに問題はない。問題はこの後、既に風・土・空間と3つの魔法を同時発動している状態で、更に別の魔法を発動するということだ。別種の魔法の同時発動でも超高等なのだから、それが4つとなるとどれ程の魔力制御が必要かということだ。
(この状態で更に火魔法を・・・ぐっ・・・熱っ!!)
あまりの高温に反射的に魔法を解除する。空間魔法で覆っているはずの天叢雲は、火魔法を加えることで爆発的な反応で膨れ上がり、空間魔法をぶち破ってしまったのだ。
「「「ダリア(君)っ!!」」」
その様子に、みんなの心配した声が飛ぶ。
「だ、大丈夫!ごめんごめん!」
駆け寄ろうとするみんなに手で制して、何でもないとアピールした。若干前髪が焦げて、服も全面がボロボロになってしまったので、時空間の才能で身体は元に戻し、服も着替えてやり直そうと今の反省点を考える。
(今のじゃまるで爆発だな・・・雷に火を加えるとこんな反応になるのか・・・凄い威力でも、自分も巻き込まれてしまうんじゃ危なくて使えない。でも、結局は魔法だと吸収される・・・いや、あの爆発って魔法なのか?)
そう考えたとき、王国の書物に書かれていたことを少し思い出す。そもそも王国は魔法と科学というものを融合させたような学問が発達しているらしい。その中で、プラズマというエネルギーを見い出している。結果は失敗しているが、あの実験には風魔法と風魔法をぶつけるという合体魔法が使われていた。その結果プラズマという自然界のエネルギーを見つけていたのだ。
(もしかして、複数の魔法を同時に使用すると、自然のエネルギーが発生するのか?そうだったらそれは魔法ではないということになるけど・・・)
ヨルムンガンドに聖剣グランは吸収されたが、天叢雲は吸収されなかった。単に火魔法を風魔法で高温にしたというものと、別のエネルギーである雷を産み出したというこれは違いだろう。
(となると、もし全ての魔法属性をひとつに纏めたとしたら・・・)
バハムートのブレスは3種類以上の魔法が合わさっている感じがあった。となれば、全ての魔法を会わせたときに、爆発的な威力の自然エネルギーが得られるのではないかと考えた。
(ものは試しだ、やってみよう!)
とは言え、危なくないように威力は制御できる限界まで小さくして行う。箱状に展開した空間魔法の結界の中で、火・水・風・土・光・闇をぶつけ合わせてみるが、これがまるで上手くいかない。魔力制御自体は出来ているのだが、それぞれの属性が打ち消し合ってしまい、最後には土魔法の石しか残らなかったのだ。
(何か違うな・・・発動された魔法を合体するには相性があるからか・・・)
だからこそ合体魔法は相性の合うもので組み合わされて相乗効果が生まれる。火と水や光と闇などの相反する属性ではお互いを打ち消し合ってしまうのだ。うんうんと悩んでいる僕にジャンヌさんが声を掛けてきた。
「ダリア、一体何をしようというのだ?」
「いや、全ての魔方属性を合わせたらどうなるのかなって考えたんだ」
「す、全てだと!?そんなこと出来るのか!?いや、何でそんな事をしようと?王国のプラズマとかいうものの再現ではなかったのか!?」
信じられないという表情で、ジャンヌさんは矢継ぎ早に疑問を投げ掛けてきた。そもそも同属性の魔法の同時発動でも難度が高いのだ、それを全属性となればこんな表情をするのも無理ないだろう。特に彼女は【天才】という才能で、僕と戦った時にも高位階の魔法を使っていることから、その難易度が理解できるのだろう。
「何となくだけど、プラズマは僕の使っている天叢雲の事だと思うんだ。それと、王国にあった書物に、複数の魔法を組み合わせることで、魔法とは違うエネルギーを生み出す事が指摘されてたから、魔法の通じないヨルムンガンドにはそう言った魔法で派生したエネルギーなら通じると思ったんだ。だから、全ての魔法属性を合わせてることでなんとかなるかもって考えたんだ」
「た、確かにそんなことが書かれていたが・・・難しいという話ではないのではないか?」
「大丈夫だよ。全属性の発動と融合自体は出来たから。ただ上手くいかなかったけどね・・・」
苦笑いで伝える僕に、ジャンヌさんは若干呆れ気味だった。
「ん、ダリアならきっと上手く出来る!」
「そうですね。ダリア君ならこんな逆境跳ね返せます」
「はい。ダリア様なら問題ないでしょう」
みんなから励ましの言葉も貰い、再度集中してなんとか融合できないか試してみる。しかし、いくら繰り返し合わせてみても上手くいくことはなかった。
しばらく悩みながらも試行錯誤をしていると、一人の人物が中庭に姿を見せた。その人は以前一度だけ顔を会わせたメグの祖母だった。
「あらあら、こんな場所で頑張っているのね」
「アマンダ様!外に出られてはお体に障ります!」
一緒に中庭にいた宮廷治癒師さんが焦りを感じさせる表情でアマンダさんに駆け寄る。
「少し位大丈夫よ。あの子のお陰で病気は治ったのだから」
「そうは言いましても、ご自身のご年齢を考慮いただかねばなりません。あまり外に出られるのは体への負担が・・・」
「まぁ、もう歳ですからそれは仕方の無いことよ」
その会話から、何となく健康とは言えない状況なのだろうと察する。前回お会いした時にはエリクサーを飲んで元気に見えたのだが、今は違うのだろうか。
「お久しぶりです!ご挨拶もせずにすみません!」
挨拶した方が良いだろうと考え、アマンダさんの側に近寄り頭を下げた。
「良いのよ。私は普段部屋に籠っている事が殆どだし。最近はもういい歳になってきたから体力が凄く落ちてしまってね・・・」
「そうなのですか・・・ご自愛ください」
月並みな言葉だが、そう言うしかなかった。どうやら老衰といった感じなので、僕が出来ることは何もない。
「気を使ってくれてありがとう。ところでちょっと見ていたのだけれど、あなたは全ての魔法を融合しようとしていたのかしら?」
「え、ええ、そうなのですが、中々上手くいかないので・・・」
「ふふふ、その歳でそれだけの魔法制御が出来るなんて凄いことよ!歴代のエルフでもここまでの人は居なかったでしょうね」
「しかし、制御できても肝心の融合ができなければ・・・」
苦虫を噛み潰したようにそう悔しさを滲ませていると、アマンダさんは優しく微笑みながら口を開いた。
「世界を救うおうとしているあなたに少し教えてあげます。相性の良い魔法は発現した後に合わせることで飛躍的な威力の向上が望めますが、相性の悪いものも合わせようと思えば、それは無理なのよ」
「じゃ、じゃあ一体どうすれば?」
「答えは簡単。発現する前の魔力の状態で合わせてから発動するのよ」
「・・・魔力の状態?」
アマンダさんの説明にピンと来ない僕は、首を捻りながらそう聞き返した。
「魔法師は無意識に行っているのだけど、自らの魔力を呼び水に自然の魔力を集める際に、発動しようとしている種類の魔力を集めているのよ?火魔法を発動しようと思えば火の魔力を。水魔法なら水の魔力を」
アマンダさんの説明に少し考え込み、自分なりの仮説を立てる。
「つまり、自分の内包された魔力は無色で、そこに自然界の色付けされた魔力から必要なものを抽出して選んで混ぜ合わせているということですか?」
「まぁ、素晴らしい理解だわ!その通りよ!エルフの長年の研究で自然界の魔力には全ての属性の魔力が漂っていると考えられているの。唯一人の魔力だけは何も染まっていない状態で内包されている。そんな状態だからこそ自分の魔力を自然界の魔力の呼び水にすることが出来ると考えているわ」
その考え方を聞いて何となく納得できるものがあった。それは周りにいたみんなも同様で、一様に頷きながらアマンダさんに尊敬の眼差しを向けていた。
「・・・宜しいのですか?それはアマンダ様が歴代の研究を引き継ぎ、長年の考察の末に導きだした魔法理論なのでは?」
治癒師さんが少し焦ったようにアマンダさんに言い募る。
「良いのですよ。今は世界の危機でしょう。それに正直私はこの情報はあまり大したことないと思っていたのよ」
「えっ?そうなんですか?」
アマンダさんの言葉に驚きながら真意を確かめる。
「だってそうだからと分かっても、それが何かに利用できることって無いと思っていたのよ。研究としては機密情報だけど、実際的には知らなくてもいいことでしょう?」
悪戯っぽく話すアマンダさんの言葉に、それもそうかもしれないと納得してしまう。魔法発動の根元的な解明だとしても、知っていようがいまいが魔法は使えるのだ。だとすれば学術的に重要だとしても、現実的にはそれほど重要でないと言う言葉も分かる。ただ、アマンダんさんのお陰で、何となくヒントを得た気がした。
「ありがとうございます!ちょっと分かった気がします」
「ふふふ、力になれたなら何よりよ。大切なことはそれぞれの属性魔力を詳細に想像することよ。そうね、一つ一つの魔法に色を付けて考えればやり易いかもしれないわね」
「色を・・・なるほど、やってみます!」
「頑張ってね!この世界を・・・マーガレットを守ってあげてね」
そう言ってアマンダさんは手を振りながら踵を返し、治癒師の人に付き添われながら戻っていった。
「発現する前に合わせるか・・・よし!やってみよう!」
助言を胸に、再度全ての魔法属性を合わせようと試すのだった。
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