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第三章 神樹の真実
帝国への誘い 4
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「魔法陣5重展開・融合・魔力供給・顕現!滅びの魔剣、虚無」
4体の巨大なベヒモスを前に、俺は漆黒の魔剣を作り出す。背後にいるエリーゼさんから驚愕する声が聞こえてきたが、それに構わず身体強化全開でベヒモスに向かって地面を蹴る。
ベヒモスは巨大な四足獣で、体高は10メートル以上あるだろう。口から突き出る4本の鋭い牙に、頭部には2本の歪な形状をした角を冠している。更に全身を鋼のような強度を持つ灰色の体毛で覆われており、そのまま通常の武器で攻撃しても、逆に剣の方が折れてしまうことさえある。
その為、先ずは魔術で体毛を排除するのがセオリーなのだが、これも生半可な攻撃力の魔術では歯が立たない。騎士団として対応する場合、魔術師数十人単位で絶えず攻撃魔術を打ち込み続け、体毛を除去したところでこれまた剣士が数十人単位で攻撃を加え、ようやく討伐できるのだが、このベヒモスという魔物は土魔術を得意としており、おとなしくやられてくれるなんてことはあり得ない。エリーゼさんが言うように、この魔物を4体相手にするなら、500人規模で部隊を編成しなければ確実な討伐は困難だろう。
(俺でも瞬殺は無理だからな。こんな厄介な魔物がホイホイ出てくるような場所を通ってよく無事に王国まで来れたな)
エリーゼさん達一行の中に、たぐい稀な豪運の持ち主でも居たのかと感心する程に、魔物の生息域というのは人間にとって地獄のような場所だ。
そんなベヒモスは既に俺達の存在を把握しており、小さく唸り声をあげながら頭を下げていた。あれはベヒモス特有の攻撃体勢で、あの唸り声が魔術発動の切っ掛けになっている。
「ーーーっ!」
間合いに入ろうとした俺に向かって、無数の岩が飛んでくるが、速度を緩めることなく一直線にベヒモスへ突っ切る。
「危ないっ!」
俺の目の前に家屋ほどの大きさの岩が飛んでくるのを見てか、エリーゼさんの悲痛な叫びが聞こえてきたが、心配ご無用とばかりに魔剣でその岩を突くと、巨大な岩など無かったかのように霧散して消える。
「はぇ?」
俺の行動の一つ一つにリアクションを取るエリーゼさんは面白いが、今はちゃんと護衛という自分の責務を全うして欲しい。そんな事を考えていると、ベヒモスの右前足が持ち上がり雄叫びと共に足を降り下ろそうとしていた。
「おっと」
土魔術の『地揺れ』を放ってくると判断した俺は、即座に上空に退避した。次の瞬間、足を振り下ろした轟音と共に、大地が激しく振動した。普通なら立っているのもままならないほどの衝撃だろうが、ミッシェルやエリーゼさん達は姿勢を低く保って耐えている。
(ふむ。さすがにエリーゼさんも実力は確かだな。これなら集中できる)
滞空しながら状況を確認していると、俺に向かって攻撃を加えてきたベヒモスの他、3体も俺に照準を合わせるようにしてこちらを睨み付けてきた。
(俺に集中してくれるなら手間が省ける!)
すると、4体のベヒモスが共鳴するかのように重低音の唸り声をあげると、俺の周囲全てを覆う巨大な壁が出現した。
(押し潰す気か?それとも閉じ込める気か?どちらにしても甘い!)
迫り来る上下左右の壁を見て笑みを溢すと、俺は魔剣を上段に構え、そのまま振り下ろす。
「飛剣・朧」
虚無の効果を薄く乗せて斬戟を飛ばすと、正面から迫っていた壁が消え去る。次いで背後から迫っていた壁を足場代わりに蹴り飛ばすと、眼下にいるベヒモスのうちの1体を目掛けて迫る。
「はぁっ!」
『グギュウゥゥゥ!!』
俺を脅威と感じてか、ベヒモスは震えたような声で雄叫びをあげる。俺は剣を逆手に持ち直すと、そのままベヒモスの眉間に落下速度をも利用して魔剣を突き立てた。
『ギャーーーー』
眉間を深々と突き刺されたベヒモスは短い叫びをあげると、噴水のような血を吹き上げながら崩れ落ちた。その様子を見た残りのベヒモス達は、俺を避けるようにしてエリーゼさん達の方へ向かい出す。
「ダニエル!」
「任せろ!」
俺の意図を察したダニエルは、巨大な盾を構えると魔力を流した。するとその盾から不透明の巨大な盾が3つ産み出され、それぞれがベヒモスの眼前へと迫る。
「うおぉぉぉぉ!!」
ダニエルの裂帛の気合いと共に、産み出された不透明の盾がベヒモスに衝突し、その進行を食い止めた。
「レック!ミッシェル!」
「任せたまえ!!」
「魔方陣三重展開・魔力供給・照準・発動!」
ダニエルの掛け声と共にレックが長弓の弓を引く。彼の白銀の長弓は魔道具となっており、魔力を流した状態で弦を引くと光輝く紫の矢が現れる。それを目にも止まらぬ早さで連射し、矢の雨を降らせた。
ミッシェルは闇魔術を発動し、ベヒモスの筋力を低下させ、行動の阻害と同時に防御力の低下を図った。
『『『ギュオォォォォ!!!』』』
一方的な状況に、ベヒモス達は苛立たたしげな声をあげる。筋力が低下したベヒモスはダニエルの守りを突破できず、防御力の下がった状態ではレックの矢の雨に体毛が徐々に損耗していく。
「ミッシェル!土魔術が来るぞ!」
「分かってる!魔方陣三重展開・魔力供給・照準・発動!」
レックがベヒモスの状況をミッシェルに伝えると、彼女は事前に次の魔術を待機させており、即座に認識阻害の闇魔術を発動した。するとベヒモス達が発動した、地面から鋭い岩の槍が突き出す魔術は、全く見当違いな場所で発動していた。
「はぁぁ!!」
『ギューーー』
俺は動きが止まり、体毛が消え去った背中に向かって魔剣を突き刺すと、更に1体のベヒモスは命を散らして地面に崩れ落ちた。続けて俺は残りの2体も同様に始末していき、戦闘開始から5分も掛からず4体のベヒモスを討伐し終えた。
「ふう。半年振りの連携だったが、みんな腕は衰えていないようだな」
「うちの団は人員の再編成で多少ゴタゴタしたが、たったの半年程度で鈍るわけ無かろう」
俺の感心の言葉に、ダニエルが呆れるように応えた。俺としてもさほど心配していなかったのだが、こういうちょっとした褒め言葉が部隊の士気を高めるものだと師匠から教わっていた。
「ア、アルバート殿?先程の黒い剣は一体?それに、ベヒモスをたったの一撃で屠るなんてどうやって?」
ダニエル達と談笑していると、エリーゼさんが唖然とした表情を浮かべながら俺に問いかけてきた。その様子に、俺以外の皆は仕方ないとでも言うような顔を浮かべているが、何か口にするようなことは無く、俺に対応を丸投げするようだった。
「まぁ、色々とな。ヴェストニア王国最強の騎士だからとでも理解しておいてくれ」
「他国の人間に手の内を明かせないことは理解しているが、その、あの剣は魔術で生み出したのか?五重に魔法陣を展開していたようだが、そんな事が可能なのか?」
「まぁ、見てもらった通りだ」
あまり詮索するなと言外に伝えたのだが、ジリジリとにじり寄ってくるエリーゼさんから中々の圧を感じる。理解不能な能力を持つ者だと警戒させてしまったかと思ったが、続くエリーゼさんから放たれた言葉は、俺の想像の埒外だった。
「素晴らしい!!」
「・・・は?」
エリーゼさんは瞳を輝かせながら俺の両肩を力強く掴み、そのまま上から覗き込むような姿勢で称賛を述べてきた。
「魔術については門外漢の私でも分かる!5つの魔法陣を同時に展開し、それらの効果を融合させ、新たな魔術を創造してしまうなど、並の魔術師の成せる技ではない!正に天才的な発想と実力だ!あぁ、私は更に貴殿への興味が湧いてしまったよ!」
「は、はぁ・・・」
鼻息の荒いエリーゼさんの勢いに気圧され、どう対処したものか迷っていると、ミッシェルが不機嫌オーラを撒き散しながら歩み寄ってきた。
「そこまでです。団長が困っていますので離れて下さい」
「あっ、す、すまない」
エリーゼさんの視線から俺を遮るようにして腕を伸ばしたミッシェルは、憮然とした態度でエリーゼさんを諌めていた。そんなミッシェルの様子にエリーゼさんは謝罪の言葉を口にするも、名残惜しそうに俺の方を見ようと頭を動かしていた。本当に、どうしてここまで気に入られているのか理解できない俺は、内心でため息を吐いた。
「団長、今日はここで夜営をしますか?ベヒモスの魔石は高価ですし、その肉も絶品です。解体の時間を考えると、以後の移動は困難かと思われます」
背後に居るエリーゼさんを無視するように、ミッシェルは今後の予定について確認してきた。確かに彼女の言う通り、出来ればベヒモスの魔石は入手しておきたいし、その肉もある程度量確保しておきたい。
「そうだな。今日はここで・・・」
夜営をしよう、そう言いかけた時だった。俺達のいる場に突如影が差したのだ。
「団長っ!!上だっ!!」
いち早く異変の元凶を見つけたのはレックだ。みんな彼の言葉に導かれるように、影が落ちてきた原因である頭上を見上げた。
「・・・何だ?あれは?」
俺達の上空に現れた存在は、自身の距離感が狂う程に巨大な何かだった。
4体の巨大なベヒモスを前に、俺は漆黒の魔剣を作り出す。背後にいるエリーゼさんから驚愕する声が聞こえてきたが、それに構わず身体強化全開でベヒモスに向かって地面を蹴る。
ベヒモスは巨大な四足獣で、体高は10メートル以上あるだろう。口から突き出る4本の鋭い牙に、頭部には2本の歪な形状をした角を冠している。更に全身を鋼のような強度を持つ灰色の体毛で覆われており、そのまま通常の武器で攻撃しても、逆に剣の方が折れてしまうことさえある。
その為、先ずは魔術で体毛を排除するのがセオリーなのだが、これも生半可な攻撃力の魔術では歯が立たない。騎士団として対応する場合、魔術師数十人単位で絶えず攻撃魔術を打ち込み続け、体毛を除去したところでこれまた剣士が数十人単位で攻撃を加え、ようやく討伐できるのだが、このベヒモスという魔物は土魔術を得意としており、おとなしくやられてくれるなんてことはあり得ない。エリーゼさんが言うように、この魔物を4体相手にするなら、500人規模で部隊を編成しなければ確実な討伐は困難だろう。
(俺でも瞬殺は無理だからな。こんな厄介な魔物がホイホイ出てくるような場所を通ってよく無事に王国まで来れたな)
エリーゼさん達一行の中に、たぐい稀な豪運の持ち主でも居たのかと感心する程に、魔物の生息域というのは人間にとって地獄のような場所だ。
そんなベヒモスは既に俺達の存在を把握しており、小さく唸り声をあげながら頭を下げていた。あれはベヒモス特有の攻撃体勢で、あの唸り声が魔術発動の切っ掛けになっている。
「ーーーっ!」
間合いに入ろうとした俺に向かって、無数の岩が飛んでくるが、速度を緩めることなく一直線にベヒモスへ突っ切る。
「危ないっ!」
俺の目の前に家屋ほどの大きさの岩が飛んでくるのを見てか、エリーゼさんの悲痛な叫びが聞こえてきたが、心配ご無用とばかりに魔剣でその岩を突くと、巨大な岩など無かったかのように霧散して消える。
「はぇ?」
俺の行動の一つ一つにリアクションを取るエリーゼさんは面白いが、今はちゃんと護衛という自分の責務を全うして欲しい。そんな事を考えていると、ベヒモスの右前足が持ち上がり雄叫びと共に足を降り下ろそうとしていた。
「おっと」
土魔術の『地揺れ』を放ってくると判断した俺は、即座に上空に退避した。次の瞬間、足を振り下ろした轟音と共に、大地が激しく振動した。普通なら立っているのもままならないほどの衝撃だろうが、ミッシェルやエリーゼさん達は姿勢を低く保って耐えている。
(ふむ。さすがにエリーゼさんも実力は確かだな。これなら集中できる)
滞空しながら状況を確認していると、俺に向かって攻撃を加えてきたベヒモスの他、3体も俺に照準を合わせるようにしてこちらを睨み付けてきた。
(俺に集中してくれるなら手間が省ける!)
すると、4体のベヒモスが共鳴するかのように重低音の唸り声をあげると、俺の周囲全てを覆う巨大な壁が出現した。
(押し潰す気か?それとも閉じ込める気か?どちらにしても甘い!)
迫り来る上下左右の壁を見て笑みを溢すと、俺は魔剣を上段に構え、そのまま振り下ろす。
「飛剣・朧」
虚無の効果を薄く乗せて斬戟を飛ばすと、正面から迫っていた壁が消え去る。次いで背後から迫っていた壁を足場代わりに蹴り飛ばすと、眼下にいるベヒモスのうちの1体を目掛けて迫る。
「はぁっ!」
『グギュウゥゥゥ!!』
俺を脅威と感じてか、ベヒモスは震えたような声で雄叫びをあげる。俺は剣を逆手に持ち直すと、そのままベヒモスの眉間に落下速度をも利用して魔剣を突き立てた。
『ギャーーーー』
眉間を深々と突き刺されたベヒモスは短い叫びをあげると、噴水のような血を吹き上げながら崩れ落ちた。その様子を見た残りのベヒモス達は、俺を避けるようにしてエリーゼさん達の方へ向かい出す。
「ダニエル!」
「任せろ!」
俺の意図を察したダニエルは、巨大な盾を構えると魔力を流した。するとその盾から不透明の巨大な盾が3つ産み出され、それぞれがベヒモスの眼前へと迫る。
「うおぉぉぉぉ!!」
ダニエルの裂帛の気合いと共に、産み出された不透明の盾がベヒモスに衝突し、その進行を食い止めた。
「レック!ミッシェル!」
「任せたまえ!!」
「魔方陣三重展開・魔力供給・照準・発動!」
ダニエルの掛け声と共にレックが長弓の弓を引く。彼の白銀の長弓は魔道具となっており、魔力を流した状態で弦を引くと光輝く紫の矢が現れる。それを目にも止まらぬ早さで連射し、矢の雨を降らせた。
ミッシェルは闇魔術を発動し、ベヒモスの筋力を低下させ、行動の阻害と同時に防御力の低下を図った。
『『『ギュオォォォォ!!!』』』
一方的な状況に、ベヒモス達は苛立たたしげな声をあげる。筋力が低下したベヒモスはダニエルの守りを突破できず、防御力の下がった状態ではレックの矢の雨に体毛が徐々に損耗していく。
「ミッシェル!土魔術が来るぞ!」
「分かってる!魔方陣三重展開・魔力供給・照準・発動!」
レックがベヒモスの状況をミッシェルに伝えると、彼女は事前に次の魔術を待機させており、即座に認識阻害の闇魔術を発動した。するとベヒモス達が発動した、地面から鋭い岩の槍が突き出す魔術は、全く見当違いな場所で発動していた。
「はぁぁ!!」
『ギューーー』
俺は動きが止まり、体毛が消え去った背中に向かって魔剣を突き刺すと、更に1体のベヒモスは命を散らして地面に崩れ落ちた。続けて俺は残りの2体も同様に始末していき、戦闘開始から5分も掛からず4体のベヒモスを討伐し終えた。
「ふう。半年振りの連携だったが、みんな腕は衰えていないようだな」
「うちの団は人員の再編成で多少ゴタゴタしたが、たったの半年程度で鈍るわけ無かろう」
俺の感心の言葉に、ダニエルが呆れるように応えた。俺としてもさほど心配していなかったのだが、こういうちょっとした褒め言葉が部隊の士気を高めるものだと師匠から教わっていた。
「ア、アルバート殿?先程の黒い剣は一体?それに、ベヒモスをたったの一撃で屠るなんてどうやって?」
ダニエル達と談笑していると、エリーゼさんが唖然とした表情を浮かべながら俺に問いかけてきた。その様子に、俺以外の皆は仕方ないとでも言うような顔を浮かべているが、何か口にするようなことは無く、俺に対応を丸投げするようだった。
「まぁ、色々とな。ヴェストニア王国最強の騎士だからとでも理解しておいてくれ」
「他国の人間に手の内を明かせないことは理解しているが、その、あの剣は魔術で生み出したのか?五重に魔法陣を展開していたようだが、そんな事が可能なのか?」
「まぁ、見てもらった通りだ」
あまり詮索するなと言外に伝えたのだが、ジリジリとにじり寄ってくるエリーゼさんから中々の圧を感じる。理解不能な能力を持つ者だと警戒させてしまったかと思ったが、続くエリーゼさんから放たれた言葉は、俺の想像の埒外だった。
「素晴らしい!!」
「・・・は?」
エリーゼさんは瞳を輝かせながら俺の両肩を力強く掴み、そのまま上から覗き込むような姿勢で称賛を述べてきた。
「魔術については門外漢の私でも分かる!5つの魔法陣を同時に展開し、それらの効果を融合させ、新たな魔術を創造してしまうなど、並の魔術師の成せる技ではない!正に天才的な発想と実力だ!あぁ、私は更に貴殿への興味が湧いてしまったよ!」
「は、はぁ・・・」
鼻息の荒いエリーゼさんの勢いに気圧され、どう対処したものか迷っていると、ミッシェルが不機嫌オーラを撒き散しながら歩み寄ってきた。
「そこまでです。団長が困っていますので離れて下さい」
「あっ、す、すまない」
エリーゼさんの視線から俺を遮るようにして腕を伸ばしたミッシェルは、憮然とした態度でエリーゼさんを諌めていた。そんなミッシェルの様子にエリーゼさんは謝罪の言葉を口にするも、名残惜しそうに俺の方を見ようと頭を動かしていた。本当に、どうしてここまで気に入られているのか理解できない俺は、内心でため息を吐いた。
「団長、今日はここで夜営をしますか?ベヒモスの魔石は高価ですし、その肉も絶品です。解体の時間を考えると、以後の移動は困難かと思われます」
背後に居るエリーゼさんを無視するように、ミッシェルは今後の予定について確認してきた。確かに彼女の言う通り、出来ればベヒモスの魔石は入手しておきたいし、その肉もある程度量確保しておきたい。
「そうだな。今日はここで・・・」
夜営をしよう、そう言いかけた時だった。俺達のいる場に突如影が差したのだ。
「団長っ!!上だっ!!」
いち早く異変の元凶を見つけたのはレックだ。みんな彼の言葉に導かれるように、影が落ちてきた原因である頭上を見上げた。
「・・・何だ?あれは?」
俺達の上空に現れた存在は、自身の距離感が狂う程に巨大な何かだった。
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