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とさり、力の抜けた体が崩れ落ちた。耳元にあるエドガーの心臓はまだ鼓動が早く、俺たちの愛が名残惜しく抜けきっていないと教えてくれる。
「んっ……ありがとぉエドガー。……っはぁぁ…………俺と愛を交わしてくれて…嬉しいよ…」
呼吸もまだ整わずくったりと逞しい胸に体を預けきっているが、発情が抜けて理性の戻った俺は愛する人と初めてセックスをした、という恥じらいが湧いて出てきたのだ。荒い息を整えている間、気恥ずかしさが勝って胸元から顔を上げられず、エドガーが今どんな顔をしているかなんて見れなかった。
それでも愛だけは伝えたかった。子宮が出来たことによる発情に流されたのではない、自分の意思でエドガーとセックスしたのだと。
「……今さらだけど俺、エドガーのこと好きなんだ。子宮が出来る前から…きっと初めて合った時から惹かれてたんだと思う。……告白する前にセックスしちゃったから信じてもらえないかもだけど、セックスしている時に言った事は全部俺の本心だよ。…………好き、愛してる」
最後の言葉だけはしっかりとエドガーの目を見て伝える。榛色の綺麗な瞳、俺の告白に驚きつつも喜びを隠さず煌めかせていた。
「…………あ、彰っ!…私もっ、私も彰を愛している!初セックスの相手に私を選んでくれてどれだけ嬉しかったか。それだけでも身に余る栄誉なのに、彰からも愛をくれるなんて……。ああ、夢のようだ!」
キラキラと輝く瞳にゆるりと涙が溢れ、一層美しく光を反射する。可愛い。この愛する男は格好良くて逞しくてそれでいて可愛いなんて、どれだけ俺を魅了して止まないんだ。どんどん好きが、愛してるが大きくなっていく。
ぽろり、零れた涙を伸び上がって舌で舐めとった。
「ふふっ、可愛い。夢じゃないよ、俺とエドガーはこれからずっと一緒に愛し合うんだ。セックスだって数えきれないくらいするだろうし、それに、今はまだ早いけど、もう少ししたら子どもだって…………」
「子どもだとっ?!」
「え、うん、俺エドガーとの赤ちゃん欲しいなって。…………嫌だった?」
急に大声を上げて俺の言葉を遮ったから不安になってしまう。愛する人の子を授かりたいと自然に沸き上がった思い。けれどエドガーはそうではないのだろうか、俺との子は欲しくない?
じんわりと不安が沸き上がってきた。あれだけ愛に溢れた幸せなセックスをしたのに、その余韻に悲しみが這い寄ってくる。
「ち、違う!!!嫌なことなどあるものか!!!!!」
慌てた声で否定してくるエドガー、その表情は必死なものだ。
「セックスだけでなく子作りもしてくれるなんて、私に都合の良い幻聴かと思ったんだ。愛してくれて、更に家族まで作ってくれるなんて。彰、いいのか?私と結婚してくれるのか?」
結婚、そうかそうだった。素直に思った事を伝えただけだったが、そうだ子どもが欲しいという事は家族になる、結婚するということを含んでいる。
「ああ、結婚しよう、家族になろう、俺にエドガーの子ども産ませてくれ」
迷いや悩みなど欠片も湧いて出ない、一切の躊躇なく心からの望みを口にしていた。体を起こしエドガーの手を取って甲にキスをする。あなたの事を愛していると唇に全てを乗せて伝えた。
見つめ合った数秒後、勢い良く上体を起こしたエドガーに俺は痛いほど強く抱き締められる。
「彰っ!!!私からも言わせてくれ、結婚して欲しい、愛してる」
大きな体で必死に抱き付くエドガーに心が柔らかく満たされた。
「もちろん、喜んで。たくさん愛し合って、俺もエドガーも子どもも家族皆で幸せになろうな」
顔を上げると落ちてくる唇。この世界のメアに最も近い場所で交わされる誓いのキス。俺の愛を一生涯この男に捧げると決めた神聖な誓い。
メア、これからも見守ってくれよな。俺がこの世界で愛を、幸せを、喜びを感じ生きていくのを。メアの愛をこの体で世界中に伝え広めるから、俺のエッチな姿ずっと見ていてくれ。
遠く高い所から感じるメアの気配は喜びに満ちて、惜しみ無く神の愛を降り注いでくれている。聖者としてこの世界に連れてきてくれてありがとう。
大好きだよ、メア。
「母様、早くー!こっちこっち!」
まだ幼い息子に手を引かれ、俺は重いお腹をもう片手で支えながらゆっくりと足を進める。わんぱく盛りのこの子は走り出したいだろうに、それでも妊娠中の俺を気遣って無理に急いだりはしない優しい子だ。
向かう先には俺の家族がいる。アンバー、チョコレート、マホガニー、キャメル、ブロンズとそれぞれの色を纏った俺の可愛い子どもたち。手を引く子はシナモン色の丸い尻尾を振って、楽しそうに兄弟の元へ一直線に向かっていく。
俺の子どもたち、愛の結晶が笑顔で待っている。幸せの塊のような光景に自然と頬が緩んだ。そして隣を見上げる。そこにいるのは最愛の人、穏やかな笑顔で俺と子どもたちを見守る愛しい人。
この幸せな情景をきっとメアも見守ってくれているはず。だって溢れるほどの愛が世界に満ちているのだから。だからもう何度言ったか分からない言葉を、心の底からの思いを乗せて伝えよう。
「愛してる、エドガー」
「んっ……ありがとぉエドガー。……っはぁぁ…………俺と愛を交わしてくれて…嬉しいよ…」
呼吸もまだ整わずくったりと逞しい胸に体を預けきっているが、発情が抜けて理性の戻った俺は愛する人と初めてセックスをした、という恥じらいが湧いて出てきたのだ。荒い息を整えている間、気恥ずかしさが勝って胸元から顔を上げられず、エドガーが今どんな顔をしているかなんて見れなかった。
それでも愛だけは伝えたかった。子宮が出来たことによる発情に流されたのではない、自分の意思でエドガーとセックスしたのだと。
「……今さらだけど俺、エドガーのこと好きなんだ。子宮が出来る前から…きっと初めて合った時から惹かれてたんだと思う。……告白する前にセックスしちゃったから信じてもらえないかもだけど、セックスしている時に言った事は全部俺の本心だよ。…………好き、愛してる」
最後の言葉だけはしっかりとエドガーの目を見て伝える。榛色の綺麗な瞳、俺の告白に驚きつつも喜びを隠さず煌めかせていた。
「…………あ、彰っ!…私もっ、私も彰を愛している!初セックスの相手に私を選んでくれてどれだけ嬉しかったか。それだけでも身に余る栄誉なのに、彰からも愛をくれるなんて……。ああ、夢のようだ!」
キラキラと輝く瞳にゆるりと涙が溢れ、一層美しく光を反射する。可愛い。この愛する男は格好良くて逞しくてそれでいて可愛いなんて、どれだけ俺を魅了して止まないんだ。どんどん好きが、愛してるが大きくなっていく。
ぽろり、零れた涙を伸び上がって舌で舐めとった。
「ふふっ、可愛い。夢じゃないよ、俺とエドガーはこれからずっと一緒に愛し合うんだ。セックスだって数えきれないくらいするだろうし、それに、今はまだ早いけど、もう少ししたら子どもだって…………」
「子どもだとっ?!」
「え、うん、俺エドガーとの赤ちゃん欲しいなって。…………嫌だった?」
急に大声を上げて俺の言葉を遮ったから不安になってしまう。愛する人の子を授かりたいと自然に沸き上がった思い。けれどエドガーはそうではないのだろうか、俺との子は欲しくない?
じんわりと不安が沸き上がってきた。あれだけ愛に溢れた幸せなセックスをしたのに、その余韻に悲しみが這い寄ってくる。
「ち、違う!!!嫌なことなどあるものか!!!!!」
慌てた声で否定してくるエドガー、その表情は必死なものだ。
「セックスだけでなく子作りもしてくれるなんて、私に都合の良い幻聴かと思ったんだ。愛してくれて、更に家族まで作ってくれるなんて。彰、いいのか?私と結婚してくれるのか?」
結婚、そうかそうだった。素直に思った事を伝えただけだったが、そうだ子どもが欲しいという事は家族になる、結婚するということを含んでいる。
「ああ、結婚しよう、家族になろう、俺にエドガーの子ども産ませてくれ」
迷いや悩みなど欠片も湧いて出ない、一切の躊躇なく心からの望みを口にしていた。体を起こしエドガーの手を取って甲にキスをする。あなたの事を愛していると唇に全てを乗せて伝えた。
見つめ合った数秒後、勢い良く上体を起こしたエドガーに俺は痛いほど強く抱き締められる。
「彰っ!!!私からも言わせてくれ、結婚して欲しい、愛してる」
大きな体で必死に抱き付くエドガーに心が柔らかく満たされた。
「もちろん、喜んで。たくさん愛し合って、俺もエドガーも子どもも家族皆で幸せになろうな」
顔を上げると落ちてくる唇。この世界のメアに最も近い場所で交わされる誓いのキス。俺の愛を一生涯この男に捧げると決めた神聖な誓い。
メア、これからも見守ってくれよな。俺がこの世界で愛を、幸せを、喜びを感じ生きていくのを。メアの愛をこの体で世界中に伝え広めるから、俺のエッチな姿ずっと見ていてくれ。
遠く高い所から感じるメアの気配は喜びに満ちて、惜しみ無く神の愛を降り注いでくれている。聖者としてこの世界に連れてきてくれてありがとう。
大好きだよ、メア。
「母様、早くー!こっちこっち!」
まだ幼い息子に手を引かれ、俺は重いお腹をもう片手で支えながらゆっくりと足を進める。わんぱく盛りのこの子は走り出したいだろうに、それでも妊娠中の俺を気遣って無理に急いだりはしない優しい子だ。
向かう先には俺の家族がいる。アンバー、チョコレート、マホガニー、キャメル、ブロンズとそれぞれの色を纏った俺の可愛い子どもたち。手を引く子はシナモン色の丸い尻尾を振って、楽しそうに兄弟の元へ一直線に向かっていく。
俺の子どもたち、愛の結晶が笑顔で待っている。幸せの塊のような光景に自然と頬が緩んだ。そして隣を見上げる。そこにいるのは最愛の人、穏やかな笑顔で俺と子どもたちを見守る愛しい人。
この幸せな情景をきっとメアも見守ってくれているはず。だって溢れるほどの愛が世界に満ちているのだから。だからもう何度言ったか分からない言葉を、心の底からの思いを乗せて伝えよう。
「愛してる、エドガー」
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