9 / 28
第1章:むかつくので殴りますね
9.
しおりを挟む
二対一で苦戦するリオを、ミルスは呆然と眺めていた。
リオの攻撃は全て、エルミナの番の巫女、ファラの魔力障壁に防がれていた。
エルミナが繰り出す攻撃を必死に避け続けながら、それでも諦めずリオは攻撃を繰り返している。
何度も魔力の刃や槍が、リオに襲い掛かっていく。
いくつかの攻撃がリオの肌をかすめ、傷を作っていた。
彼女はそれでも果敢に攻める姿勢を崩さなかった。
ミルスが呆然とつぶやく。
「なんであいつが、あそこまでして成竜の儀を戦おうとするんだ……」
ミルスにはリオの気持ちが理解できなかった。
彼女は今朝巻き込まれたばかりの、事情を全く知らない平民だ。
動きを見ると、女だてらに喧嘩慣れはしているようではあった。
だが竜の巫女として目覚めたばかりで、その力を十分に発揮できているとは思えなかった。
いくら体術に劣るエルミナが相手とはいえ、勝ち目など全く見えない状況だ。
戸惑うミルスに、横で同じようにリオの戦いを眺めているヤンクが応える。
「二年前のお前も、あんな感じだったぞ。
勝ち目のない戦いでも、楽しそうに挑んできていた。
お前はあの時、自分が何を考えていたか――忘れてしまったのか?」
ヤンクに言われ、ミルスはかつての自分を思い起こそうとしていた。
二年前――成竜の儀に嫌気がさす前の自分。
目の前のヤンクという強大な相手に心を躍らせ、戦い自体を楽しんでいた。
負ける事など考えず、全力を出し切る事だけを考えていたのだ。
しかし、兄弟相手にも卑劣な手を躊躇しないエルミナの姿に、幼い憧憬を破壊された。
それ以来ミルスは、成竜の儀を疎むようになっていった。
あの儀式さえなければ、エルミナは未だ敬愛する兄で在ったはずなのだ。
エルミナは長身だが線が細く、体格に劣る少年だった。
魔導は得意としていたが、ヤンクを相手に成竜の儀を戦い抜くには、体が不足していた。
それでも王家に生まれた者の務めとして、勝ち残る道を模索していたのだ。
体格の不足を補おうと必死になり、姑息な手段に手を染めるようになった。
いつしか、それが彼の『当然』となっていった。
変わってしまったエルミナを、ミルスは軽蔑した。
元は心優しい兄だった。
そんなエルミナを変えてしまった成竜の儀に、ミルスは心底嫌気がさしたのだ。
ヤンクが戦況を眺めながら、ミルスに告げる。
「そろそろリオが力尽きる。
あのまま放置していて、本当に構わないのか?
エルミナは構わず、リオの命を奪うだろう」
言われてミルスも、戦況を改めて見据えた。
リオのまとう竜の加護が、次第に弱まってきている。
元から一人で竜将候補と番の巫女を相手に戦うなど、無茶なのだ。
魔力が足りる訳がない。
ミルスの胸の奥に、燃え滾る何かが灯り始めていた。
****
リオは攻防を繰り広げながらも、神に祈り続けた。
――もっと、もっと強い力を! 強い加護をお与え下さい!
その祈りに応えるように、リオの拳がついに橙色の魔力障壁を打ち砕いた。
鋭い拳が、エルミナの顔面へと届く。
だが力の殆どを殺された拳は、大したダメージを与えることはなかった。
エルミナは吹き飛びこそすれ、すぐに着地してみせていた。
「――チッ、まだこんな力を残していましたか。
ファラ! 何をやっているのですか!
しっかり私のために祈りなさい!」
ファラは静かに祈り続けている。
だが、その額には玉のような汗が浮かんでいた――彼女の限界も近いのだ。
リオはとうとう力が限界を迎えつつあり、瞳も金色から赤に戻りかけていた。
息も切れ、これ以上は戦いを続けても一方的になぶられるだけだろうと分かっていた。
それでも、リオの瞳の闘志は衰えることを知らない。
ただひたむきにエルミナを見据え、拳を構えている。
エルミナは自分の優位を確信し、笑みすら湛えていた。
「勝ち目が無くなっても、そうまでしてミルスに尽くしたいのですか? 健気ですね」
「尽くす? 私があの不甲斐ない男に?
エルミナ王子、冗談は顔と性格だけにして欲しいわね。
私は私の為に戦っているの。
他人のためなんかじゃないわ」
片眉を上げてリオを見据えるエルミナが、怪訝な顔でリオに尋ねる。
「傷だらけになり、煌びやかな衣装をズタボロに変えてまで、それは求めるものですか?
あなたたち女性にとって、そのような衣装は憧れの一つだと聞いたことがあります」
リオは不敵に笑って返す。
「お生憎様《あいにくさま》。
私みたいな庶民には、こんな服は上等すぎて着心地の悪い拘束具同然よ。
第一、私の趣味じゃないわね。
何の未練もないわ」
ジリジリと二人の間合いが詰まっていく。
先にエルミナが床を蹴って間合いを詰め、拳を繰り出した。
反応が遅れたリオが咄嗟に防ごうとするが、リオの動きが鈍い。
神の加護が切れかかっているのだ。
彼女の顔面に、エルミナの拳が迫った。
リオが思わず目を閉じた瞬間、エルミナの拳を横合いから掴み取り、受け止める手があった。
エルミナが驚愕の声を上げる。
「ミルス?! 貴様、今更何のつもりだ!」
「仮にも女の顔面を殴るなんてのは、いくらエルミナでも見逃せない。
それに、俺もあんたに借りがあるのを思い出した。
朝の足の傷の分を返していない。
俺も、借りっぱなしは性分じゃないんだ」
言うが早いか、ミルスは空いている手でエルミナの顔面を殴り抜いていた。
リオはミルスの気配で目を開け、目の前の光景を眺めていた。
ミルスの姿は雄々しく、ミルスが朝見せた姿そのものだった。
吹き飛ばされ、床を転がるエルミナを無視して、ミルスがリオを見る。
リオの瞳には、金色の輝きが戻りつつあった。
「大丈夫か?」
「え? ――うん。
なんかよく分かんないけど、ミルスが来てくれた途端に力が湧いてきたみたい。
もう少しなら戦えそう」
ミルスが微笑んでリオの肩を叩いた。
再びエルミナを見据え、リオに語りかける。
「それじゃあ二人で、エルミナを徹底的にぶん殴ってみるか!」
リオがフッと笑って応える。
「そうね、あの曲がった根性を叩き直さないとね!」
エルミナが床から起き上がり、ファラを見る。
本来なら、ミルスの拳もファラが防ぐはずだ。
だが彼女も力尽きてうずくまり、もう魔力障壁を張る余力は残っていないようだった。
「チッ! 肝心な時に魔力切れですか!
あの役立たずが!」
「――余所見している余裕なんてあるのか?」
眼前に迫っていたミルスが、エルミナの腹を蹴り上げた。
間髪入れずにリオが、エルミナの頭部を床に向かって殴りつける。
痛みでのたうち回るエルミナの腹に、ミルスが上から拳を全力で突き入れた。
エルミナは口から血を吐き、それで力尽きるように動かなくなった。
エルミナの胸から白い光の玉が浮かび上がった。
宙に浮いた白い球は、ミルスの胸に吸い込まれるように消えて行った。
リオがきょとんとしてミルスに尋ねる。
「今のは何? まさか、竜将の証?」
「……多分な。
死んでは居ないはずだが、証を失ったならかなりの重症だろう。
早く癒してやりたいが、ファラも限界を迎えて気絶している。
今日は二人とも、安静にさせるしかないな」
リオはふぅ、と大きく息をつき、それと同時に瞳が赤色に戻っていった。
そのまま力尽きるように倒れ込み、それきり意識を失った。
リオの攻撃は全て、エルミナの番の巫女、ファラの魔力障壁に防がれていた。
エルミナが繰り出す攻撃を必死に避け続けながら、それでも諦めずリオは攻撃を繰り返している。
何度も魔力の刃や槍が、リオに襲い掛かっていく。
いくつかの攻撃がリオの肌をかすめ、傷を作っていた。
彼女はそれでも果敢に攻める姿勢を崩さなかった。
ミルスが呆然とつぶやく。
「なんであいつが、あそこまでして成竜の儀を戦おうとするんだ……」
ミルスにはリオの気持ちが理解できなかった。
彼女は今朝巻き込まれたばかりの、事情を全く知らない平民だ。
動きを見ると、女だてらに喧嘩慣れはしているようではあった。
だが竜の巫女として目覚めたばかりで、その力を十分に発揮できているとは思えなかった。
いくら体術に劣るエルミナが相手とはいえ、勝ち目など全く見えない状況だ。
戸惑うミルスに、横で同じようにリオの戦いを眺めているヤンクが応える。
「二年前のお前も、あんな感じだったぞ。
勝ち目のない戦いでも、楽しそうに挑んできていた。
お前はあの時、自分が何を考えていたか――忘れてしまったのか?」
ヤンクに言われ、ミルスはかつての自分を思い起こそうとしていた。
二年前――成竜の儀に嫌気がさす前の自分。
目の前のヤンクという強大な相手に心を躍らせ、戦い自体を楽しんでいた。
負ける事など考えず、全力を出し切る事だけを考えていたのだ。
しかし、兄弟相手にも卑劣な手を躊躇しないエルミナの姿に、幼い憧憬を破壊された。
それ以来ミルスは、成竜の儀を疎むようになっていった。
あの儀式さえなければ、エルミナは未だ敬愛する兄で在ったはずなのだ。
エルミナは長身だが線が細く、体格に劣る少年だった。
魔導は得意としていたが、ヤンクを相手に成竜の儀を戦い抜くには、体が不足していた。
それでも王家に生まれた者の務めとして、勝ち残る道を模索していたのだ。
体格の不足を補おうと必死になり、姑息な手段に手を染めるようになった。
いつしか、それが彼の『当然』となっていった。
変わってしまったエルミナを、ミルスは軽蔑した。
元は心優しい兄だった。
そんなエルミナを変えてしまった成竜の儀に、ミルスは心底嫌気がさしたのだ。
ヤンクが戦況を眺めながら、ミルスに告げる。
「そろそろリオが力尽きる。
あのまま放置していて、本当に構わないのか?
エルミナは構わず、リオの命を奪うだろう」
言われてミルスも、戦況を改めて見据えた。
リオのまとう竜の加護が、次第に弱まってきている。
元から一人で竜将候補と番の巫女を相手に戦うなど、無茶なのだ。
魔力が足りる訳がない。
ミルスの胸の奥に、燃え滾る何かが灯り始めていた。
****
リオは攻防を繰り広げながらも、神に祈り続けた。
――もっと、もっと強い力を! 強い加護をお与え下さい!
その祈りに応えるように、リオの拳がついに橙色の魔力障壁を打ち砕いた。
鋭い拳が、エルミナの顔面へと届く。
だが力の殆どを殺された拳は、大したダメージを与えることはなかった。
エルミナは吹き飛びこそすれ、すぐに着地してみせていた。
「――チッ、まだこんな力を残していましたか。
ファラ! 何をやっているのですか!
しっかり私のために祈りなさい!」
ファラは静かに祈り続けている。
だが、その額には玉のような汗が浮かんでいた――彼女の限界も近いのだ。
リオはとうとう力が限界を迎えつつあり、瞳も金色から赤に戻りかけていた。
息も切れ、これ以上は戦いを続けても一方的になぶられるだけだろうと分かっていた。
それでも、リオの瞳の闘志は衰えることを知らない。
ただひたむきにエルミナを見据え、拳を構えている。
エルミナは自分の優位を確信し、笑みすら湛えていた。
「勝ち目が無くなっても、そうまでしてミルスに尽くしたいのですか? 健気ですね」
「尽くす? 私があの不甲斐ない男に?
エルミナ王子、冗談は顔と性格だけにして欲しいわね。
私は私の為に戦っているの。
他人のためなんかじゃないわ」
片眉を上げてリオを見据えるエルミナが、怪訝な顔でリオに尋ねる。
「傷だらけになり、煌びやかな衣装をズタボロに変えてまで、それは求めるものですか?
あなたたち女性にとって、そのような衣装は憧れの一つだと聞いたことがあります」
リオは不敵に笑って返す。
「お生憎様《あいにくさま》。
私みたいな庶民には、こんな服は上等すぎて着心地の悪い拘束具同然よ。
第一、私の趣味じゃないわね。
何の未練もないわ」
ジリジリと二人の間合いが詰まっていく。
先にエルミナが床を蹴って間合いを詰め、拳を繰り出した。
反応が遅れたリオが咄嗟に防ごうとするが、リオの動きが鈍い。
神の加護が切れかかっているのだ。
彼女の顔面に、エルミナの拳が迫った。
リオが思わず目を閉じた瞬間、エルミナの拳を横合いから掴み取り、受け止める手があった。
エルミナが驚愕の声を上げる。
「ミルス?! 貴様、今更何のつもりだ!」
「仮にも女の顔面を殴るなんてのは、いくらエルミナでも見逃せない。
それに、俺もあんたに借りがあるのを思い出した。
朝の足の傷の分を返していない。
俺も、借りっぱなしは性分じゃないんだ」
言うが早いか、ミルスは空いている手でエルミナの顔面を殴り抜いていた。
リオはミルスの気配で目を開け、目の前の光景を眺めていた。
ミルスの姿は雄々しく、ミルスが朝見せた姿そのものだった。
吹き飛ばされ、床を転がるエルミナを無視して、ミルスがリオを見る。
リオの瞳には、金色の輝きが戻りつつあった。
「大丈夫か?」
「え? ――うん。
なんかよく分かんないけど、ミルスが来てくれた途端に力が湧いてきたみたい。
もう少しなら戦えそう」
ミルスが微笑んでリオの肩を叩いた。
再びエルミナを見据え、リオに語りかける。
「それじゃあ二人で、エルミナを徹底的にぶん殴ってみるか!」
リオがフッと笑って応える。
「そうね、あの曲がった根性を叩き直さないとね!」
エルミナが床から起き上がり、ファラを見る。
本来なら、ミルスの拳もファラが防ぐはずだ。
だが彼女も力尽きてうずくまり、もう魔力障壁を張る余力は残っていないようだった。
「チッ! 肝心な時に魔力切れですか!
あの役立たずが!」
「――余所見している余裕なんてあるのか?」
眼前に迫っていたミルスが、エルミナの腹を蹴り上げた。
間髪入れずにリオが、エルミナの頭部を床に向かって殴りつける。
痛みでのたうち回るエルミナの腹に、ミルスが上から拳を全力で突き入れた。
エルミナは口から血を吐き、それで力尽きるように動かなくなった。
エルミナの胸から白い光の玉が浮かび上がった。
宙に浮いた白い球は、ミルスの胸に吸い込まれるように消えて行った。
リオがきょとんとしてミルスに尋ねる。
「今のは何? まさか、竜将の証?」
「……多分な。
死んでは居ないはずだが、証を失ったならかなりの重症だろう。
早く癒してやりたいが、ファラも限界を迎えて気絶している。
今日は二人とも、安静にさせるしかないな」
リオはふぅ、と大きく息をつき、それと同時に瞳が赤色に戻っていった。
そのまま力尽きるように倒れ込み、それきり意識を失った。
2
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
平凡令嬢の婚活事情〜あの人だけは、絶対ナイから!〜
本見りん
恋愛
「……だから、ミランダは無理だって!!」
王立学園に通う、ミランダ シュミット伯爵令嬢17歳。
偶然通りかかった学園の裏庭でミランダ本人がここにいるとも知らず噂しているのはこの学園の貴族令息たち。
……彼らは、決して『高嶺の花ミランダ』として噂している訳ではない。
それは、ミランダが『平凡令嬢』だから。
いつからか『平凡令嬢』と噂されるようになっていたミランダ。『絶賛婚約者募集中』の彼女にはかなり不利な状況。
チラリと向こうを見てみれば、1人の女子生徒に3人の男子学生が。あちらも良くない噂の方々。
……ミランダは、『あの人達だけはナイ!』と思っていだのだが……。
3万字少しの短編です。『完結保証』『ハッピーエンド』です!
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
会うたびに、貴方が嫌いになる
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。
アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる