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外伝
外伝-1
しおりを挟む見解の相違とは自覚し難いモノである
〈赤髪ショートの転換点〉
《時間軸:二十七日とそれより数日前》
簡単な、ありふれた依頼の一つになるはずだった。
しかし、実際には私達ではどうする事もできない障害が立ちはだかっていたが故に、このクエストは失敗してしまったのである。
そして、ここが運命の分かれ道だったのだと、私は後になって知る事になる。
◆◆◆
今回のクエストの内容は《星神亭》という中小規模の行商人の一団を、防衛都市《トリエント》まで送り届けるという、冒険者の定番と言ってもいいモノだ。
とはいえ、本来私のような駆け出し冒険者では受注できないランクのクエストだった。しかし冒険者組合《弱者の剣》のクランマスターが、何事も経験だ、とそのクエストに同行できるよう特別に取り計らってくれたのだ。
その為通常なら多くても十名程度の人数で行われるところを、私達駆け出し冒険者が十八名、引率役として中堅冒険者の先輩方が六名と、計二十四名ものメンバーが参加する事になった。
人数が人数なので収入は〝弧雀〟の涙ほどしかないけど、経験を積む為だと思えば我慢できる。
最初は良かった。
そもそも今回進む街道は、国から総合統括機関に定期的なモンスター討伐依頼が出されている区画であり、最近もモンスターが掃討されたばかりだったからだ。
駆け出し冒険者達が経験値稼ぎとして狩るような、〝ビッグコッコ〟と呼ばれる七〇センチほどの鳥型モンスターの群れが二、三回出てきただけで、ほとんど危険と呼べる危険はなかった。
だから私と同じく初めて護衛クエストを行う仲間も、皆そこまで緊張しておらず、暇な時間も多かったので必然的に話も弾んだ。
女の冒険者は私だけだったけど、皆気さくなヒトばかりで気楽だったし、先輩達の話は今後の為になる情報に溢れていた。
それに護衛対象である《星神亭》に四人の女性が居た事も、私にとって大きかった。
【鍛冶師】であるエメリーからは、試作品だと言う指輪やネックレスを格安で売ってもらえたし、【料理人】の姉妹であるフェリシアとアルマからは、お菓子を分けてもらえた。【錬金術師】であり年上で寡黙なスピネルさんも、話してみると優しく、体力回復薬を一本譲ってもらえた(新しいレシピの試作品なので、市販されているモノよりも少々効果は落ちるらしいが)。
体力回復薬を譲ってもらえたのは、非常に大きな意味を持つ。
コレ一つで私の命が救われる事になる、かもしれないのだ。冒険者の必須アイテムの一つである体力回復薬は、駆け出し冒険者にはなかなか手が届かない高価なものだ。
だから、これは何よりありがたかった。
そんな思いがけない収穫があったりしたせいで、私が油断していたのは間違いない。
今回も滞りなくクエストを終え、皆で酒場で飲む。そんな風になるだろうと、この時の私は楽観的に思っていたのだ。
しかし、そうはならなかった。
唐突に飛来したいくつもの矢が、先輩方の身体に突き刺さる――それが始まりだった。
慌てて治療を試みたモノの、どうやら矢には即効性の毒が塗られていたらしく、先輩達は泡を吹きながら死んでしまった。
私とてヒトが死ぬところを初めて見た訳ではなかったけれど、それでも慣れている、とまではいかない。先輩達の死体に思わず自分を重ねてしまい、そのせいで思考が停止しかけた。
しかし忘我している暇など、私達には無かった。
何故なら近くの林から、奇声と共に大量のモンスターが飛び出して来たからだ。
◆◆◆
「――ッツアアアアア!!」
気合いの咆哮を上げながら、高名な現役冒険者である伯父から餞別として貰った唯一の品――鋼鉄製の愛剣を横一閃。
それと共に、
[ルベリア・ウォールラインは戦技【斬撃】を繰り出した]
伯父から教え込まれて体得した、【職業・戦士】ならば誰でも使えるような、基礎とも言える戦技を上乗せする。
愛剣の刀身に赤く淡い光と、必殺の意思が籠る。
目の前の敵――緑色の肌に尖った耳と醜悪な面が特徴的な、通称〝山賊ゴブリン〟の頸部を斬り断たんと放ったその一閃は、しかし、斜めに傾けられた敵のショートソードで軌道を変えられた。
鉄と鉄が衝突する耳障りで甲高い音が響き、火花が散る。刃毀れが目立つ敵のショートソードの表面を、私の愛剣が削っていく。その衝撃に私の手はビリビリと痺れ、舌打ちが漏れる。
痺れにより愛剣を握る力が少しだけ弱まるが、大丈夫、問題はない。まだ戦える。
だが、どうやら目の前のバンディットゴブリンはそうでないらしい。今の一撃の衝撃による痺れのせいだろうか、その手はショートソードを失っている。
戦闘職に関して、私は〝10〟と低レベルな【職業・戦士】しか持っていない。それなのにこれだけの力の差があったのは、恐らく職業レベル〝48〟まで鍛えられた【職業・農婦】がもたらしてくれた筋力・耐久補正によるものに違いない。
冒険者になる一ヶ月前まで毎日行っていた農作業によって、私の腕は逞しく、手の皮は硬く頑丈になっていた。だから私は愛剣を落とす事なく、反撃に移れたのだろう。
一瞬だけ【農婦】として働いていた日々を思い返すが、今は過去を振り返っている時ではない。
手首を返し、今度は袈裟懸けに愛剣を振り下ろす。今度こそ斬り伏せる、と信じながら。
しかし今回もギリギリのところで、バンディットゴブリンが掲げたラウンドシールドに阻まれてしまった。ラウンドシールドを小破させる事は出来たが、致命傷を負わす事が出来ない。
敵も必死だ。
だが、バンディットゴブリンの体勢はすっかり崩れている。
ヨタヨタとバンディットゴブリンが後退する隙を逃がす事なく、ハイドアーマーに覆われていない大腿部を狙って、再び斬撃を繰り出した。
「――ッシ!!」
[ルベリア・ウォールラインは戦技【斬撃】を繰り出した]
戦技により切れ味が上昇した刃が容易く肉を切り裂く。硬い骨に当たって勢いをやや殺されつつも、足を斬り飛ばす事に成功した。
その傷口から噴き出す鮮血が、周囲を濡らす。斬られた足を必死で押さえながら激痛で呻くバンディットゴブリン。私は止めを刺すべくショートソードを上段に掲げ、重心移動や全身のバネを活かして渾身の一撃を脳天に叩き込む。
今度は防がれる事も無かった。ザグシャ、と肉が切れて骨が潰れる感触が全身に伝わる。飛び散る脳漿と鮮血が私の革鎧を汚した。
洗濯しなければ、と意識の片隅で思った瞬間、
「ルべリアッ!! 後ろを殴れッ」
最近仲が良くなっていた同年代の男性――チャールズに声を掛けられて、考える間も無く背後を振り返る。同時に、左手に装備していたラウンドシールドを前方に突き出した。
[ルベリア・ウォールラインは戦技【盾打】を繰り出した]
背後に回って不意打ちしようとしていたバンディットゴブリンの顔面に、赤く淡い光に包まれたラウンドシールドが衝突した。
チャールズの声に反応して咄嗟に出した攻撃だったので、それが決まった事に私自身も驚いてしまう。
戦技によって本来以上の硬度を獲得したラウンドシールド越しに、グシャリと鼻が折れて顔が潰れる生々しい感触が伝わる。
鼻血を噴き出しながら、バンディットゴブリンの身体が大きく仰け反った。
【盾打】の効果の一つ、【仰け反り】だ。
その隙を逃さず、ショートソードで首を斬り落としにいく。戦技は体力と精神力を消費する為、今回は使用しない。また、使っても過剰殺害になるだけで、隙が生まれてしまうだろう。
そして私の斬撃は、体勢を崩していたバンディットゴブリンの首を楽々と斬り裂いた。
動脈から勢いよく鮮血が噴出する。肉を斬る手応えと、骨を断つ時にやや刃が欠けた感触が手に残る。
また研ぎに出さないと、などと無意識に考えていると、新たに視界の隅に私を狙う敵の姿が映る。敵は既に棘付きの棍棒を振りかぶった状態で、体勢的にラウンドシールドでの防御も、ショートソードでの迎撃も間に合いそうにない。
そう判断した私は咄嗟にバックステップを刻んだ。
「ク――ッ!」
ブウン、と風切り音を響かせながら振り抜かれた棍棒が私の前髪を揺らしたが、それだけだ。私はダメージを受ける事なく、距離をとる事に成功した。
しかし、それこそが敵の狙いだったらしい。
「グギャキャキャキャキャ」
「な、バンディットホブゴブリンが何でココに――ッッ!!」
背後の死角で息を潜めていた強敵――バンディットホブゴブリンが、奇声を上げながら襲ってきたのだ。
ゴブリンの上位種であるホブゴブリンは、人間の一般男性の平均値をやや超える程度の身体能力を持つ。駆け出し冒険者がまず乗り越えなければならない相手として有名だ。
私も以前伯父が捕まえてきたホブゴブリンと闘った事があるのだが、弱っていたにもかかわらず、一対一では殺すのにてこずった厄介な相手である。ゴブリンのように闇雲に突っ込んでくるのなら対処は簡単だが、ホブゴブリンはゴブリンよりも知恵が回る分強いのだ。
そして今回は、状況も相手も悪い。
普通のゴブリンよりも知能がやや高くて厄介なバンディットゴブリンを従えている事から考えて、この個体はバンディットゴブリンの群れの中の一匹が【存在進化】した個体に違いない。そして伯父によると【存在進化】を経験している個体は、生まれた時から上位種だったモノより優れた身体能力と技能を有している場合が殆どらしい。
確かにその理屈には納得できる。
生物を多く殺し、レベルを上げて成り上がったモノが、最初から『持って生まれた者』に劣るはずがないからだ。努力は、人間もモンスターも等しく強くするのである。
そんな強敵たるバンディットホブゴブリンの拳が私に向けて繰り出されるが、咄嗟に構えたラウンドシールドで防御する事に成功。
しかし戦技を使う暇が無かったせいか、ラウンドシールドは嫌な音を響かせる。巨大な何かが衝突してきたような感覚に襲われた直後、私の身体は後方に飛んでいた。
一瞬、何が起きたのかと混乱する。しかし重力に引かれて地面を勢い良く転がった時に、ようやく理解できた。
簡単な話だ。今の攻撃は、私程度の力では耐える事ができないほど、強力なモノだったというだけだ。
ラウンドシールドは殴られた部分が陥没してしまったし、左腕も折れてはいないまでも、痛みでしばらくの間は満足に動かせそうにない。それに転がった時に頭部を石か何かで強かに打ちつけたのだろう、痛みと流血で、意識が朦朧としてくる。
頭から派手に溢れた血が目に入って、視界を赤く染めた。
このまま倒れて休みたい――そんな思いが湧き上がる。しかし、もしそうすればどうなるか分かっているだけに、その選択肢はあり得ない。
血が出るほど歯を食い縛り、痛みでギシギシと軋む身体に鞭を打ち、地面に突き刺した愛剣を支えに何とか起き上がる。足はガクガクと小刻みに震えて頼りなく、片側が赤く染まった視界が揺れるが、それでも立つ。
目の前のバンディットホブゴブリンは、そんな私に即座に攻撃を仕掛けてはこなかった。人間と似た顔立ち――ただし不細工で、今まで見たホブゴブリンの中で最も醜悪だ――に人間と変わらない知性を帯びた瞳で私を見据え、下卑た笑みを浮かべている。
外見や体色などを差し引けば、下賎な人間の男と変わりない。盛り上がった股間がその唾棄すべき思考を如実に表している。
精神的なモノと、腹部の痛みから来る吐き気を抑え、助けを求めて周囲に視線を走らせる。
確かにバンディットホブゴブリンは強い。だが、たとえ駆け出し冒険者でも数の利で押し潰せないほどの相手ではない。三人も居れば、簡単に殺す事ができる。三人と言わず、二人居れば何とか倒せるに違いない。
誰か、誰か。血で視界が滲む左目を擦りながら、必死で周囲を見渡した。
しかし、皆それどころではないらしい。
このクエストの要にして司令塔だった先輩方が一番最初に殺された事で、皆の意思がバラバラになってしまったからだ。駆け出しばかりであるが故に、この危機的状況下でどうすればいいのか誰も分からなかったのである。
こんな時こそ一致団結しなければならないというのに、集まって反撃しようとしている者も居れば、逃げようとして後ろから斬られている者も居るし、飛来した火の玉で燃やされ――って、メイジも居るのかッ!!
バンディットホブゴブリンに加え、【魔術】という強力な攻撃手段を行使してくるメイジが居る事を知り、私は視界が暗くなるような錯覚に襲われた。
メイジからすれば、駆け出し冒険者などただの虐殺対象に過ぎない。
そりゃ、弓などで遠距離攻撃が出来れば何とか戦える。もしかすれば殺せる場合もあるだろう。しかし私のような剣しか持たない戦士では、間合いに入る前に魔術で殺される事が殆どだ。
力量に差があれば殺すのは容易い、と伯父は言っていたものの、今の私には無理な話である。
私は冒険者である伯父の手解きがあったからこそバンディットゴブリン相手にも何とか戦えたが、この戦況を覆せる力量はない。
私よりも力量がやや上なチャールズも、バンディットゴブリン二匹を同時に相手取っているので、私を助ける余裕はないだろう。むしろ、助けに入るべき状況である。チャールズの全身は傷だらけで、呼吸は乱れていた。そう長くは戦えないだろう。
戦況は最悪だ。
でも、諦めたくない。諦めれば、その後どうなるかは冒険者なら誰もが知っている。
男ならほとんどの場合殺されて終わりだ。
だけど女であった場合、捕縛され、連れ去られ、無理やり犯され、子を孕まされ、そして死ぬまで、ゴブリンの子を生み出すだけの存在にされる。家畜のような、存在になるのだ。
それは、嫌だ。絶対に嫌だ。
しばらく前に両親は逝ってしまったし、恋人も居ない。私に生きる術を叩きこんでくれた伯父には悪いけど、私は死ぬ事にあまり忌避感はなくなっていた。
だから、殺されるのならいい。まだ、受け入れられる。
だけど、犯されて家畜のように死んでいくのだけはお断りだ。
「……めて、や……」
腰の雑嚢から、スピネルさんに貰った体力回復薬を取り出す。運良く入れ物が割れていなかったそれを、一気に嚥下する。
口内に広がる、仄かな甘さ。それと同時に身体の節々の痛みが引いた。左腕を問題なく動かせるようになり、疲労感も無くなった。
凄い効果だ。市販の品よりは劣るという話だったけど、今の私にとっては十分過ぎるほどの回復力である。
これで、まだ戦える。
「諦めて、やるもんかッ!!」
咆えて、駆ける。
私達を嘲笑う敵を、一匹でも多く殺す為に。
◆◆◆
だがダメだった。
あの後、なんとか数匹は斬り伏せたものの、チャールズ達を殺して集まってきたバンディットゴブリン共に取り囲まれ、最終的には気絶させられて捕らえられてしまった。今は四肢を縄で拘束され、猿ぐつわを噛まされて住処に運ばれている最中だ。
ゴブリン族の言語は聞きとり難いが、断片的に理解できた会話の内容から、もうすぐ住処に到着するという事は分かった。
最悪だ。
私を倒したバンディットホブゴブリンの、膨らんだ股間が脳裏を過る。下卑た笑みを見せるその顔、下品な笑い声を上げるその口が近づいてくる幻影が見える。
嫌だ、あんなので、あんなのに犯されたくない。嫌だ、嫌だ、嫌だッ、嫌だッッ、嫌だッッッ!!
いくらそう思えど、しかしそれはもはや逃れ得ぬ未来だった。
四肢を縛られて逃げられず、猿ぐつわのせいで舌を噛み切る事もできない。壁に頭を打ちつけて死のうにも、それが許されるとは到底思えないし、できたとしても全てが終わった後だろう。
汚された、後だろう。
運ばれている最中、何度も【運命の神】である《シックザール》様に祈りを捧げた。
この世に、神は確かに実在する。可能性は低いけど、それでも祈りを捧げる事で神々が応えてくれる場合も、無くは無い。
私はまだ一度も応えてもらった事はないけれど、それでも、そんな僅かな希望に懸けるほど、追い詰められているのだ。
しかし状況は変わらない。私は祈るのを止めて、顔を上げた。
守れなかった、守ってあげられなかった、私と同じ境遇にある人達――エメリーに、フェリシア、アルマ、スピネルさん達と目が合った。
その視線のどれもが、私を責めてはいなかった。それが余計に、私の胸を締めつける。
胸が痛む。涙が出る。弱い自分に吐き気がする。戦う術を持たない皆は私を気遣ってくれたのに、戦う術を持っていた私が自分の事ばかりに気を取られている事が、どうしようもなく恥ずかしくなる。
恥じて恥じて恥じて、皆に目で謝った。心から、謝罪した。
弱くてごめんなさい、と。
その後、死んだ父母の顔が浮かんだ。それに、伯父の顔も。
涙が止まる事なく流れ出る。父母には私ももう少しでそっちに行くから、伯父にはただ、ごめんなさい、と思う。涙は、止まる事が無い。
そして、遠くに洞窟が見えた。
ああ、終わった。という思いが胸の中を駆け巡り――
◆◆◆
しかしまだ私の運は尽きていなかったようだ。
涙で滲む視界の中に、何かをしていたゴブリン達――思い返してみれば、戦っていたのかもしれない――と、一人だけ体色が黒いホブゴブリンが現れた。
それを見て、私は目を疑った。それは自分の状況に考えを巡らせる事を一時中断させるほどの、驚愕だった。
黒いホブゴブリンなど、噂にも聞いた事が無かったからだ。
確かに、鉱山などの洞窟には、褐色の肌を持つマインゴブリンも存在する。しかしココは緑色の肌をしたバンディットゴブリン達の住処であり、何よりマインゴブリンの肌はあくまでも褐色である。
あんな、全てを塗り潰す闇のような、濃い黒色ではない。
あの黒いホブゴブリンは、数多い神々のどれか一柱から加護を受けて【亜種】に【存在進化】した個体なのだろうか?
そこまで考えたところで、近づいてきていたその黒いホブゴブリンが口を開いた。
「ソノ女性タチハ、俺ニ預カラセテモラエナイカナ?」
表面はあくまで優しげ、しかし圧倒的強者の威圧を伴った声音が響いた。
彼は――そう、彼は、表現し難き魅力をその身に宿していたのである。
私の運命は彼と出逢うように、決まっていたのかもしれない。私は、私が持っていない〝力〟を持つ彼に、ただただ惹きつけられるばかりで――
ココから、私の激動の運命が始まりを告げた。
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