35 / 67
137.幽閉(3)
しおりを挟む
二日後の朝、回復した女子三人が私の部屋を訪れていた。
「みんな、出歩いて大丈夫なの?」
「大丈夫よ、マリーのおかげですっかり元気!」
そう笑って応えるレナの顔は、本当に元気そうだった。
私はまだ、そこまで回復は出来ていない。
馬車の中で、それだけ自分を後回しにしてしまったからだろう。
でもみんなが回復できたのだから、私の胸のつかえも取れた気がした。
ララが疲れた顔で、ベッドサイドに腰かけた。
「それにしても、酷い目に遭ったわね」
サニーが立ちながらうなずいた。
「ほんとよね。
成長期の子供から食事を奪うとか重罪よ?!」
レナがララのそばで笑いながら告げる。
「ベッカー議員、あんな酷いことをする人に見えなかったのにね」
私は「あはは……」と力のない笑いの後に、三人に尋ねる。
「みんなも鉄枷や眼帯を付けられてたの?」
三人が顔を見合わせ、私に対して首を横に振った。
サニーが告げる。
「縄で手足を縛られて、猿ぐつわはかまされてたけどね。
鉄枷は付けられてなかったわよ?
眼帯もなかったわ」
じゃああれは、私だけの拘束だったのか。
三人の話では、ヴァルター様が魔法で牢屋の鍵を切り裂いて助け出してくれたらしい。
そのあと、他の男子が女子の攻速をほどき、ひとりずつ付き添って水を与えていったのだとか。
私は小首をかしげながら尋ねる。
「鍵を切り裂く魔法?」
サニーがうなずいた。
「なんかね、剣に魔法を付与してたわよ?
魔法だから詳しいことは教えてもらえなかったけど」
魔法は魔導士にとっての『秘儀』、家族以外に教えることがない技術だ。
そりゃあ詳しく聞いても、応えられないだろうな。
レナがうつむきがちに告げる。
「お母様がアストリッド様から聞いたことがあるらしいのだけど。
『何かを代償にして、すべてを切り裂く刃』を作り出す魔法なんですって」
『すべて』とはいっても、人間の使う魔術だから限度はあるらしい。
何を代償にするのかも、教えてもらえなかったそうだ。
だけどその魔法を使うために、アストリッド様のシャーヴァン辺境伯家では、男女問わず剣術を習うのだとか。
普通、嫁ぎ先では実家の魔法を伝えることはないと教わった。
だけど万が一に備えて、こっそり伝えることはあるらしい。
今回のヴァルター様の行動は、そんな家の秘密をばらしてしまうくらい、切羽詰まった行動だったのか。
……待って? ヴァルター様って、私と同じ十二歳よね?
なのに高度な魔術である、現代魔法を修得してるの?
実はあの人、隠れた完璧超人なのでわ?
女子がそんな会話をしていると、ドアがノックされた。
サブリナが対応し、オリヴァー殿下とマーセル殿下が中に招き入れられる。
オリヴァー殿下が、疲れたように告げる。
「やっとライナーから、部屋の外に出る許可が下りたよ――みんな無事か?」
女子全員で、笑顔でうなずいた。
マーセル殿下が、悔しそうに告げる。
「捜索に参加できず、すまなかった。
今回の俺たちは、何の力にもなれなかった」
私は笑ってその言葉を否定する。
「殿下たちは王位継承者です。
私たちの誘拐が陽動で、殿下たちが本命だった場合を考えてください。
うかつに動かれる方が困りますよ?」
オリヴァー殿下が厳しい表情になって告げる。
「今回の件は、ペテル共和国に厳重に抗議する。
許しがたい蛮行だ」
あれ? そういえば。
「オリヴァー殿下、隣町の視察はどうなったんですか?」
今頃、視察に行ってる頃じゃなかったっけ?
オリヴァー殿下が苦笑を浮かべた。
「こんな状況で、視察を続行できる訳がないだろう。
予定は中止になったよ」
そっか、ペテル共和国内での安全を確保できなくなったんだもんな。
こんな情勢で移動して回るのは、『どうぞ襲ってください』と言ってるようなものだ。
私はうなずいて応える。
「それもそうですね。
……じゃあもう、帰国するんですか?」
オリヴァー殿下がうなずいた。
「被害者全員の回復が確認できたら、それで帰国する。
予定の半分も消化できていないが、仕方あるまい」
私は殿下たちにも、何が起こったのかをかいつまんで説明していった。
もちろん古代魔法に関することは、内緒だけど。
その途中で、ユルゲン伯父様が部屋に入ってきた。
その表情は、まだいつもの伯父様には戻っていない。
「医者が手配できた。
昼過ぎには診察に来るから、見てもらってくれ。
――それと、マリーに確認しておきたいことがある」
そう言って、ユルゲン伯父様は真っ二つにされた鉄枷と、眼帯を荷物から取り出した。
「それ、私が付けられてた物ですね」
ユルゲン伯父様がうなずいた。
「ありがとう、それを知りたかった。
――すまないが全員、外に出ていてくれないか。
ちょっと機密事項に関わることなんだ」
不満げな殿下たちの背中を、サニー体がなんとか押し出して部屋から出て行った。
ユルゲン伯父様はそれを確認してから、私に振り返る。
「この眼帯は、精霊眼の上に着けられていたんだね?」
私は黙ってうなずいた。
伯父様が言葉を続ける。
「これには魔力を記録する術式が付与されていた。
間違いなく犯人の狙いは、精霊眼の力――古代魔法だ。
神が君の祈りに応じなかったのはたぶん、そのせいだろう。
神が魔力を記録されるのを、嫌がったんだ」
私は鉄枷を見ながら告げる。
「じゃあその鉄枷も、魔力を記録する物なんですか?」
ユルゲン伯父様は首を横に振った。
「これは帝国が中途半端な古代魔法を利用した技術、それを応用した魔導具のようだ。
少なくとも、現代魔術や現代魔法ではない魔力が付与されている。
君の魔力でも破壊できなかったのは、そのせいだろう」
私はその言葉に驚いた。
だって、鉄枷は真っ二つにされている。
ヴァルター様が魔法で切り裂いたんだろう。
私には、古代魔法を応用した魔法で作られた鉄枷を、現代魔法で破壊できるとは思えなかった。
私の疑問に、ユルゲン伯父様が苦笑で応える。
「シャーヴァン辺境伯の家に伝わる魔法だね。
生命力を代償に、すべてのものを切り裂く刃を生み出す強烈な魔法だ。
――まったく無茶をする。中途半端とはいえ古代魔法だ。
これを切り裂くなど、どれほどの寿命を削ったんだか」
――寿命を、削る?!
そんな代償を払ってまで、私を助けてくれたというの?!
私は愕然としていた。
ユルゲン伯父様が優しい顔になって、私の頭を撫でた。
「ヴァルターをあとで部屋に来させるから、お礼を言っておきなさい」
頭を撫でられながら、ユルゲン伯父様に尋ねる。
「……ベッカー議員は掴まったんですか?」
得る現伯父様が、厳しい表情になって応える。
「いや、完全に行方をくらましたようだ。
諜報部に追跡させているが、捕まるかはわからない」
私は少し考えてから、再び尋ねる。
「……ディーツ議長は、なんて言ってるんですか?」
「彼は悔しそうに語っていたよ。
『あいつがそんな大それたことをしでかすとは』ってね。
――なんにせよ、君の回復を待ってから帰国することはけてい事項だ」
私は休息を取ることに専念するよう、念を押された。
『後のことは、大人に任せなさい』と、優しく微笑まれた。
そう言い残して、ユルゲン伯父様は部屋から出て行った。
「みんな、出歩いて大丈夫なの?」
「大丈夫よ、マリーのおかげですっかり元気!」
そう笑って応えるレナの顔は、本当に元気そうだった。
私はまだ、そこまで回復は出来ていない。
馬車の中で、それだけ自分を後回しにしてしまったからだろう。
でもみんなが回復できたのだから、私の胸のつかえも取れた気がした。
ララが疲れた顔で、ベッドサイドに腰かけた。
「それにしても、酷い目に遭ったわね」
サニーが立ちながらうなずいた。
「ほんとよね。
成長期の子供から食事を奪うとか重罪よ?!」
レナがララのそばで笑いながら告げる。
「ベッカー議員、あんな酷いことをする人に見えなかったのにね」
私は「あはは……」と力のない笑いの後に、三人に尋ねる。
「みんなも鉄枷や眼帯を付けられてたの?」
三人が顔を見合わせ、私に対して首を横に振った。
サニーが告げる。
「縄で手足を縛られて、猿ぐつわはかまされてたけどね。
鉄枷は付けられてなかったわよ?
眼帯もなかったわ」
じゃああれは、私だけの拘束だったのか。
三人の話では、ヴァルター様が魔法で牢屋の鍵を切り裂いて助け出してくれたらしい。
そのあと、他の男子が女子の攻速をほどき、ひとりずつ付き添って水を与えていったのだとか。
私は小首をかしげながら尋ねる。
「鍵を切り裂く魔法?」
サニーがうなずいた。
「なんかね、剣に魔法を付与してたわよ?
魔法だから詳しいことは教えてもらえなかったけど」
魔法は魔導士にとっての『秘儀』、家族以外に教えることがない技術だ。
そりゃあ詳しく聞いても、応えられないだろうな。
レナがうつむきがちに告げる。
「お母様がアストリッド様から聞いたことがあるらしいのだけど。
『何かを代償にして、すべてを切り裂く刃』を作り出す魔法なんですって」
『すべて』とはいっても、人間の使う魔術だから限度はあるらしい。
何を代償にするのかも、教えてもらえなかったそうだ。
だけどその魔法を使うために、アストリッド様のシャーヴァン辺境伯家では、男女問わず剣術を習うのだとか。
普通、嫁ぎ先では実家の魔法を伝えることはないと教わった。
だけど万が一に備えて、こっそり伝えることはあるらしい。
今回のヴァルター様の行動は、そんな家の秘密をばらしてしまうくらい、切羽詰まった行動だったのか。
……待って? ヴァルター様って、私と同じ十二歳よね?
なのに高度な魔術である、現代魔法を修得してるの?
実はあの人、隠れた完璧超人なのでわ?
女子がそんな会話をしていると、ドアがノックされた。
サブリナが対応し、オリヴァー殿下とマーセル殿下が中に招き入れられる。
オリヴァー殿下が、疲れたように告げる。
「やっとライナーから、部屋の外に出る許可が下りたよ――みんな無事か?」
女子全員で、笑顔でうなずいた。
マーセル殿下が、悔しそうに告げる。
「捜索に参加できず、すまなかった。
今回の俺たちは、何の力にもなれなかった」
私は笑ってその言葉を否定する。
「殿下たちは王位継承者です。
私たちの誘拐が陽動で、殿下たちが本命だった場合を考えてください。
うかつに動かれる方が困りますよ?」
オリヴァー殿下が厳しい表情になって告げる。
「今回の件は、ペテル共和国に厳重に抗議する。
許しがたい蛮行だ」
あれ? そういえば。
「オリヴァー殿下、隣町の視察はどうなったんですか?」
今頃、視察に行ってる頃じゃなかったっけ?
オリヴァー殿下が苦笑を浮かべた。
「こんな状況で、視察を続行できる訳がないだろう。
予定は中止になったよ」
そっか、ペテル共和国内での安全を確保できなくなったんだもんな。
こんな情勢で移動して回るのは、『どうぞ襲ってください』と言ってるようなものだ。
私はうなずいて応える。
「それもそうですね。
……じゃあもう、帰国するんですか?」
オリヴァー殿下がうなずいた。
「被害者全員の回復が確認できたら、それで帰国する。
予定の半分も消化できていないが、仕方あるまい」
私は殿下たちにも、何が起こったのかをかいつまんで説明していった。
もちろん古代魔法に関することは、内緒だけど。
その途中で、ユルゲン伯父様が部屋に入ってきた。
その表情は、まだいつもの伯父様には戻っていない。
「医者が手配できた。
昼過ぎには診察に来るから、見てもらってくれ。
――それと、マリーに確認しておきたいことがある」
そう言って、ユルゲン伯父様は真っ二つにされた鉄枷と、眼帯を荷物から取り出した。
「それ、私が付けられてた物ですね」
ユルゲン伯父様がうなずいた。
「ありがとう、それを知りたかった。
――すまないが全員、外に出ていてくれないか。
ちょっと機密事項に関わることなんだ」
不満げな殿下たちの背中を、サニー体がなんとか押し出して部屋から出て行った。
ユルゲン伯父様はそれを確認してから、私に振り返る。
「この眼帯は、精霊眼の上に着けられていたんだね?」
私は黙ってうなずいた。
伯父様が言葉を続ける。
「これには魔力を記録する術式が付与されていた。
間違いなく犯人の狙いは、精霊眼の力――古代魔法だ。
神が君の祈りに応じなかったのはたぶん、そのせいだろう。
神が魔力を記録されるのを、嫌がったんだ」
私は鉄枷を見ながら告げる。
「じゃあその鉄枷も、魔力を記録する物なんですか?」
ユルゲン伯父様は首を横に振った。
「これは帝国が中途半端な古代魔法を利用した技術、それを応用した魔導具のようだ。
少なくとも、現代魔術や現代魔法ではない魔力が付与されている。
君の魔力でも破壊できなかったのは、そのせいだろう」
私はその言葉に驚いた。
だって、鉄枷は真っ二つにされている。
ヴァルター様が魔法で切り裂いたんだろう。
私には、古代魔法を応用した魔法で作られた鉄枷を、現代魔法で破壊できるとは思えなかった。
私の疑問に、ユルゲン伯父様が苦笑で応える。
「シャーヴァン辺境伯の家に伝わる魔法だね。
生命力を代償に、すべてのものを切り裂く刃を生み出す強烈な魔法だ。
――まったく無茶をする。中途半端とはいえ古代魔法だ。
これを切り裂くなど、どれほどの寿命を削ったんだか」
――寿命を、削る?!
そんな代償を払ってまで、私を助けてくれたというの?!
私は愕然としていた。
ユルゲン伯父様が優しい顔になって、私の頭を撫でた。
「ヴァルターをあとで部屋に来させるから、お礼を言っておきなさい」
頭を撫でられながら、ユルゲン伯父様に尋ねる。
「……ベッカー議員は掴まったんですか?」
得る現伯父様が、厳しい表情になって応える。
「いや、完全に行方をくらましたようだ。
諜報部に追跡させているが、捕まるかはわからない」
私は少し考えてから、再び尋ねる。
「……ディーツ議長は、なんて言ってるんですか?」
「彼は悔しそうに語っていたよ。
『あいつがそんな大それたことをしでかすとは』ってね。
――なんにせよ、君の回復を待ってから帰国することはけてい事項だ」
私は休息を取ることに専念するよう、念を押された。
『後のことは、大人に任せなさい』と、優しく微笑まれた。
そう言い残して、ユルゲン伯父様は部屋から出て行った。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?
仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。
そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。
「出来の悪い妹で恥ずかしい」
「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」
そう言ってましたよね?
ある日、聖王国に神のお告げがあった。
この世界のどこかに聖女が誕生していたと。
「うちの娘のどちらかに違いない」
喜ぶ両親と姉妹。
しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。
因果応報なお話(笑)
今回は、一人称です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる