侍女の恋日記

桜 詩

文字の大きさ
上 下
67 / 71
エミリアの章

約束のring

しおりを挟む
エミリアとセラフィーナは、舞踏会の夜はエディントン家の客室に二人で泊まった。
「それで!?」
「結婚するって返事した…」
「きゃぁ!やったわね!」
セラフィーナがきゅうっとエミリアを抱き締めた。
「ついに、エミリアが陥落したかぁ…」
セラフィーナがうるうるとエミリアを見つめた。

「こうなってみたら、ベルナルド様に一目惚れしちゃったのも良かったのね!あの事がなかったらいつも通りサイラスの誘いになんてのってなかったものね」
そういえばそうか、と思う。

以外な所で、結びつけられたものだ。
「それにしても、サイラスってば紳士よね、魅力的な婚約者を前にキスで我慢なんてやるじゃない。アルベルト殿下なら、その場で襲われてたわよ?」
セラフィーナがおかしそうに言った。
エミリアも思い出した。確かにその事件は事実としてあった事だ。

「あの俺様王子様と比較するのが間違えてない?」
くくくっとセラフィーナが笑った。
「私が男だったら、エミリアを前にして我慢なんて出来ないとおもうわ」
うんうんとうなずきつつ言う
「なによそれ」
今度はエミリアが吹き出して笑った

その夜大きいベッドで、セラフィーナと二人、並んで寝たのだった。

翌朝、二人ともドレスを借りて、伯爵家の馬車で王宮に戻った。
サイラスとローレンスは、早朝の訓練に馬で出掛けたようだ。

いつも通り朝食を食べていると、サイラスたちがいつものようにさっぱりとして入ってきた。
「おはよう!エミリア」
サイラスがエミリアの額にキスを落とす。
「ちょっと!何してるのよっ!!」
くくっとサイラスが笑って、エミリアの横にたって、左手を掴んでキスをすると、そこにはキラリと指輪が収まっていた。
「…っ!」
絶句するエミリアの手をかざして、
「ついに求婚したぞー!もう売約済み!」
と周りの言ってのけた。

「おおおー!」
とわっ!と歓声が上がる。

「ついに難攻不落の城がおちたかっ!やったなぁサイラス!」
「サイラスにやられた!」
とヒューヒューと口笛やら悲鳴やら、怒号が飛び交った。
「は、恥ずかしいじゃないのよっ!」
と拳でサイラスの胸を殴ったけど、ダメージは与えられなかった…悔しい。

その日はずっと祝福の声やら、妬みやら、もろもろもろもろ。声をかけられたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王女の朝の身支度

sleepingangel02
恋愛
政略結婚で愛のない夫婦。夫の国王は,何人もの側室がいて,王女はないがしろ。それどころか,王女担当まで用意する始末。さて,その行方は?

巨根王宮騎士の妻となりまして

天災
恋愛
 巨根王宮騎士の妻となりまして

恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜

k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」 そう婚約者のグレイに言われたエミリア。 はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。 「恋より友情よね!」 そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。 本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

お父様お母様、お久しぶりです。あの時わたしを捨ててくださりありがとうございます

柚木ゆず
恋愛
 ヤニックお父様、ジネットお母様。お久しぶりです。  わたしはアヴァザール伯爵家の長女エマとして生まれ、6歳のころ貴方がたによって隣国に捨てられてしまいましたよね?  当時のわたしにとってお二人は大事な家族で、だからとても辛かった。寂しくて悲しくて、捨てられたわたしは絶望のどん底に落ちていました。  でも。  今は、捨てられてよかったと思っています。  だって、その出来事によってわたしは――。大切な人達と出会い、大好きな人と出逢うことができたのですから。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

処理中です...