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第五章 本当の農地復興
66. 第2の課題に向けた検討
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僕たちは人間族国家の支援を一時取りやめ、なぜ世界的な飢饉が始まったのかという根本的原因に向かい合うことにした。
ただ、これについてはホーフーンが推論を持っているらしい。
それは「邪神の力が各地で大地の力を奪っているのではないか?」という仮説だ。
僕はどういうことかわからず、詳しく話を聞いてみることにした。
「まず、この世界的な飢饉は世界中で起こっている不作が原因ですにゃ。ですが、全世界で同時に不作なんて状況が起こることなど珍しいなんてものじゃないですにゃ。それも何年も続いているのは不自然にゃ。いっそ、なにか別の原因がある方が納得できるにゃ」
「それで邪神の力?」
「はいですにゃ。それを調べて各地を転々としていたのですが手がかりがまったくつかめなかったのですにゃ。でも、いまなら少しは手がかりがつかめていますにゃ」
すごい、邪神の力を見つけるだなんて!
その話を聞いてみると、どうやら僕たちが行っていた農地復興がその役に立ったということだ。
「実はドワーフ帝国の一部に1年で不作に戻ったという地域がありましたにゃ。バオアたちが人間族国家の支援に当たっている間に吾輩はそちらを調べていましたにゃ。原因はとある森の中にある1本の木のようですにゃ」
「1本の木?」
「はいですにゃ。その木は黒く染まっており、地面も腐っていて異臭が立ちこめていましたにゃ。落ちていた木の枝で触ってみようとしましたが、触れる前にドロドロに溶けましたにゃ。危険な木ですにゃ」
そんな危険な木があっただなんて。
クーオもこの話は初めて聞いたようで驚いている。
その木がある森のことはドワーフ皇帝に話をしてあり、一般人は近づけないようにしているそうだ。
じゃあ、どうするのかというと、そこが悩みどころらしい。
「近づくだけで危険な木にゃ。どうやって伐採すればいいのか、そもそも伐採すれば大丈夫なのかもわかりませんのにゃ」
「なるほど……そうなると世界樹の精霊様に相談してみるとか?」
「世界樹の精霊様にはもう相談したにゃ。でも、その木は精霊や神の力をはじく力があるらしくどうにも出来ないそうなのにゃ。これまで気付かれなかったのもそのせいにゃ」
なるほど、精霊様でもだめなのか……。
そうなると、精霊様にお願いして新しい道具を作ってもらってもあまり意味がないのかな?
あれ、この農業機器って……?
「ねぇ、ホーフーン。新しい農業機器が増えてるんだけど」
「にゃ?」
「『樹木伐採機』だって。これ、使えるんじゃない?」
ただ、これについてはホーフーンが推論を持っているらしい。
それは「邪神の力が各地で大地の力を奪っているのではないか?」という仮説だ。
僕はどういうことかわからず、詳しく話を聞いてみることにした。
「まず、この世界的な飢饉は世界中で起こっている不作が原因ですにゃ。ですが、全世界で同時に不作なんて状況が起こることなど珍しいなんてものじゃないですにゃ。それも何年も続いているのは不自然にゃ。いっそ、なにか別の原因がある方が納得できるにゃ」
「それで邪神の力?」
「はいですにゃ。それを調べて各地を転々としていたのですが手がかりがまったくつかめなかったのですにゃ。でも、いまなら少しは手がかりがつかめていますにゃ」
すごい、邪神の力を見つけるだなんて!
その話を聞いてみると、どうやら僕たちが行っていた農地復興がその役に立ったということだ。
「実はドワーフ帝国の一部に1年で不作に戻ったという地域がありましたにゃ。バオアたちが人間族国家の支援に当たっている間に吾輩はそちらを調べていましたにゃ。原因はとある森の中にある1本の木のようですにゃ」
「1本の木?」
「はいですにゃ。その木は黒く染まっており、地面も腐っていて異臭が立ちこめていましたにゃ。落ちていた木の枝で触ってみようとしましたが、触れる前にドロドロに溶けましたにゃ。危険な木ですにゃ」
そんな危険な木があっただなんて。
クーオもこの話は初めて聞いたようで驚いている。
その木がある森のことはドワーフ皇帝に話をしてあり、一般人は近づけないようにしているそうだ。
じゃあ、どうするのかというと、そこが悩みどころらしい。
「近づくだけで危険な木にゃ。どうやって伐採すればいいのか、そもそも伐採すれば大丈夫なのかもわかりませんのにゃ」
「なるほど……そうなると世界樹の精霊様に相談してみるとか?」
「世界樹の精霊様にはもう相談したにゃ。でも、その木は精霊や神の力をはじく力があるらしくどうにも出来ないそうなのにゃ。これまで気付かれなかったのもそのせいにゃ」
なるほど、精霊様でもだめなのか……。
そうなると、精霊様にお願いして新しい道具を作ってもらってもあまり意味がないのかな?
あれ、この農業機器って……?
「ねぇ、ホーフーン。新しい農業機器が増えてるんだけど」
「にゃ?」
「『樹木伐採機』だって。これ、使えるんじゃない?」
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