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第三章 決闘の季節
10. エステル対ジャンヌ1
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『闘技場復旧までのインターバルに前戦の分析と解説を行ったわけですが、いやあ、見所が満載でした』
『ああいう玄人好みといいますか、高度な技術と力のせめぎあいといいますか、初戦からレベルが高過ぎて大興奮でしたねえ』
『あまりにも速くて、リアルタイムではもう何が起きているやらという感じでしたが』
『あれが本当の異能同士の対戦なわけですよ。それぞれ戦闘力を買われて佐官にまでなった騎士ですからね、そりゃあ速いし上手いし強い』
『「炎獣」チャウ少佐の爆発的な強さに対する、「薔薇騎士」ビューレン少佐の超絶技巧という図式でしたが、結果としてチャウ少佐が力押しに押し切って勝利を手にしました』
『見た目以上に、どちらが勝ってもおかしくない戦いでしたよ。フェイレイ・ルース騎士団の代表中、ビューレン少佐が一番基力量が少ないといわれていますから、ここから戦いはもっと派手になっていくでしょうね』
『一試合目を制したエフェソス党ですが、二試合目にはジャンヌ・セルボ-ギャバン大尉が登場します』
『著名な女性騎士ですね。「蒼の女神」の二つ名が定着しつつあります。しばらく前から参戦しているので、名前を聞いている市民の方も多いんじゃないですか?』
『先だってはエフェソス党の歩兵大隊を率いて大勝を収めた指揮官でもありますね』
『兵を率いては名人級、剣を取っては剣聖級、なんて言葉がありますが、それを地で行く騎士ですね。基力もエース級ですからね、「炎獣」のような化け物じみた力はありませんが、バランスが取れたいい騎士ですよ。訓練ではチャウ少佐に勝ったこともあるそうですし』
『大尉は、初戦のビューレン少佐と似たような経歴の持ち主です。オルドレン共和国の首都にある国立大学の工学部を優秀な成績で卒業後、民間企業からのスカウトをすべて断って宇宙軍士官学校に進みます。任官後は宇宙軍陸戦隊に所属し前線勤務を経験後、宇宙軍大学に入っていますね』
『軍大でも相当優秀だったそうですけどね、卒業後しばらくして退役してしまうんです。詳しい事情は公開されていませんが、まあ、色々あったんでしょうな。それからすぐに傭兵団に入り、戦場を点々としています』
『今回はセラール大佐に声を掛けられての参加ということですが、すぐに信頼を得て大隊の指揮を任され、今回の対決にも出場が決まっています』
『同じ女性だからでしょうかね、相手のフェイレイ・ルース騎士団の派遣部隊司令であるドゥ・メルシエ少将を尊敬する人物として挙げています。アンケート見て笑っちゃいましたよ。どこまで本気なのかはわかりませんが。特に続きのコメントは無いんですけど、皮肉なら度胸がありますし、本気ならそれはそれですごいですね』
『モデルのような長身と美貌でも有名、と資料にはあります。それ以上に有名なのが、基力を走らせた体が蒼く発光するところからついた「蒼の女神」という呼称でしょう』
『全身が蒼く光るんですけども、これが本当にきれいなんですよね。幻想的といいますか、ちょっと現実離れしているというか』
『なかなか二つ名に「女神」はつかないと聞きますが、その光の美しさも一つの理由なのでしょうね』
『うーん、まあ美しさのインパクトっていう点では、尊敬するドゥ・メルシエ少将の評判には及びませんけど……とかいうと問題になっちゃうんですかね』
『ちょっと問題ですかね、ルッキズム的に』
『まあ、その点については相手が悪いというか、ねえ。少将はほら、神に愛された美貌だとか、時代を絶する美貌だとかいわれちゃうしさ』
『対するサルディス党、フェイレイ・ルース騎士団の二番手は、「イヴリーヌの死天使」の二つ名でこのところ急激に評価を上げている新星、エステル・ドゥ・プレジール中尉です』
『実戦経験はまだまだ浅いんですけどね、歩兵用の装甲も使わずに装甲車を含む大隊規模のゲリラを一人でぶっ潰したとか、旧式のギアでの宇宙戦で無人機の編隊を一人でぶっ潰したとか、まあ派手な功績を挙げています』
『名前からも分かる通りの貴族出身で、メディア帝国の宮廷貴族イヴリーヌ伯爵家の跡取りです。ご存知の方も多いと思いますが、メディア帝国の貴族子女の基力持ちは、次期皇帝位を目指す熾烈な戦いの中に身を投じるわけですが、騎士団の筆頭副団長を務めるカノン・ドゥ・メルシエ少将がその勝者でした。故あって現在は騎士団に所属している少将ですが、そのライバルの一人として名を挙げたのがドゥ・プレジール中尉です』
『同世代ですね。中尉の方が少し年上ですが。見た目には中尉の方が年下に見えますけどねえ』
『それも危険ですよ』
『おっとっと。まあ、中尉は出場選手中ぶっちぎりの小柄さですし、ウェイトだけでいったら「炎獣」チャウ少佐の三分の一ですよ。セルボ-ギャバン大尉とは違う意味での美貌の持ち主といっていいんじゃないでしょうか。保護欲を誘うというか、はかなさがそそるというか』
『うん、ですから、そういうご自身の観点での美醜に触れるのが問題なんです』
『……げふん、とにかく、皇帝の座を争う貴族同士の戦いの中でも、出色の戦士として名を上げたわけですからね。見た目からは想像もできない力を秘めているといっていいでしょう』
ジャンヌは、対戦相手がカノンでないとわかった時に、失望と安堵が入り混じった溜息を吐いてサイドに笑われている。
「残念だったな、愛する姫君との対戦にならなくて」
いわれたジャンヌは苦笑している。
「残念といいますか、やってれば間違いなく負けていたので良かったといいますか」
負けていただろう。その自覚はある。
別に、憧れの相手だからということではない。
戦歴やここでの戦いを見れば、カノン・ドゥ・メルシエという絢爛豪華な存在は、その戦士としての素養までもが超一流。
「炎獣」でさえ、おそらく相手にならないだろうと当のチャウ少佐本人が認める異材だ。チャウにも易々とは勝ちきれない自分では、無様に負けをさらすだけだ。
……と認識しつつ、やはり憧れの姫君と手合わせしたいという欲求は消せないわけで、複雑な顔にもなろうというものだった。
「どうだろうな。案外勝てるんじゃないか? お前の『特性』は決闘向きだしな」
サイドがいうと、ジャンヌは曖昧な表情になる。
「そういう次元の差じゃない気がするんですよ」
「過大評価がすぎる気がするがね」
「憧れってそういうもんじゃないですか」
「どんだけ好きなんだよ」
サイドが破顔している。
ジャンヌは、珍しい人種である。
過去の遺伝子操作や肉体改造技術の暴走の結果生まれた新人類は、たいてい遺伝子や染色体の異常、遺伝的多様性の欠落などが原因で、絶滅するか、それに近い状態にあるものだが、ジャンヌは絶滅危惧種の人種だ。
大量の栄養と酸素の摂取と引き換えに、基力無しで常人に倍する筋力と反応速度を持ち、そこに基力をかけ合わせて爆発的な力を生み出す体。
それだけでも異能だが、彼女の体には更に特殊な能力が備わっている。
ジャンヌの透き通るような白い肌は、その表皮に特殊なキチン質の構造が組み込まれていて、基力が通ると変質し、異常なレベルで硬化する。
どう異常か。
硬度も靭性も耐熱性も耐酸性も、一般的な金属を相手にしないレベルになる。
例を上げれば、超硬化処理を施した軍用ナイフで、エース級の騎士が最大限の力で斬りかかったとして、ジャンヌの肌には傷一筋もつかない。
衝撃は通るので、骨が折れたり筋肉が傷ついたりはするのだが。
基力が通り硬化が始まると、色素の薄い白い肌に「電紋」「リヒテンベルク図形」「ライトニングフラワーズ」などと呼ばれる分散放電に似た紋様が浮かぶ。
末梢の血管が雷撃などの分散放電で破れて浮かぶ電紋は、当然ながら血の色になるが、ジャンヌの紋様は血液は関係がなく、基力回路の分散や収斂によって起きるので、体細胞の分子群と衝突した基力が発する蒼白い光に彩られる。
エネルギー量のゆらぎで、光は蒼みが強くなったり白みが強くなったりするから、硬化中の彼女は、タイトで繊細な蒼の繊維に包まれながら輝いているように見える。
基力を使って身体の高度を上げる技術はごくごく一般的なのだが、技術ではなく身体的な特性としているのは彼女の人種だけだ。
もとは幽玄な美しさを楽しむための肉体改造だったのだが、硬化特性が極限まで高められた結果、戦士としての抜きん出た有用さが珍重され、遺伝的に出生率が極めて低いにもかかわらず、絶滅せずに細々と血を続けてきた。
「模擬剣殺し」
というあだ名もある。
この蒼く光る肌が、模擬剣の麻痺効果が通らないという特性を持っているからだ。
当たり判定を出して勝敗を決める場合には関係なくなるのだが、無力化するか参ったといわせるかが勝敗条件の今回の決闘のような場合、この特性は恐ろしいほどのアドバンテージになる。
「『イヴリーヌの死天使』はそのカノン・ドゥ・メルシエのライバルともいわれた存在だそうだが、カノンマニアのお前から見たらどうなんだ?」
「一度会話したことがあるだけで親友呼ばわりされるレベルの誤解ですね」
「バッサリだな」
「マスコミはそういうの好きですよね。たかが伯爵家の小娘ごときが、メディア帝国が誇るフォカス家の血の精粋たるカノン・ディアーヌ殿下と同列に語られるなど、言語道断です。羽虫と獅子をライバル扱いしますか? しませんよね?」
「怖えよ」
途端に熱くなったジャンヌにどん引きのサイドだった。
対戦相手に羽虫扱いされているとは知らないエステルは、師匠の一人であるビューレンの敗北後、一人で控室の隅に立ち、アルビノの赤い瞳を閉じて基力を全身に巡らせていた。
確かに、メディア帝国でも最も高貴とされる血族であるフォカス家の御曹司であった父と、「大崩壊」前から続く稀有の旧家から嫁いだ母の間に生まれた「血統の博物館」であるカノンと、宮廷伯として一〇〇年にも満たない歴史しか持たないイヴリーヌ伯爵家の跡取り娘のエステルとでは、血統も身分も隔たりがありすぎる。
が、カノンは既に帝国皇太子の位を捨て、殿下と呼ばれる身分も捨て、フォカスの血筋とは関わりを持たないと宣言すらしている。メルシエ伯爵位を保持しているので、貴族としてはエステルより上位だが、メルシエ伯は領土財産を持たない名誉称号なので、いかに帝室最高権威の称号の一つとはいえ、エステルが領地持ちの宮廷伯であるイヴリーヌ伯爵になれば宮廷序列は逆転する。
そんなことはエステルには本当に、心の底からどうでも良いことだった。
メディア帝国は、現在宇宙で一般的に用いられている「星間運航条約共通歴」二五八年に誕生した。皇女カノンの誕生が共通歴九〇五年だから、その時点で建国からは六四七年経っていることになる。
この長い歴史の中で、例外はあるものの、帝位には継承の基準が定められてきた。
その最も大事な基準は二つ。
ひとつは、帝家の血を継ぐ皇族もしくは貴族であること。一代貴族の騎士ではなく、爵位を持った貴族だ。
もうひとつは、基力を持ち、それを制御できるいわゆる旗士であること。
この二つが満たせないのであれば皇帝になることはできない。
もっとも、例外があると示したのは、一つ目の「帝家の血を継ぐ皇族もしくは貴族であること」を満たさなかった皇帝は一人もいないが、「旗士であること」を満たせなかった皇帝は数名いたからだ。旗士は偶然に生まれるものだから、偶然その世代の帝室や貴族層に旗士があまりにも少なければ、また政治的状況が皇帝不在を許さない状況であれば、「つなぎ」として旗士でない者が帝位に就いたこともある。
が、それがあくまで例外であることは、歴史が証明している。
かつては皇帝の子供が旗士であれば万々歳だった。現在でももちろん、嫡出庶出を問わず皇帝の子供たちが帝位に最も近いことは間違いがないが、歴史を重ねるにつれてその優位性は揺らいでいた。
ある時点から、それまで皇位継承の条件だった「皇帝の嫡流であること」という原則が途切れたからだ。
ここでいう嫡流とは、皇帝の子や孫であることを差す。現皇帝である必要はない。先帝の子でも、その前の皇帝の孫でも構わない。
途切れた理由は単純で、ある時、それら皇帝の直接の血筋が途絶えてしまったからだ。帝国運営のためには皇帝の存在が欠かせない仕組みになっていたメディアは、政治的混乱を避けるため、選択を迫られた。皇帝無しのシステムを再構築するか、新たな血筋から皇帝を迎えるか、あるいは帝位継承の定義を変えるか。
皇族や貴族を名乗る者には、よほどの遺伝型疾病などの事情が無ければ遺伝子改良が認められず、人工子宮による出産や脳を置き換える形での肉体新生なども認められないメディアでは、いずれこのような事態に陥る可能性があることはわかりきっていたはずだ。だがそのルールは定められていなかった。
当時の帝国中枢は、この問題を帝国全土の臣民たちが納得できる形で解決する必要に迫られた。
その当時に定められたルールが、現在のメディア帝国の皇位継承上の制度として受け継がれている。
「帝位が欲しくば戦え」
というルールだ。
直系でなくとも帝家の血を継いでいるものなら、貴族の中にごまんといる。その中で、旗士の力を持つ者が戦え、という。
強ければいいというものではないが、支配者は強いに越したことはない。支配される側は、旗士として強い力を持つ支配者を望む。強い皇帝が国を守れるからではない。強い皇帝が、その国に住む者により高い誇りを与えるからだ。
血と力、この二つがそろって初めて帝位が近付く。
統治の実権を持たない、象徴としての皇帝だからこその制度だが、帝国一千億の臣民を束ねる精神的権威である皇帝の価値は、この時代にあっても絶大だ。
このような仕組みがあるところに、突然現れた貴種中の貴種がカノンだった。
血筋だけなら即時即位。
基力の量は幼時にして既に天井知らず。
身体能力は一流アスリート並みで、なお向上の余地しか無い。
学力は幼等学校入学時において高学年の子供たちが太刀打ちできないほど。
そしてその高貴かつ秀麗に過ぎる容姿。
すべてが完璧だった。
その完璧と出会ったときの衝撃を、エステルは忘れたことがない。
貴族の子女として帝位レースに加わることを生まれたときからの義務として強いられていたエステルは、そのことを疑問に思ったことすらなく、厳しい教育を受け訓練を受けながら地力を伸ばしていた。自分の力が幼なじみたちや学友たちに勝ることを誇りに思い、いずれ先輩たちを下して帝位に登ることを夢見ていた。
今思えば赤面物だが、幼い彼女にとって帝位を狙うことは生きることと同義だったし、それを周囲に期待されてもいた。
そのすべてを、カノンの存在に覆された。
直接言葉を交わしたわけでもないし、視線すら合ったわけではないのに、年下のカノンに圧倒され、それまでの自信を根こそぎひっくり返され、あまつさえ、彼女はそれを快いものとして受け止めてしまっていた。
その瞬間から、カノンはエステルにとっての憧れになった。
全身を巡る基力の量を徐々に増やしていきながらなじませ、ほんのわずかな揺らぎも許さずに制御しているエステルは、弱気のかけらもなかった。
出場騎士中最弱と目されていることも、成人してなお「美少女」呼ばわりされる外貌のおかげでなめられていることも知っていたが、まるで気にしていない。
基力無しで戦えばビューレンに及ばず、戦場での多彩な技術ではクリシュナに及ばないエステルだが、基力を絡めた戦闘技術ではビューレンに勝ることも、力技で技術を粉砕する底力を自分が持っていることも、まるで疑いを持っていない。
想像を絶する天才である(とエステルが思っている)カノンの存在があればこそ、エステルは自分の力を客観的に見ることができている。
自分は成長している。
基力を開放して戦う機会などほぼなく、ゲリラ相手にブチ切れたときも周囲への影響を考えてほとんど無意識に制限をかけていた。
成長した自分を存分に発揮できる貴重な機会が訪れようとしている。
相手のデータは頭に入れた。対応策は、ああ見えて意外に緻密な戦術家のメグや、騎士団入りして以来一貫して前線勤務と厳しい修行とに身をやつしてきたカノンからアドバイスを受けた。
エステルが目を開く。コンタクトを外した裸眼の赤い瞳は、強力な基力の影響で緋色に揺らめいている。
「……行ってきます、先輩」
なぜか、出撃前の最後の瞬間に思い浮かんだのは、クソ度胸でどんな切羽詰まった場面も飄々と切り抜けていくクリシュナの、凛とした横顔だった。
『ああいう玄人好みといいますか、高度な技術と力のせめぎあいといいますか、初戦からレベルが高過ぎて大興奮でしたねえ』
『あまりにも速くて、リアルタイムではもう何が起きているやらという感じでしたが』
『あれが本当の異能同士の対戦なわけですよ。それぞれ戦闘力を買われて佐官にまでなった騎士ですからね、そりゃあ速いし上手いし強い』
『「炎獣」チャウ少佐の爆発的な強さに対する、「薔薇騎士」ビューレン少佐の超絶技巧という図式でしたが、結果としてチャウ少佐が力押しに押し切って勝利を手にしました』
『見た目以上に、どちらが勝ってもおかしくない戦いでしたよ。フェイレイ・ルース騎士団の代表中、ビューレン少佐が一番基力量が少ないといわれていますから、ここから戦いはもっと派手になっていくでしょうね』
『一試合目を制したエフェソス党ですが、二試合目にはジャンヌ・セルボ-ギャバン大尉が登場します』
『著名な女性騎士ですね。「蒼の女神」の二つ名が定着しつつあります。しばらく前から参戦しているので、名前を聞いている市民の方も多いんじゃないですか?』
『先だってはエフェソス党の歩兵大隊を率いて大勝を収めた指揮官でもありますね』
『兵を率いては名人級、剣を取っては剣聖級、なんて言葉がありますが、それを地で行く騎士ですね。基力もエース級ですからね、「炎獣」のような化け物じみた力はありませんが、バランスが取れたいい騎士ですよ。訓練ではチャウ少佐に勝ったこともあるそうですし』
『大尉は、初戦のビューレン少佐と似たような経歴の持ち主です。オルドレン共和国の首都にある国立大学の工学部を優秀な成績で卒業後、民間企業からのスカウトをすべて断って宇宙軍士官学校に進みます。任官後は宇宙軍陸戦隊に所属し前線勤務を経験後、宇宙軍大学に入っていますね』
『軍大でも相当優秀だったそうですけどね、卒業後しばらくして退役してしまうんです。詳しい事情は公開されていませんが、まあ、色々あったんでしょうな。それからすぐに傭兵団に入り、戦場を点々としています』
『今回はセラール大佐に声を掛けられての参加ということですが、すぐに信頼を得て大隊の指揮を任され、今回の対決にも出場が決まっています』
『同じ女性だからでしょうかね、相手のフェイレイ・ルース騎士団の派遣部隊司令であるドゥ・メルシエ少将を尊敬する人物として挙げています。アンケート見て笑っちゃいましたよ。どこまで本気なのかはわかりませんが。特に続きのコメントは無いんですけど、皮肉なら度胸がありますし、本気ならそれはそれですごいですね』
『モデルのような長身と美貌でも有名、と資料にはあります。それ以上に有名なのが、基力を走らせた体が蒼く発光するところからついた「蒼の女神」という呼称でしょう』
『全身が蒼く光るんですけども、これが本当にきれいなんですよね。幻想的といいますか、ちょっと現実離れしているというか』
『なかなか二つ名に「女神」はつかないと聞きますが、その光の美しさも一つの理由なのでしょうね』
『うーん、まあ美しさのインパクトっていう点では、尊敬するドゥ・メルシエ少将の評判には及びませんけど……とかいうと問題になっちゃうんですかね』
『ちょっと問題ですかね、ルッキズム的に』
『まあ、その点については相手が悪いというか、ねえ。少将はほら、神に愛された美貌だとか、時代を絶する美貌だとかいわれちゃうしさ』
『対するサルディス党、フェイレイ・ルース騎士団の二番手は、「イヴリーヌの死天使」の二つ名でこのところ急激に評価を上げている新星、エステル・ドゥ・プレジール中尉です』
『実戦経験はまだまだ浅いんですけどね、歩兵用の装甲も使わずに装甲車を含む大隊規模のゲリラを一人でぶっ潰したとか、旧式のギアでの宇宙戦で無人機の編隊を一人でぶっ潰したとか、まあ派手な功績を挙げています』
『名前からも分かる通りの貴族出身で、メディア帝国の宮廷貴族イヴリーヌ伯爵家の跡取りです。ご存知の方も多いと思いますが、メディア帝国の貴族子女の基力持ちは、次期皇帝位を目指す熾烈な戦いの中に身を投じるわけですが、騎士団の筆頭副団長を務めるカノン・ドゥ・メルシエ少将がその勝者でした。故あって現在は騎士団に所属している少将ですが、そのライバルの一人として名を挙げたのがドゥ・プレジール中尉です』
『同世代ですね。中尉の方が少し年上ですが。見た目には中尉の方が年下に見えますけどねえ』
『それも危険ですよ』
『おっとっと。まあ、中尉は出場選手中ぶっちぎりの小柄さですし、ウェイトだけでいったら「炎獣」チャウ少佐の三分の一ですよ。セルボ-ギャバン大尉とは違う意味での美貌の持ち主といっていいんじゃないでしょうか。保護欲を誘うというか、はかなさがそそるというか』
『うん、ですから、そういうご自身の観点での美醜に触れるのが問題なんです』
『……げふん、とにかく、皇帝の座を争う貴族同士の戦いの中でも、出色の戦士として名を上げたわけですからね。見た目からは想像もできない力を秘めているといっていいでしょう』
ジャンヌは、対戦相手がカノンでないとわかった時に、失望と安堵が入り混じった溜息を吐いてサイドに笑われている。
「残念だったな、愛する姫君との対戦にならなくて」
いわれたジャンヌは苦笑している。
「残念といいますか、やってれば間違いなく負けていたので良かったといいますか」
負けていただろう。その自覚はある。
別に、憧れの相手だからということではない。
戦歴やここでの戦いを見れば、カノン・ドゥ・メルシエという絢爛豪華な存在は、その戦士としての素養までもが超一流。
「炎獣」でさえ、おそらく相手にならないだろうと当のチャウ少佐本人が認める異材だ。チャウにも易々とは勝ちきれない自分では、無様に負けをさらすだけだ。
……と認識しつつ、やはり憧れの姫君と手合わせしたいという欲求は消せないわけで、複雑な顔にもなろうというものだった。
「どうだろうな。案外勝てるんじゃないか? お前の『特性』は決闘向きだしな」
サイドがいうと、ジャンヌは曖昧な表情になる。
「そういう次元の差じゃない気がするんですよ」
「過大評価がすぎる気がするがね」
「憧れってそういうもんじゃないですか」
「どんだけ好きなんだよ」
サイドが破顔している。
ジャンヌは、珍しい人種である。
過去の遺伝子操作や肉体改造技術の暴走の結果生まれた新人類は、たいてい遺伝子や染色体の異常、遺伝的多様性の欠落などが原因で、絶滅するか、それに近い状態にあるものだが、ジャンヌは絶滅危惧種の人種だ。
大量の栄養と酸素の摂取と引き換えに、基力無しで常人に倍する筋力と反応速度を持ち、そこに基力をかけ合わせて爆発的な力を生み出す体。
それだけでも異能だが、彼女の体には更に特殊な能力が備わっている。
ジャンヌの透き通るような白い肌は、その表皮に特殊なキチン質の構造が組み込まれていて、基力が通ると変質し、異常なレベルで硬化する。
どう異常か。
硬度も靭性も耐熱性も耐酸性も、一般的な金属を相手にしないレベルになる。
例を上げれば、超硬化処理を施した軍用ナイフで、エース級の騎士が最大限の力で斬りかかったとして、ジャンヌの肌には傷一筋もつかない。
衝撃は通るので、骨が折れたり筋肉が傷ついたりはするのだが。
基力が通り硬化が始まると、色素の薄い白い肌に「電紋」「リヒテンベルク図形」「ライトニングフラワーズ」などと呼ばれる分散放電に似た紋様が浮かぶ。
末梢の血管が雷撃などの分散放電で破れて浮かぶ電紋は、当然ながら血の色になるが、ジャンヌの紋様は血液は関係がなく、基力回路の分散や収斂によって起きるので、体細胞の分子群と衝突した基力が発する蒼白い光に彩られる。
エネルギー量のゆらぎで、光は蒼みが強くなったり白みが強くなったりするから、硬化中の彼女は、タイトで繊細な蒼の繊維に包まれながら輝いているように見える。
基力を使って身体の高度を上げる技術はごくごく一般的なのだが、技術ではなく身体的な特性としているのは彼女の人種だけだ。
もとは幽玄な美しさを楽しむための肉体改造だったのだが、硬化特性が極限まで高められた結果、戦士としての抜きん出た有用さが珍重され、遺伝的に出生率が極めて低いにもかかわらず、絶滅せずに細々と血を続けてきた。
「模擬剣殺し」
というあだ名もある。
この蒼く光る肌が、模擬剣の麻痺効果が通らないという特性を持っているからだ。
当たり判定を出して勝敗を決める場合には関係なくなるのだが、無力化するか参ったといわせるかが勝敗条件の今回の決闘のような場合、この特性は恐ろしいほどのアドバンテージになる。
「『イヴリーヌの死天使』はそのカノン・ドゥ・メルシエのライバルともいわれた存在だそうだが、カノンマニアのお前から見たらどうなんだ?」
「一度会話したことがあるだけで親友呼ばわりされるレベルの誤解ですね」
「バッサリだな」
「マスコミはそういうの好きですよね。たかが伯爵家の小娘ごときが、メディア帝国が誇るフォカス家の血の精粋たるカノン・ディアーヌ殿下と同列に語られるなど、言語道断です。羽虫と獅子をライバル扱いしますか? しませんよね?」
「怖えよ」
途端に熱くなったジャンヌにどん引きのサイドだった。
対戦相手に羽虫扱いされているとは知らないエステルは、師匠の一人であるビューレンの敗北後、一人で控室の隅に立ち、アルビノの赤い瞳を閉じて基力を全身に巡らせていた。
確かに、メディア帝国でも最も高貴とされる血族であるフォカス家の御曹司であった父と、「大崩壊」前から続く稀有の旧家から嫁いだ母の間に生まれた「血統の博物館」であるカノンと、宮廷伯として一〇〇年にも満たない歴史しか持たないイヴリーヌ伯爵家の跡取り娘のエステルとでは、血統も身分も隔たりがありすぎる。
が、カノンは既に帝国皇太子の位を捨て、殿下と呼ばれる身分も捨て、フォカスの血筋とは関わりを持たないと宣言すらしている。メルシエ伯爵位を保持しているので、貴族としてはエステルより上位だが、メルシエ伯は領土財産を持たない名誉称号なので、いかに帝室最高権威の称号の一つとはいえ、エステルが領地持ちの宮廷伯であるイヴリーヌ伯爵になれば宮廷序列は逆転する。
そんなことはエステルには本当に、心の底からどうでも良いことだった。
メディア帝国は、現在宇宙で一般的に用いられている「星間運航条約共通歴」二五八年に誕生した。皇女カノンの誕生が共通歴九〇五年だから、その時点で建国からは六四七年経っていることになる。
この長い歴史の中で、例外はあるものの、帝位には継承の基準が定められてきた。
その最も大事な基準は二つ。
ひとつは、帝家の血を継ぐ皇族もしくは貴族であること。一代貴族の騎士ではなく、爵位を持った貴族だ。
もうひとつは、基力を持ち、それを制御できるいわゆる旗士であること。
この二つが満たせないのであれば皇帝になることはできない。
もっとも、例外があると示したのは、一つ目の「帝家の血を継ぐ皇族もしくは貴族であること」を満たさなかった皇帝は一人もいないが、「旗士であること」を満たせなかった皇帝は数名いたからだ。旗士は偶然に生まれるものだから、偶然その世代の帝室や貴族層に旗士があまりにも少なければ、また政治的状況が皇帝不在を許さない状況であれば、「つなぎ」として旗士でない者が帝位に就いたこともある。
が、それがあくまで例外であることは、歴史が証明している。
かつては皇帝の子供が旗士であれば万々歳だった。現在でももちろん、嫡出庶出を問わず皇帝の子供たちが帝位に最も近いことは間違いがないが、歴史を重ねるにつれてその優位性は揺らいでいた。
ある時点から、それまで皇位継承の条件だった「皇帝の嫡流であること」という原則が途切れたからだ。
ここでいう嫡流とは、皇帝の子や孫であることを差す。現皇帝である必要はない。先帝の子でも、その前の皇帝の孫でも構わない。
途切れた理由は単純で、ある時、それら皇帝の直接の血筋が途絶えてしまったからだ。帝国運営のためには皇帝の存在が欠かせない仕組みになっていたメディアは、政治的混乱を避けるため、選択を迫られた。皇帝無しのシステムを再構築するか、新たな血筋から皇帝を迎えるか、あるいは帝位継承の定義を変えるか。
皇族や貴族を名乗る者には、よほどの遺伝型疾病などの事情が無ければ遺伝子改良が認められず、人工子宮による出産や脳を置き換える形での肉体新生なども認められないメディアでは、いずれこのような事態に陥る可能性があることはわかりきっていたはずだ。だがそのルールは定められていなかった。
当時の帝国中枢は、この問題を帝国全土の臣民たちが納得できる形で解決する必要に迫られた。
その当時に定められたルールが、現在のメディア帝国の皇位継承上の制度として受け継がれている。
「帝位が欲しくば戦え」
というルールだ。
直系でなくとも帝家の血を継いでいるものなら、貴族の中にごまんといる。その中で、旗士の力を持つ者が戦え、という。
強ければいいというものではないが、支配者は強いに越したことはない。支配される側は、旗士として強い力を持つ支配者を望む。強い皇帝が国を守れるからではない。強い皇帝が、その国に住む者により高い誇りを与えるからだ。
血と力、この二つがそろって初めて帝位が近付く。
統治の実権を持たない、象徴としての皇帝だからこその制度だが、帝国一千億の臣民を束ねる精神的権威である皇帝の価値は、この時代にあっても絶大だ。
このような仕組みがあるところに、突然現れた貴種中の貴種がカノンだった。
血筋だけなら即時即位。
基力の量は幼時にして既に天井知らず。
身体能力は一流アスリート並みで、なお向上の余地しか無い。
学力は幼等学校入学時において高学年の子供たちが太刀打ちできないほど。
そしてその高貴かつ秀麗に過ぎる容姿。
すべてが完璧だった。
その完璧と出会ったときの衝撃を、エステルは忘れたことがない。
貴族の子女として帝位レースに加わることを生まれたときからの義務として強いられていたエステルは、そのことを疑問に思ったことすらなく、厳しい教育を受け訓練を受けながら地力を伸ばしていた。自分の力が幼なじみたちや学友たちに勝ることを誇りに思い、いずれ先輩たちを下して帝位に登ることを夢見ていた。
今思えば赤面物だが、幼い彼女にとって帝位を狙うことは生きることと同義だったし、それを周囲に期待されてもいた。
そのすべてを、カノンの存在に覆された。
直接言葉を交わしたわけでもないし、視線すら合ったわけではないのに、年下のカノンに圧倒され、それまでの自信を根こそぎひっくり返され、あまつさえ、彼女はそれを快いものとして受け止めてしまっていた。
その瞬間から、カノンはエステルにとっての憧れになった。
全身を巡る基力の量を徐々に増やしていきながらなじませ、ほんのわずかな揺らぎも許さずに制御しているエステルは、弱気のかけらもなかった。
出場騎士中最弱と目されていることも、成人してなお「美少女」呼ばわりされる外貌のおかげでなめられていることも知っていたが、まるで気にしていない。
基力無しで戦えばビューレンに及ばず、戦場での多彩な技術ではクリシュナに及ばないエステルだが、基力を絡めた戦闘技術ではビューレンに勝ることも、力技で技術を粉砕する底力を自分が持っていることも、まるで疑いを持っていない。
想像を絶する天才である(とエステルが思っている)カノンの存在があればこそ、エステルは自分の力を客観的に見ることができている。
自分は成長している。
基力を開放して戦う機会などほぼなく、ゲリラ相手にブチ切れたときも周囲への影響を考えてほとんど無意識に制限をかけていた。
成長した自分を存分に発揮できる貴重な機会が訪れようとしている。
相手のデータは頭に入れた。対応策は、ああ見えて意外に緻密な戦術家のメグや、騎士団入りして以来一貫して前線勤務と厳しい修行とに身をやつしてきたカノンからアドバイスを受けた。
エステルが目を開く。コンタクトを外した裸眼の赤い瞳は、強力な基力の影響で緋色に揺らめいている。
「……行ってきます、先輩」
なぜか、出撃前の最後の瞬間に思い浮かんだのは、クソ度胸でどんな切羽詰まった場面も飄々と切り抜けていくクリシュナの、凛とした横顔だった。
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