mistress

第三章

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ライアンがまずしなければならないこと、それはまずは妻との離婚。そして、アネリの事。

ライアンがしたことは、まずは婚家のオコネル家に行き、実はエレナは生きていたと、死亡届けを取り下げさせること。

その為に、弁護士のコリン・メージャーと話し合いエレナはオコネル家を出た後、行き倒れて記憶を失いメルヴィル氏と結婚。
すぐにメルヴィル氏が亡くなり、アネリ・メルヴィルとして生きていた事にした。
これは、直接、公爵であるライアン自身が自ら出向いた。
ハワード・オコネルとその母もエレナに対して、後味が悪かったのか、すぐに応じて死亡届けを引き上げさせ、離婚まで簡単に至った。 

そして…難関なのが貴族の婚姻には王の許可がいる。離婚の例は少ないが、前例が無いことはない。
そして…それももちろん許可がいる…。
ライアンは、王、ジェラルドの元へ向かい願い出る…
「ほぅ…ついに決意をしたか？ライアン」
ふっとジェラルドは笑った
「しかし、条件がある…」
国王  と公爵であるライアンは曾祖父を、同じにする親族である。
「実は、内々の事だがセルリナ国のセルジュ王子とソフィアの結婚を考えている」
唐突にふられた国の重要機密の話題に、冷静にライアンは返した。
「それで？」
「ソフィアについてセルリナに一年ほど行ってもらいたい」
ライアンは渋面を作った。
「そのかわり…その時がきたら、聖堂会と、離婚の申し出はすんなりと通るように手配をしておこうじゃないか」
王の権限をもってややこしい事を解決してやる代わりに、もっと厄介かも知れない事をやれという…。

セルリナとイングレスはそれほど近しい国ではない…。何が起こるか予測不能だ。
「いい年をして、初恋か…遅くに降って涌いて来た青春だな」
くくくっとジェラルドは笑った。
「笑いたければ笑えばいい」
ライアンは不機嫌さを隠そうともせずに、言い捨てた。
「いや、いいと思うぞ？不毛な仮面夫婦を生涯演じ続けるよりは、みっともなくてもなんでも愛する相手と共にある方がいいに決まっている」
ニヤリとジェラルドは笑った。
「だが、レディ エリザベスの事は自分できちんとするんだな…それが一番の難関となるだろう」
「言われずともわかっている…」 
ライアンはそういうと、臣下の礼をとるとジェラルドの前から辞した。