農業機器無双! ~農業機器は世界を救う!~

あきさけ

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第五章 本当の農地復興

64. 人間族国家の農地復興計画

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 まずは人間族国家の農地を復活させる計画を立てることにした。
 でも、結論は簡単、勝手に支援して勝手に復活させてしまえばいいのだ。
 村には食糧としてジャガイモを与え、既にある畑を耕させてもらい新しいジャガイモをまいて育てる。
 新しいジャガイモが出来たらそれを収穫してもらい、次の農作物をまた植えてもらうのだ。
 なお、植えてもらえなかった場合は知らない。
 ジャガイモの食糧支援は各村一回だけだし、それ以降は飢えても僕たちには関係ないと割り切ることにした。
 人間族国家の横暴はクーオからも散々聞いているし、やる気がないなら放置するだけだ。

 最初に手助けする村は国境沿いでも街の近くでもない寒村から。
 本当に食糧に困っているみたいだし、農作物もいまにも枯れそうだから話に乗ってくれるだろう。
 交渉はクーオ任せだけど、よろしく頼むよ。
 さて、トレーラーで乗りつけてと。

「ニャ。ここの村長かまとめ役に会いたいニャ」

「な、なんだお前たちは!?」

「とある村から食糧支援と農作物の栽培支援に来たのニャ。追い返されるのなら話はそれまでニャ」

「ま、待て。食糧と言ったな。それはどの程度ある?」

「このトレーラーの荷台いっぱいニャ。中は冷房も効いているから開けっぱなしにしなければ中のものが腐ることも少ないニャ」

「わ、わかった。村長に相談してくる!」

 門衛さんは大慌てで門の中に走っていった。
 そして、すぐに身なりのいい老人を連れて戻ってきたよ。
 この人が長老かな?
 門衛さんの身なりはボロボロなのに、ずいぶんと綺麗な服を着ているな。
 恰幅もいいし、人間族国家の村ってこんなところばかりなのだろうか?

「食糧支援に来たケットシーとやらはお前か?」

「食糧支援ではないのニャ。農業支援なのニャ。食糧支援は一度作物を潰すので新しい作物が採れるまでの間のつなぎニャ」

「ふん。そんなことはどうでもいい。食糧を渡してもらおうか」

「農業支援を受けることを約束してもらってからニャ。実際に食糧を渡すのは農業支援が終わってからニャ」

「虫のいい……農業支援など何日かかる!」

「一日で終わるのニャ。余計な邪魔をしている限り、どんどん遅れていくのニャ。それから食糧支援をする相手は村人ニャ。お前じゃないニャ」

「うるさい! この村では儂が決めたことがすべてなのだ!」

「そうですかニャ。じゃあ、他の村に行きますとしますかニャ」

「ま、待て! 食糧はどうなる!?」

「私たちの支援を受けないなら渡さないニャ。それくらいのことくらい理解してほしいニャ」

「……わかった。村の農業支援を許す」

「最初からそうすればいいニャ」

 話が決まったので、トレーラーの番をクーオとクーシーたちに任せ、僕は大型トラクターに乗り込む。
 これにも村長は驚いていたけど、僕は無視して畑を耕し始めた。
 この村の畑はそんなに広くないな。
 人間族国家の村ってどこもこんな感じなんだろうか?
 それとも寒村を選んだから畑も狭い?
 ともかく、畑はすぐに耕し終わりジャガイモも植え終わった。
 これでこの村は後日収穫に来るだけだ。

 クーオと一緒にトラックの荷台を降ろし、ジャガイモを取り出せるようにしておいた。
 ただ、あの村長が独占しそうだという理由からクーシーを見張り番として付けておく。
 明日は他の村も回ってみよう。

 他の村も回ったけど、どこも最初の村と同じように村長が威張った態度で交渉がなかなか進まなかった。
 最終的にはどこも食糧の魅力には敵わなかったけど、食糧がほしいのなら最初から受け取ってほしい。

 それから、最初の村の収穫に戻ったとき、クーシーからやはり村長とその手のものがジャガイモを奪いに来たようだ。
 妖精族の番犬であるクーシーには敵わないのに無理なことをする。
 新しいジャガイモを収穫したあと、再度収穫したい作物を植えてもらいこの村は終了だ。
 なんだか、人間族の村は疲れそう。
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