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第19話 ルーク領の征服
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「いやー。たまげましたなぁ」
行軍に同行していた武器職人は、新開発した弓の威力を目の当たりにしてたまげていた。
「まさかあの弓にあそこまで強化の余地があったとは」
「な? だから言っただろ。弓矢はもっと強化できるって」
「いやはや、まったく領主様の慧眼にはお見それしました」
「おっ、どうやら砦の中を制圧できたようだな」
砦の上に立った兵隊が、アークロイ領の旗を大きく振っている。
砦の中を完全制圧したという合図であった。
「我々も中に行こう」
ノア達は砦の中へと入っていく。
砦の中に入ると、オフィーリアが忙しく指示を飛ばしていた。
砦内の守備兵はことごとく武具を剥ぎ取られ、縄で手を縛られて、通路に転がされている。
「オフィーリア、首尾はどうなっている?」
「ご主人様」
ノアが声をかけると、オフィーリアは厳しい顔付きを緩めて笑顔になる。
しかし、それも一瞬ですぐに仕事モードの顔に切り替わると、ノアの前に跪く。
「砦の制圧完了いたしました。この度の勝利はひとえにご主人様の開発した新兵器によるところが大きいかと存じます。改めてご主人様の慧眼に敬服いたしました」
「はっはっは。いやいや、そうでもないよ」
「領主様ー」
エルザが矢のたくさん入った箱を台車に載せて運んでくる。
「砦内の弓矢、接収完了しましたー」
「おうご苦労。 どうだ? その矢使えそうか?」
「はい。新兵器にも十分使えそうです。いやー、凄いですね、あの弓。めちゃくちゃ強いのに、使いやすくって」
「取り回しも強化したからな」
取り回しを強化したということは、射撃スキルの低いものでも充分に取り扱えるということである。
それはすなわち量産化して、全軍に配備できるということだ。
オフィーリアもエルザに声をかける。
「エルザ。此度の勝利はひとえに貴殿があの新兵器を開発し、使いこなせたことにある。我が軍の強化に貢献してくれたこと、私からも感謝するぞ」
「えへへ。いやー、照れますねぇ」
「領主様にはまだまだ敵が多い。これからも我が軍と領主様のために力を尽くしてくれ」
「はい。もちろんです」
オフィーリアとエルザは固く握手した。
「領主様ー。捕えられていた使者が見つかりました」
「おっ、無事だったか」
見ると、初めて砦を訪れた時、使者として使いに出した後、帰ってこなかった男が釈放されて自由になっていた。
少し頬がこけていたが、それ以外特に目立った変化はない。
捕虜としてそこまで酷い扱いはされていないようだった。
「いやー、酷い目に遭いました」
「すまなかったな。すぐに助けに来れなくて」
「いえいえ。これも使者の役目ですからね。それにこうして我が軍の兵が砦の中にいるということは、戦争には勝ったということですよね」
「まあな。みんなが頑張ってくれたおかげでどうにか勝つことができたよ」
「いえ、今回は領主様のお力が大きいかと」
「そうですよ。領主様はもっと堂々とされてください」
オフィーリアとエルザが持ち上げてくる。
2人の若い娘に持ち上げられて、ノアも悪い気はしないので、ちょっとイキってみることにした。
「まったく困った奴らだよ。この程度の砦でこの俺を止められると思ったのかな?」
「きゃー。かっこいい」
「ふふっ。もう、領主様ったら」
エルザは手を振り上げて元気にはしゃぎ、オフィーリアは口元に手を当ててクスクスと上品に笑う。
捕虜となって、手を縛られた砦兵達は苦々しい顔でノア達の方を見ていた。
「くっ。あの野郎。前回1人で来た時は、この砦に恐れをなしてすごすご逃げ帰ったくせに」
「オフィーリアと弓隊が来た途端調子づきやがって」
「ん? 何か言ったかね?」
ノアがすかさず咎めると捕虜達はあたふたする。
「あっ、いえっ」
「なんでもないっすー」
「いやー、ノア様、流石っす。聞きしに勝る強さっす」
「マジぱねえっす。マジリスペクトっす」
「そうか。そうか。ま、そういうことにしておいてやろう」
守備兵達はその場を誤魔化せたことにホッと胸を撫で下ろす。
その後、オフィーリアは5千の兵を砦に残し、1万5千の兵を率いてルーク公の本拠地まで進軍した。
ルークの領主と重臣達は、砦がわずか1日で陥落したこと、1万5千の軍勢が尋常じゃない速度で近づいてきていることに喫驚する。
砦の守りと【剛腕】のヘカトンを失った状態で、最強の将オフィーリアを相手に戦おうとする度胸のある者はいなかった。
ルーク公は降伏した。
こうしてルーク領はアークロイ領に組み込まれた。
・ノア・フォン・アークロイ
城:2つ
騎士:600人
兵力:30000人
税収:3万グラ
友好国:なし
行軍に同行していた武器職人は、新開発した弓の威力を目の当たりにしてたまげていた。
「まさかあの弓にあそこまで強化の余地があったとは」
「な? だから言っただろ。弓矢はもっと強化できるって」
「いやはや、まったく領主様の慧眼にはお見それしました」
「おっ、どうやら砦の中を制圧できたようだな」
砦の上に立った兵隊が、アークロイ領の旗を大きく振っている。
砦の中を完全制圧したという合図であった。
「我々も中に行こう」
ノア達は砦の中へと入っていく。
砦の中に入ると、オフィーリアが忙しく指示を飛ばしていた。
砦内の守備兵はことごとく武具を剥ぎ取られ、縄で手を縛られて、通路に転がされている。
「オフィーリア、首尾はどうなっている?」
「ご主人様」
ノアが声をかけると、オフィーリアは厳しい顔付きを緩めて笑顔になる。
しかし、それも一瞬ですぐに仕事モードの顔に切り替わると、ノアの前に跪く。
「砦の制圧完了いたしました。この度の勝利はひとえにご主人様の開発した新兵器によるところが大きいかと存じます。改めてご主人様の慧眼に敬服いたしました」
「はっはっは。いやいや、そうでもないよ」
「領主様ー」
エルザが矢のたくさん入った箱を台車に載せて運んでくる。
「砦内の弓矢、接収完了しましたー」
「おうご苦労。 どうだ? その矢使えそうか?」
「はい。新兵器にも十分使えそうです。いやー、凄いですね、あの弓。めちゃくちゃ強いのに、使いやすくって」
「取り回しも強化したからな」
取り回しを強化したということは、射撃スキルの低いものでも充分に取り扱えるということである。
それはすなわち量産化して、全軍に配備できるということだ。
オフィーリアもエルザに声をかける。
「エルザ。此度の勝利はひとえに貴殿があの新兵器を開発し、使いこなせたことにある。我が軍の強化に貢献してくれたこと、私からも感謝するぞ」
「えへへ。いやー、照れますねぇ」
「領主様にはまだまだ敵が多い。これからも我が軍と領主様のために力を尽くしてくれ」
「はい。もちろんです」
オフィーリアとエルザは固く握手した。
「領主様ー。捕えられていた使者が見つかりました」
「おっ、無事だったか」
見ると、初めて砦を訪れた時、使者として使いに出した後、帰ってこなかった男が釈放されて自由になっていた。
少し頬がこけていたが、それ以外特に目立った変化はない。
捕虜としてそこまで酷い扱いはされていないようだった。
「いやー、酷い目に遭いました」
「すまなかったな。すぐに助けに来れなくて」
「いえいえ。これも使者の役目ですからね。それにこうして我が軍の兵が砦の中にいるということは、戦争には勝ったということですよね」
「まあな。みんなが頑張ってくれたおかげでどうにか勝つことができたよ」
「いえ、今回は領主様のお力が大きいかと」
「そうですよ。領主様はもっと堂々とされてください」
オフィーリアとエルザが持ち上げてくる。
2人の若い娘に持ち上げられて、ノアも悪い気はしないので、ちょっとイキってみることにした。
「まったく困った奴らだよ。この程度の砦でこの俺を止められると思ったのかな?」
「きゃー。かっこいい」
「ふふっ。もう、領主様ったら」
エルザは手を振り上げて元気にはしゃぎ、オフィーリアは口元に手を当ててクスクスと上品に笑う。
捕虜となって、手を縛られた砦兵達は苦々しい顔でノア達の方を見ていた。
「くっ。あの野郎。前回1人で来た時は、この砦に恐れをなしてすごすご逃げ帰ったくせに」
「オフィーリアと弓隊が来た途端調子づきやがって」
「ん? 何か言ったかね?」
ノアがすかさず咎めると捕虜達はあたふたする。
「あっ、いえっ」
「なんでもないっすー」
「いやー、ノア様、流石っす。聞きしに勝る強さっす」
「マジぱねえっす。マジリスペクトっす」
「そうか。そうか。ま、そういうことにしておいてやろう」
守備兵達はその場を誤魔化せたことにホッと胸を撫で下ろす。
その後、オフィーリアは5千の兵を砦に残し、1万5千の兵を率いてルーク公の本拠地まで進軍した。
ルークの領主と重臣達は、砦がわずか1日で陥落したこと、1万5千の軍勢が尋常じゃない速度で近づいてきていることに喫驚する。
砦の守りと【剛腕】のヘカトンを失った状態で、最強の将オフィーリアを相手に戦おうとする度胸のある者はいなかった。
ルーク公は降伏した。
こうしてルーク領はアークロイ領に組み込まれた。
・ノア・フォン・アークロイ
城:2つ
騎士:600人
兵力:30000人
税収:3万グラ
友好国:なし
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