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エピローグ 世界を耕した少年
エピローグ. 農業機器は世界を救う
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「バオア、お茶が入ったのにゃ」
「うん、休憩にするよ」
僕が世界樹の森に追放されてから20年が経過した。
僕もすっかり大人になり、背もだいぶ伸びている。
伸びたのは背くらいで顔つきなんかはあまり変わってないらしいけどね。
「ふう。クーオ、世界樹の村の作物はまだたくさん売れているようで安心しているよ」
「当然ですニャ。世界の不作が終わったとはいえ出来の良し悪しはありますニャ。そこが安定して高い世界樹の村の作物は信用も高いのですニャ」
「あまり高く売りすぎないようにね。この村ではほとんどお金が必要ないんだから」
「わかっていますニャ。でも、この村の作物を安く売りすぎると他の場所で採れた作物が売れなくなりますニャ。何事も適切な価格というのはありますニャ」
うーん、クーオの商売欲が勝っているだけのような気もするけど……。
まあ、村の作物がよく売れているようなら問題ないか。
この20年の間に世界は大きく変わった。
まず、作物の不作を招いていた邪神の木をすべて取り除いたことで作物が昔のように取れるようになり、飢餓で苦しむ人もだいぶ減った。
次に、人間族国家が解体されたんだ。
僕たちがこっそり邪神の木を伐採したけど人間族国家は戦争をやめず、どんどん食糧事情が悪化していった。
それに反発した民衆が王家や貴族などを倒し新たな国家が誕生、それらの国は短命種こそ神に愛された種族であるという宗教をも打倒したようだ。
周辺国家との間で停戦条約も取り交わされ、戦争が終わったことで農地を耕す男手も戻ってきた。
これによって人間族の大地でも少しずつ食糧事情は改善していったらしい。
最後に一番大きな変化は、ケットシー製の『農業機器』が開発され世界中に売り出されるようになったことだ。
ケットシー族を初めとする妖精族の技術を結集して作った『農業機器』は、僕のスキルで召喚される『農業機器』より多少劣るものの人力で農業を行うより断然楽で効率的である。
これが世界中に広まることで農作業が楽になり、また新規農地の開拓がスムーズに進むこととなった。
まだ生産台数の関係で各国の王家や有力貴族しか持っていないようだが、それらは積極的に使われて新たな土地を開拓しているらしい。
そうして広まった畑でより多くの作物が育てられ国も民も豊かになっていっているようだ。
世界中を襲っていた不作の影響もあり、いまの世界では各国の協力態勢が出来ている。
そう簡単に戦争が起こらない時代が来たんだ。
そうなってくると人々が次に欲するのは『生活の豊かさ』らしい。
それを求めて世界樹の村の作物を買い求める人々が多いようなのだ。
世界樹の村も大量生産の体制が整っているので需要を満たせるだけの供給はあるのだが、お金の使い道にはどの集落も困っている。
本当に贅沢な話なのだが。
「……そういえば、バオア。新しい『農業機器』が増えたと言っていませんでしたかにゃ?」
「ああ、増えたよ、ホーフーン。ただ、ねぇ……」
「なんにゃ?」
「『大型水耕栽培基地』なんだよ。作れる作物が増えるみたいなんだけど、代わりに『小型水耕栽培基地』を消さなくちゃいけないらしくて」
「それがどうかしたのかにゃ?」
「小型水耕栽培基地を消すには中にあるものや魔石を変換したエネルギーを全部消費しなければいけないんだ」
「にゃんと……」
「……数年先、かな」
うん、貯蔵する分には困らないだろうと思って魔石をいっぱい溜め込んでおいたんだ。
それがこんな形で足を引っ張るとは……。
なにはともあれ、世界は平和になった。
この平和がいつまで続くかわからないけど、世俗から隔離された世界樹の森は静かで過ごしやすい。
こんな日々がずっと続けばいいな。
「うん、休憩にするよ」
僕が世界樹の森に追放されてから20年が経過した。
僕もすっかり大人になり、背もだいぶ伸びている。
伸びたのは背くらいで顔つきなんかはあまり変わってないらしいけどね。
「ふう。クーオ、世界樹の村の作物はまだたくさん売れているようで安心しているよ」
「当然ですニャ。世界の不作が終わったとはいえ出来の良し悪しはありますニャ。そこが安定して高い世界樹の村の作物は信用も高いのですニャ」
「あまり高く売りすぎないようにね。この村ではほとんどお金が必要ないんだから」
「わかっていますニャ。でも、この村の作物を安く売りすぎると他の場所で採れた作物が売れなくなりますニャ。何事も適切な価格というのはありますニャ」
うーん、クーオの商売欲が勝っているだけのような気もするけど……。
まあ、村の作物がよく売れているようなら問題ないか。
この20年の間に世界は大きく変わった。
まず、作物の不作を招いていた邪神の木をすべて取り除いたことで作物が昔のように取れるようになり、飢餓で苦しむ人もだいぶ減った。
次に、人間族国家が解体されたんだ。
僕たちがこっそり邪神の木を伐採したけど人間族国家は戦争をやめず、どんどん食糧事情が悪化していった。
それに反発した民衆が王家や貴族などを倒し新たな国家が誕生、それらの国は短命種こそ神に愛された種族であるという宗教をも打倒したようだ。
周辺国家との間で停戦条約も取り交わされ、戦争が終わったことで農地を耕す男手も戻ってきた。
これによって人間族の大地でも少しずつ食糧事情は改善していったらしい。
最後に一番大きな変化は、ケットシー製の『農業機器』が開発され世界中に売り出されるようになったことだ。
ケットシー族を初めとする妖精族の技術を結集して作った『農業機器』は、僕のスキルで召喚される『農業機器』より多少劣るものの人力で農業を行うより断然楽で効率的である。
これが世界中に広まることで農作業が楽になり、また新規農地の開拓がスムーズに進むこととなった。
まだ生産台数の関係で各国の王家や有力貴族しか持っていないようだが、それらは積極的に使われて新たな土地を開拓しているらしい。
そうして広まった畑でより多くの作物が育てられ国も民も豊かになっていっているようだ。
世界中を襲っていた不作の影響もあり、いまの世界では各国の協力態勢が出来ている。
そう簡単に戦争が起こらない時代が来たんだ。
そうなってくると人々が次に欲するのは『生活の豊かさ』らしい。
それを求めて世界樹の村の作物を買い求める人々が多いようなのだ。
世界樹の村も大量生産の体制が整っているので需要を満たせるだけの供給はあるのだが、お金の使い道にはどの集落も困っている。
本当に贅沢な話なのだが。
「……そういえば、バオア。新しい『農業機器』が増えたと言っていませんでしたかにゃ?」
「ああ、増えたよ、ホーフーン。ただ、ねぇ……」
「なんにゃ?」
「『大型水耕栽培基地』なんだよ。作れる作物が増えるみたいなんだけど、代わりに『小型水耕栽培基地』を消さなくちゃいけないらしくて」
「それがどうかしたのかにゃ?」
「小型水耕栽培基地を消すには中にあるものや魔石を変換したエネルギーを全部消費しなければいけないんだ」
「にゃんと……」
「……数年先、かな」
うん、貯蔵する分には困らないだろうと思って魔石をいっぱい溜め込んでおいたんだ。
それがこんな形で足を引っ張るとは……。
なにはともあれ、世界は平和になった。
この平和がいつまで続くかわからないけど、世俗から隔離された世界樹の森は静かで過ごしやすい。
こんな日々がずっと続けばいいな。
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