91 / 102
第4章:温かい家庭
91.祝賀会
しおりを挟む
王太子執務室にやってきた陛下にも、私はイングヴェイの言葉を伝えていった。
陛下も殿下と同じように、深く考え込んでいた。
「……ヒルデガルト。
君の神託や古代魔法は国家機密に相当する。
それは理解しているね?」
私は黙ってうなずいた。
神託のことは宗教関係者、特に白竜教会に知られる訳にはいかない。
『神の声を聞き、その権能を借りられる』だとか知られたら最後だ。
私の人生は、彼らから逃げ続ける人生に変わる。
――ただし、この大陸で彼らの手が及ばない場所はないけれど。
レブナント王国に『古き神々の叡智』の使い手が居ると他国に知られても駄目だ。
他国から脅威と見なされ、結束して敵対されかねない。
これは過剰な防衛力なのだから。
広範囲から同時に攻め込まれたら、レブナント王国と言えど持ちこたえることはできない。
私が何とかしたくても、私自身はひとりの人間。
全てに手を回すことはできない。
特に西方国家群は、帝国とすら手を結びかねない。
東方国家群が静観したとしても、西方国家群と帝国が同時に攻めてきたら終わりだ。
我が国の防衛網なんて、簡単に突き崩されてしまう。
陛下が私を見据えて告げる。
「だが『それ』を人前で見せねばならないほど、帝国は戦力を揃えてくる。
古代魔法無しの我々が助成しても、東方国家群の一部は飲み込まれるだろう」
レブナント王国軍の被害も甚大になり、東方国家の領土は荒廃する。
いくつの国が地図から消えるか、見当もつかない。
復興にも、きっと長い時間がかかる。
その場合、東方国家群の防衛力も著しく低下する。
帝国を抑えるため、外部から軍を派遣しなければいけなくなる。
東方国家群もレブナント王国も、疲弊していく未来しかない。
私は陛下の言葉を、うなだれて聞いていた。
この場合、どうしたらいいんだろう?
東方に暮れていた私の頭に、陛下の手がポン、と乗せられた。
「だがそれは最悪のケースだ。
神は『今回はイージーだ』と言ったのだろう?
ならば君も、もっとイージーに考えてみたらどうだろう。
つまり神は、君が暴れまわっても問題が起こらないと考えているんだ」
私を愛する神様が、私が悲しむことを勧めるとは思えない、と言われた。
それなら、決して悪いことにもならないと。
私たちは最善を尽くしていけばいい。
「――だから君ももっと、気楽に構えるがいい」
陛下の顔を見上げると、明るい笑みを浮かべていた。
どうやら陛下は今回のことを、だいぶ楽観視し始めたみたいだ。
でも私は、そんな簡単に安心なんてできなかった。
人前で古代魔法を見せて、万が一があれば私の人生が終わるのだから。
陛下は私の表情を確認するように見つめた。
私に「大丈夫だよ」と告げ、高笑いをしながら王太子執務室を去っていた。
****
九月に入り、レブナントの王宮では大規模な夜会が催されていた。
東方国家群安定の要、アウレウス王国を含めた三国間不可侵条約を祝う夜会だ。
ほとんどの東方国家群の元首やそれに次ぐ人間が、はるばる今夜の宴にやって来ていた。
「やあ、ヒルデガルト。久しぶりだね」
「エシュヴィア公王! お久しぶりでございます!」
エシュヴィア公国からは公王サヴァン・スカーファーが。
「ヒルデガルト様! お久しぶりです!」
「久しいな、グランツ伯爵夫人。
いや今は『エドラウス侯爵』、だったか」
「お久しぶりです。アウレウス王。
そしてアンナ王女も、よくきてくださいました」
アウレウス王国からは、国王フィリップ・アウレウスとアンナ王女が。
レブナントの国王陛下を交え、三人の国王が私を取り囲み、談笑を繰り広げていく。
国王陛下が笑顔を輝かせて告げる。
「我が国の穀倉地帯をエドラウス侯爵に任せたところ、突然の大豊作に恵まれてな。
これぞまさに、嬉しい悲鳴と言う奴だ」
エシュヴィア公王が、それに乗っかるように笑って告げる。
「ほぅ、エドラウス侯爵は神からも愛されていると見える。
今度ぜひ、我が国にも恵みを分けてもらえないかな?」
アウレウス王は、豪快な笑みで応える。
「ハハハ! 神をも魅了するとは、エドラウス侯爵はとんだ人たらし、いや神たらしだな!」
私は何も言えず、ひきつった淑女の微笑でたたずんでいた。
夏前のエドラウス領では、凶作が危ぶまれていた。
それが、私が領地を拝領してから急に畑に活力が湧いてきたらしい。
一転しての大豊作に、農民だけでなく、国王陛下も大喜びだった。
巷では『なにか特別な魔術でも使ったんじゃないか』とか噂されているらしい。
中には『創竜神様の加護に違いない』と言う領民まで居た。
――実のところ、『イングヴェイが喜ぶから』って毎朝お祈りしてるだけなんだけどね。
さすが『豊穣の神』を名乗るだけはある。
神々は直接干渉できないけれど、人々の祈りに応える形でなら、恩恵を与えられるみたいだ。
農民の祈りに応えて豊作を約束する――本来は、そういう神なのかもしれない。
今夜集まった国家元首たちも、次々と私の顔を見に挨拶に来てくれた。
そして『あのアウレウス王の首を縦に振らせた』と、私の外交手腕を褒め称えていく。
お礼まで言われてしまい、なんだか居たたまれない気持ちになってしまった。
好戦的だったアウレウス王国が落ち着いてくれれば、東方国家群の脅威は帝国だけになる。
内政にも、より力を入れることができ、国を豊かにしていけるのだ。
東方国家群の元首たちに囲まれる私は、夜会で『とても』目立っていたらしい。
その後も『これからは私の派閥に与したい』という我が国の貴族たちも挨拶に来ていた。
そんな忙しい夜は、あっという間に過ぎていった。
クラウもあいさつ回りを済ませて、私に顔を見せに来た。
「すごい人気ね? さすが私のヒルダね!」
私は苦笑を浮かべて応える。
「忙しすぎて、目が回りそうよ?」
人が多すぎて、顔と名前尾を覚えるのに必死だ。
ジュリアスはそんな私の横で、いつものように落ち着いてワインを口にしていた。
「あなたの実力が、周囲にもようやく認められましたね。
当然の結果ですが、俺も夫として誇らしいですよ」
当然って……どうやったらこれが『当然の結果』に思えるの……。
「でもジュリアス、あなたの派閥の人間だった人まで、私の派閥に宗旨替えしてたわよ?
本当にそれで構わないの?」
「構いませんよ。逆に残ってくれる人間を厚遇するだけの話です」
なるほど、クレバーな見方をするんだな。
本当に自分を慕ってついてきてくれる人だけで派閥を構成した方が、より堅牢になる。
結果的に、ミーハーな層がジュリアスの派閥から追い出された形になるのか。
珍しくノルベルトも夜会に顔を出していた。
王国騎士団に入団した彼は、今はまだ下積みとして頑張っているらしい。
「さすがヒルダ夫人だ。
私も学友として、同門の徒として鼻が高いですよ」
私はノルベルトに応える。
「ありがとうノルベルト。
あなたに会うのも久しぶりですわね。
奥様はお元気かしら?」
ノルベルトはニコリと爽やかな笑顔で応える。
「ええ、あなた方に負けないよう、温かい家庭を目指していますよ」
フランツ殿下はノルベルトも側近として希望したらしい。
だけど、さすがに実力不足として却下された。
王太子付きの騎士なのだから、相応に王族の身を守れる実績がないと、認められないらしい。
フランツ殿下は『ノルベルトがヒルデガルトの夫だったら、もう少し譲歩してもらえたんだがな』と言っていた。
それくらい『ファルケンシュタイン公爵家の一族』と言うのは、強力な後ろ盾になるそうだ。
でもノルベルトも若手では実力派らしいので、数年もすれば近衛騎士団入りも認められるだろう。
クラウが楽しそうに私に告げる。
「ヒルダは宰相であるルドルフ様の義妹。
そして四方守護司令官であるお父様たちとも親しいもの。
政界と軍部に、太いパイプを持つようなものね」
さらにフランツ殿下やクラウとも近しいし、陛下の覚えもめでたい。
この上に、東方国家群厳守からも好感を得ている。
私の影響力が大きいのは、『当たり前の話』だそうだ。
クラウと一緒に来ていたフランツ殿下が笑い名が語り出す。
「これだけの影響力と派閥だ。
もうお前の発言を軽視できる奴は、国内には居ない。
『既に次期筆頭宮廷魔術師が確定した』なんて噂まであるんだぞ?
だがその分、発言や行動には十分に気を付けて欲しい」
私が筆頭宮廷魔導士『確定』?! どこ情報だそれは?!
陛下も殿下と同じように、深く考え込んでいた。
「……ヒルデガルト。
君の神託や古代魔法は国家機密に相当する。
それは理解しているね?」
私は黙ってうなずいた。
神託のことは宗教関係者、特に白竜教会に知られる訳にはいかない。
『神の声を聞き、その権能を借りられる』だとか知られたら最後だ。
私の人生は、彼らから逃げ続ける人生に変わる。
――ただし、この大陸で彼らの手が及ばない場所はないけれど。
レブナント王国に『古き神々の叡智』の使い手が居ると他国に知られても駄目だ。
他国から脅威と見なされ、結束して敵対されかねない。
これは過剰な防衛力なのだから。
広範囲から同時に攻め込まれたら、レブナント王国と言えど持ちこたえることはできない。
私が何とかしたくても、私自身はひとりの人間。
全てに手を回すことはできない。
特に西方国家群は、帝国とすら手を結びかねない。
東方国家群が静観したとしても、西方国家群と帝国が同時に攻めてきたら終わりだ。
我が国の防衛網なんて、簡単に突き崩されてしまう。
陛下が私を見据えて告げる。
「だが『それ』を人前で見せねばならないほど、帝国は戦力を揃えてくる。
古代魔法無しの我々が助成しても、東方国家群の一部は飲み込まれるだろう」
レブナント王国軍の被害も甚大になり、東方国家の領土は荒廃する。
いくつの国が地図から消えるか、見当もつかない。
復興にも、きっと長い時間がかかる。
その場合、東方国家群の防衛力も著しく低下する。
帝国を抑えるため、外部から軍を派遣しなければいけなくなる。
東方国家群もレブナント王国も、疲弊していく未来しかない。
私は陛下の言葉を、うなだれて聞いていた。
この場合、どうしたらいいんだろう?
東方に暮れていた私の頭に、陛下の手がポン、と乗せられた。
「だがそれは最悪のケースだ。
神は『今回はイージーだ』と言ったのだろう?
ならば君も、もっとイージーに考えてみたらどうだろう。
つまり神は、君が暴れまわっても問題が起こらないと考えているんだ」
私を愛する神様が、私が悲しむことを勧めるとは思えない、と言われた。
それなら、決して悪いことにもならないと。
私たちは最善を尽くしていけばいい。
「――だから君ももっと、気楽に構えるがいい」
陛下の顔を見上げると、明るい笑みを浮かべていた。
どうやら陛下は今回のことを、だいぶ楽観視し始めたみたいだ。
でも私は、そんな簡単に安心なんてできなかった。
人前で古代魔法を見せて、万が一があれば私の人生が終わるのだから。
陛下は私の表情を確認するように見つめた。
私に「大丈夫だよ」と告げ、高笑いをしながら王太子執務室を去っていた。
****
九月に入り、レブナントの王宮では大規模な夜会が催されていた。
東方国家群安定の要、アウレウス王国を含めた三国間不可侵条約を祝う夜会だ。
ほとんどの東方国家群の元首やそれに次ぐ人間が、はるばる今夜の宴にやって来ていた。
「やあ、ヒルデガルト。久しぶりだね」
「エシュヴィア公王! お久しぶりでございます!」
エシュヴィア公国からは公王サヴァン・スカーファーが。
「ヒルデガルト様! お久しぶりです!」
「久しいな、グランツ伯爵夫人。
いや今は『エドラウス侯爵』、だったか」
「お久しぶりです。アウレウス王。
そしてアンナ王女も、よくきてくださいました」
アウレウス王国からは、国王フィリップ・アウレウスとアンナ王女が。
レブナントの国王陛下を交え、三人の国王が私を取り囲み、談笑を繰り広げていく。
国王陛下が笑顔を輝かせて告げる。
「我が国の穀倉地帯をエドラウス侯爵に任せたところ、突然の大豊作に恵まれてな。
これぞまさに、嬉しい悲鳴と言う奴だ」
エシュヴィア公王が、それに乗っかるように笑って告げる。
「ほぅ、エドラウス侯爵は神からも愛されていると見える。
今度ぜひ、我が国にも恵みを分けてもらえないかな?」
アウレウス王は、豪快な笑みで応える。
「ハハハ! 神をも魅了するとは、エドラウス侯爵はとんだ人たらし、いや神たらしだな!」
私は何も言えず、ひきつった淑女の微笑でたたずんでいた。
夏前のエドラウス領では、凶作が危ぶまれていた。
それが、私が領地を拝領してから急に畑に活力が湧いてきたらしい。
一転しての大豊作に、農民だけでなく、国王陛下も大喜びだった。
巷では『なにか特別な魔術でも使ったんじゃないか』とか噂されているらしい。
中には『創竜神様の加護に違いない』と言う領民まで居た。
――実のところ、『イングヴェイが喜ぶから』って毎朝お祈りしてるだけなんだけどね。
さすが『豊穣の神』を名乗るだけはある。
神々は直接干渉できないけれど、人々の祈りに応える形でなら、恩恵を与えられるみたいだ。
農民の祈りに応えて豊作を約束する――本来は、そういう神なのかもしれない。
今夜集まった国家元首たちも、次々と私の顔を見に挨拶に来てくれた。
そして『あのアウレウス王の首を縦に振らせた』と、私の外交手腕を褒め称えていく。
お礼まで言われてしまい、なんだか居たたまれない気持ちになってしまった。
好戦的だったアウレウス王国が落ち着いてくれれば、東方国家群の脅威は帝国だけになる。
内政にも、より力を入れることができ、国を豊かにしていけるのだ。
東方国家群の元首たちに囲まれる私は、夜会で『とても』目立っていたらしい。
その後も『これからは私の派閥に与したい』という我が国の貴族たちも挨拶に来ていた。
そんな忙しい夜は、あっという間に過ぎていった。
クラウもあいさつ回りを済ませて、私に顔を見せに来た。
「すごい人気ね? さすが私のヒルダね!」
私は苦笑を浮かべて応える。
「忙しすぎて、目が回りそうよ?」
人が多すぎて、顔と名前尾を覚えるのに必死だ。
ジュリアスはそんな私の横で、いつものように落ち着いてワインを口にしていた。
「あなたの実力が、周囲にもようやく認められましたね。
当然の結果ですが、俺も夫として誇らしいですよ」
当然って……どうやったらこれが『当然の結果』に思えるの……。
「でもジュリアス、あなたの派閥の人間だった人まで、私の派閥に宗旨替えしてたわよ?
本当にそれで構わないの?」
「構いませんよ。逆に残ってくれる人間を厚遇するだけの話です」
なるほど、クレバーな見方をするんだな。
本当に自分を慕ってついてきてくれる人だけで派閥を構成した方が、より堅牢になる。
結果的に、ミーハーな層がジュリアスの派閥から追い出された形になるのか。
珍しくノルベルトも夜会に顔を出していた。
王国騎士団に入団した彼は、今はまだ下積みとして頑張っているらしい。
「さすがヒルダ夫人だ。
私も学友として、同門の徒として鼻が高いですよ」
私はノルベルトに応える。
「ありがとうノルベルト。
あなたに会うのも久しぶりですわね。
奥様はお元気かしら?」
ノルベルトはニコリと爽やかな笑顔で応える。
「ええ、あなた方に負けないよう、温かい家庭を目指していますよ」
フランツ殿下はノルベルトも側近として希望したらしい。
だけど、さすがに実力不足として却下された。
王太子付きの騎士なのだから、相応に王族の身を守れる実績がないと、認められないらしい。
フランツ殿下は『ノルベルトがヒルデガルトの夫だったら、もう少し譲歩してもらえたんだがな』と言っていた。
それくらい『ファルケンシュタイン公爵家の一族』と言うのは、強力な後ろ盾になるそうだ。
でもノルベルトも若手では実力派らしいので、数年もすれば近衛騎士団入りも認められるだろう。
クラウが楽しそうに私に告げる。
「ヒルダは宰相であるルドルフ様の義妹。
そして四方守護司令官であるお父様たちとも親しいもの。
政界と軍部に、太いパイプを持つようなものね」
さらにフランツ殿下やクラウとも近しいし、陛下の覚えもめでたい。
この上に、東方国家群厳守からも好感を得ている。
私の影響力が大きいのは、『当たり前の話』だそうだ。
クラウと一緒に来ていたフランツ殿下が笑い名が語り出す。
「これだけの影響力と派閥だ。
もうお前の発言を軽視できる奴は、国内には居ない。
『既に次期筆頭宮廷魔術師が確定した』なんて噂まであるんだぞ?
だがその分、発言や行動には十分に気を付けて欲しい」
私が筆頭宮廷魔導士『確定』?! どこ情報だそれは?!
10
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
婚約者が王子に加担してザマァ婚約破棄したので父親の騎士団長様に責任をとって結婚してもらうことにしました
山田ジギタリス
恋愛
女騎士マリーゴールドには幼馴染で姉弟のように育った婚約者のマックスが居た。
でも、彼は王子の婚約破棄劇の当事者の一人となってしまい、婚約は解消されてしまう。
そこで息子のやらかしは親の責任と婚約者の父親で騎士団長のアレックスに妻にしてくれと頼む。
長いこと男やもめで女っ気のなかったアレックスはぐいぐい来るマリーゴールドに推されっぱなしだけど、先輩騎士でもあるマリーゴールドの母親は一筋縄でいかなくて。
脳筋イノシシ娘の猪突猛進劇です、
「ザマァされるはずのヒロインに転生してしまった」
「なりすましヒロインの娘」
と同じ世界です。
このお話は小説家になろうにも投稿しています
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる