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4巻
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しおりを挟む《百三十六日目》
早朝、骸骨百足達に乗った遠征組一行が《クーデルン大森林》の拠点から出発した。
今回外に出る総数六十六名には昨夜、以前からレプラコーン達に作らせていた外套――個人の好みに合わせてタイプは様々。ちなみに俺とカナ美ちゃんはポンチョ型を愛用――を配給している。そんな訳で、皆真新しいそれを装備した凛々しい姿で居残り組のメンバーに見送られる事となった。
外套の背面には傭兵団《戦に備えよ》の紋章、右肩には所属部隊の特徴を示した部隊章、そして左胸には個々の階級章が、金糸によって刺繍されている。
外套の生地は、高い耐久力を誇るミノタウロスなどのモンスターが落とすアイテムの一種で、防刃・防魔・防寒・防熱効果、更に防水性にも優れている。ドロップ率が低く、レア素材として有名だが、ミノ吉くん達が大量にボスミノタウロス狩りをしてくれたので十分確保できていた。これをメインに、タートルスネークの甲羅の粉末やクリスタルクロコダイルの鰐皮など、様々なモンスター素材を特殊な技法で一つにした逸品だ。
素の状態でもそこら辺の防具より優れているのだが、追加で俺が二つほど能力をエンチャントしている。
今後はコレを量産して、傭兵団の正式装備とする予定である。
さて、話を遠征に戻す。
今回で骸骨百足による森外遠征は二回目となるのだが、拠点から森の外に最短距離で出られる獣道のようなルートが、既に幾つかできていたりする。
これは前回の道中で、スライム状になって骸骨百足をコーティングしていた俺の分体が、アビリティを使って地形を変化させた為だ。
つまり一回目の時ほどは時間を浪費せずに進める訳だ。当然、拠点の場所を割り出されないようにカムフラージュも施している。
道幅が骸骨百足一体分しかないので、遠征組は森を出るまではぞろぞろと列を成し、無事森の外に出た後、それぞれの目的地へと向かって行った。
今回のグループは以下の通り。
一つ目は俺、アポ朗率いるシュテルンベルト王国の王都《オウスヴェル》に向かうグループ。
メンバーはカナ美ちゃんや赤髪ショート、風鬼さん達やセイ治くんなどの総数二十四名。使用している骸骨百足は四台。
二つ目はミノ吉くん率いる、迷宮都市にて修業と物資調達などを行うグループ。
メンバーはアス江ちゃん、それに鬼若やボス猿などの総数二十名。骸骨百足は三台。
最後は傭兵団内でよく働いた報酬として、王国や帝国領内に残してきた家族を迎えに行くグループ。
前回はミノ吉くんのグループに配属していた人間のマグルなど、報酬を受け取る者とその護衛役を含め総数二十二名。骸骨百足は三台。
それぞれにそれぞれの問題があるが、まあ、許容できないような失態はおかさないだろう。
と、思いたい。いや、思う事にしよう。
うだうだと悩んでも意味が無いので、気持ちを切り替えよう。
さて、王都に向かう俺達は、今日一日は出来る限り走り続けて、行ける所まで行く事にした。
骸骨百足は搭乗者に殆ど揺れを感じさせないので、道中は武器の整備や簡単な勉強会などを行い、移動時間も有効に活用。
そして夕暮れ前には森を抜けた先にある広大な草原と丘陵地帯を踏破し、大鷲型モンスターのファレーズエーグルが生息している山道さえも越えて、街道に至った。
前回は初めて遭遇するモンスターを見つけては狩りをしていたので、かなりの時間を要したが、それ等を無視すれば一日でこれだけ進める、とわかった。
疲労する事がなく、普通の馬車よりも速度を出せる骸骨百足は、やはり移動手段として優秀だ。それに形を弄れば原始的ながら戦車にも成るし、色々使い道は多い。多大な可能性を秘めた骸骨百足の今後の運用について思考を巡らせつつ、街道近くの平野にて野営する事になった。
組み替えればテント代わりにもなる骸骨百足。やはり便利である。
その夜。昼間あまり訓練できなかった分、夜の訓練は二時間かけてかなりハードにしてみた。
今回は雷竜人のラムラさん達を中心に鍛えていこうと思っているので、彼女達の負傷が特に激しい。
幸い治癒能力に特化したセイ治くんが、大怪我をしても即座に治してくれるので安心だ。
それから、やや手加減するカナ美ちゃんと本気で挑む赤髪ショートが剣戟を交える姿は、月光に照らされてそれはもう綺麗だった。
いやはや、カナ美ちゃんも赤髪ショートも良い動きをするようになったもんだ。
本日の能力合成結果。
【弧月閃】+【飛翔斬】=【弧月飛翔閃】
《百三十七日目》
今日も骸骨百足に乗って街道を進み、朝の十時頃には防衛都市《トリエント》に到着した。
そのまま通り過ぎてもよかったが、ついでなのでファルメール商会《トリエント》支部に顔を出してギャンブル大好き副店長と会談。更にそのついでにモンスター素材の売買や相場の調査を行い、一時間足らずで都市を出立。
その後はしばらく街道をゆるゆると進みながら、近くにいたビッグコッコなどの雑魚モンスターを狩って昼食にした。
巨大な鶏と言うべきビッグコッコの肉は生でもさっぱりとして美味しいが、焼くとさっぱり感を残しつつ肉汁が溢れ出て、噛めば噛むほど白米が欲しくなる食材になる。
焼き鳥が絶品です。今回はタレが無いので、塩のみなのがちょっと残念ではあったが。
それから赤髪ショートによれば、ビッグコッコは毎朝早くに二、三個大きな卵を産むらしく、ビッグコッコを支配するだけの能力がある者にとっては良い家畜になるのだとか。今回は荷台にも余裕があるので、四羽ほど《使い魔》にして連れていく事にした。
明日の朝が楽しみである。
玉子焼きにして食べようか、それとも目玉焼きにしてやろうか、それともそれとも……と明日が待ち遠しい。
そうして和気藹々と昼食を喰っていたら、俺達は武装した男達に絡まれた。
絡んできたのは、まず傷が一切ない無駄にキラキラでテカテカに装飾された、観賞用だろう武具を装備した肥満体型の青年が二人。それに聖布と銀糸で編まれたローブと宝石魔杖装備の病的にやせ細った少年。そしてガッチリとした体格で、多少は実戦向きではあるがやはり無駄な装飾のある騎士風装備の青年、という四人を筆頭とした総数三十四の集団だ。
明らかに貴族らしきこの四人以外の装備はどれも実戦用であり、長年使い込まれているのがよく分かる品もあれば、新品同然な品もある。
チンピラも交じっているようだが、魔槍を手にする長い髭を蓄えた老人や、ぶ厚い筋肉の鎧と大剣型マジックアイテムを装備した中年男性など数名はそれなりの使い手なようで、身体からは大量の血の臭いが嗅ぎとれた。
少なくとも数十人は殺しているに違いない。
多少は喰いがいのありそうな者達を見つけて食欲が刺激されたが、分体を寄生させればいい手駒になりそうだ。それに値する輩を静かに分類。また情報が欲しかったので、しばらく様子を見る事にした。
さて絡まれた理由だが、どうやらカナ美ちゃんとラムラさんという、傭兵団《戦に備えよ》が誇る美人六傑の内の二人が、貴族四人の感性を刺激してしまったらしい。
貴族四人は、貴族の子息がコネ造りの場として活用している《貴剣の鍛錬場》と呼ばれる組織の会員だそうだ。モンスターハンティングに出掛ける為、それぞれお抱えの私兵を引き連れて行動する事が多いのだとか。
彼等は色々と語っていたが、要約すると『女どもをコチラに寄こせ』となる。
その〝女ども〟には、赤髪ショートや風鬼さんなども含まれていた。
貴族四人の目的はカナ美ちゃんとラムラさんの二名ではあるが、他は配下にでも宛がうつもりなのだろうか。
凄く典型的なダメ貴族です、本当に鬱陶しい。
貴族ならこの世界なりに高水準の教育を受けているはずだろうに、何故こうなってしまうのか。
……などとため息まじりで呆れている間に、男達はコチラを包囲して逃がさないようにしていた。動きに淀みが無いし、なんら気負いもない。明らかに手慣れていて、どうやら今までも色々とやってきたらしい。
包囲を終えた後はそれぞれの武器に手を添えながら、嗜虐心に染まった下卑た笑みを浮かべている。
アチラさんの装備は一応末端員まで、金を注ぎ込んで揃えたのだろうマジックアイテムで構成されていた。普通の亜人種や人間の集団だったら、確かにとり囲まれてしまえば抗い難いに違いない。
そんな数の利と地の利に加え、そもそもこの世界の貴族は一般人よりも強くなりやすいらしく、同じ【職業】持ちで同じレベルだろうとも、基本的に農民と貴族が競えば貴族が勝る。
これが、脈々と受け継がれた【血統】の力である。
貴族四人を観察したところ、痩せた少年はまず間違いなく【魔法使い】系の【職業】を持っているみたいだ。四人の中でもリーダー格な騎士風装備の青年は、見た目通りに【騎士】系の職業持ちに違いない。装備は無駄に派手だが、そこそこ戦えるだけの実力はありそうだった。
残る肥満体型の二人は、まあ、雑兵とかが似合いそうだが、装備品はそれなりに高価なマジックアイテムなので、部隊長とかくらいが適当か。
……さて、どうするか。撃退するという選択肢は絶対として、他の団員に殺らせるか、俺が単鬼で殺るか。
と思っていると、痺れを切らしたアチラさんが先に手を出してきた。肥満体型の片割れが手下に顎で指示し、それに従った下っ端が俺の隣に居たカナ美ちゃんに手を伸ばし、その肩に指先が触れて――
次の瞬間には、肩に触れた下っ端の頭部が天高く舞い上がっていた。
一瞬で切り裂かれた頸の断面から勢いよく鮮血が噴き出し、やがて重力に引かれて落下。赤い雨となって俺とカナ美ちゃんの全身を濡らした。
……血でトッピングされたビッグコッコの焼き鳥は、ちょっと微妙な味だった。
いや、美味しいのは美味しいのだが、下っ端の血が不味いので大きな減点対象となっている。その血はドロドロとしており、色々と不健康な生活をしていたに違いないと連想させる。
死んだ後も他人を不快にさせるとは、なんて奴だ。
さて、最初の犠牲者が出た後は、もうカナ美ちゃんが暴れに暴れてくれた。もう止めたげて、と思うくらいに酷い有り様である。
憤怒を通り越した感情、とでも言うのだろうか。カナ美ちゃんが高速で移動しながら振るうクレイモアは人体を紙のように切り裂き、殴打で人肉を爆散させ、虚空から発生した氷の茨が骨肉を凍らせる――量産されていく肉片と血の海と、屍の山。
そして反撃に転じた僅かな古強者は、しかし〝魔眼封じの眼鏡〟を外した【吸血貴族・亜種】であるカナ美ちゃんの【魅了の魔眼】の前に屈していく。
怒り状態の魔眼は強力すぎて、抵抗できた者は殆どいない。一応抵抗できた二名も、カナ美ちゃんと魔眼の虜達による圧倒的な物量攻勢で押し潰されました。
ほとんどイジメだった。戦いなどではなく、虐殺レベルだった。
一応惜しい人材も居たので、最後はカナ美ちゃんを背後から抱き締めて強制的に止めた。こうでもしないと止まってくれないカナ美ちゃんには困ったものだが、まあコレも個性なのだから仕方ない。
それで、四肢の一部を引き千切られて悶絶している四人に加え、俺が分類していた生存者達を一ヶ所に集めて治療を施すと同時に、分体を寄生させる。
経験則から言って、貴族は総じて一般人よりも美味い。そして目の前には四人の貴族。まだまだ年若いが、何か得られるモノがあるかもしれない。
だが、俺は今ここで四人を喰う事は止めた。
喰わずに帰還させた方が、色々と利益が出ると判断したからだ。
既に〝草〟として帰還させた貴族の奴隷達が情報を集めているが、情報源は多い方が何かと便利だし、《貴剣の鍛錬場》についての情報――たとえば、殺してもいいような悪徳貴族の外出予定など――も手に入るかもしれない。それに四人の家の財産などを考えると、今喰うのは勿体ない。
という事で、分体を寄生させて俺の奴隷となった四人に笑いかけると、彼等の顔色は真っ青を通り越して白くなり、気絶してしまった。
何故だ。……もしかしたら死体を目の前で喰ったのが悪かったのだろうか。
とりあえず生存者全員に分体を寄生させた後、その辺に放置して、俺達は旅路を進んで行く。今連れていくのは、面倒である。
いつか手駒か、あるいは食料とするその時まで――いや、もう出会わないかもしれないな。
《百三十八日目》
貴族とのイザコザの後は特に何も無く、俺達はサクサクと進んで昨日の夕方には《シーリスカ森林》を抜けた先にある《メイスン村》にまで辿り着いた。
そのまま止まらずに進んでも良かったが、カナ美ちゃんや赤髪ショートを筆頭とした女性陣の強い要望によって一泊する事となった。
ここの温泉の効能には美肌や若返りなど女性にとって嬉しいものが多い。この寄り道は予想通りではあったし、時間もあるので何ら問題はない。
ただ、泊まるのを支持した男性陣全員が今朝、木に縄で吊るされた状態で発見されたのだが、その理由はあえて追及しない。
個人的にも、拠点とはまた違った効能の温泉が湧くメイスン村で過ごすのは、リフレッシュできて気持ちが良いモンだった。それに、温泉を目当てにしてやってくる客に対する姿勢など、色々と参考になる。
半分趣味で始めた拠点の《温泉施設》でも取り入れたいモノがあったり、こんなモノがあればいいのではないか? と考えついたりする事もチラホラとあった。
そうだな、まずは和風の作業服をレプラコーン達に作ってもらう事にしようか。
普段通り朝早くに目覚め、大きな温泉玉子――ビックコッコの卵を使用――を皆で食べた後に軽い訓練をし、疲れて汗ばんだ身体を清める為に温泉に入った。
幾つかある温泉を楽しみながら巡った後、湯冷ましにと、単身でフラリとメイスン村のもう一つの観光名物である大きな滝に赴いた。
村からしばらく歩いた先にあるこの滝では、以前と変わらず大量の水飛沫が上がっている。そのおかげで周囲の温度はかなり低く、火照った体を冷ますのには丁度いい。
そして深く清涼な水で満たされた滝壺からは、やはり相変わらず巨大で強力な生物――ここ等一帯の守り神とされている竜種――の気配が感知できた。
前回来た時の大鬼の状態では勝てなかったかもしれないが、使徒鬼となった現在の俺なら十分可能性はありそうだ。
が、俺はメイスン村が気に入っている。
温泉は気持ちいいし、住民の気質や接待にも満足できる。
しかしもしこの竜種と戦う事にでもなれば、余波だけで間違いなくメイスン村は滅んでしまうだろう。手加減して勝てるような相手ではなさそうなので、どちらが勝つにしろ、この辺りの地形は大きく変わると思われる。
もちろん生きた竜種を喰ってみたくは、ある。
しかしココはグッと我慢して、喰っても問題ない竜種と出会える機会を待つ事にした。迷宮に潜るのが手っ取り早いに違いないので、やはり迷宮には一度挑戦する必要性がありそうだ。
そう考え、滝に背を向けてメイスン村に戻っている最中、滝壺の奥からコチラを窺う強大な気配がしたが、無視して真っ直ぐ帰った。
その後昼前にメイスン村を出立し、夕方にはオーロとアルジェントが生まれた《クラスター山脈》を越えて迷宮都市《パーガトリ》にまで至る事ができた。
とりあえず今日はここで一泊し、明日には到着する王都《オウスヴェル》に備える。
《百三十九日目》
早朝に迷宮都市《パーガトリ》を出立した後、俺達は無事、昼前に王都《オウスヴェル》に到着した。
以前来た時と変わらぬ活気に、道を埋め尽くすような人ごみ。敷き詰められた石畳、行き交う馬車、煉瓦造りの家屋。大通りに立ち並ぶ様々な店舗、多数の屋台、飛び交う声、手から手へ流れる金銭と品々。
そして俺達に集中する無数の視線、畏怖や好奇の感情。俺達を警戒しつつ人ごみに紛れた冒険者達、陰からコチラを観察し監視する王国や他国の密偵衆。
繁栄の輝きを放ちつつ、それでいてどす黒い感情の渦巻く王都は健在のようである。こんな短期間で変わったら、そっちの方が異常だけども。
そんな風に俺達は、むしろ以前よりも注目されながら王城の一区画にある《琥珀宮》の門前にやって来た。
そこでは騎士の少年と女性ばかりの衛兵達を従えた、年相応の屈託のない笑みを浮かべるお転婆姫が待ち構えていた。
〝名鉄〟を介して事前に連絡を入れたとはいえ、普通お姫様が客の出迎えをするものではないと思うが、お転婆姫なら常識が通用しないのも仕方ないと思ってしまう辺り、俺は相当毒されているらしい。
まず簡単な再会の挨拶を交わした後、お転婆姫が『よじ登る故、お主は動くでないぞ。そうじゃな、しばしの間大樹のようになってたもれ』といった感じの事を言い、俺の身体を足下からよじ登っていった。服装も予め動きやすいものを着ていたりと、準備万端である。
やれやれ、と呆れつつも、俺はふと前世で姪っ子が遊びに来た時の事を思い出して、振り払わずに時折ずり落ちそうになるお転婆姫をさり気無く補助してやる。やがて俺の肩に無事到達したお転婆姫は、『ドヤァ』と表現するのが適切な表情で周囲を見下ろした。
満足しただろうから今度こそ下ろそうと思ったが、お転婆姫が拒絶したので断念。そのままお転婆姫を肩車した状態で琥珀宮に足を踏み入れた。
王宮として不変の気品を纏う琥珀宮に、初めて入るメンバーは放心――とくにセイ治くんのリアクションが大きかった。開いた口が塞がらないとは正にこの事か――していたが、活を入れ、作業に取り掛かる。
骸骨百足から荷物を下ろして、しばらく宿泊する事になる部屋に搬入したり、誰がどの部屋で寝泊まりするかなどを決めた後、お転婆姫に向けて簡単に団員を紹介する事に。
お転婆姫が一番驚いたのは、オーロとアルジェントを紹介した時だった。
二人の身体が種族の特性によって、生まれて三十日足らずにもかかわらず、かなり大きくなっていたからだ。
生まれたばかりの二人を腕に抱いた事もあるお転婆姫は、人間では考えられない早さで成長した二人に、驚きを隠せない様子だ。
ちなみにニコラはまだ赤ん坊だから錬金術師さんに預けてきていて、鬼若はミノ吉くんに懐いているのでアッチに付いていった。
普段は周囲を驚かす側のお転婆姫が逆に驚かされている様に、騎士の少年や他の近衛達は何処か穏やかな笑みを浮かべている。
夕食はお転婆姫の奢りで、豪勢な宴会が開かれた。
俺がまだ飲んだ事のない様々な種類の酒が大量に振舞われる。エルフ酒には及ばないものの、かなり上等な部類の酒ばかりだったので大満足である。
流石王族と思いつつ、中でもやはり迷宮産の物が格別に美味かったので、今度一鬼で酒と竜を求めて迷宮に潜ろうと心に決めた。
幸い王都の近くにある迷宮都市《パーガトリ》まで、空路ならば一時間とかからない。
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