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第3章:神霊魔術
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昼休みになり、食堂で殿下に助けられたことをみんなに報告した。
フランツさんが悔しそうに呟く。
「すまない、私が傍に居れば、なんとか対応してやれたのに」
ファビアンさんも深刻な顔で眉をひそめていた。
「そこまで悪質な生徒が居たのか。
殿下が見初めた以上、手は出されないと踏んでいたんだが」
カールステンさんは明るい声で告げる。
「だが殿下が動いたなら、校内に広く告知されるだろう。
もうヴィルマが手出しされることはないだろうさ」
シルビアさんが私の肩に手を置いて告げる。
「ごめんなさいヴィルマ。怖かったでしょう?」
「あーいえ、それほどでもなかったんですけど。
ああいう時ってどう対応したら正解なんですかねぇ?」
サブリナさんがため息をついた。
「私たち貴族子女と違って、あなたは平民だものね。
どうやっても逆らえば問題になってしまう。
……こうなったら、ヴォルフガング様から護身術を習うべきかしら」
私はきょとんとしてサブリナさんを見て告げる。
「問題にならない護身術なんて、あるんですか?」
「んー、私には思いつかないけど、ヴォルフガング様ならもしかしたら知ってるかも」
そっかー、あの人なんでも知ってる気がするしなー。
みんなも同じイメージってことか。
「じゃあ、ヴォルフガングさんに伝えてくれますか?
私は自分から伝えに行けないので」
みんなが一斉に頷いた――え? まさか全員で行くつもり?
昼食を手早く済ませた男性陣、続いて女性陣がすぐに席を立ち、本当にさかさかとどこかへ消えてしまった。
……えー、みんなで相談に行ったの? さすがに迷惑にならないかな?
****
司書室で午後の業務開始を待っていると、ドアが開いてヴォルフガングさんが姿を見せた。
いつもの優しい微笑みを浮かべたヴォルフガングさんが告げる。
「すまないね、待ったかな?」
私は唖然としながら応える。
「……いえ、待ってはいませんけど。どうしたんですか? こんな時間に」
ヴォルフガングさんが懐から何かを取り出し、私の手に握らせた――指輪?
「なんですか? これ」
「相手を即死させる魔導具だよ」
物騒すぎるー?!
私は慌てて指輪を押し返して声を上げる。
「ちょっとヴォルフガングさん! なにを考えてるんですか!
そんなもの、持ってるだけで大問題ですよ?!」
ヴォルフガングさんがニコリと微笑んだ。
「そうかい? ヴィルマは優しいね。
何かあっても、私が問題を揉み消してあげるというのに」
「いやいやいや! そういう問題じゃないですから!」
ヴォルフガングさんが懐から別の物を取り出し、私の手に握らせた――別の指輪?
私はおそるおそる尋ねる。
「……これは、なんですか?」
ヴォルフガングさんがニコリと微笑んで応える。
「これは≪誘眠≫の魔導具だ。相手を一瞬で眠らせることが出来る。
床に倒れ込んだくらいじゃ起きないから、何かあったら使いなさい」
眠るだけかー。それくらいなら、護身具として持っててもいいか。
「どうやって使うんですか?」
「魔力を通すだけで大丈夫だ。眠らせたい対象を意識しながら魔力を通せば、それで相手は眠るだろう」
「……ちなみに、何分ぐらい眠るんですか?」
ヴォルフガングさんがニコリと微笑んだ。
「三日三晩眠るね」
厄介だなー?! それも問題になりそうだぞ?!
だけど、いざという時の切り札として持っておくには、ギリギリセーフかなぁ?
「うぅ~、わかりました。ありがたく受け取ります」
「ああ、そうして欲しい。大丈夫、問題になるようなら私や殿下が必ず揉み消してみせるとも」
「もーみーけーすーよーうーなーこーとーをーしーたーくーなーいー!」
「ハハハ! 大丈夫、安心なさい」
「安心! できない!」
午後の始業ベルが鳴り、ファビアンさんが手を打ち鳴らした。
「ともかく、その指輪で午後は対処してもらおう。
殿下が対応しているはずだが、油断はしないように。
我々もなるだけ、ヴィルマに注意を向けておく」
みんなが声を上げて、持ち場に散っていった。
ヴォルフガングさんはニコニコと微笑みながら佇んでいる。
「……戻らないんですか?」
「午後は講義がないからね。
私が図書館の中で見張っておいてあげよう」
なんで厳重ガード?!
私は謎の疲労感を感じつつ、カウンターへと向かった。
****
私は読破した魔力鍛錬法を思い出しながら、自分の魔力を図書館中に張り巡らせた。
……魔力を遠くに伸ばすのも、思ったより簡単なんだな。
ディララさんは『普通は頑張っても数十メートル』って前に言ってたけど、まだまだ私には余裕がある。
これなら百メートル以上は伸ばせそうな気がする。
「こらこら、図書館の中で警戒魔術を使うのは止めなさい」
ヴォルフガングさん?
声に振り向くと、ヴォルフガングさんが優しく微笑んでカウンターの前に居た。
「あのー、これって魔術なんですか?」
「そうだよ? 一番シンプルな警戒魔術の一つだ。
魔力の網を張り巡らせ、網に引っかかった物の情報を得る。
――自分の魔力を遮られれば、それがわかるだろう?」
ああ、そういうことか。確かにそれなら警戒網にできる。
「じゃあ『とんち』みたいな話ですけど、網じゃなければセーフですかね?」
「そうだね、魔力を数本伸ばすくらいなら、警戒魔術とはみなされないね」
いったん魔力を全部身体に戻して、今度は一本だけを図書館の反対側の壁に届かせた。
……簡単すぎて、鍛錬にならないな。
魔力を細く引き伸ばす鍛錬法もあったっけ。
今度は絹糸より細い魔力の糸を、同じように図書館の反対側の壁に貼り付けた。
……これで鍛錬になるのぉ~?
私はヴォルフガングさんを見て告げる。
「ねぇヴォルフガングさん、魔導書にある鍛錬法じゃ、鍛錬できてる気がしないんですけど」
「ハハハ! ヴィルマは既に、そんなステージに居ないからね!
それほど魔力を制御できる人間は、そもそもそんな鍛錬を遥かに通り越している。やる必要がないね」
「やっぱりそうか~」
私はがっくりと肩を落として、浮遊型移動書架台に入った魔導書を所定位置に戻していった。
****
私は読む本が無くなり、ぼんやりとカウンターの中で佇んでいた。
……平和だなぁ。生徒が誰も来ない。
アルフレッド殿下が告知するだろうって話、ホントなのかもなぁ。
……暇、だなぁ。
あれほど憧れた『大量の魔導書に囲まれる生活』だというのに、どうして読もうと思えないんだろう?
私は司書で、魔導士じゃないから?
うーん、半分当たりで、半分間違ってるような気がする。
そもそも、どうしてそんな生活に憧れてたんだっけ?
初心忘るべからず――最初に魔導書を好きになった『きっかけ』って、なんだったっけ。
思いだそうとすると、ふわりと魔導書の匂いが鼻をくすぐった気がした。
それと共にお父さんの笑顔が思い出されて――ああ、そうか。お父さんと過ごした幼い日々。あの日の象徴に魔導書があったんだ。
魔導書を読んでると、お父さんが傍に居てくれるような気がして、お父さんみたいな司書になりたくて。
六年前に居なくなっちゃった、お父さんとお母さん。長いようでいて、六年は短い。
まだ私は、両親が居なくなった傷から立ち直れてないのかな?
だからお父さんとの繋がりである魔導書や、司書という仕事に拘るんだろうか。
……お父さんは、なんだかすごい魔導士だったみたい。そんなそぶり、全然見せなかったんだけどね。
そんなお父さんみたいな司書になるなら、魔導書はもっといっぱい読まないといけないのかな。
そんなことをいろいろ考えていたら、閉館直前を知らせるベルが鳴った。
……結局、午後は生徒が一人も来なかったな。
私は小さくため息をつくと、ゆっくりと司書室に戻っていった。
フランツさんが悔しそうに呟く。
「すまない、私が傍に居れば、なんとか対応してやれたのに」
ファビアンさんも深刻な顔で眉をひそめていた。
「そこまで悪質な生徒が居たのか。
殿下が見初めた以上、手は出されないと踏んでいたんだが」
カールステンさんは明るい声で告げる。
「だが殿下が動いたなら、校内に広く告知されるだろう。
もうヴィルマが手出しされることはないだろうさ」
シルビアさんが私の肩に手を置いて告げる。
「ごめんなさいヴィルマ。怖かったでしょう?」
「あーいえ、それほどでもなかったんですけど。
ああいう時ってどう対応したら正解なんですかねぇ?」
サブリナさんがため息をついた。
「私たち貴族子女と違って、あなたは平民だものね。
どうやっても逆らえば問題になってしまう。
……こうなったら、ヴォルフガング様から護身術を習うべきかしら」
私はきょとんとしてサブリナさんを見て告げる。
「問題にならない護身術なんて、あるんですか?」
「んー、私には思いつかないけど、ヴォルフガング様ならもしかしたら知ってるかも」
そっかー、あの人なんでも知ってる気がするしなー。
みんなも同じイメージってことか。
「じゃあ、ヴォルフガングさんに伝えてくれますか?
私は自分から伝えに行けないので」
みんなが一斉に頷いた――え? まさか全員で行くつもり?
昼食を手早く済ませた男性陣、続いて女性陣がすぐに席を立ち、本当にさかさかとどこかへ消えてしまった。
……えー、みんなで相談に行ったの? さすがに迷惑にならないかな?
****
司書室で午後の業務開始を待っていると、ドアが開いてヴォルフガングさんが姿を見せた。
いつもの優しい微笑みを浮かべたヴォルフガングさんが告げる。
「すまないね、待ったかな?」
私は唖然としながら応える。
「……いえ、待ってはいませんけど。どうしたんですか? こんな時間に」
ヴォルフガングさんが懐から何かを取り出し、私の手に握らせた――指輪?
「なんですか? これ」
「相手を即死させる魔導具だよ」
物騒すぎるー?!
私は慌てて指輪を押し返して声を上げる。
「ちょっとヴォルフガングさん! なにを考えてるんですか!
そんなもの、持ってるだけで大問題ですよ?!」
ヴォルフガングさんがニコリと微笑んだ。
「そうかい? ヴィルマは優しいね。
何かあっても、私が問題を揉み消してあげるというのに」
「いやいやいや! そういう問題じゃないですから!」
ヴォルフガングさんが懐から別の物を取り出し、私の手に握らせた――別の指輪?
私はおそるおそる尋ねる。
「……これは、なんですか?」
ヴォルフガングさんがニコリと微笑んで応える。
「これは≪誘眠≫の魔導具だ。相手を一瞬で眠らせることが出来る。
床に倒れ込んだくらいじゃ起きないから、何かあったら使いなさい」
眠るだけかー。それくらいなら、護身具として持っててもいいか。
「どうやって使うんですか?」
「魔力を通すだけで大丈夫だ。眠らせたい対象を意識しながら魔力を通せば、それで相手は眠るだろう」
「……ちなみに、何分ぐらい眠るんですか?」
ヴォルフガングさんがニコリと微笑んだ。
「三日三晩眠るね」
厄介だなー?! それも問題になりそうだぞ?!
だけど、いざという時の切り札として持っておくには、ギリギリセーフかなぁ?
「うぅ~、わかりました。ありがたく受け取ります」
「ああ、そうして欲しい。大丈夫、問題になるようなら私や殿下が必ず揉み消してみせるとも」
「もーみーけーすーよーうーなーこーとーをーしーたーくーなーいー!」
「ハハハ! 大丈夫、安心なさい」
「安心! できない!」
午後の始業ベルが鳴り、ファビアンさんが手を打ち鳴らした。
「ともかく、その指輪で午後は対処してもらおう。
殿下が対応しているはずだが、油断はしないように。
我々もなるだけ、ヴィルマに注意を向けておく」
みんなが声を上げて、持ち場に散っていった。
ヴォルフガングさんはニコニコと微笑みながら佇んでいる。
「……戻らないんですか?」
「午後は講義がないからね。
私が図書館の中で見張っておいてあげよう」
なんで厳重ガード?!
私は謎の疲労感を感じつつ、カウンターへと向かった。
****
私は読破した魔力鍛錬法を思い出しながら、自分の魔力を図書館中に張り巡らせた。
……魔力を遠くに伸ばすのも、思ったより簡単なんだな。
ディララさんは『普通は頑張っても数十メートル』って前に言ってたけど、まだまだ私には余裕がある。
これなら百メートル以上は伸ばせそうな気がする。
「こらこら、図書館の中で警戒魔術を使うのは止めなさい」
ヴォルフガングさん?
声に振り向くと、ヴォルフガングさんが優しく微笑んでカウンターの前に居た。
「あのー、これって魔術なんですか?」
「そうだよ? 一番シンプルな警戒魔術の一つだ。
魔力の網を張り巡らせ、網に引っかかった物の情報を得る。
――自分の魔力を遮られれば、それがわかるだろう?」
ああ、そういうことか。確かにそれなら警戒網にできる。
「じゃあ『とんち』みたいな話ですけど、網じゃなければセーフですかね?」
「そうだね、魔力を数本伸ばすくらいなら、警戒魔術とはみなされないね」
いったん魔力を全部身体に戻して、今度は一本だけを図書館の反対側の壁に届かせた。
……簡単すぎて、鍛錬にならないな。
魔力を細く引き伸ばす鍛錬法もあったっけ。
今度は絹糸より細い魔力の糸を、同じように図書館の反対側の壁に貼り付けた。
……これで鍛錬になるのぉ~?
私はヴォルフガングさんを見て告げる。
「ねぇヴォルフガングさん、魔導書にある鍛錬法じゃ、鍛錬できてる気がしないんですけど」
「ハハハ! ヴィルマは既に、そんなステージに居ないからね!
それほど魔力を制御できる人間は、そもそもそんな鍛錬を遥かに通り越している。やる必要がないね」
「やっぱりそうか~」
私はがっくりと肩を落として、浮遊型移動書架台に入った魔導書を所定位置に戻していった。
****
私は読む本が無くなり、ぼんやりとカウンターの中で佇んでいた。
……平和だなぁ。生徒が誰も来ない。
アルフレッド殿下が告知するだろうって話、ホントなのかもなぁ。
……暇、だなぁ。
あれほど憧れた『大量の魔導書に囲まれる生活』だというのに、どうして読もうと思えないんだろう?
私は司書で、魔導士じゃないから?
うーん、半分当たりで、半分間違ってるような気がする。
そもそも、どうしてそんな生活に憧れてたんだっけ?
初心忘るべからず――最初に魔導書を好きになった『きっかけ』って、なんだったっけ。
思いだそうとすると、ふわりと魔導書の匂いが鼻をくすぐった気がした。
それと共にお父さんの笑顔が思い出されて――ああ、そうか。お父さんと過ごした幼い日々。あの日の象徴に魔導書があったんだ。
魔導書を読んでると、お父さんが傍に居てくれるような気がして、お父さんみたいな司書になりたくて。
六年前に居なくなっちゃった、お父さんとお母さん。長いようでいて、六年は短い。
まだ私は、両親が居なくなった傷から立ち直れてないのかな?
だからお父さんとの繋がりである魔導書や、司書という仕事に拘るんだろうか。
……お父さんは、なんだかすごい魔導士だったみたい。そんなそぶり、全然見せなかったんだけどね。
そんなお父さんみたいな司書になるなら、魔導書はもっといっぱい読まないといけないのかな。
そんなことをいろいろ考えていたら、閉館直前を知らせるベルが鳴った。
……結局、午後は生徒が一人も来なかったな。
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