27 / 31
27
しおりを挟む
セルジュ王子とソフィア王女のお茶会には王宮のローズガーデンの横の一室になった。
ジョージアナの側にシャーロットそれからクリスタがつき、セルジュ王子には側近のフォリオとギルバードとエドワード、フェリクスがついた。
『ソフィア王女はフルーレイス語はお話になれますか?』
にこにことセルジュは聞いてきた。ジョージアナが通訳すると、
ソフィアはうっそりとした目でセルジュの袖口あたりをみてうなずいた。
『では!』
とセルジュ王子はフルーレイス語で
『私としてはソフィア王女とお話したいのですが』
と周囲に目配せをしてきた。
『わかりました。ですが二人きりには出来ませんので…』
とクリスタが微笑みつつ、しっかりと釘をさした
シャーロットも席をたち、見える範囲に下がった。
セルジュはなかなかの策士ではと思う。まんまとソフィアをお茶に誘い、ソフィアが話せるというフルーレイス語で二人で話そうと持ちかけた。
会話の詳細は聞こえては来ないものの、セルジュはご機嫌でソフィアに話かけ、ソフィアは張り付いた笑みを絶やさずに会話を続けていた。通訳がいないので、ソフィアも一国の王子を相手なため、邪険には出来ないようだ。
『セルジュ王子、ソフィア王女、そろそろ…』
とクリスタが声をかけると、
『ああ、楽しい時間はあっという間ですね』
とセルジュはにこやかに言うと、ソフィアの椅子を引き手をとり立たせた…と。
セルジュはそのままソフィアの腕を自分に引き寄せて、反対の手をソフィアの後頭部にやり、キスをした!
「……!」
控えていた全員に声にならない悲鳴が上がった。
シャーロットから見るに、セルジュはかなり濃厚なキスをしていた。ソフィアは驚きに目をみはり、硬直していた。
つかつかと歩み寄ると、シャーロットは割って入った。
『お止めくださいませ。何をなさいます?』
セルリナ語で言った。
ふらりとソフィアが倒れかかり、シャーロットとジョージアナが支えた。
『ソフィア王女の唇をこんな風に奪うなんて、男として最低の行為ですわ!』
ふつふつと怒りがこみ上げる。
『しかも、最初から舌を絡めるなんてやりすぎではありませんか!鬼畜です!』
『おや、君はうぶそうに見えて王女より経験値はあるのかな?』
セルジュはくすっと笑ってきた。
『余計な事ですわ。貴方にとってはたかが通訳でしょ』
『シャーロット、それくらいで…』
エドワードとギルバードが間に入った。
エドワードはシャーロットの肩をだき、ギルバードはセルジュを外へ促した。
ソフィアはジョージアナとフェリクスが支えて室外に運んでいった。
「ああ、シャーロット。止めてくれて良かったわ…!わたくしも固まってしまって…」
クリスタがシャーロットの腕に触れた。
「何てことかしら、陛下にご相談しなくては!」
クリスタは急ぎ足で立ち去っていった。
部屋にエドワードに連れ戻されたシャーロットは、お茶を飲んで少し落ち着く。
「大丈夫かしらソフィア王女…」
なにせ、純粋培養な上に男嫌いとして有名なソフィアの事。いまどんな心地なのかとシャーロットは気になった。
「済んでしまったことは仕方がない。誰も止めようがなかった」
エドワードがシャーロットの肩を抱き寄せてなだめた。
「エドワード、わたくしはセルジュ王子に無礼な振る舞いをしてしまったわ…。このまま帰り謹慎します」
「シャーロット…」
「どちみちもう通訳は必要ないわ」
ふふっとシャーロットは笑って見せた。
「面倒な奥さんを貰ってしまって後悔してる?」
「まさか!勇敢な奥さんでますます夢中になるよ」
エドワードは微笑むとキスをした。
「馬車をだしてくれる?このまま帰るわ」
「先に馬車へ、私も陛下に挨拶をして帰ることにするよ。妻にならってね」
エドワードは苦笑した。
「エドワードまで…」
「どちみちセルジュ王子の思惑通りソフィア王女は婚約になるだろう。私がいる意味もない、セルリナ語ならギルバード卿がいるからね」
いうなりさっさと荷造りをすると、エドワードはシャーロットを馬車で待たせてジェラルドに辞居の挨拶をすると馬車に乗り込んできた。
「お義父様なら上手くしてくれるわよね?きっと」
「大丈夫だ、それほど大変事を引き起こしてはいないさ」
エドワードはくすっと笑った。
突然の主夫婦の期間にやや慌てていたアボット邸と使用人たちだが、すんなりと出迎えの準備を整えた。
「ごめんなさいね慌てさせて」
シャーロットは微笑みを使用人たちに向けた。
ジョージアナの側にシャーロットそれからクリスタがつき、セルジュ王子には側近のフォリオとギルバードとエドワード、フェリクスがついた。
『ソフィア王女はフルーレイス語はお話になれますか?』
にこにことセルジュは聞いてきた。ジョージアナが通訳すると、
ソフィアはうっそりとした目でセルジュの袖口あたりをみてうなずいた。
『では!』
とセルジュ王子はフルーレイス語で
『私としてはソフィア王女とお話したいのですが』
と周囲に目配せをしてきた。
『わかりました。ですが二人きりには出来ませんので…』
とクリスタが微笑みつつ、しっかりと釘をさした
シャーロットも席をたち、見える範囲に下がった。
セルジュはなかなかの策士ではと思う。まんまとソフィアをお茶に誘い、ソフィアが話せるというフルーレイス語で二人で話そうと持ちかけた。
会話の詳細は聞こえては来ないものの、セルジュはご機嫌でソフィアに話かけ、ソフィアは張り付いた笑みを絶やさずに会話を続けていた。通訳がいないので、ソフィアも一国の王子を相手なため、邪険には出来ないようだ。
『セルジュ王子、ソフィア王女、そろそろ…』
とクリスタが声をかけると、
『ああ、楽しい時間はあっという間ですね』
とセルジュはにこやかに言うと、ソフィアの椅子を引き手をとり立たせた…と。
セルジュはそのままソフィアの腕を自分に引き寄せて、反対の手をソフィアの後頭部にやり、キスをした!
「……!」
控えていた全員に声にならない悲鳴が上がった。
シャーロットから見るに、セルジュはかなり濃厚なキスをしていた。ソフィアは驚きに目をみはり、硬直していた。
つかつかと歩み寄ると、シャーロットは割って入った。
『お止めくださいませ。何をなさいます?』
セルリナ語で言った。
ふらりとソフィアが倒れかかり、シャーロットとジョージアナが支えた。
『ソフィア王女の唇をこんな風に奪うなんて、男として最低の行為ですわ!』
ふつふつと怒りがこみ上げる。
『しかも、最初から舌を絡めるなんてやりすぎではありませんか!鬼畜です!』
『おや、君はうぶそうに見えて王女より経験値はあるのかな?』
セルジュはくすっと笑ってきた。
『余計な事ですわ。貴方にとってはたかが通訳でしょ』
『シャーロット、それくらいで…』
エドワードとギルバードが間に入った。
エドワードはシャーロットの肩をだき、ギルバードはセルジュを外へ促した。
ソフィアはジョージアナとフェリクスが支えて室外に運んでいった。
「ああ、シャーロット。止めてくれて良かったわ…!わたくしも固まってしまって…」
クリスタがシャーロットの腕に触れた。
「何てことかしら、陛下にご相談しなくては!」
クリスタは急ぎ足で立ち去っていった。
部屋にエドワードに連れ戻されたシャーロットは、お茶を飲んで少し落ち着く。
「大丈夫かしらソフィア王女…」
なにせ、純粋培養な上に男嫌いとして有名なソフィアの事。いまどんな心地なのかとシャーロットは気になった。
「済んでしまったことは仕方がない。誰も止めようがなかった」
エドワードがシャーロットの肩を抱き寄せてなだめた。
「エドワード、わたくしはセルジュ王子に無礼な振る舞いをしてしまったわ…。このまま帰り謹慎します」
「シャーロット…」
「どちみちもう通訳は必要ないわ」
ふふっとシャーロットは笑って見せた。
「面倒な奥さんを貰ってしまって後悔してる?」
「まさか!勇敢な奥さんでますます夢中になるよ」
エドワードは微笑むとキスをした。
「馬車をだしてくれる?このまま帰るわ」
「先に馬車へ、私も陛下に挨拶をして帰ることにするよ。妻にならってね」
エドワードは苦笑した。
「エドワードまで…」
「どちみちセルジュ王子の思惑通りソフィア王女は婚約になるだろう。私がいる意味もない、セルリナ語ならギルバード卿がいるからね」
いうなりさっさと荷造りをすると、エドワードはシャーロットを馬車で待たせてジェラルドに辞居の挨拶をすると馬車に乗り込んできた。
「お義父様なら上手くしてくれるわよね?きっと」
「大丈夫だ、それほど大変事を引き起こしてはいないさ」
エドワードはくすっと笑った。
突然の主夫婦の期間にやや慌てていたアボット邸と使用人たちだが、すんなりと出迎えの準備を整えた。
「ごめんなさいね慌てさせて」
シャーロットは微笑みを使用人たちに向けた。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる