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114.お母様の弟子(3)
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昼食を食べ終わり、私たちはのんびりと食後の紅茶を楽しんでいた。
男子たちは相変わらず、腕自慢に花が咲いているようだ。
全員が剣術を習っていると言っていた。
さすがは高位貴族の男子たちだ。
「……この中で誰が一番、剣術が巧いんでしょうね」
私は口にしてから、それが余計な一言だと気が付いた。
男子たちが急に色めきだしたのだ。
「俺が一番だろう」
「いや、私でしょう」
「当然、兄上だろう?」
などなど、収拾がつかなくなっていった。
私は思わず声を上げる。
「あーもう! では実際に手合わせしてみればよろしいではありませんか!」
その提案に、男子たちが今度は『誰と誰が戦うか』を協議しだした。
子供だけで、本気で戦うつもり?!
これは危ないな、大人を呼んでこないと。
私は立ち上がって、大人たちのテーブルに移動し、事情を説明した。
お母様は苦笑を浮かべているようだ。
アストリッド様が立ち上がって告げる。
「面白そうだね。あたしが立会人をしてあげよう。
子供の木剣程度なら、あたしでもなんとかなる」
男性陣を見るけど、動く気配はないみたい。
「えっ?! アストリッド様だけですか?!」
ディーター様が微笑んで告げる。
「子供が振るう木剣で、致命傷は負いませんよ」
判断基準、そこ?!
フィル様が困ったように微笑んだ。
「私はあまり剣術が得意ではありません。
技術だけなら、アストリッド夫人の方が上でしょう」
ハーディ様が、ぶっきらぼうに告げる。
「俺では、子供たちに怪我を負わしかねん」
……そうか、結局アストリッド様に頼るしかないのか。
一応、男性陣も見守り役には加わってくれるようで、一緒に子供テーブルに移動して来てくれた。
男子たちが決めかかっていた対戦表に、アストリッド様が「ちょっと待ちな」と口を挟む。
どうやら、力量差が大きい組み合わせが混じっていたみたいだ。
調整が入った結果、以下のようになった。
サイ兄様とアミン様。
オリヴァー殿下とアレックス様。
マーセル殿下とスウェード様。
そしてアラン様とヴァルター様だ。
こうして、突如として剣術腕比べ大会が開催されることになった。
……どうしてこうなった?
****
私たちの目の前で、サイ兄様とアミン様が木剣を持って対峙していた。
サイ兄様は両手で構え、アミン様は片手で構えている。
「片手で俺の剣を捌けると思っているのか?」
「案外、なんとかなるものですよ」
しばらくの睨み合い――刹那の呼吸で、サイ兄様の姿が消えた。
あれは≪身体強化≫術式というらしい。
魔導術式で身体機能を飛躍的に向上させる、騎士の常套手段なのだとか。
そんな目で追えない速度のサイ兄様の攻撃を、アミン様は体を捌いてかわしていく。
突如、アミン様の剣が鋭く振り下ろされ、サイ兄様の動きが止まった。
首筋ギリギリ、当たる直前でアミン様の木剣を防いでいた。
「……やるな」
「あなたこそ」
弾けるように距離を取り、またサイ兄様の姿が消える。
アミン様はまた華麗にサイ兄様の攻撃をかわし続けていた。
だけど、だんだんとサイ兄様の木剣を弾き飛ばすように受け流し始めた。
――動きを読まれ、対応しきれなくなったんだ。
だんだんとアミン様の表情から、余裕の笑みが消えていく。
木剣を打ち合う頻度が上がっていった。
ついにはアミン様の木剣が弾き飛ばされ、その首筋にサイ兄様の木剣が突き付けられていた。
「……参りました」
アミン様が、負けを認めた。
サイ兄様は、ファルケンシュタイン公爵家に伝わる剣術を習ってる。
その極意は『波濤のように力強く、流麗に』というものらしい。
流れるように、絶え間なく続く力強い攻撃が特徴なんだとか。
それを片手でしのぎ切るのは、同じ体格のアミン様では無理があったのだろう。
アストリッド様が楽しそうに告げる。
「これでひとつ、順位が決まったね」
次はオリヴァー殿下とアレックス様だ。
片手に木剣を下げるオリヴァー殿下と、両手で構えるアレックス様。
お互いが同時に姿を消した。
動き回る一対の影、何度か木剣を打ち合う音が響き渡る。
突如、「フン!」というアレックス様の気合と共に、オリヴァー殿下の木剣が叩き折られた。
勢いで吹き飛ばされ、転んだオリヴァー殿下は素直に負けを認めた。
アレックス様、パワーファイターなのかなぁ。
アストリッド様が感心するように告げる。
「さすがハーディ仕込みの剣術だ。
父親そっくりだね」
次がマーセル殿下とスウェード様だ。
こちらは両者とも、正統派の両手で構えるスタイル。
同時に前に出て、木剣を繰り出しあった。
今度は私の目でも、なんとか動きを追いかけられる。
二人とも年少組だけど、一応は≪身体強化≫を使えるみたいだ。
次第にマーセル殿下が優勢になり、スウェード様の木剣が弾き飛ばされた。
「参った!」
と、スウェード様がすぐに両手を上げて降参した。
アストリッド様が笑って告げる。
「二人とも、まだまだこれからだね。
だが将来が楽しみだ」
そして最後にアラン様とヴァルター様だ。
片手で木剣を構えるアラン様と、同じように構えるヴァルター様。
その姿は、鏡を見ているかのようだ。
私たちが見守る中、突如として二人の姿が消えていた。
――年少組なのに、サイ兄様たちと同じくらい速い?!
動き回る一対の影と共に、激しく木剣を打ち合う音が鳴り響く。
アラン様だってファルケンシュタイン公爵家の剣術を習ってるはず。
それなのに、互角なの?!
私が驚いている一瞬の間に、アラン様の木剣が叩き落された。
その首筋には、ヴァルター様の木剣が突き付けられている。
「……参りました」
アラン様が、笑顔で負けを認めた。
アストリッド様は自慢げだ。
「どうだい? うちの息子は強いだろう?」
私たち女子は、対戦が終わるたびに拍手で健闘を称えていた。
「みなさん、すごいですわね!」
そんな感想を述べると、アストリッド様が尋ねてくる。
「なぁマリー。
あんたの目から見て、強さの順位はどう見えた?」
「私から見て?! 私、剣術はわかりませんよ?!」
「まぁまぁ、あんたの直感でいいさ」
そんな無理難題を言われてもなぁ……。
楽しそうな表情のアストリッド様に押され、私は渋々と直感で順位を告げていく。
一位がヴァルター様。
二位が僅差でアレックス様。
三位がサイ兄様とオリヴァー殿下。これは甲乙つけがたい。
五位がアラン様。さすがは公爵家嫡男だ。
六位がアミン様。
七位がマーセル殿下。
八位がスウェード様。一人だけ、かなり劣ってる気がする。
私の評価に、アストリッド様は満足そうにうなずいた。
「やっぱりマリーはいい勘をしているね」
だけどその順位に、男女から不満が爆発した。
「兄上がそんな低いわけがないだろう?!
それに俺だって、そんなに弱くない!」
「ヴァルターがなんでそんなに高評価なんだよ?!」
「私の順位が低すぎませんか」
「アム兄様が、そんなに弱い訳がありませんわ!」
子供たちの喧騒を、アストリッド様が大きく手を打ち鳴らして止めた。
「じゃあ不満がある子は手を挙げな」
半数の男子と、一名の女子から手が挙がった。
「よし、あたしが言った組み合わせで対戦するんだ。
それで納得できるだろう」
……この流れ、まだ続くの?!
男子たちは相変わらず、腕自慢に花が咲いているようだ。
全員が剣術を習っていると言っていた。
さすがは高位貴族の男子たちだ。
「……この中で誰が一番、剣術が巧いんでしょうね」
私は口にしてから、それが余計な一言だと気が付いた。
男子たちが急に色めきだしたのだ。
「俺が一番だろう」
「いや、私でしょう」
「当然、兄上だろう?」
などなど、収拾がつかなくなっていった。
私は思わず声を上げる。
「あーもう! では実際に手合わせしてみればよろしいではありませんか!」
その提案に、男子たちが今度は『誰と誰が戦うか』を協議しだした。
子供だけで、本気で戦うつもり?!
これは危ないな、大人を呼んでこないと。
私は立ち上がって、大人たちのテーブルに移動し、事情を説明した。
お母様は苦笑を浮かべているようだ。
アストリッド様が立ち上がって告げる。
「面白そうだね。あたしが立会人をしてあげよう。
子供の木剣程度なら、あたしでもなんとかなる」
男性陣を見るけど、動く気配はないみたい。
「えっ?! アストリッド様だけですか?!」
ディーター様が微笑んで告げる。
「子供が振るう木剣で、致命傷は負いませんよ」
判断基準、そこ?!
フィル様が困ったように微笑んだ。
「私はあまり剣術が得意ではありません。
技術だけなら、アストリッド夫人の方が上でしょう」
ハーディ様が、ぶっきらぼうに告げる。
「俺では、子供たちに怪我を負わしかねん」
……そうか、結局アストリッド様に頼るしかないのか。
一応、男性陣も見守り役には加わってくれるようで、一緒に子供テーブルに移動して来てくれた。
男子たちが決めかかっていた対戦表に、アストリッド様が「ちょっと待ちな」と口を挟む。
どうやら、力量差が大きい組み合わせが混じっていたみたいだ。
調整が入った結果、以下のようになった。
サイ兄様とアミン様。
オリヴァー殿下とアレックス様。
マーセル殿下とスウェード様。
そしてアラン様とヴァルター様だ。
こうして、突如として剣術腕比べ大会が開催されることになった。
……どうしてこうなった?
****
私たちの目の前で、サイ兄様とアミン様が木剣を持って対峙していた。
サイ兄様は両手で構え、アミン様は片手で構えている。
「片手で俺の剣を捌けると思っているのか?」
「案外、なんとかなるものですよ」
しばらくの睨み合い――刹那の呼吸で、サイ兄様の姿が消えた。
あれは≪身体強化≫術式というらしい。
魔導術式で身体機能を飛躍的に向上させる、騎士の常套手段なのだとか。
そんな目で追えない速度のサイ兄様の攻撃を、アミン様は体を捌いてかわしていく。
突如、アミン様の剣が鋭く振り下ろされ、サイ兄様の動きが止まった。
首筋ギリギリ、当たる直前でアミン様の木剣を防いでいた。
「……やるな」
「あなたこそ」
弾けるように距離を取り、またサイ兄様の姿が消える。
アミン様はまた華麗にサイ兄様の攻撃をかわし続けていた。
だけど、だんだんとサイ兄様の木剣を弾き飛ばすように受け流し始めた。
――動きを読まれ、対応しきれなくなったんだ。
だんだんとアミン様の表情から、余裕の笑みが消えていく。
木剣を打ち合う頻度が上がっていった。
ついにはアミン様の木剣が弾き飛ばされ、その首筋にサイ兄様の木剣が突き付けられていた。
「……参りました」
アミン様が、負けを認めた。
サイ兄様は、ファルケンシュタイン公爵家に伝わる剣術を習ってる。
その極意は『波濤のように力強く、流麗に』というものらしい。
流れるように、絶え間なく続く力強い攻撃が特徴なんだとか。
それを片手でしのぎ切るのは、同じ体格のアミン様では無理があったのだろう。
アストリッド様が楽しそうに告げる。
「これでひとつ、順位が決まったね」
次はオリヴァー殿下とアレックス様だ。
片手に木剣を下げるオリヴァー殿下と、両手で構えるアレックス様。
お互いが同時に姿を消した。
動き回る一対の影、何度か木剣を打ち合う音が響き渡る。
突如、「フン!」というアレックス様の気合と共に、オリヴァー殿下の木剣が叩き折られた。
勢いで吹き飛ばされ、転んだオリヴァー殿下は素直に負けを認めた。
アレックス様、パワーファイターなのかなぁ。
アストリッド様が感心するように告げる。
「さすがハーディ仕込みの剣術だ。
父親そっくりだね」
次がマーセル殿下とスウェード様だ。
こちらは両者とも、正統派の両手で構えるスタイル。
同時に前に出て、木剣を繰り出しあった。
今度は私の目でも、なんとか動きを追いかけられる。
二人とも年少組だけど、一応は≪身体強化≫を使えるみたいだ。
次第にマーセル殿下が優勢になり、スウェード様の木剣が弾き飛ばされた。
「参った!」
と、スウェード様がすぐに両手を上げて降参した。
アストリッド様が笑って告げる。
「二人とも、まだまだこれからだね。
だが将来が楽しみだ」
そして最後にアラン様とヴァルター様だ。
片手で木剣を構えるアラン様と、同じように構えるヴァルター様。
その姿は、鏡を見ているかのようだ。
私たちが見守る中、突如として二人の姿が消えていた。
――年少組なのに、サイ兄様たちと同じくらい速い?!
動き回る一対の影と共に、激しく木剣を打ち合う音が鳴り響く。
アラン様だってファルケンシュタイン公爵家の剣術を習ってるはず。
それなのに、互角なの?!
私が驚いている一瞬の間に、アラン様の木剣が叩き落された。
その首筋には、ヴァルター様の木剣が突き付けられている。
「……参りました」
アラン様が、笑顔で負けを認めた。
アストリッド様は自慢げだ。
「どうだい? うちの息子は強いだろう?」
私たち女子は、対戦が終わるたびに拍手で健闘を称えていた。
「みなさん、すごいですわね!」
そんな感想を述べると、アストリッド様が尋ねてくる。
「なぁマリー。
あんたの目から見て、強さの順位はどう見えた?」
「私から見て?! 私、剣術はわかりませんよ?!」
「まぁまぁ、あんたの直感でいいさ」
そんな無理難題を言われてもなぁ……。
楽しそうな表情のアストリッド様に押され、私は渋々と直感で順位を告げていく。
一位がヴァルター様。
二位が僅差でアレックス様。
三位がサイ兄様とオリヴァー殿下。これは甲乙つけがたい。
五位がアラン様。さすがは公爵家嫡男だ。
六位がアミン様。
七位がマーセル殿下。
八位がスウェード様。一人だけ、かなり劣ってる気がする。
私の評価に、アストリッド様は満足そうにうなずいた。
「やっぱりマリーはいい勘をしているね」
だけどその順位に、男女から不満が爆発した。
「兄上がそんな低いわけがないだろう?!
それに俺だって、そんなに弱くない!」
「ヴァルターがなんでそんなに高評価なんだよ?!」
「私の順位が低すぎませんか」
「アム兄様が、そんなに弱い訳がありませんわ!」
子供たちの喧騒を、アストリッド様が大きく手を打ち鳴らして止めた。
「じゃあ不満がある子は手を挙げな」
半数の男子と、一名の女子から手が挙がった。
「よし、あたしが言った組み合わせで対戦するんだ。
それで納得できるだろう」
……この流れ、まだ続くの?!
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