31 / 102
第2章:綺羅星
31.学院見学(4)
しおりを挟む
クラウたちに招かれ、私は女子寄宿舎へと足を踏み入れた。
ジュリアスは玄関で待ってるらしい。
なぜかエマとリッドが『ジュリアス様に話がある』と言ってその場に残った。
クラウ、ルイズと一緒に、寄宿舎の一室に入る。
部屋の中はとてもシンプルだった。
二段ベッドとローテーブル、勉強机が二人分。
食事は食堂に行くから、必要最低限の家具しかないのだろう。
扉を閉めると、ルイズが鍵を閉めていた。
クラウは制服を脱ぎ捨て、部屋着へと着替えていく。
「そっか、校舎内は制服着用が義務だから、食堂に行くにも着替えるのですわね」
「ちょっとめんどうだけど、仕方ないわね」
私はクラウが着替え終えた姿を見て、ぎょっとしていた。
ノースリーブのシャツと膝丈のパンツ。
寄宿舎の中は、魔術で気温が管理されているようで温かいけどさ。
これって貴族が着る服じゃないんじゃない?
平民が夏に着るような服だよ?
貴族の基準だと、これって下着同然なんだけど?
困惑している私に、クラウが告げる。
「あら、やっぱり驚いたかしら。
これでも学院指定の正式な部屋着なのよ?
寄宿舎内で、着用を義務付けられてるの」
「クラウ、あなた……恥ずかしくないの? 大丈夫?」
彼女はクスリと笑って応える。
「二年間も着てるんだもの。もう慣れちゃったわ。
――ルイズも着替え終わったわね?」
部屋着に着替えたルイズがうなずくと、クラウは窓際に移動した。
クラウが窓を開け、なぜか外からリッド、エマが続いて部屋に入ってくる。
「二人とも、なんでそんなところから?!」
驚いている私の前で、三人目――ジュリアスが、困り顔で部屋に入ってきた。
****
「やれやれ、話には聞いていましたが、本当にこんなことをしてるんですね」
ローテーブルを囲んで、ジュリアスがぼやいた。
私の左手にジュリアス、右手はクラウが座っている。
ルイズが全員分の紅茶を入れてくれたので、それに口をつけていた。
「ねぇジュリアス、『話には聞いていた』って、どういうことですか?」
みんなの話では、寄宿舎の『遊び』として有名らしい。
女子寄宿舎に男子がこっそり遊びに来るのだとか。
もちろん、明るい時間に限られる。
教師たちは見てみぬふり。
『お手付き』さえしなければ見逃してもらえる、子供たちの息抜きらしい。
だけど……私たちは今年で十五歳。
相応に女性らしい体付きになってる。
こんな薄着だと、そんな女性らしさが丸見えだ。
恐る恐るジュリアスを見ると、彼は平然とクラウを眺めていた。
「聞きしに勝る薄着ですね。
よくもその恰好で、俺を部屋に入れる気になりましたね」
クラウがニコリと微笑んだ。
「だって私たち、ジュリアス様を男性とみなしていないもの。
魔術以外には興味がない――違った?」
ジュリアスは真顔でカップに口をつけた。
「違いませんよ。
あなた方の薄着を見たからって、劣情を催したりはしません」
エマがにたりと笑った。
「そうだよねー。
私たちには興味がないもんね。
――でも想像してみて? これがヒルダだったらどう?」
ぶふっとジュリアスが紅茶を拭きだしていた。
彼は珍しく、真っ赤な顔でうろたえている。
ルイズが微笑んで告げる。
「どうやら、無自覚ってわけでもなさそうね」
リッドがジュリアスの肩を組んで告げる。
「よかったな、ジュリアス様。
ヒルダが寄宿じゃなくて!」
クラウがニコリと「むしろ、残念に思ってるんじゃない?」と告げた。
ジュリアスは口をパクパクさせながら、声にならない声を上げていた。
エマが口に指を当てて告げる。
「大声を出しちゃ駄目だよ?
忍び込んでるのがばれちゃうからね」
みんな、何を言ってるんだろう?
私はひとり、小首をかしげていた。
クラウが私に抱きついてきて告げる。
「あなたは気にしなくてもいいのよ?」
「えっと……じゃあ、気にしないようにしますわね。
それにしてもクラウたち、普段と雰囲気がちがいますわね」
貴族令嬢らしい言葉遣いや振る舞いが消えている。
寄宿舎に入って来てから、みんなの空気が変わっていた。
まるで、年相応の女子のような?
ルイズが教えてくれた。
この寄宿舎の中は、大人が居ないのだそうだ。
さらに部屋の中は、ルームパートナーや友人だけ。
完全にプライベートな空間は、貴族子女としても初体験だったとか。
なんせ子供の頃から、身の回りのお世話をしてくれる人が居たんだもんね。
付き人すらいない解放感で、つい素が出てしまうんだとか。
ジュリアスがため息をついて告げる。
「それより、なぜ俺がこの部屋に呼ばれたのか、理由を聞かせてください」
クラウが私に抱きつきながらニヤリと微笑んだ。
「ジュリアス様の本心を聞いておこうかと思ってね」
彼は眉をひそめ、怪訝な顔でクラウを見つめた。
「本心とは?」
「多少は自覚があるから、ヒルダに学院を案内してるんじゃない?
それとも、『言われないとわからない』とでも言うつもりかしら」
ジュリアスはうつむき気味に黙り込んでしまった。
クラウが楽しそうに告げる。
「そう、自覚があるようでなによりね。
そこでジュリアス様に提案があるんだけど、きいてくれる?」
「……なんですか」
「あなた、ヒルダの婚約者になりなさい」
……はい?!
私は呆然とクラウを見つめていた。
この子はいったい、何を言ってるんだろう?
「ねぇクラウ、婚約者ってどういうこと?!」
クラウが私を見上げて告げる。
「高位貴族子女は、比較的早い年齢で婚約が決まるの。
ヒルダは知ってるかしら?」
「ええ、それはまぁ……でも、それが何か?」
「伯爵令嬢ともなれば、社交界に出る十三歳ごろにはだいたい婚約が決まっているわ。
つまり、十四歳でフリーのヒルダは珍しいケースになるわね」
そんな事言ったって、伯爵令嬢になったのは四か月前だし。
婚約相手を探す時間的な余裕もなかったし。
私が困惑していると、ルイズが優しく教えてくれる。
「ヒルダにも分かりやすく言えば、あなたは『美味しい物件』として見られてるの。
このまま放置していれば、あなたは有象無象の男子生徒たちからアプローチされるわ。
予想以上にクラウのプランが効果を出して、ファンクラブすらできてるの」
ああ、それはジュリアスから聞いたけども。
クラウが私に告げる。
「なるだけ私たちがヒルダをガードするつもりだったけど、今のままでは不安もあるの。
ヒルダがフリーのままだと、私たちが守り切れないかもしれない。
でもフリーでなければ、手を出してくる生徒は激減するわ」
変な男性から守ってくれるなら、そりゃ好都合なんだけど。
「その理屈は理解しますが、なぜジュリアスが相手なのでしょうか」
「あなた、恋愛結婚をしたいのでしょう?
相手が見つかった時、後腐れなく婚約を解消できる男性が望ましい。
ジュリアス様なら、あなたが望むときに婚約を解消してくれるわ」
そんな馬鹿な。
伯爵令息の婚約が、そんな簡単に解消できるものなの?
それに婚約者がいるのに恋愛相手を探すとか、それって問題がない?
ジュリアスにも、恋愛相手にも失礼にならないかな。
私がうつむいて悩んでいると、エマが私に告げる。
「貴族の婚約なんて、案外軽いのよ。
条件が良い相手に鞍替えするのは当たり前。
そもそも親が決めるケースがほとんどだからね」
「だからって解消すること前提なんて、ジュリアスに悪いですわ!」
ジュリアスがため息をついた。
「いえ、その話に乗りましょう。
俺たちの中で婚約者がいないのは、俺とヒルダ嬢だけです。
ヒルダ嬢を守るためなら、それぐらいは引き受けますよ」
「――ジュリアス?! 本気でして?!」
まじまじとジュリアスの顔を見つめたけど、ふざけている様子はない。
そうか、本気なのか。
私はぽつりと告げる。
「ごめんなさいジュリアス。
あなたに迷惑をかけてしまいますわね」
「迷惑とは思っていません。
それよりもヒルダ嬢は、恋愛相手を探すことを頑張ってください」
私はため息交じりで応える。
「編入前から学業より恋愛を考えるだなんて、不誠実に感じてしまいますわ。
グランツの授業について行けるかもわかりませんのに」
クラウが私の首に抱き着いたまま微笑んだ。
「あなた、教わらなかったの?
貴族子女にとって、婚姻は家を存続させ、家格を強化する大切な義務。
それは進学や就職より、ずっと重たいことなのよ」
「そんな! なおさらジュリアスに悪いですわ!」
ジュリアスが小さく息をついて告げる。
「ですから、その心配は不要です。
俺の家は、弟が継ぐことが半ば決まっています。
両親はまだ望みを捨ててないみたいですが、俺にその気がありませんからね」
そんな、それじゃジュリアスが寂しすぎるよ。
クラウが私に告げる。
「話はまとまったわね。
私はジュリアス様と話があるの。
ヒルダはリッドたちと外で待っていて」
リッドとエマに促され、私は立ち上がった。
「それじゃあジュリアス、外で待っていますね」
私はリッドたちと、先に寄宿舎の玄関に向かった。
ジュリアスは玄関で待ってるらしい。
なぜかエマとリッドが『ジュリアス様に話がある』と言ってその場に残った。
クラウ、ルイズと一緒に、寄宿舎の一室に入る。
部屋の中はとてもシンプルだった。
二段ベッドとローテーブル、勉強机が二人分。
食事は食堂に行くから、必要最低限の家具しかないのだろう。
扉を閉めると、ルイズが鍵を閉めていた。
クラウは制服を脱ぎ捨て、部屋着へと着替えていく。
「そっか、校舎内は制服着用が義務だから、食堂に行くにも着替えるのですわね」
「ちょっとめんどうだけど、仕方ないわね」
私はクラウが着替え終えた姿を見て、ぎょっとしていた。
ノースリーブのシャツと膝丈のパンツ。
寄宿舎の中は、魔術で気温が管理されているようで温かいけどさ。
これって貴族が着る服じゃないんじゃない?
平民が夏に着るような服だよ?
貴族の基準だと、これって下着同然なんだけど?
困惑している私に、クラウが告げる。
「あら、やっぱり驚いたかしら。
これでも学院指定の正式な部屋着なのよ?
寄宿舎内で、着用を義務付けられてるの」
「クラウ、あなた……恥ずかしくないの? 大丈夫?」
彼女はクスリと笑って応える。
「二年間も着てるんだもの。もう慣れちゃったわ。
――ルイズも着替え終わったわね?」
部屋着に着替えたルイズがうなずくと、クラウは窓際に移動した。
クラウが窓を開け、なぜか外からリッド、エマが続いて部屋に入ってくる。
「二人とも、なんでそんなところから?!」
驚いている私の前で、三人目――ジュリアスが、困り顔で部屋に入ってきた。
****
「やれやれ、話には聞いていましたが、本当にこんなことをしてるんですね」
ローテーブルを囲んで、ジュリアスがぼやいた。
私の左手にジュリアス、右手はクラウが座っている。
ルイズが全員分の紅茶を入れてくれたので、それに口をつけていた。
「ねぇジュリアス、『話には聞いていた』って、どういうことですか?」
みんなの話では、寄宿舎の『遊び』として有名らしい。
女子寄宿舎に男子がこっそり遊びに来るのだとか。
もちろん、明るい時間に限られる。
教師たちは見てみぬふり。
『お手付き』さえしなければ見逃してもらえる、子供たちの息抜きらしい。
だけど……私たちは今年で十五歳。
相応に女性らしい体付きになってる。
こんな薄着だと、そんな女性らしさが丸見えだ。
恐る恐るジュリアスを見ると、彼は平然とクラウを眺めていた。
「聞きしに勝る薄着ですね。
よくもその恰好で、俺を部屋に入れる気になりましたね」
クラウがニコリと微笑んだ。
「だって私たち、ジュリアス様を男性とみなしていないもの。
魔術以外には興味がない――違った?」
ジュリアスは真顔でカップに口をつけた。
「違いませんよ。
あなた方の薄着を見たからって、劣情を催したりはしません」
エマがにたりと笑った。
「そうだよねー。
私たちには興味がないもんね。
――でも想像してみて? これがヒルダだったらどう?」
ぶふっとジュリアスが紅茶を拭きだしていた。
彼は珍しく、真っ赤な顔でうろたえている。
ルイズが微笑んで告げる。
「どうやら、無自覚ってわけでもなさそうね」
リッドがジュリアスの肩を組んで告げる。
「よかったな、ジュリアス様。
ヒルダが寄宿じゃなくて!」
クラウがニコリと「むしろ、残念に思ってるんじゃない?」と告げた。
ジュリアスは口をパクパクさせながら、声にならない声を上げていた。
エマが口に指を当てて告げる。
「大声を出しちゃ駄目だよ?
忍び込んでるのがばれちゃうからね」
みんな、何を言ってるんだろう?
私はひとり、小首をかしげていた。
クラウが私に抱きついてきて告げる。
「あなたは気にしなくてもいいのよ?」
「えっと……じゃあ、気にしないようにしますわね。
それにしてもクラウたち、普段と雰囲気がちがいますわね」
貴族令嬢らしい言葉遣いや振る舞いが消えている。
寄宿舎に入って来てから、みんなの空気が変わっていた。
まるで、年相応の女子のような?
ルイズが教えてくれた。
この寄宿舎の中は、大人が居ないのだそうだ。
さらに部屋の中は、ルームパートナーや友人だけ。
完全にプライベートな空間は、貴族子女としても初体験だったとか。
なんせ子供の頃から、身の回りのお世話をしてくれる人が居たんだもんね。
付き人すらいない解放感で、つい素が出てしまうんだとか。
ジュリアスがため息をついて告げる。
「それより、なぜ俺がこの部屋に呼ばれたのか、理由を聞かせてください」
クラウが私に抱きつきながらニヤリと微笑んだ。
「ジュリアス様の本心を聞いておこうかと思ってね」
彼は眉をひそめ、怪訝な顔でクラウを見つめた。
「本心とは?」
「多少は自覚があるから、ヒルダに学院を案内してるんじゃない?
それとも、『言われないとわからない』とでも言うつもりかしら」
ジュリアスはうつむき気味に黙り込んでしまった。
クラウが楽しそうに告げる。
「そう、自覚があるようでなによりね。
そこでジュリアス様に提案があるんだけど、きいてくれる?」
「……なんですか」
「あなた、ヒルダの婚約者になりなさい」
……はい?!
私は呆然とクラウを見つめていた。
この子はいったい、何を言ってるんだろう?
「ねぇクラウ、婚約者ってどういうこと?!」
クラウが私を見上げて告げる。
「高位貴族子女は、比較的早い年齢で婚約が決まるの。
ヒルダは知ってるかしら?」
「ええ、それはまぁ……でも、それが何か?」
「伯爵令嬢ともなれば、社交界に出る十三歳ごろにはだいたい婚約が決まっているわ。
つまり、十四歳でフリーのヒルダは珍しいケースになるわね」
そんな事言ったって、伯爵令嬢になったのは四か月前だし。
婚約相手を探す時間的な余裕もなかったし。
私が困惑していると、ルイズが優しく教えてくれる。
「ヒルダにも分かりやすく言えば、あなたは『美味しい物件』として見られてるの。
このまま放置していれば、あなたは有象無象の男子生徒たちからアプローチされるわ。
予想以上にクラウのプランが効果を出して、ファンクラブすらできてるの」
ああ、それはジュリアスから聞いたけども。
クラウが私に告げる。
「なるだけ私たちがヒルダをガードするつもりだったけど、今のままでは不安もあるの。
ヒルダがフリーのままだと、私たちが守り切れないかもしれない。
でもフリーでなければ、手を出してくる生徒は激減するわ」
変な男性から守ってくれるなら、そりゃ好都合なんだけど。
「その理屈は理解しますが、なぜジュリアスが相手なのでしょうか」
「あなた、恋愛結婚をしたいのでしょう?
相手が見つかった時、後腐れなく婚約を解消できる男性が望ましい。
ジュリアス様なら、あなたが望むときに婚約を解消してくれるわ」
そんな馬鹿な。
伯爵令息の婚約が、そんな簡単に解消できるものなの?
それに婚約者がいるのに恋愛相手を探すとか、それって問題がない?
ジュリアスにも、恋愛相手にも失礼にならないかな。
私がうつむいて悩んでいると、エマが私に告げる。
「貴族の婚約なんて、案外軽いのよ。
条件が良い相手に鞍替えするのは当たり前。
そもそも親が決めるケースがほとんどだからね」
「だからって解消すること前提なんて、ジュリアスに悪いですわ!」
ジュリアスがため息をついた。
「いえ、その話に乗りましょう。
俺たちの中で婚約者がいないのは、俺とヒルダ嬢だけです。
ヒルダ嬢を守るためなら、それぐらいは引き受けますよ」
「――ジュリアス?! 本気でして?!」
まじまじとジュリアスの顔を見つめたけど、ふざけている様子はない。
そうか、本気なのか。
私はぽつりと告げる。
「ごめんなさいジュリアス。
あなたに迷惑をかけてしまいますわね」
「迷惑とは思っていません。
それよりもヒルダ嬢は、恋愛相手を探すことを頑張ってください」
私はため息交じりで応える。
「編入前から学業より恋愛を考えるだなんて、不誠実に感じてしまいますわ。
グランツの授業について行けるかもわかりませんのに」
クラウが私の首に抱き着いたまま微笑んだ。
「あなた、教わらなかったの?
貴族子女にとって、婚姻は家を存続させ、家格を強化する大切な義務。
それは進学や就職より、ずっと重たいことなのよ」
「そんな! なおさらジュリアスに悪いですわ!」
ジュリアスが小さく息をついて告げる。
「ですから、その心配は不要です。
俺の家は、弟が継ぐことが半ば決まっています。
両親はまだ望みを捨ててないみたいですが、俺にその気がありませんからね」
そんな、それじゃジュリアスが寂しすぎるよ。
クラウが私に告げる。
「話はまとまったわね。
私はジュリアス様と話があるの。
ヒルダはリッドたちと外で待っていて」
リッドとエマに促され、私は立ち上がった。
「それじゃあジュリアス、外で待っていますね」
私はリッドたちと、先に寄宿舎の玄関に向かった。
14
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。
112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。
目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。
死にたくない。あんな最期になりたくない。
そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる