上 下
24 / 28
第1章

第24話:アリーナはどこ?!

しおりを挟む
「アリーナはみつかった?!」
「いえ、まだ……大丈夫、捜索隊を編成して王都をくまなく探しています。必ず見つけます!」

 レイスくんは捜索隊を指揮しにまた外に飛び出ていった。

 明け方になってもアリーナの行方は掴めなかった。

「赤竜おじさま、どうしよう……アリーナどうしちゃったんだろう……」
「ルカ……」

 赤竜おじさまは優しく抱きしめてくれた。少しだけ心が落ち着く。でも。

「おじさま、アリーナは――私の代わりに何かに巻き込まれたんだよね?」
「私のせい、なのかな……。」
「ルカのせいじゃないさ。大丈夫。アリーナはまだ無事だよ。」

 “まだ”無事。


 すっと赤竜おじさまから離れて、おじさまの目をまっすぐ見る。

「赤竜おじさま、何か知ってるんですね?」
「………………。」

 赤竜おじさまの表情が暗い。

「おじさま!」
「……アリーナは巫女のローブをまとっていた。あれがある限り、すぐにどうこうされることはないよ。」

 ――神竜様の加護を得たローブ。それが身を守ってくれる。それはつまり。

「魔族、なんですか?」
「………………。」

「言えない、んですね……。」
「ごめんよ、ルカ。」

「今の私に、魔族を倒す力はありますか?」
「……一人で立ち向かってはダメだよ。」

 やっと赤竜おじさまが答えてくれた。

「……おじさまは、一緒にきてくれないんですか?」
「私は見守る役目だ。今の代の巫女として、ルカが立ち向かわなければならないんだ。」

「……おじさま、騎士に与えた浄化の炎って、なんのことですか。」
「私が教えたことを、よーく思い出してごらん。必要なことは、伝えてあるよ。」

「…………私が負けてしまったら、赤竜おじさまが代わりにアリーナを助けてくれますか?」
「そんなことになったら、私でも勝ち目はないよ。」

 そんなに強大な相手なのかな……。勝てるのかな?

 ううん、勝たなくちゃいけないんだ。


 夜が明ける――ニックくんなら、何か知っているはず。



******

「そうか、本当の竜の巫女はルカの方だったのか。」

 翌朝、ニックくんにはすべてを話した。

「ねぇお願い、あなたが隠していることを教えて。何か知っているんでしょう?」

 ニックくんに縋りつくようにして、彼の目を見る。

 ニックくんは迷っているようだったけど……何かを決意したように私の目を見つめ返した。

「俺には従妹がいたんだ。」

 従妹?

「でも1年前、流行り病で命を落とした。」
「………………。」

「叔父は絶望してた。“なにが神竜様だ”って。そして、それまでの信仰を捨てた。」
「………………。」

「俺の叔父は、大神殿の神官長だよ。もしもアリーナさんが居るとしたら、そこだ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

金と銀のモザイク~脂ぎったおじさんは断固お断りです!~

みつまめ つぼみ
恋愛
 伯爵令嬢フェリシアは、大凶作で苦しむ父親を助けるため、支援の見返りという形でメルツァー侯爵の妾になることに?!  脂ぎって嫌らしいおじさんは、断固お断りです!  そんな中、領地の視察に文官のルストがやってきて――。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

それじゃあエルガ、後はお願いね

みつまめ つぼみ
恋愛
 アルスマイヤー男爵家の令嬢ユーディトは、突然聖教会から次期大聖女に指名される。断ることもできず、彼女は一年間の修行に出ることに。親友のエルガに見送られ、ユーディトは新たな運命に立ち向かう。  しかし、修行を終えて戻ったユーディトを待っていたのは、恋人フレデリックと親友エルガの結婚という衝撃の知らせだった。心の中で複雑な感情を抱えながらも、ユーディトは二人の結婚式に出席することを決意する。 サクッと書いたショートストーリーです。 たぶん、ふんわりざまぁ粒子が漏れ出ています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...