エクセプション

黒蓮

文字の大きさ
上 下
28 / 213
第二章 冒険者生活 編

冒険者生活 18

しおりを挟む
 季節は過ぎ去り、冒険者生活が始まって10カ月が過ぎようとしていた。受ける依頼は相変わらず討伐系や素材の納品系が多く護衛依頼は今まで受けたことがない。それもそのはずで、僕は単独で活動している冒険者のため、チームとしての依頼が多い護衛依頼は僕のスタイルに合っていなかったのだ。

ただ、討伐系の依頼ばかりこのしているせいか、最近のギルダの大森林での異変に気付き始めていた。そのことを依頼の報告ついでにエリーさんに話してみた。

「こんにちはエリーさん」

「こんにちはダリア君!このところ依頼のペースが週に一回くらいだから、お姉さん寂しいのよ」

「ははは、すみません。結構蓄えがありますし、最近はフライトスーツで遊んだり、会頭さんから頂いた国立大図書館への入館許可証で本を読んでいますので」

 フライトスーツは最初こそ多少ぎこちなかったが、半年も飛んでいるとまさに自由自在に空を飛び回ることが出来るようになって、空の散歩はお気に入りの遊びになっていた。

 また、金ランクになってから3カ月が過ぎた頃に会頭のギルさんに呼ばれて行くと、つてを使って貴族から国立大図書館への入館許可証を手に入れてくれていた。結構大変だったらしく、その苦労話を愚痴のように延々と聞かされて申し訳なく思ってしまったほどだ。ただ、残念ながら地下書庫への入室までは出来ないらしく、大図書館の司書にかなり粘ったのだが相手にもされなかった。

それでも僕が閲覧できる書物にはあの500年前の『神人かみびと』の話や、周りの国の特産品や特色などが書かれているものもあり、知的好奇心を大いに刺激してくれた。その結果、徐々に依頼をこなす頻度が下がっていき、今では週に一回ほどになってしまっていた。

「ところでエリーさん、最近の大森林ではかなり魔獣が多いんですけど、この時期はいつもそうなんですか?」

「・・・やっぱりそうなのね。もしかするとスタンピードの兆候じゃないかって言われてて、今協会としても調査しているのよ」

「スタンピードですか?」

「そう、大森林の魔獣が増殖し過ぎて、普段は群れをなさない魔獣までもが集団で襲って来るのよ!」

 師匠や図書館の知識からだが、魔獣は通常の獣の何倍も繁殖力も成長力もあるらしく、討伐数が少ないとあっという間に増えてしまい、手軽な栄養源を求めて人里に殺到するらしい。ただ、魔獣同士で殺し合って互いに食料と認識しているはずなのに、なぜ一定数増えると魔獣同士ではなく人間を狩ろうとするのかは未だに良く分かっていないらしい。そして、このスタンピードにはもう一つ大きな問題がある。

「それに、今回の規模は今までと比べてかなり大きいらしいの!よほど強力な魔獣が率いているのね・・・」

 これがもう一つの問題で、何故かスタンビートの際には魔獣をまとめる存在が生まれる。そしてその魔獣が強大であればあるほど群れの規模も大きくなる。多いのは上級魔獣だが、過去には超級と言われるエルダードラゴンが率いたスタンピードは王都の外壁を破壊し、内壁の王族街まで侵攻されたこともあったらしいが、それは遠い昔の話らしい。

「それは大変そうですね。討伐には僕たち冒険者が向かうんですか?」

「そうね、規模にもよるけど基本は王国の騎士団が討伐に当たることになるわ。騎士団だけでは戦力が足りない規模の時には王国からの依頼と言う形で冒険者も加わる感じね」

「それは・・・統率が取れるか心配ですね」

「そうなのよ!プライドの高い騎士団は自分達だけで解決しようとするし、冒険者は自分勝手に討伐しようとするから大変らしいのよ!だから余ほどのことがなければ合同でスタンピードに立ち向かうなんてことは無いでしょうね」

「じゃあ、王国から依頼が来ることがあれば、それは余ほどの事ってなりますね」

エリーさんとそんな現実感のない会話をしていると、窓口の後方からマリアさんが顔を出し、僕を呼んだ。

「ダリア君、ちょっと執務室まで来てくれるかしら?」

その言葉に僕はエリーさんと顔を見合わせて苦笑いを浮かべる。

「どうも余ほどのことが来ているかもしれませんね・・・」


 執務室に通されると、会頭のギルさんが出迎えてソファーに座るよう案内してくれた。僕が座ると対面にギルさん、その後方に秘書のようにマリアさんが立ってから話が始まった。

「お呼びたてしてすみませんね」

「いえ、何となく理由は分かっていますので」

「そう言ってくれると話が早いです。君も知っているでしょうが、最近大森林の魔獣の数が異常なまでに増加しています。協会でも調査したところ、スタンピードの前兆が見られるという結果でした。さらに不味い事に今回魔獣を率いているのは大森林よりさらに北にある霊峰山脈のドラゴンである可能性が指摘されています」

どうやら今回の相手はドラゴンという事になりそうだ。師匠から王都へ送り出される際に『お前に敵う存在は私とドラゴンくらいだ』と言われているが、はたして今の僕にドラゴンと渡り合えるだろうか。

「では今回スタンピードの討伐には冒険者の力も借りるという事なんですか?」

「それがね・・・マリアさん」

ギルさんは後ろにいるマリアさんに目配せをして続きを促した。

「主戦力である騎士団にはゲンティウス殿下のチームがおります。冒険者協会でも登録されていて、ランクはダリア君と同じ金ランクです」

「前に話しただろ、未成年の金ランク3人の内の一人さ!殿下はチームでの評価だけどね」

「・・・それが何か問題なんですか?」

「はい、どうやら殿下は今回のスタンビートの功績を自分の物にしたいらしく、騎士団の指揮から討伐に至るまで全て任せてくれと息巻いているのです」

「つまり冒険者の手は借りたくないってことだね」

困ったものだとギルさんは肩をすくませて見せた。

「でも、騎士団だけで討伐可能ならそれでいいんじゃないんですか?」

「可能ならね・・・」

「え~と、無理なんですか?」

「はい、プラチナランクの冒険者に偵察してもらった結果、魔獣の数は現在およそ5000匹。しかもその内の半数は上級魔獣が占めていると報告がありました。討伐に向かえる騎士団の総数は3000人足らずですから、衛兵から応援を呼んだとしてもせいぜい4000人位しか参戦できないでしょう。上級魔獣が相手となればよほどの実力者でもなければ1匹に対して4人は必要です。しかもドラゴンが率いているとなると・・・こちらの見立てでは圧倒的に戦力が足りません」

エリーさんも頭を抱えながら困った表情を見せていた。

「それって不味いですよね?でも僕がここに呼ばれた理由はなんですか?」

「あぁ、そうだったね。つい愚痴が先行してしまった。実は騎士団に危険性を提言しても取り合ってくれなくて、教会に今回の件を相談しに行ったんだ。スタンピードの討伐には教会の治癒師達が同行するからね。ただ教会からの主張でもなかなか首を縦に振ってくれなくてね・・・結果として治癒師の護衛という条件のもと、金ランク冒険者の帯同が許可されたんだ」

「なんで金ランクなんですか?プラチナかダイヤであれば安心なんじゃ?」

「それがね・・・どうも自分の手柄を奪われる可能性があると思っているらしくてね、冒険者の同行を全く取り合ってくれなかったのを何とか金ランク1人を認めさせるのが精一杯だったんだよ」

一体その殿下とやらは何を考えているのだろうか。国民の安全や安心ではなく王族の虚栄心・・・いや、単なる自己満足のために騎士団だけでなく王都も危険にさらすつもりなのだろうか。

「それは既に作戦として認められてしまったのですか?」

「軍務卿といえど王族には逆らえないからね・・・一応秘密裏に冒険者協会に打診があって、数百人規模で後方に待機してもらいたいってね。ただ、殿下にバレないように距離を空けて且つ、別の依頼でそこにいたらたまたま巻き込まれて、仕方なく魔獣を討伐したという裏工作も必要なやり方でね・・・」

そんな子供の我が儘がまかり通る国なんて遅かれ速かれ滅ぶのではないだろうかと思ったが、さすがに不敬罪になるだろうと考え、口にはしないでおいた。

「そうなると僕の役目は・・・」

「そう!万が一の時には魔獣達をまとめているドラゴンだけでも討伐、もしくは足止めをお願いしたい!金ランクでありながらその実力はダイヤに匹敵するだろう君にしか頼めないことだ!」

話の途中からもしやと思っていたが、その通りの話の展開になってしまったようだ。

「いやいや、それやっちゃったら僕が殿下に目をつけられるじゃないですか?」

「さすがに君に責任を押し付けることはしないよ!その時には軍務卿と枢機卿の命令で仕方なくやったということになっている!」

どうやら既に国の上層部とは話しはついているようだった。ただ、責任は取らされないにしても、子供のような言動を見せている王子の感情はどうなるか分からなかったので、その事に不安を感じていた。

「う~ん・・・」

「もちろん報酬は破格だし、条件付きだが、君が見たがっていた国立大図書館の地下書庫も見れるように話しはつけてある」

こちらの欲する物を的確についてくる辺りは、さすがに貴族との交渉事も多いらしいギルさんだ。

「条件ですか?」

「地下書庫には王国から禁書指定されている書物もあるからそれ以外ならと言うことだ」

さすがに才能に関することが禁書にまで指定されていることはないだろうと考え、ギルさんの話しに乗ることにした。

「・・・分かりました。僕の出来る範囲で良ければ!」

「すまないね、よろしく頼む!」

「ところで、治癒師の護衛と言うことですが、どの程度の人数を守るんですか?」

さすがに何十人も守るとなると、最悪ドラゴン退治の時には邪魔になりそうなので、人数が分かっているなら知っておきたかった。

「実は君が帯同するのは、神殿騎士5名・側仕え兼治癒師2名、そして聖女と名高いフリージア・レナード。レナード枢機卿の孫娘で、もう一人の未成年者金ランク。そして、殿下の婚約者だ」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸
ファンタジー
【あらすじ】  ジュナリュシア・キーブレスは、キーブレス王国の第十七王子として生を受けた。  キーブレス王国は、スキル至上主義を掲げており、高ランクのスキルを持つ者が権力を持ち、低ランクの者はゴミのように虐げられる国だった。そして、ジュナの一族であるキーブレス王家は、魔法などのスキルを他人に授与することができる特殊能力者の一族で、ジュナも同様の能力が発現することが期待された。  しかし、スキル鑑定式の日、ジュナが鑑定士に言い渡された能力は《スキル無し》。これと同じ日に第五王女ピアーチェスに言い渡された能力は《Eランクのギフトキー》。  つまり、スキル至上主義のキーブレス王国では、死刑宣告にも等しい鑑定結果であった。他の王子たちは、Cランク以上のギフトキーを所持していることもあり、ジュナとピアーチェスはひどい差別を受けることになる。  お互いに近い境遇ということもあり、身を寄せ合うようになる2人。すぐに仲良くなった2人だったが、ある日、別の兄弟から命を狙われる事件が起き、窮地に立たされたジュナは、隠された能力《他人からスキルを奪う能力》が覚醒する。  この事件をきっかけに、ジュナは考えを改めた。この国で自分と姉が生きていくには、クズな王族たちからスキルを奪って裏から国を支配するしかない、と。  これは、スキル至上主義の王国で、自分たちが生き延びるために闇組織を結成し、裏から王国を支配していく物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも掲載しています。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

王宮を追放された俺のテレパシーが世界を変える?いや、そんなことより酒でも飲んでダラダラしたいんですけど。

タヌオー
ファンタジー
俺はテレパシーの専門家、通信魔術師。王宮で地味な裏方として冷遇されてきた俺は、ある日突然クビになった。俺にできるのは通信魔術だけ。攻撃魔術も格闘も何もできない。途方に暮れていた俺が出会ったのは、頭のネジがぶっ飛んだ魔導具職人の女。その時は知らなかったんだ。まさか俺の通信魔術が世界を変えるレベルのチート能力だったなんて。でも俺は超絶ブラックな労働環境ですっかり運動不足だし、生来の出不精かつ臆病者なので、冒険とか戦闘とか戦争とか、絶対に嫌なんだ。俺は何度もそう言ってるのに、新しく集まった仲間たちはいつも俺を危険なほうへ危険なほうへと連れて行こうとする。頼む。誰か助けてくれ。帰って酒飲んでのんびり寝たいんだ俺は。嫌だ嫌だって言ってんのに仲間たちにズルズル引っ張り回されて世界を変えていくこの俺の腰の引けた勇姿、とくとご覧あれ!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...